2015/4/24 |
ITコーディネータ協会
事業促進部 山崎 健 |
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2014年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(長野)
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講演内容 |
基調講演 |
『攻めのIT経営とは』
特定非営利活動法?ITコーディネータ協会会? 播磨崇氏
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記念講演 |
『旅館にとって本当に必要なITとは何か』
鶴巻温泉 元湯陣屋 代表取締役社長 宮﨑 富夫氏
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トレンドセミナー |
『IT経営を支えるクラウドプラットフォーム』
株式会社セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業本部ディレクター 安田 大祐氏
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パネルディスカッション |
『長野県内におけるIT経営の実践事例』
パネラー
神稲建設株式会社様(IT経営力大賞2010審査委員会奨励賞)
株式会社東郷商事様(IT経営力大賞2013全国中小企業団体中央会長賞)
ささや株式会社様(IT経営力大賞2014IT経営実践認定企業)
モデレーター
ITC長野 副理事長 普世 芳孝氏 |
ITC長野の活動紹介 |
ITC長野 理事 荒井 雄介氏
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・参加人数 約75名
・参加者分類 ITC:約30% |
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今年度最後の「IT経営カンファレンス」は長野での開催です!
冒頭に主催者の特定非営利活動法人長野県ITコーディネータ協議会の徳武副理事長から、ITC長野の法人設立10周年記念であることと10周年の歩みのご紹介がありました。また利用者が積極的にITを活用し、それを中立・公正・公平なITCが支援をしていくことが必要とのお話をいただきました。続いて、経済産業省 関東経済産業局 地域経済部情報政策課長 久世様より、「地方創生」が課題であり地域の中小企業が元気になることが大事、そのためには「攻めのIT投資」の展開を図ることが大事。北陸新幹線開業のチャンスを活かし、地域の活性化に繋げてほしい。とのご挨拶がありました。
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基調講演 |
『攻めのIT経営とは』
特定非営利活動法? ITコーディネータ協会会? 播磨崇 氏
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続きまして、基調講演「攻めのIT経営とは」の題目で共催のITコーディネータ協会・播磨会長が講演を実施。
・ITコーディネータ制度の紹介
・地域ベンダーの若手・女性のITコーディネータが増加している
・3DプリンタなどITを活用した先進事例のご紹介
・東京商工会議所による平成26年2月「中小企業経営課題」調査よりITと経営の融合が必要。
それが「稼ぐ力」を取り戻すポイントになる。
・日本再興戦略の概要
・日本再興戦略 改訂 2014から4つの鍵となる施策について
・日本再興戦略を踏まえたITC協会、ITCの取り組みについて
・信用金庫様との連携のご紹介
・地域創業促進支援事業の研究実施主体としての活動
・シニア人材確保・定着支援事業からのビジネスマッチング支援
・地域資源の活用による地域活性化から新たな可能性が見出せる
・攻めのIT経営事例 ~お菓子のありの子様~
・イノベーションを起こす3か条。特に「白紙思考」が重要
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記念講演 |
『旅館にとって本当に必要なITとは何か』
鶴巻温泉 元湯陣屋 代表取締役社長 宮﨑 富夫氏
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先代社長の急逝により、当時従事していた株式会社本田技術研究所より引継ぎなしで家業の温泉旅館社長に就任
非常に厳しい経営状況であったにもかかわらず、3年で黒字に転換された事例のご講演をしていただく。
・現状分析をしようにも、一切の情報が可視化されていない状況だった。
・人件費も病気療養中の女将しか知らない状況であった。
・まずは経営状態を含めたすべての情報を可視化することが重要と認識し以下のことを実施しようとした。
1.全従業員で経営状態も含めた情報を共有
2.PDCAサイクルを回し、情報の活用を実施
3.さらに情報の分析を実施し、業務の効率化を図る。
→お客様との接点を増やす。
・上記実現のため、基幹システムの導入を決意
・導入に際し、以下の点を選定ポイントにした。
トレンド・マルチデバイス対応・対応スピード・カスタマイズ対応・利用した分のみの課金・オープンであること・信頼性
・当時、要求を満たすものは無く、無いものは作るしかない!
