合格体験記


多摩信用金庫
  清水 雅之

 ITコーディネータという資格は、ITという言葉が先行しているためIT系の仕事に従事している方の資格と認識している方も多いと思われますが、そうではありません。ITコーディネータは企業の経営課題を解決するための資格であり、ITは1つの手段です。したがって、ITコーディネータはIT系よりもむしろ経営系、つまり企業の経営戦略の相談に乗る仕事に向いていると私は思います。

 とくに私の勤めている金融機関は「お客様とともに時代に勝つ」というテーマで、お客様とともに考え、ともに良くなって行こうということを実践しており、この考え方にITコーディネータの力を融合すれば、さらにお客様のために何かできることがあると考えました。このため、経営系である私はITコーディネータ補の資格に挑戦することにしました。

 実際は上司にITコーディネータという、当庫の仕事に活かせそうな資格があるから挑戦のつもりで受けてみたらという言葉につられ、軽い気持ちから受験を覚悟したのですが、資格内容を調べていくうちに私の仕事には必要不可欠な資格であるという認識を強くしました。この「何のために資格を取るのか」という動機は非常に大切で、これが自分を動かす原動力にもなりました。また、初回合格を目指す私にとってはこの動機がよい意味でのプレッシャーになったと感じています。

 まずは試験に合格することが私の課題となったわけですが、どうやって試験勉強をするかが問題でした。ITコーディネータ補の試験を調べても過去問題はどこにもありません。 ITコーディネータ協会のホームページにもサンプル問題しか掲載されていません。サンプル問題も何をいっているのかさっぱり。調べた結果、対策講座を実施している研修機関がいくつかあることを知り、早速申し込みました。3月の終わりに説明会、4月に基礎研修があり、ゴールデンウィークのすべてが対策講義というコースに参加しました。対策講座で言われたことは、「応用問題が大半であるが基礎が十分でないと試験に合格しない。それには『ITコーディネータプロセスガイドライン』をすり切れるまで読むこと」というものでした。私は過去の経験上、ざっと基礎を読んで、ひたすら過去問題に取り組んできましたので、信じられず始めは教科書の模擬問題ばかり抽出して解いてみました。しかし、それではすぐについて行けなくなりました。講師の方にも「あなたは5月の試験ではなく11月の試験を目指したら」と言われ愕然となりました。その後、レベル別に教室を分けていただき集中して講義を受け、基礎の重要性がはっきりと理解できました。『ITコーディネータプロセスガイドライン』と『ITコーディネータカリキュラム作成ガイドライン』、そして『ビジュアル解説ITコーディネータテキスト』『ITコーディネータこれからの実践知識』の2冊の参考書を熟読し講義に望むようにしたところ、毎日行う模擬試験でもある程度の点数が取れるようになりました。

 しかし、依然として不安なのがどんな問題が出題されるか、不合格になったらどうしようというものでした。試験まで残り1週間。幸い、職場の暖かい協力のおかげで勉強の時間はいただけたので、その時間をフルに活用するため、まず必勝スケジュールを立てました。各単元を日別に振り分け、その単元に関することは全て読み、調べ尽くすという方法です。最終日には再度、『ITコーディネータプロセスガイドライン』『ITコーディネータカリキュラム作成ガイドライン』を熟読し、翌日の試験に備えました。

 試験当日、試験が開始され問題を見ると頭が真っ白。問題数が120問あるため、1問当たり1分15秒しかありません。初めから応用問題です。文章を読んでいるうちにも時間が経つのが感じられ、焦る自分が解ります。そこで深呼吸。再度読むとどんな基礎を応用するのかが解ってきました。それから無我夢中で問題を解き、迷った問題を解答したとたん時間切れとなりました。その時は合格の手応えはまったくなく、ただ終わったという感じでした。

 振り返ってみると、「基礎が大切」という言葉はこの試験中に感じたことだったのかということを悟りました。7月初旬にホームページで合格発表があり、合格を確認したときには深夜にもかかわらず家族中大騒ぎでした。翌日の職場でもしかりでした。いままでの苦労が吹き飛んだ瞬間でした。



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