2016年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(中部)

 


 

2017/3/22
ITコーディネータ協会
基幹業務部 松下 正夫

 

 

2016年度 IT経営カンファレンス
開催地概要報告(中部)

 

 

講演内容
主催者挨拶 中部経済産業局 地域経済部長      岩松 潤
【第一部】『攻めのIT経営』促進セミナー 13:05~15:10
セミナー&
パネルディスカッション
13:05~13:25
【講演1】「中小企業のIT利活用を促進する取り組みについて」
      特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 会長 播磨 崇
13:25~13:55
【講演2】「町工場が成果を出せるIoT」
i Smart Technologies (株) 執行役員COO 黒川 龍二 氏
14:00~15:10
<パネルディスカッション>【IT、IoT時代を生き抜くためには 】
◆パネラー 
i Smart Technologies (株) 執行役員COO 黒川 龍二 氏         久野金属工業(株) 専務取締役 久野 功雄 氏
     富士通(株) プリンシパルコンサルタント 熊谷 博之 氏
◆ファシリテーター      ITC中部 理事 広報委員長 吉田 信人
【第二部】「中部IT経営力大賞2017」表彰式・事例発表 15:30~17:30
表彰式 中部IT経営力大賞2017受賞企業 (大賞1社、優秀賞1社、奨励賞2社)
講評
中部IT経営力大賞選考委員長 名古屋学院大学名誉教授
名古屋学院大学大学院特任教授   岸田 賢次 氏 
事例発表
「中部IT経営力大賞2017」受賞企業による事例発表
     大東亜窯業株式会社 常務取締役 小貝 馨氏
尾鷲物産株式会社 常務取締役 玉本 卓也氏
NPO法人バウム カウンセリングルーム 理事長 笹谷 寛道氏
閉会の辞 特定非営利活動法人ITC中部   理事長 磯部 秀敏 氏

 

【開催報告】日時:2017年3月22日(水)13:00~17:30  於:ウィンクあいち 小ホール
・参加人数 180名
 
 中部経済産業局等が主催する中小企業のIT経営促進を目的とした「攻めのIT経営」促進セミナーと、中部地域独自で継続的に実施している「中部IT経営力大賞」(特定非営利活動法人ITC中部主催、中部経済産業局等が後援)の2017年度受賞企業表彰式・事例発表が開催された。

 

最初に、中部経済産業局地域経済部長 岩松潤氏から、政府の情報政策の概要と中小企業における「攻めのIT経営中小企業百選」、上場大企業における「攻めのIT経営銘柄」等と、本日表彰される「中部IT経営力大賞」についてご紹介があった。

 

中部経済産業局 岩松部長 ITC協会 播磨会長 会場風景

 

 


【第一部】『攻めのIT経営』促進セミナー

 

 

【講演 1】
「中小企業のIT利活用を促進する取り組みについて」
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 会長 播磨 崇
゛ITによって社会やビジネスのあり方が大きく変わる”ことを示すトピックスとして、3Dプリンター、IoT、AI、VR/AR、シェアリング・エコノミー、Fintech、ロボット、ドローン、ビッグデータ、クラウドファンディング、クラウドソーシングetc.の事例紹介があり、また、国のIT関連施策として、IT導入補助金、プラスITフェア、プラスITセミナーetc.の紹介があった。

 