ということでエンジニアを採用。セールスフォース上でカスタマイズし基幹システムの構築を実施した。
結果として、以下の効果が上がった。
・オープンな環境でPDCAを回し、従業員との情報共有が図れた。
・その後、旅館業務のすべてをセールスフォース上で展開し、共通プラットフォームを構築
・セールスフォースのChatterを活用し、リアルタイムでの情報共有を実現。情報共有により、従業員の一体感が構築できた
・導入のポイントは以下の4点
1.社長自らの活用
2.ログインしないと仕事のできない環境の構築(勤怠管理も組み込む)
3.従業員に応じ使いやすいデバイスの選択してもらう(iPad,Windows,大画面モニタなど)
4.情報発信をした従業員へ「いいね」ボタンで応える
その結果以下の成果が上がった
売り上げ+45%
人件費▲16%
原価(ロスの可視化)▲10%
陣屋コネクトの創立
メディアで取り上げられ、同業社からの問い合わせ多数
ライセンス料のみの利用料金で販売開始
カスタマイズ料金は発生しないが、納期約束なしで機能拡張を実施
各施設自体でカスタマイズ可能な仕様にしている
年3回のアップデートを実施
今後の展望
陣屋コネクトを利用しているユーザー様で新しい旅館組合を構築したい
IoTの活用も視野に。
→お客様が部屋を出た→食事のお出迎えを実施
→車でのお越しのお客様のナンバーから、お客様情報の参照など
視察宿泊プランも好評
まとめ
人の成長と共にシステムも進化。それを継続的に実施し、次世代を育てる核となる
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トレンドセミナー |
『IT経営を支えるクラウドプラットフォーム』
株式会社セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業本部ディレクター 安田 大祐氏
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・ITによる変革事例の紹介
・自動車ディーラー
車両整備時、整備スタッフからお客様担当セールスへ整備依頼以外の整備推奨箇所の情報を写真付でChatter公開。セールスからお客様へ整備の提案実施。
これにより粗利率の向上が図れた。
・有料道路
除雪やミラー修繕などの情報を国土交通省へ報告
専用アプリで柔軟に対応し、伝達スピードの向上が図れた。
画像・映像でやり取りができ、早期判断が可能になった。
それにより、連動・連結コストの削減が図れた
土木建築業
主な業務に公共事業
車両管理や保険修理などの作業ボリュームの可視化により、
食肉加工業
営業が受注する特殊なカット方法などのカスタマイズに対して、製造現場とのリアルタイムのやりとりで対応
納期・在庫管理・間違いの発注が無くなった
電気自動車メーカー
契約書などのやり取りをWeb化
ホームページのWeb解析が間単に実施できるようになり、マーケティングに活かしている。
クラウドは賃貸マンションのようなもの。戸建てのようなリスクを負わなくても簡単に拡張もやめることも可能。うまく活用していただきたい。
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パネル
ディスカッション
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『長野県内におけるIT経営の実践事例』
パネラー
神稲(くましろ)建設株式会社様(IT経営力大賞2010審査委員会奨励賞)
株式会社東郷商事様(IT経営力大賞2013全国中小企業団体中央会長賞)
ささや株式会社様(IT経営力大賞2014 IT経営実践認定企業)
モデレーター
ITC長野 副理事長 普世 芳孝氏
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神稲(くましろ)建設株式会社 事例紹介 業種:総合建設業
・IT導入の背景→平成8年以降仕事量の減少とそれに伴う競争が激化した。
・当時の問題点
1.月次の経営指数の算出が遅い
2.原価管理ができていない
3.既存システムでは同じ内容を複数回入力しなければない手間があった
IT導入効果
工事原価管理システムの導入により、リアルタイムでデータの更新が行われるようになった。
より詳細な原価情報の取得が可能になり現場レベルでの原価管理が可能になった。
この取り組みにより粗利率の向上が図れた。
株式会社東郷商事 事例案内:業種 新聞折込チラシ配送
IT導入の背景
新聞離れによる折り込み広告の減少。
スポンサーからの配布要件細分化への対応による業務の煩雑化。
当時の問題点
1.煩雑化した作業でミスの増加。
2.スポンサーからの要請や作業量の増加に対応できなかった。
IT導入効果
受注・経理・物流のシステムを相互連携の実施。経営の効率化が進み、利益体質が強化された。
スポンサーからの要望に応えられ満足度の向上が図れた。
地域自治体と連携し独居老人の見守り活動にも力を入れている。
ささや株式会社 事例案内:業種:サービス業
IT導入の背景
人口減少社会に対応していかなければならない
IT導入効果
業務の標準化ができた。
レシピや予約情報、作業手順の共有も図れた。
お客様の情報を積極的に活用。
パネルディスカッション
1.課題の明確化
神稲建設:経営指標の確認が遅い→現場間の情報共有を蜜に
東郷商事:属人化の排除→標準化を実施
ささや:トップダウンで現場へ指示
2.苦労した点
神稲建設:現場毎に情報が囲われていた→継続保守もあるので共有化を図った
東郷商事:コンピュータに対する苦手感→プライバシーマーク取得時に業務も改善。また若手による苦手意識者への説得
ささや:IT以外の手順から実施→徐々に慣れさせるように実施
3.導入後の変化
神稲建設:原価管理のリアルタイム化が好評→インターフェイスの変更なども実施
東郷商事:各個人が誇りや自信をもったこと
ささや:事前に仕組みを変えてからITを導入したので、あまりない
4.導入後の継続的に実施している社内の取り組みは
神稲建設:第三者(ITC)の活用
東郷商事:ITCと話しをつめてすすめたい
ささや:ITCの方が支援をしてくれている
5.将来像
神稲建設:3Dデータの共有を促進し、熟練技術を模倣させていきたい
東郷商事:旧来のコミュニティーを補完し、地域商店との連携も実施
ささや:ITのよる標準化・マネージメントのIT化を進化させていきたい
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ITC長野 理事の荒井雄介様より、ITC長野の活動内容の報告がありました。
閉会の挨拶:長野県ITコーディネータ協議会会長 荒井綏氏
【開催情報】 |
セミナータイトル |
IT経営カンファレンスin NAGANO
~地域中小企業におけるIT経営の実践~
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開催日時 |
2015年4月10日(火)13:30~17:30 |
主催 |
特定非営利活動法人長野県ITコーディネータ協議会 |
共催 |
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 |
後援
【順不同】
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経済産業省関東経済産業局・長野県・(公財)長野県中小企業振興センター・
長野商工会議所・長野中小企業団体中央会・(一財)長野経済研究所・
(一社)長野県情報サービス振興協会・LLP長野県IT経営推進協議会・
関東信越税理士会長野県総支部・信濃毎日新聞社 |