企業内活用事例

2011.02.04
ITCプロセスによるコンサルがプロフィットを生む
株式会社 オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長 和田 成史 氏
(機関誌「架け橋」第4号、2008年3月発行より転載)
 


 ITC資格取得への取り組みは2003年春から開始しましたが、私の中では、1980年に当社を設立する時からITCのようなスキルを持つ人材を育てていきたいという強い思いがありました。というのも、私自身がかつて企業に対するシステム導入のコンサルティングに携わった経験があり、「IT活用のアドバイスをすることはお客様企業の経営戦略にとって非常に重要で、やりがいのある仕事だ」と肌で感じていたからです。そういう点で、お客様の視点で物事を考えていくスキルやナレッジを社員が身に付けるために、ITC資格は格好の制度でした。
 当社では、まず営業部隊から選抜した14名が先駆けとなって2003年4月のケース研修に参加し、彼らの活躍に刺激を受けた他の社員が資格取得に積極的に取り組むという形で広がってきました。受験は個々の自発性に任せていますが、「入社5年以上・リーダー職以上で、部門責任者が推薦すること」という申請基準を設けており、これまでに約50名が資格を取得しました。当面の目標は100名規模、願いとしては「社員全員がITC資格を取ってほしい」と思っています。
 資格保有者・申請者とも幅広い部門にわたっていますが、人数が多いのは、やはり上流工程のコンサルティング業務に携わる営業系の社員。次にカスタマイズや他社製品との連動などシステムに関するシステムコンサルティング業務を手がけるSEです。一方、製品開発部門でも、コンセプト策定やコンポーネント化などの作業でITCスキルを役立てている社員がいます。
 ベンダーの人間というのは、ややもすると自社のソリューションの中だけでのビジネス、「当社の製品はこうです」といった提案にばかり目が行ってしまいますが、 ITC資格を取得した社員は、ケース研修での気付きによって、それまでの意識を改めることができています。さらに、ITCプロセスという普遍的でしっかりとした理論・手法を身に付けたことで、経験や勘に頼ることなく、お客様のIT活用を成功へと導く方法をさまざまな観点から総合的に判断できるようになりました。
 ITC資格試験の受験料・ケース研修費用に加え、合格後のITC協会公認セミナーへの参加費なども会社側で全額負担してはいますが、社内での定期的な研修や勉強会は今のところ設けていません。ただ、各部門・グループで行われる会議や同期のITC同士で情報共有・交換は行われていますし、当社のパートナー企業にも ITC資格取得者が結構いらっしゃるので、日常的な業務の中で社外の方とITCスキルを研鑽し合えることも多いと思います。

ITCの"知のネットワーク"が広がっていくことにも期待

 時宜に適ったテーマや課題などを研究会で深堀りしていくのは非常に意義がありますし、その内容をカンファレンスで発表すれば多くのITCが情報を共有できますね。社内で部門横断的な研修を行おうとすると、皆に共通する内容を決めるのがなかなか難しいので、むしろ公的な機関が実施してくれるほうが参加しやすいといえるかもしれません。もちろん、そうした場でITC同士が知り合い、ビジネスでの連携につながるきっかけも生まれるでしょう。
 当社はパートナービジネスで業界のさまざまな方々と接する機会が多いですから、単独でも企業を超えたITC同士の連携というのは作りやすいとは思いますが、協会が先導役となってITCの"知のネットワーク"が広がっていくことにも期待しています。
2011.02.04
サービス営業力強化の具体策としてプログラム化
富士ゼロックス株式会社
販売本部 中央支社 産業第四営業部 部長 阪本 雅司氏 (ITコーディネータ)
(機関誌「架け橋」第2号、2007年1月発行より転載、役職は当時)



