2017年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(東京東&千葉)



 


 

2017/12/15
ITコーディネータ協会
事業促進部 中村 路子

 

2017年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(東京東&千葉)

 

 

講演内容
来賓挨拶 『経済産業省のIoT・ロボット関連施策について』
経済産業省関東経済産業局 情報政策課長 濱田 豊 様
基調講演 『労働生産性向上と働き方改革』
杉浦社会保険コンサルティング 特定社労士 杉浦 美穂子 様
事例紹介1 『新たな事業への取り組み事例』
株式会社パール技研 代表取締役 小嶋 大介 様
事例紹介2 『地域でのバイオマスエネルギー製造参入』
大金興業株式会社 代表取締役 大野 光政 様
ITコーディネータ 府中 由昭 氏
・参加人数 20名

 

関東地区では初めての「IT経営カンファレンス」の開催となりました。
東京都の「一般社団法人 経営パートナーズ・イースト東京」と千葉県の「特定非営利活動法人 ちば経営応援隊」の共同開催となりました。2つの組織が連携をしてIT経営カンファレンスを開催するのも初めてのパターンです。
 
   
まずは、一般社団法人 経営パートナーズ・イースト東京 代表理事 池島 晃氏より、開会のご挨拶がありました。
続いての来賓挨拶は、経済産業省関東経済産業局 情報政策課 濱田課長より、経済産業省のIoT・ロボット関連の施策についてご紹介いただきました。
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基調講演     『労働生産性向上と働き方改革』
杉浦社会保険コンサルティング 特定社労士 杉浦 美穂子 様
(講演概要)
◆「働き方改革」とは?国が掲げる「働き方改革実行計画書」の解説

・大きく分けて「賃上げ」「働く場所」「キャリア」構成の3つ
・「非正規労働者」をなくす、賃金を上げる、生産性を上げる、長時間労働をなくす⇒最近の労働調査では改善されている。失業者は減っている(2%)ので、完全雇用に近い状態であるが、全体の3割程度が非正規労働者である
 ・非正規の待遇を改善するための「同一労働、同一賃金」に対して10年間の工程表が出ている。正規雇用が8年ぶりに上昇し全体的に向上しているが、「同一労働、同一賃金」に対しては、それぞれの責任や立場など環境の違いで左右されるものではないか?との疑問もある
・不本意就労・・・本当は正規雇用を望むのにやむを得ず非正規の人向けにキャリアアップのための助成金も出ている
 ・労働者派遣法の改定は更に進み、今後のトレンドとなり給与内容の説明や福利厚生の平等など義務化になるだろう
・主に女性の「106万円の壁」⇒2年後にまた引き下げとなるかも?⇒余計に働けなくなる人が増える⇒人手不足が進む可能性
・2010年から最低賃金が上がり続けているが、経団連は更に3%UP、全国で1,000円超えを目標としている(現在東京956円)。賃金上昇のためには生産性向上が必要で、助成金や税制助成の対象にもなる
・国際規格に比べて、日本は長時間労働が多いと国は思っている⇒昔はもっと働いてなかった?残業時間60時間以上は30代男性が最も多い⇒結婚できない?少子化の原因?と考えられているのでは?長時間労働は自慢ではない。意識を変えていこう。モーレツ社員の廃止
・電通の事件から注目が集まり、今後労働法の改定が進み残業代の割増など細かく指導が入るだろう。業種別に適切な残業時間の定義があり、情報通信業は1日1H程度でテレワークの活用を目指す。運用に係る人などは勤務間のインターバル制度の導入で対応していく
・国が提示する「働き方の未来2035」⇒人口を増やしつつ働き方改革を目指す。今後、人口減少により新卒採用がますます困難になり働き手は減少するので、知恵を巡らせて働き方を改革していかなければならない
 

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事例紹介1 『新たな事業への取り組み事例』
株式会社パール技研 代表取締役 小嶋 大介 様
(講演概要)
・社員34名の金属加工メーカー。オートレースバイクの部品など精密試作品の加工メーカーである。産学官金連携プロジェクトの「江戸っ子1号」開発になぜ下請けが参画できたのか?
・大阪の「まいど1号」を見て転機を感じた杉野氏(杉野ゴム/推進委員会委員長)が東京東信用金庫(ひがしん)へ夢を語る⇒面白いから誰かやらない?と盛り上がってくる⇒ひがしんが芝浦工業大学等と連携しJAMSTECに協力依頼⇒先代の社長が「面白そうだから」とひがしんに電話をして参画を希望した⇒前段階の勉強会に2年くらいかけ、6社が参加することに
・「産学官金」連携とは?「産」・・・作る、動く。「学」・・・調べる。「官」・・・(技術や知識を)教える。「金(金融機関)」・・・調整する(事務局)、広告する
・当初の目的は「深海7,700m以上で魚を撮影してギネスに載ろう!」
・8,000mの超深海層では「水圧」「光が届かない」事が問題⇒「太陽光パネルが使えない」「電波が通らないので通信制御できない」⇒しかし「勝手に沈む」から「燃料はいらない」ので、問題がクリアできればあまりお金がかからない⇒中小企業向けだよね!
・当初の予想図では、カバーガラス(中に空気が入るので浮く)錘(鉄の金型)で想定したが、予想図とあまり変わらず35kgで完成。撮影球などはソニーのエンジニアと合同で開発、錘の切り離し装置はonの時のみ音波で信号を送る仕組
・2013年11月3機体作成し、撮影成功。生物学的にも貴重な映像が撮れる⇒しかし正確に深度が図れずギネス申請は断念。NHKを始め各メディアで取り上げられ上野科学博物館の「深海展」にも協力。2014年内閣総理大臣賞を受賞
・2015年~岡本硝子中心で立ち上げ事業化に成功。今までに7基を投入し回収率100%を誇る
・江戸っ子1号の開発費は非公開だが、開発を行う上で比較的自由度の高い「グローバル補助金」を利用したが、自社でも助成金が活用できるのでは?と考え5年連続で「ものづくり補助金」を採択中。補助金をうまく活用して異業種や新分野の開拓に役立てる等色々な相乗効果が出ている
・補助金申請のために、「自社の課題や方向性が整理できる」「社内でも設備検討など活性化する」⇒本質的な部分を皆で理解できるのが一番のメリットである。ひがしんとの関係性もより深まった
・きっちりサポートしてくれる認定支援機関と組むことが必要!⇒結果、会社が強くなる
 

