ITコーディネータのための「階層化アプローチによる業務システム設計」を公開しました
~PGLの経営戦略・IT戦略策定フェーズ実践の勘どころ~
2011年8月31日
ITコーディネータ協会 IT経営研究所
ITコーディネータのための「階層化アプローチによる業務システム設計」はこちらのページからダウンロードできます。
ITコーディネータ協会では、ITコーディネータ(ITC)活動の実践の場で役立つガイドブックやツールをこれまでも開発し、皆様に活用いただいてきました。
ガイドブックとしては、2009年には「ITC実務ガイド」を、2010年には「自治体ビジネス入門」を発刊しています。
今回は、ITCプロセスガイドライン(PGL)に書かれていることを実際の業務に落とす際問題となる「業務システム設計」について、新たな階層化アプローチという手法を提示することで、ITCの皆様の業務に活かしていただく目的で開発を行いました。
皆様の業務にお使いいただきますようお願いいたします。また、より良い実践書となるよう、皆さまからのご意見をお待ちしております。
本書の趣旨と活用の考え方
ここで、本書の趣旨と活用の考え方をご案内します。
ITCの現場からは、“ITコーディネータ プロセスガイドライン(PGL)の活用の具体的なアプローチ方法がほしい”といった声が出ていた。本書は、このようなニーズに応え、IT経営の確立を支援するための具体的な実践ガイドブックを目的として作成した。 IT経営には経営活動全体を捉えた経営システムとしてのアプローチが必要になる。経営システムは経営目標を達成する経営を行う仕組みの全体と捉えることができるが、この中核にあるのが業務システムである。業務システムとは、「業務プロセス」を中心として、「人・組織」、「ITシステム」の三要素がお互いに有機的で密接な関係を持つ仕組みである。本書ではこのことを、「人・組織」、「業務プロセス」、「ITシステム」の三位一体の仕組みと捉えている。 PGLにあるIT経営実現プロセスに焦点を当てた業務プロセスの設計アプローチとして、業務システムの段階的、階層的モデリング手法を提供する。 (「はじめに」より引用) |
以下、主要な概念をご理解いただくために、本書から抽出し解説を行います。
1.企業経営における三位一体の位置づけ
経営システムは、企業外環境と密接な関係を持つ経営目標を達成する経営を行う仕組みの全体をいう。業務システムは、経営システムの中核に位置づけられ、「人・組織」、「業務プロセス」、「ITシステム」が有機的で密接な関係をもつ三位一体の仕組みと捉えた。
本書では、「業務プロセス」を中核とし、「人・組織」、「ITシステム」を関連づけて業務システムを設計・構築することで、経営システムに寄与し、経営目的を達成できる構造で捉えている。
2.業務プロセス階層レベルの考え方
業務改革の実現には業務プロセスの視点が重要である。しかし、従来はこの業務プロセス設計の手法が確立していないため、業務プロセス設計者の経験や考えに基づいて業務プロセス定義が行われてきた。特に、業務プロセスの大きさを記述する(以下、業務粒度という)についての標準が無いために、本来は全体像を検討すべきところで無駄に詳細な定義が行われたり、詳細な定義が必要なところで必要な検討が行われなかったりすることがあった。
PGLではIT経営実現プロセスを「経営戦略フェーズ」、「IT戦略策定フェーズ」、「IT資源調達フェーズ」、「IT導入フェーズ」、「ITサービス活用フェーズ」の5つのフェーズで説明しているが、各フェーズで検討すべき業務プロセスの塊としての業務粒度は同じではない。経営者が戦略を判断する業務粒度と業務担当者が語る業務粒度で違いは自明と思われる。
業務粒度は業務プロセスを階層化することによって確定していくことが可能になる。そのために、業務プロセス階層レベル(以下、「階層レベル」という)の定義を例示し、その考え方を解説する。
3.IT経営実現プロセス全体図の概説
本項では、図表Ⅱ-3-1での三位一体の改革プロセスに焦点を当てて各プロセスの概要と3つの視点の関係、PGLを踏まえた全体観を概説する。
三位一体のアプローチの概説内容は、図表Ⅱ-3-1の
①~④に対応した以下の4点に分類して解説する。
- 経営戦略フェーズのアクティビティ群
- 業務プロセスの視点に関するアクティビティ群
- ITシステムの視点に関するアクティビティ群
- 人・組織の視点に関するアクティビティ群
各プロセスの機能詳細はⅢ章以降の節で三位一体の3つの視点から詳述することになる。
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