「ITCプロセスガイドライン」を改定、Ver.2.0として公開しました

 

「ITCプロセスガイドライン」を改定、Ver.2.0として公開しました

~IT経営認識プロセスの追加とITCの役割を明確化~

2011年8月31日

ITコーディネータ協会 IT経営研究所

  「ITCプロセスガイドラインVer.2.0」こちらのページからご覧ください。

当バージョンのITC試験への適用は2012年度からで、2012年3月試験まではVer.1.1が適用されます。


 

 前回のITCプロセスガイドライン(PGL)の改定から5年が経過しました。

情報システム構築が中心の時代からITサービス利活用の時代へとパラダイムシフトが起きており、経営革新とITの戦略的活用はますます一体化し、不可分なものになってきています。

このような認識から、今回の改定では以下を明確にしました。

 ・ 最初から経営戦略ありきではなく、環境変化と自社の成熟度を的確に捉え、持続的成長に向けた
  変革への認識のもとで、IT経営を実現するプロセス全体を「IT経営プロセス」と捉えたこと、

 ・ IT経営の実行者は企業であり、ITCはITサービスの利活用を推進・支援することで、IT経営を実現する
  立場であること、

改定に当たっては、多くのITCから意見をいただきました。この場をお借りて御礼申しあげます。今後も、ITC活動実践の場でPGLの考え方を活かしていただき、その成果をPGLにフィードバックしていただき、PGLそのものもより使いやすいものにブラシュアップされていくことを期待しています。

 


 

ITCプロセスガイドラインの趣旨と活用の考え方

 ここで、PGLの趣旨と活用の考え方を確認しておきます。なお、今回の改定に当たっても、以下に掲げる考え方は変わっていません。 

 

 PGLは、企業がIT経営を推進する際の基本的な考え方を、多様な業種・業態、規模・成熟度の企業にも適用可能な汎用的な形で、「基本原則」と「プロセス」として取りまとめたものである。

従ってPGLは、ITCがIT経営を実現するプロフェッショナルとして活動する上での判断基準(基本原則)と実行基準(プロセス)を示すものである。

PGLの適用によって、IT経営の推進における、経営者とITCおよびITC相互の共通認識をはかり、仕事の質を一定水準以上に保つことができる。

ITCが特定の企業を支援する場合には、その企業の実態に合わせた形にPGLの内容をカスタマイズして適用することが望まれる。

すなわち、ITCが実務を遂行する上で、経営者や従業員と一体となってITサービスを利活用した経営改革を進めるためのガイドラインとなる。

(PGLの「はじめに」より引用)

 

   

今回の改定ポイント

 

以下、今回の改定について、5つの重要なポイントを紹介します。

 

1.IT経営への認識の重要性の明確化と、「IT経営プロセス」への定義の変更




従来のPGLでは、経営戦略~ITサービス活用までのプロセスを、ITCプロセスと呼んでいました。しかし、IT経営を実現するには、実現のためのプロセスだけではなく、新しい経営戦略を策定しなければならないという決断に至る、IT経営への認識が必要となります。新PGLでは、この認識と、経営改革やIT化活動に至る、IT経営に係わる全てのプロセスを「IT経営プロセス」と定義しました。

   
   




IT経営を実現するにはビジネス活動の中で、経営環境の変化や自社の成熟度向上に対する経営者の認識が重要となります。この認識があって初めて、変化に対応した経営戦略策定や、IT戦略課題に対してのIT化活動が遂行されます。この、IT経営への認識に関わるプロセスを新PGLでは、「IT経営認識プロセス」と定義しました。

   

 2.IT経営認識プロセスの内容

新設したIT経営認識プロセスは、①新たな変革の必要性に気づく「変革認識フェーズ」、②IT経営実現プロジェクトが動き始めてからは、新たな環境変化や新たな改善・改革への「是正認識フェーズ」、③プロジェクト後の持続的成長を遂げるために必要な「持続的成長認識フェーズ」で構成されます。各フェーズの概要プロセスは下図のとおりです。
 

   

3.成熟度のスパイラルアップの重要性を記載



企業価値は持続的な成長を続けることであり、このためには成熟度の評価を行いながら、環境変化に対応した改善・改革を常に継続し、図のように、経営の成熟度がスパイラルアップしていくことが重要となります。
   


「IT経営実現プロセス」は1サイクルで終わるわけではありません。
あらかじめ決まっていた経営戦略の達成度に対する評価だけではなく、新たな環境認識、自社の成熟度に対する認識を基に、企業の成熟度がスパイラルアップするよう、「持続的成長認識フェーズ」における認識活動が重要となってきます。

新PGLでは、「IT経営の成熟度」を定義し、スパイラルアップによる持続的成長の必要性が分かるよう記述をしています。また、このようなスパイラルアップするためのトリプルループを、戦略経営サイクルと定義しました。

SPDLI (Strategy:戦略-Plan:計画-Do:実行-Learning:学習-Innovation:改革)
   

 4.プロセスガイドラインの構成の見直し

新PGLの構成を見直しています。旧PGLとの比較は以下の通りです。 

   

・新規作成
「はじめに」と、第三部の「IT経営認識プロセス」は、新規に作成しました。


・全面的な書き換え
第一部の「IT経営とITC」は、ITCありきではなく、IT経営とは何かから記述し、そのIT経営を実現するITCという流れに組み替えました。


・一部改定
第二部の「IT経営プロセス全体図」は、全体図とIT経営認識プロセスを追加し、実現プロセスの修正を行いました。

第四部の「IT経営実現プロセス」は、経営戦略(策定)でのIT経営認識プロセスとの繋ぎと、経営戦略達成度評価ついて記述を一部追加・修正を行いました。

第五部の「IT経営共通プロセス」は、ITC視点となっていた記述を企業視点での記述に統一しました。
 

   

 5.IT経営の実行者の明確化

今回の改定で、IT経営の実行者は企業であることを明確化し、ITCはITサービス利活用を推進・支援する役割としています。このため、記述にあたって、主語を企業とし、従来のPGLで一部ITCが主語になっていた個所は全面的に書き改めました。 

   

 

 6.ITCの専門性の明確化

ITCの専門性について、IT経営プロセスの理解に加えて、経営者の思いを共有し、変革認識を理解し、企業の成熟度に応じて対応する能力としました。 



すなわち、ITCの特徴は、スペシャリストとしての限定した領域の深い専門性よりも、経営やITの知見を活かし、IT経営プロセス全体を俯瞰することができる幅の広さと総合性にあり、IT経営認識プロセスやIT経営実現プロセスの全て、あるいは一部を担うかどうかに関わらず、IT経営の実現を支援するプロフェッショナルである、としました。

   

 

7.お問い合わせ先

本件についてのお問い合わせは、協会HPのTOP「お問い合わせ」から「ガイドライン」を選択し送信してください。
 

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