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事例紹介2 『地域でのバイオマスエネルギー製造参入』
大金興業株式会社 代表取締役 大野 光政 様
ITコーディネータ 府中 由昭 氏
(講演概要)
・建設工事業~ビルメンテナンス清掃業を行う会社である。創業時は汲み取り業だったが、減少により現在の事業形態へ。事業内容柄環境について考える事が多く、バイオマスエネルギーの道へ
・バイオディーゼル燃料とは?使用済みの天ぷら油をリサイクルした軽油代替燃料で、リサイクルに費用がかかるためコストがかかるが、1.排気ガスがクリーン 2.CO2の削減 3.ゴミの削減の3つの非常に効果がある。特に3.に着目し開始当初は自社のCSRの一環として行っていた
・事業の仕組としては、使用済み植物油を飲食店、町内でから買い取り、自社でBDF製造、不適合廃油や余剰分はボイラー燃料として販売する
・公的事業として認定されるまでは長い道のりがあった。きっかけは東日本大震災時に市役所から「仮設トイレの汲み取り作業を止めるな」との達しがあったが、ガソリンスタンドもなくスタンドは長蛇の列で燃料が入手できない⇒必死に役所に訴えたところ、規定のスタンドに回してもらえたが「このままではダメだ」と実感し「自分たちで燃料を作ろう!」と発起する
・事業開始時はバイオディーゼルの認知度も低く、廃油の買い取りがうまく行かず、現在の1ヵ月分を半年かけて集めていた。また廃油に不純物が多く製造装置の仕様上、品質には難があったが回収時に細かく指定するとめんどうがられる事が多かった
・「ものづくり補助金」で不純物を取り除く装置(減圧蒸留処理)を導入することが出来、高品質なBDFの製造ができるようになった
・現在は千葉市のゴミ収集車などにも利用されており、廃棄物対策課支援により市内での植物油回収事業をスタートし31拠点で定期収集を実施している。国土交通省の規定もクリアし、燃料トレーサビリティシステムや提携車両設備業者との予防保守データによりノウハウを蓄積している⇒自分の車でトラブルがあった際に燃料のせいにされたが、よく調べるとディーラーの間違いであった。これもデータを取っていなければわからなかったこと
・今後は他の自治体への拡大や他燃料への利用拡大、事業化ネットワークの拡大を計画している。地元(行政)と連携しなければ回収や販売が難しいので小規模(NPO等)で事業展開できる仕組みを提供したい
・リサイクル業への関心拡大もあり女性従業員が入った。チャットアプリなどを活用し、回収対応や生産効率向上を目指す。地域貢献については、廃油から作るアロマキャンドルなど多くの小学校で実施している。今後は省エネ住宅などの分野にも進出したい
 
◆最後に、ITコーディネータの府中 由昭氏から、バイオマスエネルギーと補助金についての補足と大野様との支援形態がほぼWeb上で完了していたことをお話いただきました
 
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最後に特定非営利活動法人 ちば経営応援隊の浅井鉄夫理事長より、ちば経営応援隊のご紹介と本日の御礼があり閉会しました。
 
14日には新潟、15日には沖縄でのIT経営カンファレンス開催が続きます。
今後のIT経営カンファレンスにも期待が高まります!

 

 

 【開催情報】
セミナータイトル IT経営カンファレンス2017 in 東東京&千葉
~自社の働き方を見直し業績に繋げる~
開催日時 2017年12月5日(火)13:30~17:30
会 場 船橋商工会議所
主 催 一般社団法人経営パートナーズ・イースト東京、特定非営利活動法人ちば経営応援隊
共 催
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
後 援
経済産業省関東経済産業局、東京商工会議所、船橋商工会議所、東京東信用金庫、東京ベイ信用金庫、ITCイースト東京、ITC千葉ネットワーク

 

2016年度IT経営カンファレンス開催一覧はこちら

 

本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 事業促進部まで

 

 

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