 富士ゼロックスは複合機を始めとしてドキュメントシステムを主軸とするベンダーとして知られるが、実は現在の最重要テーマに掲げているのが 「サービス営業力強化」。単に優れた製品を提供するというのではなく、顧客企業の抱える課題を的確に掴み、その解決手段・方法の提供に 力を入れようというものだ。
 こうした戦略を推進するには、人材の育成が不可欠。その具体策として、2004年下期から「ITコーディネータ(ITC)推進プログラム」を全社的に展開している。 同社には、「X’s-MAP(クロスマップ)研修」という独自に開発した営業担当者向けの必修カリキュラムがあるが、ITC推進プログラムは、さらなる ステップアップとしてITC資格取得を社員が任意で受けられる仕組みとなっている。
 同社がITCに注目するきっかけを作ったのは、社内のITC第1号である現・販売本部中央支社産業第四営業部の阪本雅司部長だった。SE職を約13年ほど経験した後、 マーケティング部門を経て営業職に就いた同氏は、「それまでの経験を体系化して営業活動に生かせないものか」と思っていた。そこで偶然にITC制度があることを 知り、独学で資格取得に取り組んだ。さらには、自ら習得したITCスキルを伝授するための「ITC実践道場」なる独自の教育活動や、ITCプロセスで整理した 顧客支援事例集の作成など、ITCスキルの活用メリットを社内に広めることにも尽力した。
 「お客様の経営・業務課題を知るところから始めるという点は、当社のX’s-MAP研修の狙いも同様なのですが、ITCは共通のスキル。お客様に対して私どものサービス 営業力を証明するためにも、資格取得を社内で推進すべきだと考えたのです」と、阪本部長は当時を振り返ってこう話す。
 ITC推進プログラムは、スタートから1年足らずの2005年3月時点で約350名の資格取得者を輩出するほど急速に浸透した。また、同様の取り組みが全国各地の販社にも広がっている。
 阪本部長によれば、営業の実務現場にも明らかな変化が起こっている。「ITC資格を取得した社員には、『ITCなのだから』という自覚から、 お客様の課題を多角的な視点で分析しよう、新しい知識を吸収しようといった意欲的な姿勢が見られます。まだ資格を取得していない社員と比べると、 その差は歴然としています」。ただ、実際の商談における顧客とのやり取りにおいては、ITCプロセスをそのまま提案ツールとして適用できるケースはまだ少ない。
 地域販社はともかく、富士ゼロックス本体では比較的規模の大きな企業を主要ターゲットとしているからだ。しかしそれでも、社内においてITCプロセスが共通 スキルとして広がりつつあることで、顧客提案などの打ち合わせが以前よりもスムーズに行えるようになったという。また阪本部長は、「サービス営業力強化を進める うえでも、ITC資格という1つの基準が設定できたことで、マネジメントがやりやすくなりました」と、ITC推進プログラム導入の副次効果も挙げている。
2011.02.04
営業担当者を中堅・中小企業の「CIO役」に
日本ユニシス株式会社
執行役員 ゼネラルビジネス事業部長 原田陽一氏 (ITコーディネータ)
(機関誌「架け橋」第2号、2007年1月発行より転載、役職は当時、現在は常務執行役員



 中堅中小企業マーケットを対象に業種横断型の営業を展開する日本ユニシス・ゼネラルビジネス事業部は2004年10月、「ITコーディネータ(ITC)挑戦を通じ、 顧客のCIOになろう」という"ITC宣言"を発表した。
 この文言の後半部分は、実は以前から目標として掲げられていた。ゼネラルビジネス事業部長である原田陽一執行役員は、「当社の経営理念である『顧客第一主義』 を推進するうえで、当事業部がどういう責務を果たすべきかを考え、IT関連の人材が不足しがちな中堅中小企業のお客様に対し、私どもの営業マンが CIOの代わりとなりご支援していこうと決めました」と、背景を説明する。
 とはいえ、個々の部員にしてみれば、「CIOの代わりになれ」と言われても、具体的にどうすればいいのかが分からない。この目標を実践するには、 何らかのスキル基準が求められていた。それに合致したのがITC資格である。
 「経営コンサルティング・業務分析から始まってIT戦略策定、資源調達、システム導入・活用までをトータルにマネジメントするITCの活動領域は私どもの考えと 一致しました」と話す原田執行役員は、率先してITC資格取得に取り組み、部員の意識向上を後押しした。具体的な取り組みは、2005年上期のITC補受験からスタートし、 これまでにスタッフの半数ほどとなる約60名が資格を取得。部内では受験本番に備えた模擬試験を実施したり、ケース研修費用に関して人材育成の奨学金制度を 適用するなどのサポートを行っている。

