事例本文(九州システムアカデミー)

出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:48 (株)九州システムアカデミー   事例発表日:平成12年10月16日
事業内容:ソフトハウス
売上高:不明 従業員数:76名 資本金:2億円 設立:1989年5月
キーワード ソフトハウス、

IT化の提言
インターネットを経営に活かす
  

(株)九州システム・アカデミー URL:http://www.ksa-net.co.jp/

(株)九州システム・アカデミー 代表取締役副社長 高野博一氏
プロフィール

 福岡出身。関西大学卒業後、日本IBM(株)に入社。昭和57年より九州にて勤務されている。平成7年、九州システム・アカデミー代表取締役専務に就任後、平成10年に現職の副社長に就任。

~身近なところから始めるインターネット活用術~

 コンピュータに関わる仕事をし、コンピュータを仕事のツールとして使いこなしているIT業界そのものの人物である高野氏に、初歩から取り組めるインターネットの活用方法を語っていただいた。


■インターネットを何に使っているか
  当社は、福岡にあり、社員約70名、ソフトハウス、コンピュータのプログラムを作る会社です。まず、今日の講演にあたり、うちの社員10名をピックアップし、「どういうことにインターネットを利用していますか」というアンケートをEメールで行いました。その結果は次の通りで結構進んだ利用の仕方をしていると思います。
  ・ホテル予約
  ネットで予約すると料金が10~20%割引というところも出てきています。
  ・飛行機の空席紹介や予約
  インターネットなら24時間・年中無休体制
  ・交通機関の時刻表・ニュース、スポーツニュース・オリンピック速報・天気予報・出張時の地図・辞書がわり
  ・オンラインショッピング
  書籍購入(紀ノ国屋など)文具購入(アスクルなど)
  ・オークション・取引先ホームページ紹介・企業の資料取り寄せ
  ・技術情報紹介
  色々なところが無料公開しており、当社でも新しい案件のプログラム作成時などに活用しています。
  ・フリーソフトの情報入手やダウンロード
  ・各試験の情報収集、勉強
  ・インターネットバンキング・クレジットカード 

■従来の不可能を可能にするEビジネスの世界
  Eビジネスとは、リアルタイムに全世界同時に情報を入手できるインターネットを活用したものです。店舗なしでも、在庫なしでも、営業マンなしでも商売ができるメリットがあります。4、5年前までは、コンピュータの活用は、人がやっていたことをコンピュータが管理してスピードアップすることや管理精度を上げることが目的でした。しかし、Eビジネスの世界に入って画期的に違うのは、今まで全くできなかった商売の仕組み、ビジネスの仕組みを作り上げていけるということです。例えばアマゾンドットコムのようなビジネスは、今後もどんどん出てくると思います。
  それに追いつくためには、まずインターネットを自分で使えないとアイデアが浮かびません。そうして得たアイデアと、自分の商売を見ながら、あるいは周りの商売を見ながら色々なことを考えていくことが必要だと思います。
  まずはEメールを使いこなしましょう。もはやEメールはビジネスマナーという位置付けにあります。当社では、Eメールでお客様とのアポイントを取るようにしています。電話をして、詳しいことはあとでメールを見てくださいということもよくあります。Eメールの利用によりビジネスの情報をリアルタイムに共有しながら仕事ができるというわけです。IBMは全世界に約30万人の社員がいますが、アメリカ本社の会長から決算の翌日などに全社員あてに一斉にEメールが飛んできます。昨日発表した決算の数字に対して朝一のメールで会長が自分の言葉で語った内容ですから社員にとって感激があります。
  また、カーボンコピー機能といって、例えば会議録を出席した10人あてにメールで送る時にその部下あてにも写しを送っておけば、会議の状況が伝達できるというものもあります。他にも、転送機能、図面や表も添付して送信できる添付機能、ドラフト機能等も非常に有効な機能です。営業マンがお客様情報をコンピュータに登録して社員全員が共有できるSFA(セールスフォースオートメーション)も盛んです。要するに、色々な意味で情報を瞬時に伝達することによって社内の生産性を高め、同時にお客様や同業者の生産性も高めることができるといえるでしょう。

