ITCAメールマガジン「創新」バックナンバー
     ITCAメールマガジン「創新」 第33号 2003.5.9

   目次
1.巻頭言「コンピュータ、ソフトがあってもただの箱」
2.ITC埼玉の動向
3.協会便り「中小企業IT入門マガジン「COMPASS」春号を希望者に配布!」
4.読者の広場「企業IT化への進化を考える」

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1.巻頭言 「コンピュータ、ソフトがあってもただの箱」
                         ITCG(グランドファーザー)内田 和成
                 (ボストン・コンサルティング・グループ 日本代表)

 事業環境が良くない今こそ、逆張りでIT投資すべきという意見がある。 しかし、いくらIT投資すると言っても、活用目的がはっきりしないまま行う くらいなら、やめた方がよい。 「コンピュータ、ソフトがなければただの箱」という言葉があるが、私に 言わせると「コンピュータ、ソフトがあってもただの箱」が正しい。という のもいくら優れたソフトウエアを導入しても、それを何のために使うのか はっきりしない限り、宝の持ち腐れになる可能性が大きいからである。
 例えば、電卓を使う際に関数電卓やプログラム電卓を使ったから急に 計算能力が高まったり、分析力が向上するかというとそんなことはない。 四則演算しかしないのであれば、関数電卓で小さなテンキーを操作する より、最初からテンキーの大きなふつうの電卓で操作した方が、計算も 速くできるし間違いも少ない。コンピュータも全く同じで、無理に高性能 のコンピュータやアプリケーションソフトウエアを入れるよりも、自分の ニーズ・目的にあったレベルのコンピュータを入れた方がよほど経済的 である。

 セブンイレブンが今日これだけ成功しているのはPOSを導入したから ではなく、死に筋管理をできるだけ短期間で行う必要があったからであり、 そのためには算盤よりは電卓、電卓よりはコンピュータの方が適していた というのに過ぎない。ここを間違えると、当時多くのCSVがセブンイレブン と同様なPOSシステムを入れたのにもかかわらず、成果を上げられな かったのと同じ結果になってしまう。

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2.ITC埼玉の動向                    ITC埼玉幹事長 古川 正紀
                 
 昨年1月に発足しましたITC埼玉は、止まり木である、さいたまソフトウェア センターのご支援の下、ITSSP事業への参画、知識研修の開催を2本柱 として、鋭意活動して参りました。  ITSSPでは、企業内ITCが中心となった実践と業種特化(建設業)した 活動が大きな特色となりました。また、知識研修は各回ITC埼玉のメンバー 自身が得意領域の講師となって、財務会計の知識、投資効果の研究等、 ITCカリキュラムを補完するテーマが特色と言えます。
 本年度は、昨年度の実績を踏まえた上で、更にITC埼玉としての特色を 明確化して行く方針で、

1.ITCとしての実践は、地域分科会を推進の中心と位置付け、自治体や地域
 産業に対し密着する形で、所沢ITCファームのような小規模でより機動性の
 高い地域分科会活動を推奨し強化・育成していく
2.知識研修は更に全領域をカバーすると共に、協会後援イベント、輪講形式
 の勉強会と専門分科会活動の3パターンにて推進する
等の計画中です。

 去る4月30日には大宮ソニックシティーにおいて、ITC協会後援の下、年次 総会を開催しました。経済産業省情報化人材室山本室長よりご講演を 頂き、県総務部、振興公社他、多彩なご来賓と50数名の会員の参加を得て、 大変盛大な会となりましたことを併せてご報告致します。

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3.協会便り 「中小企業IT入門マガジン「COMPASS」春号を希望者に配布!」
                     ITコーディネータ協会 広報担当 松下正夫
                   
●自転車等機械工業振興事業に関する補助金受給決定
 ITコーディネータ協会は、中小企業経営者へのITコーディネータの普及 啓蒙、継続研修への積極的な勧誘を通じての学習機会の提供を目的として、 日本自転車振興会に対して補助金の申請を行っておりましたが、今般、 約800万円の内定を受けました。

●中小企業IT入門マガジン「COMPASS」春号を希望者に配布!
 ITCが多数編集・取材に協力し、「経営革新にITをどう使うか」という テーマで税理士ITCのアドバイスやIT投資促進税制の利用例、公的支援の 内容などが具体的に判りやすく紹介されている季刊誌を発行会社である 株式会社リックテレコムのご好意により希望者に無料で配布します。 着払いの宅急便で発送しますので、送料はご負担ください。ご希望の方は、 セミナー等の配布用途、希望部数(部数に限りがあり最大50部とします)、 送付先住所、氏名、電話などを記入の上、メールでinfo-pr@itc.or.jpまで お申込みください。在庫がなくなり次第受付を終了しますのでご了承 ください。
         http://www.itc.or.jp/index.html
   なお、平成15年度ITSSP事業でご使用される方には、ITSSP事務局から 別途送付して頂くようお願いしておりますので事務局からのご連絡をお待ち ください。

