ITCAメールマガジン「創新」バックナンバー
ITCAメールマガジン「創新」 第44号 2003.10.10

   目次
1.巻頭言「エンタープライズ・アーキテクチャとITコーディネータ」
2.ITC-METROの動向
3.協会便り「中小企業IT投資促進フェア2003」ITC協会ブース小セミナー実施
4.読者の広場「AUTO-TECH2003出席メモ」
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1.巻頭言「エンタープライズ・アーキテクチャとITコーディネータ」
                         ITコーディネータ協会監事 川野佳範
                      (三優監査法人 代表社員・公認会計士)

 第42号(2003.9.12)におけるNTTコミュニケーションズ株式会社常務取締役 網谷駿介氏の「企業経営革新のためのIT化投資とITコーディネータ」は、 今日注目されているエンタープライズ・アーキテクチャ(EA;Enterprise Architecture)手法の思考が背景にあると思われます。

 EAは、企業のビジネスや組織体の使命と個々の業務、そしてITとの関連 を明確にして、そのITの果たすべき機能を企業全体の視点からまとめあげ、 全体の構成図として作りあげ、それに基づいてビジネスに直結したITを マネジメントする手法です。

 まず、企業等各組織体における理想形、すなわち企業等がITに求める ものを洗い出し、必要とするITについて経営者をはじめとする管理者が 共通認識をもち、次に具体的に実現する計画を作るという手順で、 ビジネスや組織体の経営に即したITを実現することです。

 そのためには、経営層の目標についてITを活用する現場部門に的確に 伝えることが必要です。しかし、しばしば経営者の使う言葉と、IT管理部門 やIT利用部門の使う言葉が異なり経営者の意図が的確に伝わらないという 現象がおきます。

 そのような状況においてはビジネス価値を創造するための情報システム の構築はできません。経営者自身がビジネス上の課題を解決するために 必要なIT技術やその規格等の細部まで把握できれば良いわけですが、 多くの場合難しいと思われます。

 経営者は経営全体の戦略の中で大局的視点からITの基本的な方針が 決定できれば十分であると思われます。細部についてはCIO(情報統括 役員)などが確実に把握していれば良いわけです。

 しかしながら、多くの中小企業にはCIOはいないのが現実です。したがって、 その穴埋めをITコーディネータがする必要があろうと考えます。

 企業経営とITとが不可分な環境に至った今日、ITコーディネータの 社会的使命は重くなっていると思います。
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2.ITC-METROの動向
            小形 茂(事務局長・日経リサーチ 企画担当営業部長)

 「ITC-METRO」は都内のITC専門知識研修機関のインストラクター、研修 修了者を中心に組織するITCA届出組織です。

 METROの特徴は、400名を越えるメンバーがそれぞれの職域、前提 資格、専門分野、ケース研修等の繋がりを生かして独自の勉強会、 研究会を内部で立、ビジネスに展開していることにあります。

 METROのコンセプトは「来る者は拒まず、去る者は追わず」。コンソー シアム活動ではMETROの枠組みの中で、数多くのアメーバ−組織が立ち 上がり、活動しています。

 草創には、インストラクターグループで立ち上げた「ITC-PRO-GIがITCA 認定専門知識教材「ビジュアル解説ITコーディネータテキスト」を編集、 ナレッジマネジメントをコアとした国内初のMBAスクールを企画、実務面では 中堅企業の情報化支援をコンソーシアム組織で実践するなどITCA届出組織 の中では異色な存在となっています。

 普段は、小グループでの活動が中心となっていますが、ITSSP事業の事例 発表会や経営者研修会では、個々の活動の成果を遺憾なく発揮していただ いています。また、METROには「年会費」も「総会」がありません。年3回開催 する「活動報告会」が総会に変わります。

 前回の報告会では、ITベンダーグループが行った社団法人の戦略策定の 発表や、自治体内部からのIT化に向けての状況報告、また公的機関での 活動紹介等、バライティーに富んだ発表会となりました。11月下旬開催予定 の報告会兼忘年会ではどのような報告が出てくるか楽しみです。

 「プロフェッショナルの連携・モームス型コンソーシアムの形成を目指して」 これが、ITC-METROの活動方針です。グループ内のナレッジの共有により、 高い専門性とコーディネート能力、緩やかな連携による新たなヒューマンネット ワークをベースに、ITCプロセス実践過程で評価される成果達成を目指して います。

 10月29日(水)から東京ビッグサイトで開幕する「中小企業IT投資促進 フェアー」ITコーディネータ協会ブースでもMETROメンバーが微力ながら お手伝いさせていただきます。是非ご来場ください。
       http://www.itssp.gr.jp/event_joho/info/ITfair/ITfair.htm
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3.協会便り「中小企業IT投資促進フェア2003」ITC協会ブースで小セミナー開催!
                  ITコーディネータ協会 広報担当 松下 正夫

