2018年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(山口)

 

2019/1/29
ITコーディネータ協会
コミュニティデザイン部 太田 愛仁


2018年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(山口)

 

講演内容
主催者挨拶 ITコーディネータやまぐち協同組合代表理事 三宅 功一郎 氏
来賓挨拶 中国経済産業局 参事官 大倉 司郎 様
基調講演 「山口県におけるIoTの推進」
山口県IoT推進ラボ 事務局 田原 直幸 様
基調講演 「ITを経営の力とすること」
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 会長 澁谷 裕以
事例 「IT・IoTを活用した事業革新
~自動車部品の再資源化を確立させ、グローバルな循環型社会に貢献~」
株式会社シーパーツ 専務取締役 吉川 日男 様
事例 「IT・IoTの導入による物流の見える化と効率化~物流IoTの取組事例~」
ユーピーアール株式会社 常務取締役 中村 康久 様
事例 「花博で魅せたIoT!モザイクアート」
山口IoTネットワーク リーダー 上原 賢祐 様
事例 「ITCYの取組と提言」
ITコーディネータやまぐち協同組合代表 理事 前田 信太郎 氏 

 

・参加人数 40名

 

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来賓挨拶 中国経済産業局 参事官 大倉 司郎 様

 

(講演概要)
経営者の多くがDXの必要性について理解はしているが、既存システムが事業部門毎に構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、それぞれのカスタマイズにより複雑化しており、これらをどのように解決するかが大きな課題となっている。克服できない場合、DXが実現できないばかりか、2025年以降、年12兆円の経済損失が生じる可能性があり、これを2025年の崖と呼んでいる。
経産省ではDXを加速していくために、新たなデジタル技術の活用とレガシーシステム刷新に関するガイドライン「DX推進システムガイドライン」を策定したり、また特に中小企業を支援するITベンダーをスマートSMEサポーターとして認定する制度を創設したり、これらを促進するための補正予算などを申請するなど取り組んでいる。山口は維新の県であり、是非これらを活用して山口からDX、次世代ビジネスの新たな風を巻き起こしていただきたい。

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基調講演 「山口県におけるIoTの推進」
山口県IoT推進ラボ 事務局 田原 直幸 様

 

(講演概要)
山口県は化学など第2次産業の割合が高いが、中小企業では製造業において一人当たりの付加価値は低く、第3次産業は全国平均以下である。IoT推進ラボは県内中小企業の取組を支援し、IoTの利活用による生産性向上を目指している。
特にh30年度はやまぐち産業振興財団に「生産性向上・人材創造拠点」を設け、IoTビジネスプランナーを配置して事業計画立案の支援を始めた。また次世代型入浴介助支援機器などロボット技術を活用した開発を産学公連携で実施したり、IoT関連セミナーの開催、受講料助成など人材育成にも力を入れている。
活力みなぎる山口県の実現を目指し、やまぐち維新プランと称し数々のプロジェクトに取り組んでおり、県内の様々な産業分野、政策課題に対応したIoTの導入利活用など具体的な事業展開を図りたい。

 

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事例 「IT・IoTを活用した事業革新」
~自動車部品の再資源化を確立させ、グローバルな循環型社会に貢献~
株式会社シーパーツ 専務取締役 吉川 日男 様

 

(講演概要)
 自動車部品のリサイクル販売を生業としている。自動車部品リサイクルはアジアを中心に販売マーケットは幾らでもあり、仕入れが勝負の商売である。TAPRASという自動車リサイクル工場管理ソフトを開発して、仕入れから販売までの工程を見える化し、同業者に好評である。新人はフローどおり真面目にやるが、慣れていないので遅い。ベテランは早いがプロセスを跳ばすので正しく入力されない。TAPRASはそれぞれの弱点をカバーできる。一式600万以上するものであるが、営業部長1人に相当する効果があり、その人件費を考えれば妥当な価格感と考えている。
これを更に発展させてGAPRASというオークションサイトも開発し、各工場とバイヤーを結び効率的な売買を行うモールを構築した。またロボチェンジャーというシステムを開発し、課題とされてきたタイヤとホイールの脱着、およびタイヤの溝やひび割れを数値化して品質管理を格段に向上させた。このようにIT・IoTを駆使して業務プロセスを進化させている。
 
