業務改革事例

多店舗展開時のコスト削減とサービス強化
沖縄県沖縄市 保険調剤薬局経営 薬正堂
(平成18年度IT経営百選優秀賞受賞)




有限会社 薬正堂
所在地 沖縄県沖縄市知花6丁目25番地12号  
代表取締役社長
宮里敏行 氏
創業 昭和59年7月
従業員 134名 名
事業内容 保険調剤薬局「すこやか薬局」・介護保険事業。ドライブスルー薬局などの新しい試みも行っている
URL http://www.sukoyaka.cc/
     
     
     


地域のかかりつけ薬局を目指し薬剤師のスキルを向上

沖縄県内からIT経営百選優秀賞に選ばれた薬正堂は、「すこやか薬局」の名称で県内19箇所に調剤薬局を展開。
 平成17年度のIT経営応援隊事業である経営者研修会、IT成熟度診断などに参加、ITコーディネータの平良弘氏らの協力も受けつつ、各薬局店舗の在庫を統一管理するシステムを運用中だ。
 すこやか薬局は、「地域のかかりつけ薬局」を目指し、専門意識の高い薬剤師によるていねいな薬事相談、待ち時間を快適に過ごしてもらうための配慮、患者の心を明るくする元気な応対など、様々な面でサービス強化に努めている。
 沖縄県は医薬分業率が70%近くに達しており、全国的にも高いレベルにきている。医療法の改正で、今後、調剤薬局は医療提供機関として位置づけられることになる。業界はドラッグストア系の大型店舗との二極分化が進むと言われている。一方で医療費抑制策を受け、調剤薬局の売上は頭打ちとの予測があり、特色を出せない小売薬局は厳しい時代を迎える。
 この環境変化に対し、宮里敏行社長は、スケールメリットによるコスト削減、そして専門性と質の高いサービスで顧客からの信頼を獲得しようと考えた。  前者を実現するIT活用の一つが、19店舗をネットワークで結んだ在庫管理・自動発注システムである。

キャッシュフロー改善は不要在庫削減から

「一店舗あたり約千種類の医薬品を扱いますが、各店舗でそれぞれ在庫を持つと、かなりの量になります。これを一箇所で統一管理することにしました」
 宮里社長の狙いは各店舗ごとではなく全店の合計値で適正在庫を持ち、発注を集約して会社全体の在庫量を減らすことにある。これはキャッシュフローの改善にもつながる。
 2ヶ月分あった在庫が、今では2週間分程度まで圧縮。今後は、ジェネリック薬品(成分が同じで値段を抑えた医薬品)の普及で取り扱い点数の増加は避けられない。こうした段階になればさらにシステムを導入した効果も出てくることであろう。また、自動発注によってオペレーションコストも下げることができた。

IT経営応援隊を機にITコーディネータからアドバイスも

 本システムは宮里社長の双子の兄が経営するITベンダーと二人三脚で構築した。この企業が沖縄IT経営応援隊の活動に参加し交流を深める中で、平良氏の客観的なアドバイスを受けることになったのだそうだ。
 平良氏は「ご兄弟であるということでITベンダーがCIO的な役割を担っていると考え、ITコーディネータとしては、ベンダー側へのアドバイスも積極的に行いました」という。
 一方、宮里社長は「IT経営応援隊への参加でITを活用した効率化やサービスの充実は避けて通れないと実感しました。ただ、医療分野はIT化が進まないので医療費が高いといわれるくらい、情報化が遅れていますから、そこが課題でもあります」と感想を述べている。  医療分野でのIT利活用推進は同社のもう一つのテーマ「専門性の高い充実したサービス」にも関連してくる。
 その一例として、すこやか薬局では、顧客からの相談を受ける専用の携帯電話を用意し、「移動コールセンター」のように、担当の薬剤師が交代で24時間電話相談に応じている。特に小児科などでは不安感から救急病院に駆け込む例も多く見られるが、薬剤師の的確なサポートがあれば救急医療の混雑も多少は緩和される。薬剤師の仕事は、患者にも病院にも影響を及ぼすのだ。
 今後の展望について、宮里社長は、「医療機関と情報連携できるようなITの使い方が求められるでしょう。医療機関からも推薦される薬局として医療提供施設の役割を果たしていきたい」と語った。


ITコーディネータ紹介

 沖縄県で企業のIT利活用を支援するITコーディネータ。電子自治体及び統合型GISの構築・推進には定評がある。
 IT経営応援隊の活動を通じ、薬正堂のシステム活用を支援。システムはすでに構築・稼働されていたが、並行して経営戦略を整理し、運用面でのアドバイスを行った。「状況に合わせて情報提供を行い、会社の成熟度を一段階上げるお手伝いをしている」とのことだ。折に触れ情報提供を行う交流スタイルによって長期的な関係性が構築できそうだ。

株式会社インフォ・スタッフ
http://www.info-sf.co.jp/

株式会社
インフォ・スタッフ
代表取締役
平良弘 氏


<ITコーディネータを活用していかがでしたか?>
 平良さんの持つ、発想を実際にコーディネートして実現する力に感動を覚えました。システム屋さんではなく経営のことをよくわかっていただき、事業を発展させるためのITの使い方を提案してもらえました。
(宮里社長 談)

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