最新活動事例

連載 ITコーディネータ活用記
<実録 京都室町・矢代仁の経営改革>


連載 第2回 経理課題のサポートから全社の最適化へ...〔担当ITコーディネータの視点〕
 本コーナーでは、御召販売の老舗である矢代仁が、ITコーディネータ(ITC)とともに改革を進める様子を連載でレポートする。
 前回は同社の矢代一社長が抱いたIT化の悩みとITCとの出会いをご紹介した。今回は、担当ITCの一人、間宮達二氏に、ITCの立場から現状を執筆していただいた。

株式会社 矢代仁
所在地 京都府京都市中京区室町通二条南入蛸薬師町272-2
創業 享保5年
事業内容 呉服メーカー問屋
URL http://www.yashironi.co.jp

 矢代仁の経営方針をあらわすポスター

矢代仁様とは、顧問契約させていただいている、ひかり税理士法人の担当者としての出会いでした。まず、経理事務の効率化を目指し業務の見直しと会計システムの入れ替えに着手することになりました。1年後には、経理業務の人的な集中化と時間短縮に加え、今まで会社部門別にしか把握できていなかった損益が営業担当者別まで把握可能になり、社長の要望を達成することができました。
しかし、この取り組みは経理部としての部分最適に過ぎず、経営課題に対処していくためには営業部も含めた会社全体の最適化を図る必要性を感じざるをえませんでした。

会社のビジョン策定へ 経営者研修会を紹介

そこで会社全体の最適化を図るべく、ITCプロセスを実体験できる経営者研修会に社長をお誘いしました。
異業種の参加者で意見交換する少人数セミナーで最初は戸惑いも見受けられましたが、社長は経営改革への高い意識をお持ちで、その研修内容を徐々に自分のものとされました。経営課題として「在庫管理と売れ筋商品の品揃え」「老舗ブランドの活用」の問題を抽出されましたが、これは 現状のシステムへの不満の表れであると私は感じました。現状のシステムでは省力化は達成されているものの在庫管理に関しては不十分で、必要な時に必要な情報を取り出すことができる「コックピット経営」にはまだ少し距離があったからです。

伝統技術を守る老舗として
業界活性化を視野に


加えて矢代社長は今の呉服業界の低迷と後継者難による伝統技術衰退に憂慮されていました。それは業界全体、また老舗の責任と受けとめ、日本文化を継承させていくことが矢代仁の使命であると感じておられたからです。そのため、ITを活用した業界及び企業間の連携強化による業界活性化の可能性の打診を受けました。
私達は驚きとともに深い感銘を受け、この熱き思いを実現すべくIT戦略を生かした「共業事業体の形成」、さらには室町復興の「街づくり」「店づくり」など営業戦略をも含めた「経営改革」のお手伝いをさせていただくことになりました。
社長のお考えを基礎として社員の皆様にもアイディアをいただきながら重要経営課題を抽出しアクションプランも含めた経営戦略の策定を終えました。まとめた中期経営戦略企画書は、株主、金融機関等ステークホルダーへ報告し高い評価を受けております。
現在は詳細な業務プロセス分析から会社全体の最適化を図りながらIT戦略の策定を進め3月のRFP(システム提案依頼書)発行に向け大詰めを迎えているところです。
また並行して矢代仁の将来を担う若手社員とともにITの力を発揮させる次世代営業戦略の策定にも取り掛かっております。
(ITC―METRO京都 間宮達二)

(次号に続く)

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