◆グループ会社間の壁を除き新たな企業風土を創出

ITC活用プログラムの導入で社内の組織風土を変える
NECネクサソリューションズ株式会社
代表取締役社長 渕上 岩雄 氏
(機関誌「架け橋」第6号、2009年3月発行より転載、役職は当時)



 NECネクサソリューションズ(株)は、2001年4月にNECグループの情報サービス系子会社5社が統合して発足した会社である。06年6月、社長に就任した渕上岩雄氏は、 「いつもお客様とともに、全てはお客様の満足のために」という理念を掲げた。そして、テクノロジーの領域を武器にシステム構築をしていた従来の業態から、 「ビジネス領域で顧客が必要とするサービスを、顧客視点で提供する業態に変える」ことが統合の目的にかなうと、構造改革に着手する。
 その打ち手のひとつが、顧客規模別組織体制の採用である。 自社の強みは中堅企業のマーケットでこそ最大限に発揮できると考え、 このマーケットをいかに攻略するか、戦略実行のための新しいバイブルが作成された。それは、「仕組みの改革」と「スキル改革」のふたつの要素からなり、 スキル改革では上位マネジメント層のITCスキル確保、ITCスキルの強化と組織的活用、ITCスキルの日常活動への浸透、といったものが柱になっている。

琴線に触れる提案で顧客の評価が向上

 この変革を確実なものにするため、「ITCチャレンジプログラム」、「ITC活用プログラム」、ITC-SIG(Special Interest-Group)」という3つのプログラムも 作成した。 チャレンジプログラムはITC資格取得を支援するプログラム。受験対策や申請手続きのヘルプなど、申請から取得までをフルサポートする。 合格率は直近の実績で82%。全受験者の平均が50%前後だから群を抜いている。
 ちなみに、同社の場合、07年度下期から「ITC増強計画」を実施。会社が本腰を入れて資格取得を支援している。まず、営業幹部から取得を進め、SEなどにも 順次広げていった。現時点で、100名以上が資格を保有している。活用プログラムは、ITC資格取得者が中心となって変革を実現するためのもの。社内のITCが 組織横断的にチームをつくり、顧客に提案するレポートなどを事前にレビュー、経営戦略とIT戦略の整合性がとれているかなどをチェックする。ITCSIGは、 ITC資格所有者による自主的な学習プログラムである。
 こうした取り組みが功を奏し、同社の顧客対応力は着実に向上した。顧客の評判も上々だ。従来は、「琴線に触れる提案がない」「経営レベルの視点に立っていない」 「ビジネスモデルを変えるような提言がほしかった」「構築・導入が済んだら一段落という雰囲気で、効果が上げられたかどうか関心が薄い」といった声を 顧客から聞くこともしばしばだった。
 最近は、「今までと違うね」「課題の再確認ができた」「これなら任せられる。中長期プランを共同作成しよう」といった声が寄せられるようになったという。

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