最新活動事例

連載 ITコーディネータ活用記
<実録 京都室町・矢代仁の経営改革>


連載 第6回 導入目的を明確にし、短期間でのシステム安定稼働を実現
 御召(おめし)の老舗である矢代仁が、ITコーディネータ(ITC)とともに改革を進める様子を連載でレポートする。
  今回は、ベンダー選定後の矢代仁のシステム導入の概略と導入後の利活用について、担当ITCの小形茂氏と間宮達二氏に執筆していただいた。

株式会社 矢代仁
所在地 京都府京都市中京区室町通二条南入蛸薬師町272-2
創業 享保5年
事業内容 呉服メーカー問屋
URL http://www.yashironi.co.jp


 マーケットイン志向による売れ筋品揃えの実現へ、矢代仁様では新たな販売管理システムの構築が始まりました。
社内のプロジェクトチームが立ち上がったのは2006年5月。メンバーは、本社各部より1名ずつ参画し、総務課長が情報担当責任者となり編成されました。

目指すはデータの戦略的活用余分なコストは発生させない

 本システムはオフコンによる専用システムから、オープン系のパッケージソフトへ変更し、システムデータを戦略的に活用することが目的です。したがって、構築自体への工数はできるだけ減らし、無用なカスタマイズは行わず、コード体系・マスタデータ体系はパラメータの変更にて対応するようしました。
 一方、ランニングコストにも配慮しました。例えば帳票類の設定では、専用紙に出力するとそのためにムダな経費が発生します。
 そこで複写式の専用紙に印刷していた請求書・納品書などの証憑類はすべて白紙用紙に枠線を含めて出力する方法を選択し、コストを削減しました。
 並行して進めたハードウェアの選択においては、ハードウェアは消耗品であるとして必要最低限の機能を選定し、矢代仁様自らが汗をかいて探された結果、イニシャルコストを抑えることができました。

管理会計データがタイムリーに内部統制強化にも着手

 6月からは、8月の本格稼働に向け、細部の検討に入りました。
 まず、6月の下旬には、バーコードのスタイル決定など行うとともに、会社にとって必須であるが実装されていない機能については、カスタマイズによる対応を行いました。
 そして7月上旬には、システムの準備稼働です。商品の動きの少ない時期を選んだものの、二重稼働させる期間が約1ヶ月間に渡り、現場には負荷がかかりました。しかし、新システムによって棚卸の所要時間が予の半分となり、メリットを皆で実感することができました。当初のシステム導入の目的を達成するために必要と判断した項目に絞り依頼したカスタマイズ部分も完成、第一段階のシステム導入を終えました。
 その他の留意点については、プロジェクトチームがまとめたシステム改善要望に関してシステム対応すべきなのか、社内の業務プロセスを見直すべきなのか、システムに対する習熟度レベルに照らし検討を行いました。こうした積み重ねで本稼働後の経過は順調です。
 10月からは新システムの運用に併せた業務プロセス改革とバランススコアカードの導入をスタートさせました。現在では今まで手作業にて集計していた管理会計資料もExcel上にてシステムと連動し必要な情報がタイムリーに経営幹部に届けられるようになりました。
 さらに、内部統制強化に対応すべく準備を行っていた外注先管理機能追加システムの導入準備を進めています。
(ITC―METRO京都 小形茂、間宮達二)


バランススコアカードとは


「財務的視点」、「顧客の視点」、「内部業務プロセスの視点」、「学習と成長の視点」、という4つの視点から業績評価基準を設定することにより、経営全般のバランスを監視しながら企業革新を推進する経営管理手法。



(次号に続く)

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