「2011年度(H23年度) データ連携調査研究成果報告」

 

2011年度(H23年度) データ連携調査研究成果報告」

2012/09/11
ITコーディネータ協会
IT経営研究所事務局

【はじめに】

 平成23年度の「企業間・企業内データ連携調査研究」成果がまとまりましたので、報告書(全編)をITコーディネータの皆さまに公開いたします。
 本委員会は、平成21年度に(財)機械振興協会から受託した調査研究事業(テーマ:中小企業モノづくりの生産性向上に貢献する企業内・企業間データ連携手法)の中で立ち上げた委員会で、平成22、23年度はITコーディネータ協会の自主事業として継続活動を行いました。 本委員会の活動目的は、中小企業のIT活用促進のために企業内・企業間データ連携のあるべき姿を調査研究し、その成果を国及び関係機関(次世代EDI推進協議会)へ提言し、実用化のための活動を支援することです。また、今年度は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の金流・商流・物流情報連携研究会に参加し、特に中小企業金融EDI連携をテーマとしてWGを共同開催しました。これはEDI導入時にサプライヤ側のメリット・インセンティブが少なく、中小企業がEDIを導入するには、金融が絡む事によりメリットが出てくるのではないかとの議論が昨年の調査研究で出てきました。そこで、今年度は、金流・商流・物流情報連係研究会をJIPDECとITCAで共催して進める事となり、中小企業に関係する中小企業金融EDI連携WGをITC協会が主催する事となりました。もう1つの金流・商流ネットワーク連携WG(以下ネットワークWGと呼ぶ)はNTTデータ殿が主査で進めることになりました。

委員会及び分科会の組織体制は以下のようになります。




 本調査研究の成果を次に示します。

(1) 企業間データ連携に関する成果
① 中小製造業の企業間取引に利用する情報種とデータ項目を取り纏め、次世代EDI推進協議会(以下、JEDIC)へ提案し、業界横断EDI仕様V1.1ビジネスガイドブックのとりまとめに協力をした。ここでは、電機電子業界、自動車業界、石油化学業界と並んで中小製造業の立場での提案を行った。
② 今年度末でJEDICが解散することとなったため、今回取りまとめた「業界横断EDI仕様V1.1」については、JIPDECのホームページで公開・提供することになった。また、ソリューション認定については残念ながら見送りとなった。
③ 今後、業界間のEDI取引に関する検討の場は、国連CEFACT日本委員会のサプライチェーン情報基盤研究会になった。

(2) 企業内データ連携に関する成果
サポイン企業の基幹業務に“ITカイゼン”ツールを導入してデータ連携に関する実用化を開始した。 “ITカイゼン”ツール実用化に協力していただき、基幹業務システムの更新を実施した㈱由紀精密殿がIT経営力大賞優秀賞を受賞した。サポイン企業のデータ連携実用化に向けて、東京都産業交流事業に参加して集合研修型支援の実証実験を行い、現場主導の新しい中小企業IT導入支援方法の目処をつけた。

(3)中小企業金融EDI連携WGに関する成果
次の2つの実証実験を行い技術的には実現が可能であることが確認できた。残された課題の検討を継続して取組んでいく計画である。
① サプライヤ企業が受注した注文EDI情報に基づく無担保融資の仕組み実現性についてヒアリング調査とプロト実証実験を実施し、実務面、技術面の両面から検証した。結論は共通EDIが普及すれば実現は可能であり、発注企業、受注企業、金融機関のいずれにもメリットがあるので、永年の課題である中小企業金融支援の新しい手段が提供できることが確認できた。
② 決済と支払の同期化の実現可能性を検証するための実証実験を実施し、技術的には実現可能であることが検証できた。発注者が注文品の検収デジタル情報を支払情報として取引先金融機関へEDI送信することにより、検収と支払の同期化を行うことができる。金融機関がEDI情報を受信する仕組みの導入費用問題を解決する必要があることがわかった。

 *報告書について
 本報告書は200部印刷し、関係諸機関に贈呈しました。本調査研究の報告書(PDF)を作成しましたので、ダウンロードしていただきご覧ください。

※2011年度調査研究報告書(PDF) ダウンロード
 

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