■インターネット活用でぐんと生産性向上
  私どもの業界では、特にメーカーとは、インターネットを使わないと基本的にはもう取引はしないという状況になっています。すでにファックスで取引している会社は、手間がかかってしょうがないという存在になってしまいます。当社は東京にも出張所があり、私は隔週ぐらいで行くのですが、福岡の本社でも東京でも案件はインターネットでやりとりしてチェックや指示ができます。発注もそこからそのままできます。
  また、情報を共有しながら共同で仕事を進めるグループウエアの形は、社内だけではなく、取引先、仕入先とも組んで行うところが増えています。協力会社とグループウエアを組みますと、顧客から見積依頼を受けた時に「あなたのところは1番と2番の見積を」「あなたのところは5番を」と各協力会社に依頼し、各社から上がったデータをコンピュータ上でソーティングすれば短時間で見積りができてしまいます。社内の提案書の類などはほとんど同じようなものを一部修正して使うケースも少なくありませんから、データベースあるいはサンプルとして持っていれば、何かの提案書を作成するにもスピードアップできます。
  それから、私はいつも携帯端末と携帯電話を持って回っているのですが、これさえあれば会社にいるのとほとんど同じ作業ができます。当社では3年間でパソコンを1人1台体制にしました。デスクトップで10万円前後、ノートPCで20万円前後というところですが、リースならせいぜい月に4,000円くらいのコストで生産性は格段に違います。私が今日ホテルに帰って、会社からのメッセージをすぐに見ることができるし、社員に指示を出すこともできます。
  当社では、社内掲示板も活用しています。掲示板をやっていますと色々な人が毎日見に来て、常時会社の中で仕事をしていない社員でも参加できます。ゼネコンさんなどで現場に1カ月滞在していて会社にいない方でも、掲示板で会社の様子がわかり、上司や同僚ともコミュニケーションがとれるなど、会社への帰属意識が持てます。休暇届け、フリートーク、チャットなどもあり出勤簿も電子化されています。プロジェクト状況表は、営業報告書のようなものです。
  当社では通常20~30のプロジェクトが動いているのですが、それぞれの状況をクリックすればすぐ見ることができます。会議室予約、社員のアドレス、社内規定、出張便利ガイドなど、さまざまな会社における情報が入っています。あるところから急に問い合わせが入って、Aさんがあの情報を持っているはずだという時に、Aさんからデータを送ってもらえばこちらでも対処できる仕組みもできています。つまり、どこででも会社の情報を常に持ち歩いている感じで仕事ができる環境が確立されているということになります。

■インターネットビジネスの好機到来
  インターネットビジネスのすすめについてお話します。こうしたことを行うシステムは今ではパソコン+社内システム(200~300万円)で十分にできます。これを5年前10年前に作ろうとしたら、数千万円、数億円かかったと思います。これほど安くシステムができ、インターネットビジネスを少ない投資で1人ででもできる時代になっているのです。システムはSOHO(Small Office Home Office)などに依頼すると安くやってくれるところがたくさんあります。期間は1カ月もあれば十分です。ということですから、社内でお考えの色々なビジネスを、例えばここから東京に向かって発信することもできる可能性が大いにあります。
  私の友人が行っているインターネットビジネスの事例をご紹介しましょう。魚釣りが好きだったので、釣り船の斡旋業をインターネットビジネスとしてやっています。九州各地の釣り船さんと契約し、インターネットで毎日さまざまな情報を流しています。どこでどういう魚が釣れているか、この船の船長はこういう特徴の人だということまで含めた釣り船紹介、天気予報など。ここ天草でどんな魚が釣れるかという情報も入っています。その情報を見るだけなら無料で、関心のある人は釣り船の予約をできるという仕組みです。会社は資本金1,000万円で株式会社にしましたが、システム投資は200万円程度です。このようなおもしろいビジネスも色々生まれてきていますし、中高年のユーザーも広がっています。

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