業務改革事例

情報戦略を語る―――――
~半信半疑のスタートが在庫20%削減へ 支援制度は知らないと損をする~


             ★ 2003年中小企業総合事業団理事長賞受賞 ★

フジ矢株式会社
フジ矢
代表取締役
野﨑 恭伸 氏
本社所在地 大阪府東大阪市松原2-6-32
従業員数 60人
URL http://www.fujiya-kk.com
事業内容 ペンチ、ニッパ、ラジオペンチ、電動ニッパ等の企画・製造・販売


▲プロをうならせるフジ矢のペンチ


 約3年前、生産管理システムの構築で経営改革に取り組んだフジ矢は、ペンチ・ニッパの国内トップメーカー。様々な公的支援制度を上手に活用し、ITコーディネータとともに改革を進めた同社は、見事、在庫削減によるキャッシュフローの改善に成功した。また、この結果が評価され2003年12月、中小企業総合事業団の理事長賞を受賞。
 3年間の歩みについて、野﨑社長にお話を伺った。


――2003年3月に販売予測データを元に見込み生産を行う生産管理システムが完成しました。
   1年後、成果はいかがですか。

野﨑(敬称略) 数字で見ると売上は7%ほどのアップ、在庫は20%の削減です。借り入れが減ってキャッシュフローが大幅に改善されました。一時、受注が集中した時期には欠品もありましたがおおむね見込みと販売実績が合ってきています。

――商品アイテム数が多いため、従来の商品を一時にまとめて作る方式では大量の在庫を抱える
   リスクがあったわけですね。

野﨑 今は、営業が責任をもって販売予測を出し、それに基づいてどの製品をいつ製造するかの指示が現場に届きます。営業はあるものを売るだけでなく販売戦略を立てる役割を担うようになりました。システム化によっていろいろなデータが入手可能となったのも大きいですね。代理店ごとの売れ筋、地域ごとの売上などを分析して営業に活用しています。

――大掛かりなシステムですから稼働前はご苦労もあったのではないですか。

野﨑 得意先名とか商品単価とかマスターの入力は大変でしたね。完成前は私も毎日夜中の1時、2時まで一緒にデータ入力を行いました。会社の基幹となるシステムですから、自分も中味を知っておきたいとも思いましたし...。
 このシステムは、ITコーディネータ・川端一輝先生のご助言を受け、経営分析から順にプロセスを経て構築したものですが、現場の担当者が使用するため、入力画面をできるだけ減らすなどの工夫もしました。結果、業務に即し、使いやすく出来あがったと思います。

――今回の改革のきっかけはどこにあったのですか?

野﨑 2001年の秋にITSSP事業に参加して、経営分析などの指導を受けたのがきっかけです。はじめは半信半疑でしたが、進めているうちに、「これは良い、せっかくだからもう少しやってみるか」と...。
 その頃はまだIT化は考えておらず、中期経営計画を立案していく過程で生産管理システムの構築がクローズアップされていました。そして平成14年度のIT活用型経営革新モデル事業で補助金をいただけることになったので、一気にシステム化まで行いました。
 また、経営分析の段階から現場の社員が参加したことで社員自身の意識改革が進み、社内が活性化したのも大きな収穫でした。

――補助金の額はどのくらいですか。

野﨑 システムの総額が3000万円なのでその半額の1500万円です。補助金自体もありがたいし、提出する企画書を作成するプロセスで得たものも多かった。また、ITコーディネータのコンサルティングを受ける際にIT推進アドバイザー派遣制度を利用し、派遣費用の3分の2を補助していただきました。こういった制度は知らないと損ですね。企業経営者の方々に是非お勧めしたいと思います。

――今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。

野﨑 システムは得られたデータを元にした営業効果が見えて初めて貢献が可視化できるといえます。その点では、まさにこれから「どう使うか」にかかっているでしょう。
 生産・業務系システムが完成したので、今度はWeb活用にも積極的に取り組んでみたい。弊社のペンチ製造技術を広くアピールすることや、オーダーメイドによるペンチの直販なども構想しています。



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