事例企業 |
有限会社ブロッサム(Z015) |
事例発表日 |
平成15年3月 |
事業内容 |
フラワーショップ、フラワースクール |
売上高 |
1億円 |
従業員数 |
- |
資本金 |
- |
設立 |
1999年 |
キーワード |
フラワーショップ、フラワースクール、ITリテラシ向上 |

ショップやスクールの運営に、
今やパソコンは不可欠な存在です。
インターネットの通信販売で注文を増やしたい―そんな動機でパソコン教室に通い始めた日坂さん。
オリジナルのホームページ立ち上げをキッカケに、パソコンの世界へ。
今ではショップのPOP作りやフラワーアレンジメント教室のツール作りに大活躍している。
有限会社ブロッサム 日坂 明広さん(40歳)
大阪芸術大学インテリアデザイン科卒業。4年前にフラワーギフトショップ「ブロッサム」を開業。
3店舗を展開中。またフローリストとしても活躍。作品は「ジャパンカップ」でも度々上位入賞を果たしている。 |
手作りのホームページめざしてパソコン教室へ
日坂さんのご実家は、地元で老舗として知られるフラワーショップ。 日坂さんは大学卒業後、いったん店舗設計の会社に就職するが、25歳のとき会社を辞めて家業を継いだ。
それから10年、日坂さんは経営者の父親をサポートしながら店を切り盛り。4年前には独立して、「ブロッサム」の名前で自分の店を構えた。
「生花市場の中でも、ギフトは景気の波に左右されにくい安定したマーケット。そこに狙いを絞った店を作ろうというのがそもそもの発想だったんです」
新しいコンセプトでスタートした「ブロッサム」だったが、スタート当初は知名度もない。
もっとたくさんの人に店を知ってもらう良い方法はないものだろうか―。
あれこれ思案をめぐらせる中で、日坂さんがたどり着いた答えが、インターネットを使った通信販売だった。
「その頃は電子モールやネット通販がちょっとしたブームで、大企業から中小の自営業者までこぞってホームページを立ち上げ、ネットショップを始めていました。
じゃあ、自分たちも一度やってみようということになったんです」
ついに完成した自作HP、5月にオープン
だがホームページの制作を外部の業者に委託するとなると、そこそこの費用を覚悟しなければならない。 そこで日坂さんはコストを安く抑えるため、自力でホームページを立ち上げようと決意。
お店が一息つく2月前後を見はからって、近くのパソコン教室に通い始めた。
「自分では、1日か2日くらいで出来上がるんだろうと簡単に考えていたんです。
なにしろパソコンがどういうものなのかまったく知らないし、キーボードに触ったこともない素人でしたから」
ところがいざフタを開けてみると、予想は見事に裏切られた。
「『Homepage builder』というソフトを使って作るんですが、暗号めいた記号やたくさんの操作をおぼえないといけない。
これは大変なことになったなあと正直思いました」
それでも店の将来がかかっていると思えば、苦労も苦労のうちには入らない。
日坂さんは悪戦苦闘の末、どうにか3ヶ月で自作のホームページを完成させた。あとはいよいよ、ユーザーからのアクセスを待つばかりだ。
「ところが期待に胸を膨らませて立ち上げたわりには、さっぱりアクセスがない。
ホームページさえ立ち上げれば自然とアクセスはあるものだと思い込んでいたんです。
実際には、アドレスをお客さまに知ってもらう広告活動がいちばん重要なんですが、そのことを知ったのはそれからずっと後のことでした(笑)」
日坂さんが悪戦苦闘の末に作り上げたホームページは、今でも使われている。少しずつだが、インターネットからのオーダーも増えてきた。
フローリストの第一人者である日坂さんの作品を自由に閲覧できるコーナーは業界関係者の間では評判だ。
日坂さんにとって、ITはなかなかどうして手強い相手だった。
スクールは生徒数が220名、大盛況の裏にパソコンの活躍が
インターネットショッピングで商売繁盛―。
日坂さんのその目論見は成功とは言えなかったが、それでもパソコン教室で身につけた知識や経験はしばらくして思わぬところで役立つことになる。
日坂さんは、独立して2年目の2000年、1号店の近くに新しく「ブロッサムフラワースクール」をオープンした。
女性をメインターゲットにしたフラワーデザインの教室だ。
スクールの生徒数は初年度こそ80名ほどだったが、次第に評判が口コミで広がり3年目の現在は220名を数えるまでになった。
フラワーデザインのスクールとしては、全国でも中規模クラスだ。
「いまフラワースクールの経営は、どこも厳しいはず。
そんな中で大きな費用をかけて宣伝広告をしているわけでもない私たちのスクールにこれだけ人が集まるのは、
やっぱり手作りの販促活動が功を奏しているからだと思うんです」
「ブロッサムフラワースクール」では、受講コースや年間カリキュラムの解説、体験レッスンの案内など手作りのチラシやビラを用意し、
スクールの入口などにおいて通りすがりの人がいつでも手にできるようにしている。
また新入生には、年間スケジュールなどを案内した「スクールガイド」を全員に配布。
生徒の作品はひとつひとつデジカメで撮影し、冊子にまとめて渡している。
そして、こうした販促物やガイドブックをすべてパソコンを使ってハンドメイドで制作しているのだ。
「パソコンで可愛らしい花の写真などを添えて作ると、出来上りの印象が全然違います。
何でもないことのようですが、これだけのことでスクールの見え方というものが大きく変わってくる。
組織として運営されているというイメージが生徒さんたちに安心感を与えるんです」
日坂さんは、パソコンを使ってこうした販促物の手作りするようになって生徒数が増えてきたという。
「当社の売上高は3店舗合わせて現在1億円あまり。フラワーショップの全国平均を少しですが上回っています。
売上げに対する貢献度という点ではスクールの存在はとても大きいし、そのスクールはといえば今やパソコンなしでは運営できないまでになっています」
ショップの運営にもパソコンが欠かせないものに
パソコンがなくてはならないものになっているのは、何もスクールに限ったことではない。
本業であるショップの運営においてもパソコンは不可欠のものになっている。
「例えばショップの店頭を飾るPOP広告や看板も、当社ではパソコンで作っています。
もっと分かりやすいのは、『花キューピット』ですね。
『花キューピット』は花束やブーケを全国各地に配達するデリバリーサービスで当社も加盟していますが、
来年から取り引きがインターネットを通じてしかできなくなるんです。
インターネット環境をもっていないフラワーショップは、いま大慌てでパソコンを導入しようとしています。
実は私の父親も、ついこの間からパソコン教室に通い始めたんですよ(笑)。悪戦苦闘はしましたが、パソコンを習っておいてつくづくよかったと思います」
日坂さんとITの出会いは、どうやら結果オーライだったようだ。
【ホームページ(ほーむぺーじ)】
インターネットで情報を表示するための画面。本でいえば表紙にあたる。
そこに組み込まれた絵や印のついた言葉をクリックすると、より詳しい内容の情報が表示される。
【ネットショップ(ねっとしょっぷ)】
ホームページをインターネット上に公開し、それを通じて通信販売を行うこと。ネットショップばかりをたくさん集めたサイバーモール(電子商店街)もある。
【Homepage builder(ほーむぺーじびるだ)】
米・IBMのホームページ作成用ソフトウエア。初心者から上級者まで幅広く使える。ホームページ作成ソフトの業界標準。
<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
(株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー
本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503) |
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