専任部隊の業務効率化にも貢献

 営業マンがITCスキルを習得する効果について原田執行役員は次のように話す。「従来からの営業活動に加えてコンサルティングやSEの業務もある程度カバーで きるので、お客様に対してよりスピーディで的確なご提案が可能になります。ITC営業が"ITのゼネラリスト"となることで、コンサルティング、SEのスペシャリスト (専任者)達も業務を効率的に進められるようになります」。
 この変化は、資格取得者へのアンケート調査にも表れている。「お客様の社長と1人で話せるようになった」「SE以上にお客様から頼りにされるようになった」 など対顧客の面に加え、「お客様の要求をSEに多様な角度から説明できるようになった」「販社や代理店からアドバイスを求められるようになった」という声も あるように、社内やパートナー企業との関係においても効果が出ている。
 さらには、実際のビジネスでの成果にもつながり始めた。ITC営業で経営改革のコンサルティングを実践し、受注獲得に成功した例もあるという。 「しかし資格の取得はあくまで手段。お客様のCIOになるという目標を確かな実績として示せるようになりたいと思っています」と、原田執行役員は意気込みを 語っている。
2011.02.04
ITCを中心に展開するフィールド・イノベーションで難題を解決
株式会社 富士通北陸システムズ
経営執行役 林 良隆 氏 (ITコーディネータ)
(機関誌「架け橋」第6号、2009年3月発行より転載、役職は当時)



 (株)富士通北陸システムズは、08年に創立25周年を迎えた富士通グループの情報会社。技術者集団を標榜し、『日経ソリューションビジネス』誌の07年度 ソリューションプロバイダ業績ランキングで技術者比率1位、経営効率1位を獲得している。
 同社は、人材育成プログラムのなかでITC研修・資格取得をSE幹部社員の必須資格に位置づけている。それは、経営の視点で考え、提案する力を幹部自らが率先して 養うことが大切だ、と考えているからである。
 現時点で、同社のITCは約45人。そのうちSE幹部社員は30人で、SE幹部の取得率は7割を超えている。「私どもは、ソリューションプロバイダとして、お客様の 価値創造に資する的確な仕組みづくりを支援し、永続的にお客様のビジネス展開に貢献していくことが、自分たちに与えられた役割、使命だと考えています。 この使命を果たすためには、真のプロフェッショナルとして、人間的にも技術的にもお客様に認められる人材である必要があります。そうした人材に一歩でも 近づくためにもITC資格は重要なのです」
 自らもITC資格の持ち主である同社の林良隆経営執行役は、ITCを重視する理由をこう説明する。富士通グループは、フィールド・イノベーションと称する独自の 概念を打ち出している。顧客や自分たちの改革の対象となる領域をフィールドと位置づけ、人、プロセス、ITの現状を可視化し、全体最適化、 継続的な改善につなげるアプローチ。これが、フィールド・イノベーションである。
 このフィールド・イノベーションを展開する際、同社はITCをファシリテーターとして活用している。関係するメンバーの意見を募ったり助言をしたりしながら 課題を抽出し、問題解決に導くのである。経営的な見地から公平に物事を見ることができるITCならではの目が、ここでも重視されている。
 「ITCが中心となってフィールド・イノベーションを行い、問題が解決した例はかなりの数にのぼります。当社にとっては、社内向けにもお客様向けにも大事な人材。 それがITCなのです」(林執行役)
2011.02.04
ITC活用プログラムの導入で社内の組織風土を変える
NECネクサソリューションズ株式会社
代表取締役社長 渕上 岩雄 氏
(機関誌「架け橋」第6号、2009年3月発行より転載、役職は当時)



 NECネクサソリューションズ(株)は、2001年4月にNECグループの情報サービス系子会社5社が統合して発足した会社である。06年6月、社長に就任した渕上岩雄氏は、 「いつもお客様とともに、全てはお客様の満足のために」という理念を掲げた。そして、テクノロジーの領域を武器にシステム構築をしていた従来の業態から、 「ビジネス領域で顧客が必要とするサービスを、顧客視点で提供する業態に変える」ことが統合の目的にかなうと、構造改革に着手する。
 その打ち手のひとつが、顧客規模別組織体制の採用である。 自社の強みは中堅企業のマーケットでこそ最大限に発揮できると考え、 このマーケットをいかに攻略するか、戦略実行のための新しいバイブルが作成された。それは、「仕組みの改革」と「スキル改革」のふたつの要素からなり、 スキル改革では上位マネジメント層のITCスキル確保、ITCスキルの強化と組織的活用、ITCスキルの日常活動への浸透、といったものが柱になっている。

