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ITコーディネータに役立つ図書の推薦と書評
図書名: SunONE完全解説 推薦日:2003/03/28
書評者: 森田 恭一郎 所属先: 株式会社大和総研

【要約と書評】
要  約
 IT分野で現在最もホットであるWebサービス。本書はWebサービスを体系的に理解するための解説書となり得る。
 本書はサン・マイクロシステムズが提唱する次世代コンピューティングのビジョンであるSunONEの解説書であり、 「SunONEについての全般的な説明」「SunONEを支えるテクノロジー」「SunONEシステム構築例」 「Webサービスを実現する製品群」という4つのセクションで構成されている。
 また、巻末には「SunONEキーワード&用語集」「J2EE+Webサービス関連製品一覧」が記載されており、 これもWebサービスを理解する意味で非常に便利である。
 本書を参考書、辞書として利用し、Webサービスの概念を理解し、今後継続的にウォッチしてはいかがかと考える。
書  評
 IT分野で現在最もホットであるWebサービス。ITに関わる者としては概要だけでも押さえておきたいものだが、様々な場面で断片的に語られているため、 私自身体系的に理解できずに困っていた。
 本書はこのような悩みを解決する良書であり、初級者、中級者がWebサービスを体系的に理解するための解説書となり得る。
 本書は題名の通りSunONEというSUNの技術解説に偏ってはいるが、J2EEを中心としたWebサービスの基本が全般に渡って記述されており、 SunONEを通してWebサービスの基本を習得することができる。 本書は大きく4つのセクションで構成されている。

1.SunONEについての全般的な説明
 ここではXML等の一般的なテクノロジーも絡めながら話が進んでいく。
SunONEの宣伝的な要素が多いが、まず概念を押さえるという意味で一読の価値がある。
2.SunONEを支えるテクノロジー
 XML、SOAP、UDDI、WSDL、ebXML、J2EE、サーブレット/JSP、EJB、J2EEコネクタアーキテクチャ、 JAX APIとWebサービス、といったオープンなテクノロジーについての説明が記述されている。
 これらは最新のWebサービスを理解する上で必須のものである。 各項目2~5頁程度で説明なされており、図付きで分かり易いものとなっている。
3.SunONEシステム構築例
 内容としては「J2EEを利用したWebサービス構築例」であり、オープンなテクノロジーによるシステム構築例である。 システム構成図や画面例も記載され、Webサービスで何ができるのかということが理解し易くなっている。
4.Webサービスを実現する製品群
 サン・マイクロシステムズ、日本アイ・ビー・エム、日本BEAシステムズ、日本オラクル、ボーランドが各社の関連製品を説明している。
 Webアプリケーションサーバー、開発ツール、各社の今後の戦略が話題の中心であるが、ユーザがそれぞれの製品をどのように利用しているかといったことも記載されている。 例えば、日本IBMのWebSphereについては、製品の方向性が2種類のエリアに伸びてきているようだ。 一方は、従来メインフレームやハイエンドのUNIXサーバー上で構築していたアプリケーションを、J2EEベースでWebAphere上に構築するユーザ。 もう一方はWebSphereをエンジンとして使って、その上で動くパッケージを利用するというユーザである。
 これらの事例は最新の方向性を知る上で非常に参考になる。
また、巻末には「SunONEキーワード&用語集」「J2EE+Webサービス関連製品一覧」が記載されており、これも非常に便利である。 主だったテクノロジーは「SunONEを支えるテクノロジー」に詳しく記載されているが、それ以外の関連用語に関してもかなり網羅されている。 Web関連の文書、記事を読む際にわからない単語が出てきた時に使えるツールである。 いわゆる情報処理用語辞典では網羅されていない用語もここに載っている。

 前述した通りWebサービスはホットなテーマである。 導入するケースは現状そう多くはないが、概要についてはITコーディネータとしては押さえておきたい。
 現状、SUNのJ2EEとマイクロソフトの.NETが2大勢力として争っている状態であり、ハードベンダー、ソフトウェアベンダとの提携話があり、今後の動きは見逃せない。 (例えば、WebSphereを擁するIBMが.NETとJ2EEをつなぐツールを開発しているRational Softwareを買収、 SiebelがMicrosoftと提携して、.NET寄りの製品開発を示唆、SAPがJ2EEと.NETの両方に対応することを発表、等の動きがある。)
 Webサービスについては未だに定義が確立されていない感があるので、巷に流れている情報を乱読すると混乱する可能性がある。 本書を参考書、辞書として利用し、概念を理解し、今後継続してウォッチしていってはいかがかと考える。

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