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新年あけましておめでとうございます。
2020年を振り返ると、コロナ禍に振り回された一年だったと思います。今なお第3波のさなかにあり、2度目の緊急事態宣言が出されようとします。米英で始まったワクチンの接種が世界中の人々に広まり、災禍が少しでも早く収束することを願ってやみません。
一方、人類はこのような大災禍の度に新しい世界を切り拓いてきました。14世紀のヨーロッパでのペストの大流行が封建制を崩壊させる端緒となったことは歴史が語るとおりです。コロナ・パンデミックも、私たちの世界を大きく変革する契機になるであろうことは、広く識者が語るところです。
私たちが在宅勤務のなかで気づいた一番大きなことは、「オンラインでこれだけのことができるんだ!」だと思います。毎日のWeb会議は言うまでもありませんが、ITCカンファレンス2020もオンラインで実施し、例年の1.3倍の1,041名の方々に視聴いただきました。また、ケース研修も、実施機関のご尽力のもと殆どオンラインで実施していただき、今年度の受講生は1月5日朝の時点で512名に達しています。大変ありがたいことです。
オンラインの有効性に目覚めるほどに、私たちはリアルの貴重さをも再認識するようになっています。初めてお会いするお客様とは、「コロナだから来なくて良い」と言われない限り、マスクをしながら短い時間でも直接お会いすることが双方の理解を深めることを改めて痛感しました。
通常はオンラインだけれども、これはという時はリアル(オフライン)という仕事様式、生活様式を私たちはニューノーマルとして獲得し始めています。これは、ITCカンファレンスにも登壇いただいた藤井保文さんが『アフターデジタル』『アフターデジタル2』で強調されてきた、デジタル社会になるとオンラインとオフラインが融合したOMO(Online merges with Offline)の世界になるということが、今ここに出現しているように思います。
私たちは、必要に応じて、あるいはその時々の快適さの度合いに応じて、オンラインとオフラインを使い分けるようになっています。オンラインとオフライン、どちらであっても同じように快適な体験ができる、楽しい買い物ができる、そういう顧客体験(UX:User Experience)を如何に提供できるかがこれからのビジネスのキーだと思います。
OMOの世界でお客様が望むUXを提供するためには、今、日本の多くの中小企業がおかれている個別最適・部分最適の仕事の仕方やIT活用の状態のままでは難しいでしょう。会社全体を見渡した全体最適の業務プロセスがあってこそ、オンラインでもオフラインでも同じように快適なUXを提供できるのだと思います。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)が、はやり言葉になってきました。しかし、アメリカのIT業界で有名な金言のとおり「牛の歩いたぐちゃぐちゃの路をそのまま舗装しても意味がない」のです。個別最適の牛の路をそのまま舗装して多くの「牛の路システム」ができることは、むしろ会社全体の生産性を阻害します。
私たちは、中小企業の経営者がDXという言葉に踊らされて、個別最適のままデジタル化を推進することのないように支援していく必要があります。DXで大切なのは、デジタル化そのものではなく、現状の個別最適の状態から、いかにデジタル技術を活用した全体最適の業務プロセスにトランスフォーム(変容)するかです。
コロナ禍の収束にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、人類は必ずや克服するでしょう。問題はむしろ、コロナ禍を機に「オンラインでもオフラインでも最高のUXを提供しない企業は存続が難しい」という状況が近づいていることにどう対応していくかだと思います。
この難しい時代に、経営者と対話を繰り返しながら経営の行くべき方向を支援する私たちITコーディネータの役割はますます重要性を増しています。
協会もITコーディネータの皆さんとよく対話をしながら、協会としてやるべきことを改めてよく考え、ITコーディネータの仲間を増やし、日本の中小企業がITを経営の力として活かして元気になるように、ITコーディネータの皆さんとともに頑張って行きたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。
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会長 |
し ぶ や ひ ろ ゆ き |