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事例 「IT・IoTの導入による物流の見える化と効率化」
~物流IoTの取組事例~
ユーピーアール株式会社 常務取締役 中村 康久 様

 

(講演概要)
物流に用いるパレットのレンタル業であり業界2位。パレットは日本全国で2億枚ともいわれており、UPRでも400万枚を扱っている。しかしながら年間数十万枚が行方不明となっており、このトラッキングのためのRFIDおよびリーダの開発など、物流の見える化に取り組んだ。
更に機能を進化させて、パレットの回収効率やトラック輸送の効率化を高めるだけでなく、各センサーの追加により温度管理、振動管理、照度管理、また飛行機輸送中は電波発信を止める高度管理など、物流サービス全体の高品質化を実現している。
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事例 「花博で魅せたIoT!モザイクアート」
山口IoTネットワーク リーダー 上原 賢祐 様

 

(講演概要)
山口大学の大学院でブレインマシンインターフェースの研究をしている。山口IoTネットワークは、山口県をIoT産業で活性化したいと考えている有志の集まりで、2018年やまぐち花博に何か出展したいとモザイクアートを企画した。今回のモザイクアートは、花博で一般参加者からtwitterで写真投稿を募り、投稿画像を組み合わせて一枚の画像に仕立てるというもの。開発は自身が所属する大学サークルのエンジニアリング交流サロンに依頼して、ラズパイにて制作。企画から本番まで8カ月のプロジェクトとなった。
反省としては学生の甘さかもしれないが、計画書などドキュメントを作らず始めたため、当初作業やコミュニケーションの効率が低かったこと、SNSの各種APIの承認を得るのに時間を要したことなど、色々あるが、ともあれ、このようなプロジェクトは貴重な経験であった。今後も低価格で楽しいIoTを日常に取り入れることを考え、学術研究にとどまらず、産業への応用を考えていきたい。


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事例 「ITCYの取組と提言」
ITコーディネータやまぐち協同組合代表 理事 前田 信太郎 氏 

 

(講演概要)
ITCYは制度開始の翌年から発足し長く活動しており、企業や自治体へのIT経営支援を実施している。近年では、先のシーパーツさんの「攻めのIT経営百選」への応募の支援を行い表彰に至った。また個人的には故郷である萩市の活性化に取り組んでおり、美萩工芸の経営改善などを支援し、木箱で売上日本一、攻めのIT経営百選表彰に至っている。目下県へ地域通貨導入の提案を策定中である。
県のIoTへの取組としては農業分野へのセンサー技術ての適用などそれなりにあるものの、他県も同様に頑張っている。DXという巨大な黒船がやってきているがまだその危機に気づいていない。リスクを取らない超安全主義という県民性もあるかもしれない。いま一度毛利侯の「そうせい」精神に立ち戻って、山口県がITでイノベーションを起こすように支援を行い、県の皆さんがWinWinとなるようお手伝いをしていきたい。

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次のIT経営カンファレンスは、1月29日(火)兵庫県にて開催予定です。


 【開催情報】
セミナータイトル IT経営カンファレンス2018 in 山口
~IoT・ITで企業・地域を元気に~
開催日時 2019年1月16日(水)13:00~17:00
会 場 山口グランドホテル
主 催 アイティコーディネータやまぐち協同組合
共 催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会、一般社団法人山口県情報産業協会
後 援 山口県、公益財団法人やまぐち産業振興財団、山口県商工会議所連合会、山口県商工会連合会、山口県中小企業団体中央会



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 本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 コミュニティデザイン部 中村まで
  


 

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