●「中小企業IT投資促進フェア2003」ITC協会ブースで小セミナー開催!
 今秋、全国4都市で「中小企業ビジネスフェア」等の大規模イベントと併催し、 ITSSP事務局主催の「中小企業IT投資促進フェア2003」が開催されます。 ITC協会は各地域のITC届出組織等と連携し全4会場に出展し、ブース内で ITC講師による小セミナーや経営とITに関する無料相談会を実施します。参加 無料ですので、ITCの皆様には活動のPR、顧客獲得の絶好の機会として是非 積極的に参加し、多くの経営者との出会いの場を活用していただきたいと 思います。
・東京:10月29(水)〜31(金)3日間、東京ビッグサイト
・九州:11月12(水)〜14(金)3日間、西日本総合展示場(北九州市小倉)
・名古屋:11月19(水)〜20(木)2日間、名古屋市中小企業振興会館
・大阪:12月9(火)〜10(水)2日間、マイドーム大阪
              http://www.itc.or.jp/index.html

●2003年度第3期ケース研修募集(10月21日(火)まで)
 プロ特別認定制度のラストチャンスです。現在、毎日10名以上申込みが あります。教室の手配上、各クラス定員になり次第締め切りますのでお早め にお申込ください。
             http://www.itc.or.jp/case/info.html

●「ITC活動に寄与する図書の書評」等の審査員募集
          http://www.itc.or.jp/trai/sinsain_bosyu.html

●ITコーディネータPRパンフレット
 ITC協会作成・配布中のパンフレットです。
・ITコーディネータ活用ガイド(経営者向け)
         http://www.itc.or.jp/w_cso/itc_app_guide.html
・ITコーディネータ受験者向けパンフレット
      http://www.itc.or.jp/w_itcguide/nitouryu_no_susume.html
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4.読者の広場「AUTO-TECH2003出席メモ」
                      林 貞夫(株式会社ビギン 代表取締役)

AUTO-TECH2003(米国自動車工業会ITカンファレンス2003)はAIAG (Automotive Industry Action Group、米国自動車工業会)が毎年デトロイトで 開催する3日間の ITカンファレンスです。業務標準(特にIT標準)の発表の 場です。EC&EDI、Collaborative Engineering、Auto IDなどのトラック別に セッションがあります。

 最も参加者の多いのはOEM-TRACKで、ビッグスリーをはじめトヨタ、ホンダ もスピーカーとして登場します。各社のサプライヤーを含めたIT戦略が提示 されます。OEMとTier1(OEMと直接取引きするサプライヤー/部品メーカー) 間の取引連携が情報技術を中心に提示されます。EDIがベースですが、サプ ライヤーにはA2Aへの対応を要求しています。

 米国圏の2次、3次、4次の部品供給者(Tier2、Tier3、Tier4)、ITベンダーも 参加しています。自社へのインパクトを知るためです。日系部品メーカーの 参加が少ないのが大変寂しい。私がこれまで関係して来た日本の企業は Tier3、Tier2ないしはTier1.5ですが、各社ともTierをあげるのが基本戦略です。 海外に進出する際には、できればOEMと直接取引することを狙っています。 部品のモジュール化、ユニット化により、異質な部品を組み立ててOEMないし は上位Tierへ納入するのが傾向です。対応力のない企業はTier downする ことになります。また、A2A対応力がなければ、結局、Tier downです。

 オークション、引合いに参画するには、即座に価格と可能な納期が答えら れなければなりません。予定原価をはじくには、基幹業務システムが完備 されていることが前提です。

 ITガバナンスの低さで、Tier downするのを防ぎ支えるのも、ITコーディネ ータの仕事と考えます。IT活用の最新動向を察知するのが重要です。
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[編集後記]
「月みれば千々にものこそかなしけれ 我が身ひとつの秋にあらねど」
 大江千里(古今集)
 21世紀最初の衆議院総選挙が今日から始まります。
 マニフェスト(政権公約)とEA(業務・システム最適化計画、Enterprise Architecture)が日本でもブームとなりつつあります。
 日本の国民負担率は3分の1を超え、行政サービス改革のTQC(タイミング ・スピード、と品質とコスト)が生活の質に大きな影響を与える時代です。 与党と野党、コミュニティや職場や家庭でのマニフェスト議論が、もっと活発 になれば良いと思います。
 米国ではEAを活用して、マニフェストを上位レベル(政策・業務体系  Business Architecture)におき、行政サービス改革が進みつつあると聞き ます。日本でも、去年にITC協会の「ITCカンファレンス2002」でEAを紹介して 以来、EAが少しずつ活用されてきています。情報サービス企業でもEA対応 の組織化も始まったようです。
 巻頭言のご説明にもあるように企業経営とともに、政府組織経営にもITC の活躍の場が広がりつつあります。

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                        編集担当:西脇 隆 info-pr@itc.or.jp
                       発行:ITコーディネータ協会 広報担当
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