中小企業支援ITコーディネータの育成強化施策

 

2011年12月21日
特定非営利活動法人
ITコーディネータ協会

中小企業支援ITコーディネータの育成強化施策について
~ 今後3年間で更に2,500名のITCを育成 ~


 

 特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会(会長:播磨 崇 所在地:東京都港区)は中小企業のIT経営(注1)の加速、高度化をさらに図るため、中小企業支援向けITコーディネータを3年間で2,500名輩出する大幅増強計画、ならびに新たな人材育成・研修体系および資格取得制度の一部改定に関する計画を本日発表いたします。


 【新施策の背景・狙いについて】

 我が国中小企業は長期に亘る国内景況、地域経済の低迷に加え、未曾有の東日本大震災および原発事故発生も重なり、かつてない厳しい経営環境に現在直面しています。さらにグローバル経済化の進展と昨今の円高に伴う企業活動の海外シフト動向など、今後の中小企業の企業競争力維持や持続的成長についても新たな課題を抱えています。
 このような状況の中、中小企業が抱える重点経営課題は既存ビジネスの量的拡大やコストダウン、業務効率化から、販路・市場の拡大、商品・サービスの高付加価値化および新しい収益源の確立などにシフトし、経営改革そのものへの取り組みが主要なテーマになってきています。一方、中小企業の重要な経営改革手段であるIT利活用の現状は、普及度や経営と直結したIT利活用の実現度から見ると、まだ十分なレベルには達し得ていない実態にあり、この大きな要因として、自社に適した社内外のIT人材の質的、量的不足が指摘されています。
 また、新しいIT潮流-SaaS、クラウドコンピューティングの進展はIT提供・活用の仕方を大きく変えつつあり、「所有から利用へ」、「開発からサービス活用へ」という流れを、中小企業の現場にどううまく取り込むかが問われています。


 当協会では、このような中小企業が抱えている経営課題を理解し、新たなIT潮流の積極的な利活用を通じ、中小企業の経営改革を支援する人材としてITコーディネータの質・量ともの増強を図るべく、中期的な観点から抜本的な人材育成施策と研修体系の改革を推進することにいたしました。


【中小企業支援ITコーディネータの増強施策ついて】 (補足資料別紙参照)
 第一の施策は中小企業が抱える経営課題解決に向け、企画・提案力を持ったITコーディネータ人材の積極的な拡大にあります。このため、研修体系に「中小企業支援者コース」を新設・導入し、中小企業の現場で要請される実践力の育成・強化を図ることといたしました。
このコースの研修受講対象者としては、主に中堅・中小規模ITベンダ内、地域ITベンダ内あるいは独立してビジネスに取り組むITコーディネータおよび地域支援機関、組織において中小企業を現場で支援するITコーディネータの方たちを想定しています。

 第二の施策として育成資格取得制度の一部改定を計画しています。具体的には、資格取得時のケース研修において、eラーニングや自主研修を組み込むことにより、受講期間、費用の軽減を行います。同時に資格取得後3年間をスパンとするフォローアップ研修を新たに導入します。受講期間、費用は、全体としてそれぞれ現行に対して4割軽減することを計画しております。 (ケース研修について)
 資格取得後の実践活動、実務経験を踏まえ、強化すべきITコーディネータ専門スキルないしヒューマンスキルを選択履修することによって、自立的な活動を可能とするカリキュラムの提供を目指しています。
今回の研修体系刷新を通じて、既に公表したITC実践力体系(注2)が目指している実践力強化プログラムの具体的な展開を進めてまいります。

第三の施策は、資格取得後のもう一つのスキルアップ実現施策として、地域、所属組織を越えたITコーディネータ間の「知のネットワーク」(注3)の拡充を図ります。これにより中小企業支援ノウハウの共有、横展開によるさらなる支援力の向上を図ることにしています。
例えば、農業、旅館業等の業種事例・ノウハウ、生産管理等の業務別専門ノウハウ、IT経営を実現するためのプロセスに関連する専門知識、知見などを見える化し、ITコーディネータの共通資産として育てていく仕組み作りを計画しています。

 当協会では、今回発表の以上の施策を通じて、2010年策定中期計画で掲げた10,000人育成(2015年度までの合計)目標に向けて、今後3年間で更に2,500名のITコーディネータを輩出していくことを計画しています。


【実施時期および施策詳細について】
上記施策の導入、実施時期は2012年度を計画しております。
なお、実施詳細につきましては2012年3月に改めて公表することを予定いたしております。

 

以上

 

(本件に関するお問合せ先)
〒105-0011
東京都港区芝公園1-8-21芝公園リッジビル8F
特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会
広報担当
電話:03-5733-8380
ホームページ:https://www.itc.or.jp

 

 

 

 

 

 

 






 【ITコーディネータ制度について】

 
ITコーディネータ制度は「経済産業省推進資格」として2001年に創設されました。現在全国で約6,500名のITコーディネータが様々な業種分野、職域で活躍しています。当制度創設時からの主要事業であるIT活用による中小企業の経営革新(IT経営)推進に関して、これまで国の政策への参画ならびに各地でのITコーディネータの活躍を通じ、支援実績を着実に積み上げてきています。また、新たなIT利活用潮流であるSaaS、クラウドコンピューティング分野においても、他団体、企業と連携し「中小企業支援SaaS利用促進コンソーシアム(SPCS)」や「みんなのビジネスオンライン」等の活動に積極的に取り組んでいます。ITコーディネータ協会及び事業詳細は、当協会ホームページをご覧ください。

*注記

 注1:IT経営
 
ITコーディネータ協会では、IT経営とは「経営環境の変化に合わせた経営改革と、ITサービスの利活用により、企業の健全で、持続的な成長を導く経営手法である」と定義しています。
 参照URL: 「ITコーディネータプロセスガイドライン」
 https://www.itc.or.jp/about/guideline/dlfile/itc_pgl_v2_0.pdf

 

 注2:ITコーディネータ実践力体系
 ITコーディネータが効果的にIT経営の支援を行い、顧客の期待に応えていくためには、IT経営に関わる知識に加え、豊富な経験と業務を実践できる力が必要です。ITコーディネータの人材像、役割、スキル、キャリアなどITコーディネータにとって必要な実践力を体系的にまとめたものです。
 参照URL: 「ITC実践力ガイドライン」
 https://www.itc.or.jp/about/guideline/dlfile/100601_jissenryokuguideline.pdf

 

 注3:知のネットワーク
 ITコーディネータの知見を集め、情報交換、相互学習、ビジネス連携ができる場で、全国各地に200以上の「届出組織」と、特定のテーマや、同じ業務に就くITコーディネータが集まって活動する「テーマ研究会」があります。
 参照URL: 「届出組織」 https://www.itc.or.jp/management/notification/
 SNS「知のネットワーク」 https://sns.itc.or.jp/index/login/

 

 別紙




 

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