琴線に触れる提案で顧客の評価が向上

 この変革を確実なものにするため、「ITCチャレンジプログラム」、「ITC活用プログラム」、ITC-SIG(Special Interest-Group)」という3つのプログラムも 作成した。 チャレンジプログラムはITC資格取得を支援するプログラム。受験対策や申請手続きのヘルプなど、申請から取得までをフルサポートする。 合格率は直近の実績で82%。全受験者の平均が50%前後だから群を抜いている。
 ちなみに、同社の場合、07年度下期から「ITC増強計画」を実施。会社が本腰を入れて資格取得を支援している。まず、営業幹部から取得を進め、SEなどにも 順次広げていった。現時点で、100名以上が資格を保有している。活用プログラムは、ITC資格取得者が中心となって変革を実現するためのもの。社内のITCが 組織横断的にチームをつくり、顧客に提案するレポートなどを事前にレビュー、経営戦略とIT戦略の整合性がとれているかなどをチェックする。ITCSIGは、 ITC資格所有者による自主的な学習プログラムである。
 こうした取り組みが功を奏し、同社の顧客対応力は着実に向上した。顧客の評判も上々だ。従来は、「琴線に触れる提案がない」「経営レベルの視点に立っていない」 「ビジネスモデルを変えるような提言がほしかった」「構築・導入が済んだら一段落という雰囲気で、効果が上げられたかどうか関心が薄い」といった声を 顧客から聞くこともしばしばだった。
 最近は、「今までと違うね」「課題の再確認ができた」「これなら任せられる。中長期プランを共同作成しよう」といった声が寄せられるようになったという。
2011.02.04
ITベンダーからビジネスパートナーへ
共立コンピューターサービス株式会社
常務取締役 野村 龍一郎 氏 (ITコーディネータ)
(機関誌「架け橋」第6号、2009年3月発行より転載、役職は当時)



 共立コンピューターサービス(株)は、大垣共立銀行の情報子会社。岐阜県を中心に100ほどある同行の営業店から顧客の紹介を受ける形で事業を展開している。 顧客は業種も業態もさまざま、規模もまちまちである。したがって、どんな要望が入ってくるかわからない。このため、いかなるシステム需要にも応えられるよう、 常日頃からスキルを磨き、準備しておく必要がある。
 同社が、これからは上流から下流までの一貫した支援態勢を整える必要があると考え、「ITベンダーからビジネスパートナーへ」という事業ドメインの転換に 動いたのは、02年4月。具体的には、コンサル事業に進出し、事業エリアの拡大を図ろうとした。
 「その1年前にITC制度が誕生しており、私どもの社員の1人が第1期のITCのインストラクターに採用されました。そんなことにも力を得て、コンサル事業に進出した のです」自身もITCである野村龍一郎常務はこう話す。「それまでは、お客様に仕様を切ってもらい、その仕様に基づいたシテムを構築し、納入していました。 しかし、お客さまの仕事の中身をきちんと理解していなかったり経営戦略との齟齬があったりで、お客様から"システムのプロのくせに何も分からんのか" とお叱りを受けることもありました。工程数をオーバーすることもしばしばで、開発リスクを軽減しつつバランスのとれた顧客支援をしたいという思いも コンサルに進出した背景にありました」(野村常務)
 こうしてスタートしたコンサル業務。中心スタッフとして業務を支えたのが社内に育ちつつあったITCだった。現在ではITCも13名に増え、幅広くコンサル事業を 展開している。「一件あたりのコンサル受注額は平均すると500~600万円ですが、ほとんどの場合、その後にシステム開発の依頼が舞い込みます。 受注額はコンサルの5〜6倍。すでにコンサルで業務内容やシステムの仕様も細かいところまでわかっていますので、効率よく開発を進められます」(野村常務)

経営者がシステム化の意義を理解し、後押ししてくれた

 実際に、コンサルから入ってシステム構築を受注し、顧客に喜ばれた事例がある。岐阜市に本拠を置くレディスフォーマルウェアの大手企業、ラブリークイーン(株) の案件である。経済産業省が実施した「IT化導入事例発表会」での出合いをきっかけに中期経営計画に照らしたIT化戦略計画を提案、 これを実現するためのコンサルから入っていった。このときの主たる課題が、店頭のIT化。同社は、直営店も含め、全国に800以上の店舗を有している。が、 大半が百貨店や量販店の一角にテナントとして入っている形態であるため、独自のネットワークインフラを自由に導入することは不可能だった。そこで、 携帯電話をモバイル端末として活用した仕組みを考案。Bluetoothを利用したバーコードスキャナと組み合わせるなどして、インフラの問題を解決すると同時に、 投資額の大幅な削減を実現した。その結果、従来はFAXで売上実績を本部に送っていたため集計するのに3~4日かかっていたものが、翌日の朝までに売れ筋や購買層 などのデータも含めた売上情報が揃うようになった。1 ヶ月で約1400時間もの作業時間を削減する効果もあったという。
 「携帯電話には店員さんが販売情報を入力します。当初、その手間を嫌がる店員さんが大半で、一時は導入計画そのものが暗礁に乗り上げかかったのですが、 CIOを務めていた井上常務(社長の息子さん)が全店を回って説得してくれました。経営者がシステム化の意義を理解し、後押ししてくれることの大事さを肌身で 知った案件でもあります」(野村常務)
2011.02.04
ITCとして求められる役割は経営者の日々の業務そのもの
キリンビジネスシステム株式会社
常務取締役 横溝 治行 氏 (ITコーディネータ)
(機関誌「架け橋」第6号、2009年3月発行より転載、役職は当時、現在は代表取締役社長



