2014年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(金沢)

2015/3/5
ITコーディネータ協会
事業促進部 中村 路子

 

 

2014年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(金沢)

 

 

講演内容
講演1
『企業の成長はいろいろな方の支援で実現』
会宝産業株式会社 IT担当 佐々木 亜希氏
講演2
『いま中小企業に求められるのは、支援機関・専門家との連携』
公益財団法人石川県産業創出支援機構 産業振興部ITアドバイザー 越田 幸一氏
講演3
『クラウドサービスの活用ポイント!』
アリーナシステム株式会社 東京支店ソリューション営業部主任 飯原 真梨氏
講演4
『ITコーディネータとしての中小企業支援事例(かないわ病院様)』
富士ゼロックス北陸株式会社 システムエンジニアリング部 課長 川上 正春氏
講演5
『IT経営へのクラウドサービス活用』
一般社団法人クラウドサービス推進機構 副理事長 高島 利尚氏
講演6
共催者挨拶
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 理事 高橋 明良

 

・参加人数 約60名
・参加者分類 ITC:約50%
 
今年度の「IT経営カンファレンス」4回目は石川県金沢での開催になります!
北陸新幹線開通を間近に控え、金沢の街はたくさんの観光客で賑わっていました。
生憎の雨でしたが、街中が新幹線一色で盛り上がる中での開催となりました。

 


 

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まずは、主催者の特定非営利活動法人石川県情報化支援協会(以下IISA)・原理事長より、開催のお礼とともに、今回のIT経営カンファレンスをはじめ、石川県の情報化とITC活動の活性化のために活動を広げて行きたい。とのご挨拶がありました。IISAは平成7年に創立し、来年で10周年となるそうです。

 

講演1
『企業の成長はいろいろな方の支援で実現』
会宝産業株式会社 IT担当 佐々木 亜希氏

 

(講演概要)

・会宝産業は、2~3年前までは地元でもあまり知られていない企業だった。
・「解体屋」ではなく地球環境に貢献する「静脈産業」の担い手として誇りを持って働いて欲しい。との願いがあった。「カンブリア宮殿」出演後、1日千通を越えるメールがあり、入社希望者、同業者の見学希望が殺到した。
・企業活動の根底には「経営理念」があり、理念を実現しながら実績を達成できるようになった。根底は「皆さま(社員・お客様・同業者)のおかげ」である。
・「社員」は朝早く出社し、掃除、挨拶訓練を自主的に行っており、月1回の社有車清掃なども自ら進んで行っている。社内勉強会も活発に開催し、仕事以外でも生活に役立つことをどんどん学んでいる。
・「同業者」と「RUMアライアンス」協会を立ち上げ、愛地球博市民プロジェクトに出展や、国際リサイクル会議、ドイツ環境会議にも参加している。また、IREC(研修機関)を立ち上げ、海外の技能者養成に努めている。
・「地域の皆さま」には、年に1回「会宝リサイくるまつり」を開催し、「パートナー企業」「社員(家族含む)」にも感謝のつどいを開催している。
・エコ産業は利益を生みにくいと言われているが、真剣に取り組んでいるうちに海外74ヶ国へ販売するまでになった。
・会宝ビジネスに必要なものは「仕入れ戦略と管理 収益予測」であり、成功のためには「スピード」「グローバル」「正確さ」がキーワードとなる。
・これを実現するためにITは欠かせないが、とても複雑なフローとなり、専門家であるITCの力が必要だった⇒そうして出来たシステムが「KRAシステム」である。
・自社のために開発したが、現在は同業者のために提供もしており、海外にも展開している。
・今後も「真のグローバル企業」として地球環境、人材育成にも努めて行きたい。
 
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講演2
『いま中小企業に求められるのは、支援機関・専門家との連携』
公益財団法人石川県産業創出支援機構 産業振興部ITアドバイザー 越田 幸一氏

 

(講演概要)