●2003年4月度ITC認定者発表(4月25日)
 2003年4月度、ITC215名、ITC補62名が資格認定され累計でITC2,415名、 ITC補1,079名、合計3,494名となりました。
         http://www.itc.or.jp/itc/ninteisha_happyou.html

●中小企業を対象とした施策に関する情報
 経済産業省のご好意により「平成15年度中小企業のIT化支援施策の ご案内(PDF)」経済産業省中小企業庁経営支援部技術課を協会ホーム ページに掲載いたしましたのでご参照ください。
         http://www.itc.or.jp/press/press_top.html

●ITコーディネータに関する資料をホームページに掲載
 ・「中堅・中小企業経営者のためのITコーディネータ活用ガイドブック」
   平成15年3月 ITSSP発行
 ・「情報サービス企業におけるITコーディネータ育成と活用の途」
  (社)情報サービス産業協会(JISA)会報No.69より抜粋
 ・「ITコーディネータの紹介 2003年5月版」ITC協会
         http://www.itc.or.jp/press/press_top.html

●マルチエントリーポイントガイドラインを改訂
         https://wws.itc.or.jp/point/p_g301.html

●ITコーディネータ協会認定定期刊行物の追加
 標記刊行物に以下の2誌が2003年度認定誌として追加されました。
 ・日経アドバンテージ(日経BP社)
 ・企業診断(同友館)
         http://www.itc.or.jp/trai/approved-magazine.html

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4.会員の広場 「企業IT化への進化を考える」
                          前川 寿住(BS Consulting.co.,ltd.)

 最近IT化による企業の活性化を問われていますが、世の中の多くの情報 システムは業務の支援が中心にできています。なぜ、そのようになったか というと企業側がITベンダーにシステムを要求する方法として、要件定義 の段階でヒアリングした担当者と担当者の部署の一部の人達による意見だけ を聞き入れた結果によるものだと思われます。 ITベンダー側も企業の業務の効率などは積極的に考えて提案されています が、ビジネスに役立つという視点からではないのではないでしょうか。 ビジネスに役立つとは、業務を支援する機能からもう一歩進んだ情報の利用 という意味です。
 例えば、売上一覧表や在庫一覧表というものがあります。売上一覧表を 見て何をするのでしょうか、見た経営者や責任者が不満足を覚えるだけに 止まっていては意味のない情報となります。直接販売に役立つアクション を起こすための情報として内容とともに考え直す必要があるのではないで しょうか。 在庫一覧の場合は、在庫というよりも商品の動向(ニーズやライフ サイクル)を把握し、適正な在庫になるように発注のコントロールができ たり、店舗(営業所)などの移動がタイムリーに適切に自動化されれば日常 の在庫一覧は不要ではないでしょうか。決算時点の棚卸による在庫一覧の 場合は別の用途では必要ですが、ビジネスの日常には不要でしょう。

 このように一部の情報を見ただけでもビジネスに役立つためのものとは 言い難いものです。もちろん多くの企業がITを駆使してかなりの年月が経過 しているなかで、もう少し工夫していくべきではないだろうかとの思いから の発言ではあるが、我々ITCも経営の数値に強くなってしかるべきであり、 ITの活用方法も同様に経営や業務を遂行する人達に喜ばれるコーディネータ となりたいと思います。
 日々様々な企業に指導している小さな力の企業活動支援者としてのITへの 思いを書かせていただきました。

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[編集後記]

「春宵の この一刻を 惜しむべし」 高浜 虚子

 情報サービス企業の栄枯盛衰も流通サービス企業に似て激しい。
 流通サービス業は、三越、高島屋、伊勢丹などの百貨店から、イトー ヨーカ堂、イオン、ダイエーなどの量販店、さらにセブンイレブン、 ローソン、ファミリーマートなどのコンビニエンスストアへとその主役は 交代しています。人材も、販売員、マーチャンダイザー、フィールドカウン セラーへの変化しています。
 情報サービス業の主役も、総合電機メーカーから、通信コンピュータ メーカー、ソリューションサービス業へと、人材もSE(システムエンジニア) からSP(ソリューションパートナ)へ、さらにITCへと変化しつつあると思い ます。 背景には業務の成功の鍵が、規模の経済性から範囲の経済性、さらに ネットワークの経済性へと変遷していることがあり、コストダウンから高度化 と多様化、さらに利便性と快適性と迅速性のあるワンストップサービスの できる人材が求められていることにあると考えられます。
 季節に合わせた衣服を着るように、時代に合わせた人材育成が急務です。

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                                           (西脇 隆)
 
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                         発行:ITコーディネータ協会 広報担当

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