最新活動事例

連載 ITコーディネータ活用記
<実録 京都室町・矢代仁の経営改革>


連載 第4回 中期経営計画をまとめ、改革が始まった
 本コーナーでは、御召し(おめし)の老舗である矢代仁が、ITコーディネータとともに改革を進める様子をレポート。
今回から2回にわたっては、取材内容を元に、経営上の重要課題を解決するための取り組みを紹介していく。

株式会社 矢代仁
所在地 京都府京都市中京区室町通二条南入蛸薬師町272-2
創業 享保5年

事業内容 呉服メーカー問屋
URL http://www.yashironi.co.jp
    矢代一社長(右)と
岡本巧取締役営業部長(左)



 SWOT分析をもとに中期経営計画をまとめた矢代仁のオフィスには、今後の経営方針を記したポスターが貼り出された。この中に3つの「重要な経営課題」が掲げられている。
一.280年の老舗の本業、御召特化による《矢代仁ブランド》の復興
二.従業員の学習と成長による店舗での営業支援強化、コンサルティングの充実
三.在庫管理強化と、マーケットイン指向による売筋商品の品揃え戦略
  そして、これらの課題を解決するための具体的な施策も動き出した。
  例えば、ブランド力向上のために、年2回開催する新作発表会に合わせ、御召製作現場の見学などの勉強会を昨年から実施している。
  また、従業員の学習・成長に関する施策として、業務報告書の作成・提出を実施した。業務上の課題や意見なども記述し、これに上司や幹部がコメントを返すようにしたことで、意識共有・情報共有、コミュニケーションの円滑化が実現できた。
在庫管理の体制見直しで
1割以上のコスト削減
  3番目の課題については、ITの活用を主軸に、解決策の策定・実施が進められている。
  すでに、従来の資産を生かした一品ごとの在庫管理が可能なシステムの運用とともに、昨年から社内の在庫管理・出荷体制を変更し、一定の成果を上げている。
「以前は京都本店と東京店でそれぞれお客様の嗜好に合わせた在庫を持っていましたが、新作商品を中心に京都店で一元管理するようにしました」と、矢代一社長は説明する。これにより、在庫商品の回転率が2倍程度に向上しただけでなく、重複在庫の減少で1割以上のコスト削減につながった。
新システム導入のプレゼンで
ITCの存在価値を改めて実感
  とはいえ現状では、まだ「マーケットイン指向による売筋商品の品揃え」に役立つシステムには至っていない。矢代社長は、「集計データから売れ筋の傾向を分析し、今後の商品計画・販売計画を立てられるようにしたいのです」と話す。
  そこで、この希望を叶える販売管理システム構築のためのRFP(システム提案依頼書)を2006年3月にまとめ、複数ベンダーに提示。その中の3社から提案を受けた。
  そのプレゼンには6名の従業員にも出席してもらい、社内評価を集めた。こうしてベンダー選定を終え、8月からの運用開始に向けたシステム構築が開始された。
  実はベンダー選定時に、岡本取締役は大きな〝驚き?を体験した。3社の見積り金額の上下で数倍の差があったのだ。しかも、RFPに回答するのではなく、自らのシステムの説明に終始するベンダーもあった。「ITの知識に乏しいこともあって、これまで『それがベストなんだろう』と疑うことなく受け入れていました。IT導入の難しさとともに、ITCに相談して本当によかったと改めて実感しました」と、岡本取締役はしみじみと語っている。






(次号に続く)

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