正会員向けの理事会議事内容の公開、ならびにケース研修の厚労省教育訓練給付金の申請について

  【正会員向けの理事会議事内容の公開、ならびにケース研修の厚労省教育訓練給付金の申請について】
 
会長の澁谷裕以(ひろゆき)です。
 
 
6月26日の通常総会で新しい態勢がスタートしました。正会員も10月18日時点で、303名の方になっていただいております。誠にありがとうございます。
 
ITコーディネータを中心とする理事会も、すでに4回開催し、ITコーディネータの未来に向けて大変活発な論議が行われています。
 
そこで、この度、協会の運営に主体的に係っていただける正会員の皆さんに理事会の議事内容を公開することといたしました(10月22日(月)を予定しています)。正会員の方はITC+にログインしてメインページの協会会員特典の項からご覧いただくことができますので、お目通しいただければ幸いです。
 
さて、ここでは、残念ながら、ケース研修が厚労省の教育訓練給付金の対象とはなりそうもないことが明らかになったことについて、お詫びかたがた、ご報告させていただきます(第3回(9月)と第4回(10月)の理事会議事にも詳しく書かれています)。
 
 
<1.教育訓練給付金申請の経緯>
 
昨年12月にケース研修がITSSのレベル4の認定を受けたことは、私のブログでもご報告いたしました。ITSSのレベル4はケース研修が教育訓練給付金の認定を受けられるかどうかの最初の大きなハードルであったために、関門が開いたと思い、期待感をもってお話しさせていただきました。
 
その後、厚生労働省の外郭団体である中央職業能力開発協会の指導を受けながら、本年5月にケース研修を教育訓練給付金の対象としていただけるように申請を行いました。開発協会との折衝状況は順調にみえましたが、8月に厚生労働省から回答があり、不指定とのことでした。
 
その後、理事会でも種々ご教示をいただき、協会の主管である経産省とも相談し、最終的に厚労省の担当課とも直接折衝をして、再申請ができるかどうかを探ってきました。
 
結論から申し上げると、大変申し訳ないことに、ケース研修は厚労省の教育訓練給付金が想定する研修ではないことが明らかになりました。以下に理由を述べます。
 
 
<2.教育訓練給付金の意味合いとケース研修がそれにそぐわない理由>
 
まず、教育訓練給付金は、本来、受験対策講座に対して与えられるもので、また複数の講座のなかでも合格率が高い講座に対してだけ給付されるものだということです。例えば、IPAの資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」について見てみると、登録セキスぺの受験対策講座は数多くありますが、給付金対象講座として認定されているのはTAC等4つの講座だけという事例が判り易いかと思います。
 
この例からも明らかのように、本来、教育訓練給付金は、資格認定機関とは別の予備校等で実施されている受験対策講座が対象だということです。今回、中央職業能力開発協会から、通信教育であれば、資格認定機関が実施する研修であっても認められるとの示唆を受けて、ケース研修はe-learning+実施機関のスクーリングという仕立てだとして申請をしましたが、改めて検証するとこの示唆は少し根拠が乏しかったように思います。
 
また、さらに重要なことは、ケース研修は資格試験の受験対策講座という意味合いだけではないということです。ケース研修は、ITコーディネータとしてのコンサル能力を身に着けるという重要な目的をもっています。しかしながら、もし、ケース研修を受験対策講座として公式に位置付けると、必然的に、受験対策講座を受けずに試験が受けられる道を拓くことになるので、ケース研修を受けなくても試験に合格すれば資格認定せざるを得なくなります。これはITコーディネータの大切なコンサル能力育成過程を経ずしてITコーディネータになることを認めることになりますから、われわれとして受け入れることはできません。
 
このように、調べれば調べるほど、教育訓練給付金はケース研修とは相容れない要素が強いことが明らかになってきました。
 
申請をする前に、もっとよく調べてから申請すべきであったと思いますが、中央職業能力開発協会との折衝が順調に進んでいたこともあり、事後になって、給付金制度の本質が判ることになりました。ITコーディネータの皆さん、とりわけケース研修実施機関の皆様にはご期待を抱かせてしまい、大変申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。
 
 
<3.別の観点からの政府への働きかけについて>
 
このように、ケース研修への教育訓練給付金の道は難しいことが明らかになりましたが、協会としては、ITコーディネータの仕事の広がりを求めて、改めて、別の観点から政府の支援を求める活動をしていきたいと思います。
 
例えば、日本と同じように中小企業を中心とするものづくり大国であるドイツでは、経済エネルギー省が2012年から中小企業へのIT導入支援策「ミッテルシュタット・デジタル」を展開し、成功を収めています。そのポイントは、まさしくITコーディネータの仕事そのものである「IT導入前の課題特定をおこなうコンサルティング費用」に対して二分の一の補助をするという「Go-Digital補助金」です。
 
このような補助があれば、私たちの仕事はもっと広がりを持てると思いますし、現在のIT補助金が停滞気味であるのも、こういう前裁きがないので、せっかくの補助金が活かせないということだと思います。
 
日本の補助金は、モノに対する補助が中心のようで、コンサルティング等ヒトに対する補助金はハードルがあるようですが、粘り強く経産省への働きかけを強めていきたいと思います。
 
また、ネットワーキングも順調に拡大しており、日本政策金融公庫や名古屋や大阪の投資育成会社との関係もできつつあります。もう少し具体化したら、改めてご報告いたしますが、ITコーディネータの仕事が拡がるように、協会は一所懸命に活動を続けますので、今後ともご支援くださるようによろしくお願いいたします。
 

 

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