・クラウド化の利点は「コストが安い」「サーバースペックの拡大・縮小が柔軟」「サーバーの安定/BCP対策」だが、いいことばかりではないのか?「セキュリティの課題」「接続ネットワークの課題」「システム移行の課題」がある。
・「パブリッククラウド」は費用が安いがデメリットもある。「プライベートクラウド」は色々出来るが費用が高い。
・「IT経営の壁」日本は「部門の壁」が大きく、部分最適化で留まっている企業が6割超である。
・越えられない壁としては「IT経営の本当の意味を知らない」「重要課題の存在に気付かない」「人材を育てない」「必要な分がわからない」⇒成功要因抽出(取組むべき経営課題)の話がなかなか出来ない。
・支援機関として「ISICOビジネスマッチングサイト」を立ち上げた。⇒スマホ対応・自社での更新、発注、公募が可能。
・公的機関・民間機関の両方から中小企業の経営をサポートするためにも支援機関・専門家との連携が必要であり、企業の力を存分に発揮できるよう支援して行きたい。
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講演3
『クラウドサービスの活用ポイント!』
アリーナシステム株式会社 東京支店ソリューション営業部主任 飯原 真梨氏

 

(講演概要)

・クラウドとは?インターネットを利用したサービスになり、従来のオンプレミス環境ではなくネットを介したサービスを受ける事となる。
・クラウドのメリット①社内にサーバーを確保する必要がなくなるので管理は楽になり、地震、火災といったリスクからの回避もできる。②外出先から仕事が出来るようになり、作業のためにいちいち会社に戻らなくても良くなる。③複数のメンバーで同じドキュメントを同時に編集する事ができるので、文書が統一される。
・基幹システム構築の際にも、クラウドにすることにより開発しながら利用できるようになり、納品後のメンテナンスも楽になる。今時のクラウドシステムはプログラミングなしで、ユーザー自ら基幹システムを作成することが出来る。⇒「kintone」の実例紹介。
・このように「簡単に作って、簡単に直せる」システムを利用することにより、時間も費用も大幅に縮小することが可能となった。
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講演4
『ITコーディネータとしての中小企業支援事例(かないわ病院様)』
富士ゼロックス北陸株式会社 システムエンジニアリング部 課長 川上 正春氏

 

(講演概要)

・ITベンダーとしての従来の支援は調達~導入までであるが、業務改革、経営革新を目指した事例である。
・精神科のイメージ改善が国を上げて必要となっている。現代社会では精神疾患は5つ目の大病であり、早期介入・早期治療が必要であり、今まさに変革が求められている。
・7年前は全て紙主体で、ネット環境PC1台のみ。システム担当も総務と兼任の1名だけであった。IT化を進めたくてもITリテラシーが低く進まない状態。⇒システムを印新したいとの考えから大学病院のシステム見学をし、仮想化を進めたいとの思いを強めるが上層部が疑心暗鬼であった。何度も経営層とディスカッションし必要性を訴えた。
・2013年にIT管理課を設立。仮想化の合意が進み具体化して行く。各部署で情報連携出来ないと一元化出来ないため、あるべき姿を求め事業価値の再定義をする。
・仮想化構築が終了した頃、電子カルテ導入済みの病院を皆で見学し、病院がどうあるべきかを思い知った事により反対派の上層部が推進派へ。
・電子カルテ導入キックオフを開催し、導入に向けて推進するようトップダウンメッセージがある。業務の洗い出しについても戸惑いが多かったが「やるべき事」として部門システムは定期的に定例会を実施するが、WGが進むと「業務が増えるのではないか?」と部門ごとの対立が発生した。⇒結果的には標準化されるので協力して欲しいとトップからも訴える。
・教育を実施し、イメージを実感すると「全てITで自動化」を求めるようになり要求が殺到した。⇒ITは魔法の道具ではない。あくまでも標準化を目指すものだ。と再度トップからの訴えがある。⇒導入済みの病院をナース全員が見学し「あるべき姿」を思い出す。
・「外来リハーサル」(スピードが求められる)「入院リハーサル」(連携が求められる)を繰り返すうち部門間の理解が深まるようになった。
・運用開始時には20名が待機し、毎日会議をしたが大きな問題はなかった。現在は過去カルテも全て電子化しフルペーパーレスとなった。課題解決に向け、課題に即応するかたちを見出すことが出来た。
・「すべては患者さんのために」とマルチベンダー一丸となってサポートした。今後は急性期病院、早期治療、社会復帰への支援を目指し、地域と連携し医療サービスの向上へ向けてサポートしていく。