【講演 2】
「町工場が成果を出せるIoT」
i Smart Technologies (株) 執行役員COO 黒川 龍二 氏
・i Smart Technologies (株) は、旭鉄工株式会社(自動車部品製造業、売上158億円、従業員480名)の子会社。旭鉄工は、トヨタ系部品メーカとして愛知県内に2事業所、約400ラインがある。現在、自社開発のIoTシステムの第3世代を使用している。
・旭鉄工社長の経営方針は、「人には付加価値の高い仕事(改善)を」というものであり、そうした本来の時間を創出するために、積極的にITを活用し改善を行っている。IoTシステムの開発と活用はその一環である。
・【①現場で把握すべき項目】は、1.生産個数、2.サイクルタイム、3.ライン停止時間の3つである。社員による手作りの装置・部品類で、こうした情報を、パルス信号で送信し、受信機で受信・記録している。
・収集したデータの分析と対応については、まず、ライン停止時間の長い要因や、休日出勤や残業の多いラインから、原因と対策について、地道に試行錯誤しながら0.1秒単位で改善し、つぶしていくことである。
・この0.1秒単位の積み重ねの結果、生産性を大幅に向上させることができた!(+15%~69%)この結果、新たなラインを増設しなくとも必要な生産量を賄うことができるようになり、設備投資費用および工場スペースの拡張もやらずにすんだ。これらの節減できた投資額は数千万から数億円にのぼるものと社内で評価されている。また、ライン停止が減少したおかげで停止前後に発生する不良品の発生が減少し品質レベルも大幅に向上させることができた!
・【②IoTで効果が出た理由】は、1.欲しいと思ったものをとりあえず作った(トライしたうち80%は失敗したが、20%の成功したものの効果が積み重なった)、2.採取するデータを欲張らなかった。3.運用に力を入れた。・・・である。
・次の第四世代IoTシステムでは、海外工場(東南アジア)対応や機能拡張を考えている。
・他社にも、当社のIoTシステムのセット(送信機、センサー、スマホ等)&サービス(月額利用料金制)を販売しており、「生産管理板」を書けない、夜間のライン生産状況がわからないといった会社にもお勧めしている。
・【③導入成功のポイント】は、1.システムをポジティブ側で使う、改善できたら社長が率先して褒める。2.社長が一緒に考える、3.上司に監視されるのではなくて、見てもらえていると思わせる。4.IoTは「手段」なので「運用」とセットで考える。どう使うか、どう改善するかがポイント。などである。
当社のこのような活動が、少しでも皆様の何かのお役に立てれば幸いです。

 

i Smart Technologies (株)
黒川氏
久野金属工業(株) 久野専務
富士通(株) 熊谷氏
i Smart Technologies (株)
黒川氏
ITC中部 吉田理事

 

【パネルディスカッション】
【IT、IoT時代を生き抜くためには 】
◆パネラー 
i Smart Technologies (株) 執行役員COO 黒川 龍二 氏
久野金属工業(株) 専務取締役 久野 功雄 氏
富士通(株) プリンシパルコンサルタント 熊谷 博之 氏
◆ファシリテーター(F)   ITC中部 理事 広報委員長 吉田 信人  
・ファシリテーター(F):このパネルでは、パネラーの皆様を親しみを持って「さん付け」で呼ばせていただきますのでどうぞ宜しくお願いします。最初に久野さんと、熊谷さんから簡単にIoTの取り組みの紹介をお願い致します。 
・久野:TPSカメラを使って、作業ごとの時間を0.1秒単位で把握し、各々の作業の改善を図っている。
・熊谷:自社工場で行っている取り組みは、データの記録とWebカメラとで、作業の見える化を行い、あとで検証できるようにしている。人間系の仕事をいかに機械でさせるようにするかを考えている。
(F):IoT、IT化のきっかけは?
久野:ドイツの工場を視察した際に、何百台ものロボットが無人で動いている、インダストリー4.0の実態を目の当たりにしたことが衝撃だった。ただ、自社での導入では、小さな成功を積み重ねていくことが重要だと思っており、金型の「研磨」という狭い分野からスタートした。
(F):富士通のIoT展開、活用の狙いは?
熊谷:自社の生産ラインでの利用が最初。見える化の手段として導入した。そして、SIerとしては、世界のIoTの情報を集め、仕入れて、お客様に合った提案をしている。
(F):IT化とIoT化との違いは何か?
黒川:IoTは高額というイメージがある。社長からは導入の際に3つの指示(クラウド利用、スマホ利用、無線利用)があった。開発システムも独立採算制でやっている。
久野:IoTサービスは、デバイスを使わなければ、月々いくらで利用できる。ITはイニシャルコストがかかる。
熊谷:IoTは、「工場の見える化」で、見えた情報をどう使うかがポイント。ITCなどの第三者が現場の情報に対してアイディアを出していくことが重要。
(F):今後、自社としてどう活用し、生き抜いていくか?
黒川:自動車向けに限らず、いろいろな可能性を考えてきたい。今回のIoTシステムも新会社として設立した。日本のモノ作りは凄い、と思っていたが、このシステムを使って(検証して)みると、まだまだ(多くの会社で)改善の余地はあると感じている。
久野:自動車の電気化が進展した場合、その時期はわからないが、全部品の約50%を占めるエンジン部品(の需要)がなくなることも想定しておかなければならない。当社は、それに影響されない新製品部品の比率を、現在の30%から2020年には50%以上にしたいと考えている。
熊谷:ドイツでの例にもあるが、今後は、モノづくりのビジネスモデルを、単に作って売るということから、継続的なサービス提供のモデルにまで発想を広げていくことが重要。(例えば、建設機械では、個体機械にセンサーや位置情報を加えて、メンテナンス時期や自動運転までを可能にするなどの付加価値サービスを提供するなど)
(F)今日は、現場での実践活動に基づいたIOTに関する貴重なお話しをいただきありがとうございました。今後、引き続きのご発展を心から期待いたしております。

