ケース研修受講体験記

ITC新ケース研修を終えて
クラレイ株式会社
物流本部長 常務取締役 沖 洋次

 当社は、福岡県北九州市に本拠を置く会社で、冷凍農水産物の輸入、卸売、加工及び冷蔵倉庫業を営んでいます。私が冷蔵倉庫業に従事した昭和58年当時は、業務は労働集約的で、牢名主ならぬ倉名主がいて、その人が居ないと荷物のある場所がわからないなど、かなり属人的で個人の経験に頼るところが多く、労務管理上かなり問題がありました。

 そこで、徐々に作業の機械化やコンピューター化によるロケーション管理等、作業の標準化や改善を図ってきました。倉庫はいかに詰め込むかの時代から、保管商品の多品種で小口化が進み、適格な在庫管理とスピディーな出庫が求められるようになり、その作業の標準化や改善は功を奏するようになってきました。 平成10年に今後の九州の低温物流は福岡市を中心に展開されていくであろうということで、福岡市の香椎パークポートに冷蔵倉庫を含む低温物流センターを建設することになり、北九州市にあった普通倉庫とその土地が市の収用にあったこともあり、ITを駆使した最新鋭の物流センターを建設しようと、プロジェクトを立ち上げました。

 建物については、以前にも建設の経験がありましたが、IT化プロジェクトの知識や経験が十分にあるわけでなく、大手のベンダーに頼りながら進めていけば何とかなるであろう、という思い込みで作業を進めました。 しかし、プロジェクト進めるなかで十分に現場を巻き込めずに、IT化による業務プロセスを大きく変えたため、当初から現場の混乱が続いた上に、IT機器の保守やメンテナンスなどの運用面で支障が発生して、システムの改善や修正を余儀なくされ、立ち上げ時からトラブルが続き、現場にも大変な迷惑をかけてしまいました。しかし、それも自分でまいた種であり、IT化は単なるコンピューター導入の経験や「エイヤーの世界」ではとても無理であることと、IT化の体系的なスキルの必要性をその時に痛感させられました。そこで、ITCの資格を取ろうと、指定教材を購入して勉強を始めましたが、経営分野とくに経営品質や成熟度に目が向いてしまい、セルフアセッサーの研修と認定を優先させてしまい、2002年の第3回のITコーディネーター補の試験に不合格になってしまいました。

 しかし、セルフアセッサーの活動を進めていくなかで、自分のコミュニケーションスキル不足に気づき、ファシリテーションやコーチングスキルの学習の場に積極的に参加するようになり、またIT化を進める上で、コミュニケーションがいかに重要であるかを十分に認識できるようになりました。

 今年度から、セルフアセッサーも専門スキル特別認定制度の対象になったことや、ケース研修のグループ活動で、いままで学習してきたコミュニケーションスキルが、どの程度実践できるかを確かめる意味でも、私費でケース研修の受講をすることにしました。

 今回の福岡会場のケース研修の受講者は17名で、IT関係の仕事を専門にされている方が13名(試験の合格者は10名)と専門スキル特別認定制度の対象者4名でスタートしました。当初、私は経営戦略フェーズではついていけても、IT戦略フェーズでは、グループの皆についていくことができないのではないかと不安でした。しかし、それも取り越し苦労で、私の所属したAグループは情報リテラシーや、属人的スキルの高い人の集まりであったこと、研修の課題が、自分の仕事にあまりかけ離れてないこと、そしてなによりも、インストラクターによる計らいでアイスブレークならぬ研修後のタイミングのよいノミニケーションが取り入れられたこともあり、研修の2日目までにはその不安もどことやらで、吹っ飛んでしまいました。 しかし、ほぼ毎週土日の終日の研修と、事前学習は、さすがに疲れましたが、インストラクターはじめ、参加者の全員の熱意と参加意欲により、回数を重ねるごとに、心地よい疲れに変わっていきました。

 しかし、最終日の研修の後、専門スキル特別認定制度の試験が80分行なわれましたが、これは本当に疲れました。合格発表は来年の1月ということですが、試験はできれば1回で終わらせたいものです。

 今回、新しいプロセスガイドラインでの研修ということもあり、フェーズも大きく経営戦略とIT戦略(調達、導入、サービス)になったことは、実務としては非常に理解しやすく取っ付きやすくなったと思いました。又、プロジェクトマネジメントが、プロセス&プロジェクトマネジメントの名称になったことは、「良い結果は良いプロセスから生まれる」といつも考えている私にとって当を得たりという感があり、嬉しく思いました。研修を終わってプロセスガイドラインを読み直してみましたが、最初よりも、中身がどんどん頭に入っていくのは、やはり良い研修プロセスの結果のおかげだなあと、インストラクターをはじめ参加者全員に感謝申し上げます。

 今後は、いま与えられている仕事を達成した後、この研修を通じて、学習したことや、知り合えた人的ネットワークの知恵をお借りして、少しでも人様に貢献できるような仕事ができるように努力していきたいと思っています。


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