2016年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(富山)


 


 

2017/3/28
ITコーディネータ協会
事業促進部 中村 路子

 

 

2016年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(富山)

 

 

講演内容
基調講演 『鈴木敏文氏と野中郁次郎に学ぶ経営の要諦』
ジャーナリスト
勝見 明氏氏
事例紹介1 『金融機関による経営支援事例』
富山銀行 営業統括部 ソリューションサポート室 室長 本田 尚孝氏
富山信用金庫 営業推進部 次長 窪田 賢一氏
にいかわ信用金庫 業務部サポート室 次長 小竹 淳一氏

 

 

・参加人数 約75名
2月22日開催の石川県に続き、「IT経営カンファレンス」富山県での開催になります!
当日は時折雪がチラつく寒い日となりましたが、70名を超える参加者があり、皆さま熱心にご講演をメモされる姿も見受けられました。

 

 

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初めに主催の特定非営利活動法人ITコーディネータ富山の吉田誠会長より、開催のお礼とともに、
本日ご講演いただく勝見ジャーナリストは、鈴木・野中両氏のお話を読む際には、必ずお名前を見かける方で個人的にとても興味を持っていたのだが、今回の講演をお願いするにあたり、色々とお話をさせていただいた中で、世の中は不安定であるが物事の本質を捉え、そこに向かって進むことが大事という事に気づいた。
本日のカンファレンスがそのヒントになれば。とのご挨拶がありました。


 

 

基調講演 『鈴木敏文氏と野中郁次郎に学ぶ経営の要諦』
ジャーナリスト
勝見 明氏

 

(講演概要)

・18年に渡り、7&iHD名誉顧問の鈴木敏文氏に100回以上のインタビューをする。鈴木氏自らも「私以上に私の事を知っている人だ」と紹介。

・知識経営の生みの親である野中郁次郎氏には、15年以上に渡りイノベーションの成功事例を90以上取材する。
アジャイルスクラムのモデルは野中氏の論文を参考にジェフ・サザーランドが命名。
・「知識創造理論」とは?ピータ・ドラッカーの未来予想に答えているものが「知識創造理論」であると言われている。
・知識には「暗黙知」と「形式知』があり、相互に変換しながら新しい知を生み出していく。
◎暗黙知・・・いわゆる「経験値」
◎形式知・・・マニュアルなど形式化されたもの
・野中氏の考えである「SECIモデル」では4つの段階に分けられる
共同化・・・暗黙知の共有
表出化・・・暗黙知を形式化する
連結化・・・自分の形式知と組織の形式知を組み合わせて、新たな形式知と作る
内面化・・・一連の実践を通じ、新たな暗黙知を作り出す
◆鈴木氏の経営学
・セブンイレブンはなぜ強い?⇒差は鈴木流「経営心理学」にある
1. 店舗での「仮設・検証」
例)釣り客の多い店舗で天気の良い休日用に昼食を仕入れよう→釣り客の心理で仮設を立てる→合間で手軽に食べられるおにぎりにしよう→天気が良いので傷みにくい梅にしよう→休日だし多めに仕入れよう→POPや声掛けで販売を促そう→売れる
この一連をアルバイトでもやるため、学生での3ヵ月で「経営」を知る
・お客の心理(暗黙知)=如何に仮説を立てるか?
「お客様のために」ではなく、お客様の「立場」で考える
「お客様のために」は売り手の「都合」が入る。お客様の「立場」では、売り手の都合の悪い事も実行しなければならない。
⇒誰もが買い手であり、自分もお客様の「心理」がある。
・仮設作りをSECIモデルで考えると・・・
②で仮設を作る→共同化~出発点は主観の共有。現場で顧客との共管を通して「暗黙知」を取得し、共有する→つまり相手になりきる
「私はこう思う」という主観が加わると、私と顧客の主観が共有化される
表出化~仮設をどのように作るか
顧客との間に相互主観性が沸き上がり、浮かび上がる。「こうありたい」という未来。仮設とは顧客の「暗黙知」を見える化する事。
・もう一つの仮説
「分析的仮設」⇒データ分析して論理的に導く。平均像であり、他社と同じ解しかでない(お客様のために)
「直観的仮設」⇒鈴木氏はこちらに当てはまる。
2. チームMDによる商品開発
共同化 ②表出化 ③連結化(開発)⇒鈴木氏の試食をパスしないと絶対にNG ④内面化(検証して次の仮説に繋げる)
・トップによる商品開発例
a. おにぎり b.弁当・おでん c.セブンプレミアム d.セブンゴールド
3.「絶対価値」を追求する
真の競争相手は競合他社ではなく、絶えず変化するお客様ニーズである。
「満足」のレベルが、次は「当たり前」→「マンネリ」→「飽きる」になる
同じレベルにいる限り、お客様は離れていく
「発売」は「リニューアルの始まり」である
・「知識創造」が追及するのも「絶対価値」
自分たちは何のために存在しているのか?⇒イノベーション戦略
4.「仮設・検証」の組織化
セブンイレブンの強みは「仮設・検証」のサイクルを組織に埋め込み「仕組化」した
・どんな時にトップダウン?⇒自ら仮説を立てた時は、反対されても実行を求める。「みんなが反対する時は大抵成功し、みんなが賛成する時は大抵失敗する」
5.概念を実現する
6.実践知を組織化する
7.「場づくり」を重視する
ダイレクトコミュニケーションの重視・フェイスtoフェイス
8.「マージマルマン」を重視
最前線の人材としてOFCを配置→全員現場経験がある人。これは、アメリカ海兵隊と同様のシステム。
9.「知的機動戦」に優れる
意思決定が速く、伝わるのも早い。
・知識創造の原点は暗黙知にある。仮設/検証の埋め込みの仕組化が有効。→トップだけでは強さを発揮できない。
・リーダーシップの本質「フロネシス」
1.よい目的を作る。2.本質を直感する。3.場をタイムリーに作る。4.本質を概念化し、物語として伝える。5.概念を実現する。6.実績知を組織化する。
・知識創造のために何をすればいいのか?
共体験を大切に/対話の場/身体性の重要視/常にコンセプトを問う/部門横断的なプロジェクトチーム/手本となるリーダーとの徒弟
→社員が心掛けること
「何」をやりたいのか?という思いを大切に/なぜなのか?を考え本質を知る/常にコンセプトを考える/近所づきあいより遠距離恋愛/手本となるリーダーに学ぶ
→目指すべき人物像
「知的体育会系」
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事例発表 『金融機関による経営支援事例』
富山銀行 営業統括部 ソリューションサポート室 室長 本田 尚孝氏
富山信用金庫 営業推進部 次長 窪田 賢一氏
にいかわ信用金庫 業務部サポート室 次長 小竹 淳一氏