 

【第二部】「中部IT経営力大賞2017」表彰式 15:30~17:30

 


表彰式 中部IT経営力大賞2017受賞企業 (大賞1社、優秀賞1社、奨励賞2社)
講評
中部IT経営力大賞選考委員長 名古屋学院大学名誉教授
名古屋学院大学大学院特任教授   岸田 賢次 氏
事例発表
「中部IT経営力大賞2017」受賞企業による事例発表
     大東亜窯業株式会社 常務取締役 小貝 馨氏
尾鷲物産株式会社 常務取締役 玉本 卓也氏
NPO法人バウム カウンセリングルーム 理事長 笹谷 寛道氏

 

 表彰式では、冒頭、選考委員会の岸田委員長から、大賞1社、優秀賞1社と奨励賞2社の発表と表彰ならびに講評が行われた。

 

「中部IT経営力大賞2017」受賞企業 岸田選考委員長

 

【大 賞】 大東亜窯業株式会社 常務取締役 小貝 馨氏
・同社は、岐阜県で、和食器の一貫生産を行い、特に印刷品に強みを持っている。
・生産は、OEMブランド商品が50%、自社ブランド商品が50%の構成。
・陶器製品の需要減や、消費者嗜好の多様化により、在庫が大幅に増大。このままでは、会社が立ち行かないという状況になり、思い切って、大改革「多品種少量生産」への挑戦を開始した。
・生産の最低ロットを、従来の2,000個から200個に小ロット化した。10万個の注文でも、この小ロットの集合という扱いにした。この生産を支える「かんばん生産管理」システムを開発し、受注時に納期回答ができるようになった。また、工程内在庫を1/20に、製品在庫を1/10に削減することができた。
・平成23年ころから売り上げが増加に反転し、収益も大幅に向上。必要なところに投資することができるようになり、一息つけるところまできた。
・従来の、「たくさん、安く作る」から「必要なだけ作る」への意識転換は重要だった。
・若手社員が、会社紹介のために作ったビデオ(3分間)を投影
(たった3分間の中にも、モノづくりへの社員の熱い想いが凝縮されており、筆者は思わず涙しました、必見)

 


 

 




 

【開催情報】
セミナータイトル 攻めのIT経営促進のための処方箋
開催日時 2017年3月22日(水)13:00~17:30
主催 特定非営利活動法人ITC中部
共催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会



 

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本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 事業促進部まで
 
 

 

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