ITCニューヨーク支局通信 Vol. 1

 

掲載日:2016年3月25日
 執筆:森 大樹

 

皆様はじめまして、私はITコーディネータの森 大樹(もり ひろき)と申します。
この度機会を頂きまして、ITCニューヨーク支局通信として本稿を執筆させて頂くこととなりました。至らぬ点があるかと思いますが、皆様どうぞ宜しくお願いいたします。

 

◆ITコーディネータ IN ニューヨーク
 
セミナーで講師を担当する筆者

 支局通信の記念すべき第一号ですので、先ずは私自身の自己紹介をさせて頂きます。私は大学卒業後にシステムベンダーに入社して以来、一貫してシステムインテグレーション畑を歩いて参りました。ERPを初めとした基幹系システムならびにBIと言われる情報系システムの開発・導入・およびそれらに関するプロジェクトのマネジメントを得意としております。
 ITコーディネータとしては、所謂システムベンダー主導のシステム導入ではなく、常に経営的視点を持ちながらの実際にシステムを使う方にとって使いやすく「納得感の高い」システム導入を実現できる事が私の強みだと自負しております。 


 私がITコーディネータの資格認定を受けたのは2008年度になります。資格認定後も日本にて企業内ITコーディネータとしてシステムインテグレーション業務に従事していましたが、たまたま機会を得て2013年12月から現地の企業に雇用される形でニューヨークに移住して参りました。駐米暦は今年で三年目を迎えます。
 日常の業務ではもちろん英語を使う機会が多いのですが、私自身は学生時代に特に海外留学をしていた訳でもなく、学生時代は英語が苦手科目と言う状態でしたので、こちらに来てからは日々英語に悪戦苦闘しながらどうにかやっている状態の日々です。
 ITを中心にカルチャーやトレンド等も織り交ぜながら、私がニューヨークの地を中心に、見た・体験した生の情報をこれから少しずつ皆様にお届けしたいと思います。
皆様どうぞ宜しくお願い致します。

 

◆海外拠点へのシステム導入の難しさ

 我々日本人にとって、海外へのシステム導入のケースで最も多いケースが、日本に本社を置く企業の海外拠点へのシステム展開のケースでしょう。
 特に私の経験上からは、日本の本社システムの刷新実施後にそのシステムをテンプレート化し、海外拠点にロールアウトするというケースが最も多いと感じています。
 こういった場合に、本社即ち日本主導でシステム導入が行われる事になるのですが、実際に導入を進めてみると、事前の要件ヒアリングでは拾い切れなかった日本本社と海外拠点とのビジネスシナリオの乖離や法制度・商習慣の違いに直面する事があります。
 ここでプロジェクトの人的・資金的・そしてスケジュールに十分な余力があれば問題ないのですが、この余力が無い場合にこの顕在化したギャップは現地法人の運用でカバーすると言う選択がなされるケースがあります。

 マディソン街 41ストリートの景色。
休日は多くの観光客で賑わっている

 こうなってしまいますと、海外現地法人のユーザから見ると自分達の意見が正しく聞いて貰えないまま、日本主導で自分達にとって使いにくいシステムを押し付けられたと捉えられ、ユーザの不満に直結する事になります。
 もちろんこれは一例ですが、日本本社と海外現地法人の間に物理的にも言語的にも距離がある場合には、ユーザのシステムに対する不満が募りやすいという事に注意を払う必要があります。
 なぜなら、海外現地法人ユーザのシステムに対する満足度の低下は、そのままシステムのデータ入力精度の低下に直結し、それは即ち海外拠点へのシステム導入当初の目的であった、グローバルでの決算早期化や、海外現地法人の業務統制強化といった経営目標が十分に達成されない事に繋がってしまうからです。

 

◆海外でこそITコーディネータの活躍が求められる
 
5番街42ストリートから東側に歩く
中央のビルはニューヨークの
有名な摩天楼の1つクライスラービル

 
 ここでITコーディネータとして決して忘れてはならないのは、海外拠点をマネジメントする経営者やマネージャの方の存在です。彼らは日本から離れた異国の地で、日本の本社と比べると大変限られた予算と人員という制約のもとに、業務を効率的に回して行くというミッションを背負っています。その中でシステムが担う役割は決して小さくありません。
 そんな経営的リソースの限られた経営環境下においてこそ、経営とITの橋渡しを担う我々ITコーディネータの真価が発揮できる場所だと考えています。ITコーディネータ協会のホームページにも記載がありますが、我々ITコーディネータは真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、IT経営を実現する人材なのですから。


 

 

次回は米国における人工知能(AI)の利用状況について、メディアの記事を中心にお届けしたいと思います。こちらで行われるカンファレンスやイベントへの取材や、執筆内容のリクエストもお待ちしております。
 
 
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