 キリンビジネスシステムは、07年に親会社のキリンビールが持ち株会社化したことに伴い、グループ内での位置づけ、役割が大きく変わった。 すなわち、グループ唯一の情報システム会社となり、機能分担会社としての位置づけが明確になった。グループ各社の情報システム機能のうち、 開発・運用・ITインフラ構築、管理などの機能はすべて同社に集約され、グループ各社には情報戦略立案、IT予算管理、システム監査などの 一部機能を残すのみとなったのだ。
 キリンビジネスシステムの横溝治行常務によれば、このとき、ホールディングスの加藤壹康社長から、次のような指示を受けたという。 「今までのように、各事業(会社)から言われたことだけをやっているだけではいけない。グループ各社の情報機能を担っているという強い識を持って、 積極的に提言してほしい。システムのプロから見ておかしな点や不要と思われることがあったら、遠慮なく指摘してくれ」。
 一方、キリングループは持ち株会社に移行した07年を起点とする中期経営計画をスタートさせる。07年度に1兆8000億円だったグループ売上高を2015年度 に3兆円にまで引き上げるこの計画は「KV2015」と名付けられ、グループの大きな目標となった。
 こうして、新たな役割を担うことになった同社は、その役割を全うし、「KV2015」の目標を達成するために情報子会社としてどうふるまい、 どうサポートすべきかを考え、必要な"改革"を開始する。グループガバナンス力の強化、IT資産の集中管理、コストセンター化、生産性の向上、 外部パートナーとのコラボレーション強化など、取り組みは多岐にわたるが、そのひとつが、グループの経営理念と同社の経営理念をともに理解し、 自分の行動のなかで常に体現できるようすり合わせること。理念の理解なくしてシステムの設計、構築はできないからだ。

スキルワーカーからナレッジワーカーへの自己変革

 「スキルワーカーからナレッジワーカーへの自己変革を」という人材育成の基本理念も定めた。「正直いって、人材育成に課題が残っていた。それは、 人材育成に関する基本理念が欠けていたため、個々の社員が将来どんな能力を身につければよいのか、目標が描けていなかったからだと気づき、 ナレッジワーカーになろうという明確な目標を指し示したのです」同社の横溝治行常務はこう語る。取り組みの成果は着実にあがってきているという。
 同社の場合、04年度から当時の経営層自らが率先してITC資格に挑戦してきた。横溝常務もその一人である。その後、部長推薦を受けた社員が毎年1~2名受験 してきた結果、資格所有者は現在、7名までに増えた。社内コミュニティを形成して勉強会やチームサイトを利用した情報交換などを行っている。 ITCは、同社がグループ各社に対して果たすべき新しい役割を考えたとき、大きな戦力になると考えられている。すでに、さまざまな改革の場面でITCが議論を リードするなど活躍している。
 「ITCとして求められる役割は、経営者の日々の業務そのものだと痛感しています。今後も積極的に資格取得者を増やし、 当社、ひいてはグループ各社の発展に寄与したいと考えています」(横溝常務)
2011.02.04

 ◆企業統合のための円滑なシステム移行を実現 キリンビジネスシステム株式会社

 ◆コンサルティング提案部門の強化・拡充で顧客獲得 共立コンピューターサービス株式会社

 ◆グループ会社間の壁を除き新たな企業風土を創出 NECネクサソリューションズ株式会社

 ◆顧客のフィールドに立った継続的な提案を実現 株式会社 富士通北陸システムズ

 ◆営業担当が中堅・中小企業のCIOとして活躍 日本ユニシス株式会社

 ◆社員に生まれた自覚で能力向上に歴然とした効果 富士ゼロックス株式会社

 ◆経験や勘に頼らない普遍的な手法を活用 株式会社 オービックビジネスコンサルタント

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