 

(講演概要)

◆富山銀行 営業統括部 ソリューションサポート室 室長 本田 尚孝氏
・「ソリューションサポート室」とは、外部機関・専門家と連携して顧客支援(ソリューション提供・事業継承・M&A・海外展開)を行う部署であり、創業~成長~成熟~再成長を支援する。
・以前は補助金(もの補助)採択率0%だった⇒事例を調べたり行内の体制を整備(本部人材の増加・外部との連携)し、実績ある支援者との勉強会も行う。
1. アイデアを引き出すヒアリング2.更に革新性をプラス3.申請ポイントの整理4.ストーリーの構築5.グラフ等で見える化6.専門家の支援
⇒採択件数52件。県内トップへ
・富山ビジネスアワード
創業プラン表彰制度、ビジネススクール開催
地方創生への取組として移住、定住もサポート
・顧客同士のマッチング
例)群馬銀行と連携して氷見のブリを伊香保温泉で提供
補助金を活用して新しいビジネスの開拓を支援

◆富山信用金庫 営業推進部 次長 窪田 賢一氏
・主に「審査部」の取組について
リーマンショックから、顧客の経営支援に力を入れる
計画づくりとの一体化を目指す
・もの補助支援実績は24年で1件だった
25年より支援に力をいれるようになり、累積で200超の支援をしている
書類を書いてくれる人を探すのではなく、自分たちで支援して書く⇒外部機関と連携
昨年より営業エリアの全国化により県全体の底上げを目指す
採択率 50%⇒64%⇒94%にまでなる
・創業支援として、B&Aコンサルティングスクエア(外部専門家と連携し、相談会を開催。計画~ファイナンスまでを一括支援)を毎日開催、専門家支援も行う。創業補助金として42件採択し、60%の採択率
・21年より、経営改善に取り組む
外部専門家(経営改善センター)と連携し、改善が必要な顧客を支援する
派遣した診断士が毎日モニタリングし、次のアクションを促す。
⇒半分以上の企業が改善された。
18万円で出来ることで中小企業白書にも取り上げられる

◆にいかわ信用金庫 業務部 サポート室 次長 小竹 淳一氏
・2014年9月にサービス面での強化のため人員3名+ITCで「サービス室」立ち上げる。
応援隊の事業の中で支店長研修を実施したが、その中で「以前は来てくれる事に顧客はメリットを感じてくれていた」「今は(自分に)何をしてくれるのか?」になっている等ネガティブな発言が目立った。→顧客の価値観が変わっている。資金繰りは経営の一部でしかなく、足りないものはパートナーシップである!
顧客向けセミナーを開催、そこに来た顧客の支援から始める。
・補助金も前回不採択の案件については、ITCと共にヒアリングして改善→採択→ファイナンスに結びつく
・大学や研究機関との連携や、よろず・ミラサポも専門家派遣も業務
・ビジネスマッチングとしては、信金中央金庫のツールである「ビジネスマッチングサイト」を利用し、富山の日本酒セットなどが誕生。
・城北信用金庫と一緒にサイバーエージェントとの購入型クラウドファンディングに加入し、富山産を全国へ配信。
クラウドファンディングはBtoBからBtoCに繋がるツールであり、ファイナンス的にも将来的なニーズに対応できると思い、今後は非常に有効になると力を入れている。

 

 

最後にまとめとして、ITCAの平より協会の活動とITCの今後の活躍についてお話させていただきました。

今後のIT経営カンファレンスにも期待が高まります!


 

 




 

【開催情報】
セミナータイトル IT経営カンファレンス in  TOYAMA
開催日時 2017年2月24日(金)13:30~17:30
主催 特定非営利活動法人ITコーディネータ富山
共催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
後援 富山県、独)中小企業基盤整備北陸本部、公財)富山県新世紀産業機構、富山県商工会議所連合会、富山県商工会連合会、富山県中小企業団体中央会、株)富山県総合情報センター、富山経済同友会、一社)富山県経営者協会、一社)富山県情報産業協会、日本政策金融公庫富山支店、日本政策金融公庫高岡支店、株) 北陸銀行、株) 富山銀行、株) 富山第一銀行、富山信用金庫、にいかわ信用金庫、一財)北陸経済研究所、株)北日本新聞社、株)チューリップテレビ



 

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本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 事業促進部まで
 
 

 

 

 

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