 

講演5
『IT経営へのクラウドサービス活用』
一般社団法人クラウドサービス推進機構 副理事長 高島 利尚氏

 

(講演概要)

・中小企業の経営環境が激しく変わっているのが現状である。クラウド導入により、タブレット端末・スマホの利用により画像情報の容易に共有できるようになり利用形態が全く変化した。小規模企業では、従来のFAX等が不要になり外出先から社に戻る必要がなくなった。
・経営環境の変化⇒グローバル化・IT化の進展・少子高齢化(唯一先が読める情報)・産業界の成熟化(特に家電⇒複雑化)/IT化環境の変化⇒クラウドコンピューティング・モバイル端末・SNS・デジタルネイティブの増加/AIDMAからAISAS、ショールミングへと購買行動は変化している。
昨日までと同じ事をしていても意味がない。いかに勝てるチャレンジをするか?いかに経営革新するか?⇒「攻めのIT経営」
・「中小企業IT経営力大賞」にみる特徴
多様な要求、変化に迅速に対応。「個」をいかにしっかり見るか?⇒機動力/儲かるしくみを作っているか?⇒トータルシステムの整備/社員間の情報共有⇒クラウド・モバイルの活用/経営者、現場の声が反映されたシステム⇒ベンダ主導ではなく/効果的、効率的な受注⇒Webの活用
これが出来ている企業は、385万社ある中小企業の中でも1,000社くらいで大変に少ないのが現状。
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・強い・よい企業とは⇒変化を捉えて自社の強みを提供し続けられること。そのためには「ビジネスモデルの再構築」「社員の一体感」「社員が自立的に情報発信」「関係者間の情報共有」が「経営者のビジョンに従って」変化に対応できるスピーディーな行動が出来ること。⇒クラウドの導入により出来るようになる。
・IT化における中小企業側の問題⇒「IT化を推進できる人材がいない」「必要性を感じていない」「受身スタイルの経営」「ITリテラシーが低い」「要求すべき事が曖昧」「ITは高いという先入観」「依頼先がわからない」等
・IT企業側の問題⇒「IT化によるお客様のメリットを理解していない」「そのための勉強をしていない(時間が無い)」「提案力がない」「経営戦略を策定できる人材がいない」「大手の下請けの方が単価が高いと思っている」等⇒共通した問題として「注文の仕方、受注の仕方がわかっていない」「中小企業支援策の認識が薄い」「マッチングの機会が少ない」
・中小企業がIT企業に求めること⇒「自社の要求を正しく理解して欲しい」「的確な提案をして欲しい」「約束は守って、時に柔軟な対応をして欲しい」
・IT企業の今後の取組⇒「提案能力を身につける」「中小企業の経営課題、思いを知る努力をする」
・これからの中小企業のIT経営は、激変する経営環境への迅速で的確な対応が必要であり、クラウド・モバイル等ITを利活用し、戦略的なIT経営のために経営者、支援者が一体となることが必要である。

 

まとめとし、共催団体としてITコーディネータ協会の高橋理事から、本日のカンファレンスで持ちかえっていただきたいことや、専門家活用のご案内についての講演がありました。
最後に林実行委員長よりお礼のご挨拶の後に、名刺交換会が開催され、カンファレンスに出席された方々がそれぞれに交流を深めることが出来ました。
 
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今回の石川のすぐ後に、富山でもカンファレンスが開催されます。今後のIT経営カンファレンスにも期待が高まります!

 


 

【開催情報】
セミナータイトル
IT経営カンファレンス2014in金沢
~どのように実現するのか!クラウド時代のIT経営~
ユーザ企業、県内支援機関、ITベンダーから聞く企業の経営課題解決と企業成長の為の勘所
開催日時 2015年2月18日(水)13:00~17:00
主催 特定非営利活動法人石川県情報化支援協会
共催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
後援 石川県、公益財団法人石川県産業創出支援機構、一般社団法人石川県IT総合人材育成センター、石川県商工会連合会、石川県中小企業団体中央会、金沢商工会議所、特定非営利活動法人ITコーディネータ富山、特定非営利活動法人福井県情報化支援協会、北國新聞社

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