2013年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(福井)

 

2013/10/11
ITコーディネータ協会
事業促進部 山川 元博

 

 

2013年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(福井)

 
講演内容
基調講演 「ちょっとの頑張りが大きな革新に」
明治大学大学院経営学研究科教授 岡田 浩一氏
製造業事例講演 協和工業株式会社 代表取締役社長 鬼頭 佑治氏
(中小企業IT経営力大賞2013 日本商工会議所会頭賞)
小売・卸売事例講演 株式会社ウェルファン 代表取締役会長 清水 正憲氏
(中小企業IT経営力大賞2013 情報処理推進機構理事長賞)
サービス業事例講演 有限会社吉花 代表取締役社長 吉本 龍平氏
(中小企業IT経営力大賞2012 全国商工会会長賞)

 

・参加人数 80名
・参加者分類 集計中
 
2012年度から開催された“IT経営カンファレンス”。今年度も全国6か所の開催が決定しています。
先頭を切って、IT経営カンファレンス2013in福井が10月3日(木)13:30~17:30、福井県産業情報センタービル・マルチホールで開催されました。その様子と概要をお伝えしたいと思います。

 


   

 

当日は、福井県内外から80名の参加者を迎え、「ちょっとの頑張りが大きな革新へ」 ~中小企業は日本型経営革新で成長しよう~、をテーマに熱気あふれるセミナーが開催されました。
主催者の特定非営利活動法人福井情報化支援協会・栃川理事長から、今カンファレンス開催の趣旨・目的、ITを活用して経営を良くするお手伝いをするITコーディネータ組織で10周年を迎える福井県情報化支援協会の紹介、参加者の皆さんにぜひ“何か持ってかえっていただきただい”と挨拶がありました。  


続きまして、ITコーディネータ協会の高橋専務理事から共催者挨拶がありました。
開催の祝辞と一緒に、ITC福井のこれまでの活動への感謝と今後の期待、ITコーディネータ制度と協会活動のご紹介、ITと経営の今後などをお話ししました。

 


 

基調講演 「ちょっとの頑張りが大きな革新に」
明治大学大学院経営学研究科教授 岡田 浩一氏

 

IT経営力大賞の作業部会部会長を務めてこられた明治大学の岡田教授の基調講演は、カンファレンスの「ちょっとの頑張りが大きな革新へ」のテーマで、200年前のリカード的レント思考、100年前のシュンペーター的レント思考からの、「ちょっとの積み重ねがイノベーション」になる。データを情報に、そして科学へ(知識創造活動)は、人が考え行うこと。
成功事例を見る時の留意点は「何をしたか」ではなく「何故それができたのか」が重要、成功企業は5S、挨拶、従業員の活気など共通するものがあるとのお話がありました。

 
 

製造業事例講演 協和工業株式会社 代表取締役社長 鬼頭 佑治氏
(中小企業IT経営力大賞2013 日本商工会議所会頭賞)

 

・“いかにITを使わないでやっていくか”
・あるべき姿“冷間鍛造”(不可能と言われた⇒職人魂⇒常温で一発形成できるものを作った!)を創業以来求めてきた。
・以前は過剰品質だったものが、時代が変わり適正品質になった。
・10年改革を実施
・経営理念「よろこびと生きがいの実現」
・人材育成 あ4(アフォー)会合 月1回社長がマンツーマンで若手リーダーを指導
・異常と正常 ITシステムの構築に当たっては異常を正当化することをしない。
 (返品作業を効率化 ⇒ 返品をなくすには)
・システム構築時、ベンダー選定時に実績ばかりアピールするベンダーは古いのでは?という疑念を持った、、、結局“新しい”と感じたベンダーと開発を行っている。
・プロジェクト単位で人材開発、システム開発推進体制などを行っている。

 
 

小売・卸売事例
講演
株式会社ウェルファン 代表取締役会長 清水 正憲氏
(中小企業IT経営力大賞2013 情報処理推進機構理事長賞)

 

『経営戦略を支えるIT』
・高齢者生活支援用品、前日19:30までに注文があれば、全国翌日配送可の体制構築
翌日配送の物流⇒これを支える情報整備。
・在宅勤務社員に地域すべてを任せる(日報と月次の報告レビューでマネジメント)
・異常な情報から課題を抽出(ex.ピッキングに時間が60秒以上かかる、など)。

・経営戦略は2010-12中期計画を策定し、2010を踏まえて2013-15中期計画を実施中。
・システム化にこだわる ⇒ 売上に比例して増える仕事はまずシステム化。
・新システム開発に当たっては会長(自分)、社長(長男)、副社長(次男)、システム担当。
 がSE的仕事を担い、ベンダーとタイアップ。 稀有な事例。
・システムの面白い活用(同社では返品処理は異常ではなく普通のプロセス)。

 
 

サービス業事例
講演
有限会社吉花 代表取締役社長 吉本 龍平氏
(中小企業IT経営力大賞2012 全国商工会会長賞)

 

『メカ音痴が実践!ITを活用した経営革新』
・メカ音痴でもITを活用することができる
・中小企業が経営革新を実践できないワケ・・・一か八か?「一発逆転」「社運を賭ける」 そんな大きなことなんてできない、失敗するわけにはいかない。この先入観。
・ITはあくまでも手段、目的ではない。ITはあくまで現実の見える化。
・売り上げが下がっても収益を上げられる新しいビジネスモデル「直販比率向上」へ転換。
・データ、数字がすべて。ITは現実を残酷なまでに見せてくれる。

・成約率の高いHPを目指す。HPの1か所だけ変更しデータを採る。成約率が上がれば変更を採用、下がれば元に戻す。これを1週間単位でひたすら繰り返す。
・異業種(通販業界)から学ぶ。
・「ITを使いこなす」ということは「ITスキルを身につける」ことではない。
ITを使いこなし経営革新を実践していくために経営者に必須なメンタリティは二つ。
1.成功も失敗も存在しない。あるのは「テスト結果」だけ。目指すべきは「成功」ではなく「最適化」。
2.「現実をちゃんと見ること」「現実と向き合うこと」経営者のすべきことはほぼこれだけである。

 


 

◆まとめ◆
明治大学 岡田浩一教授
やろうとしていることの中、前にITがある。
だから経営者はそれを使う。
究極の倉庫業アマゾンは、昔の当り前、当然を壊した。ITを使って(場所管理、一筆書き経路)。⇒今の当り前は、将来当り前ではないかもしれない。日本的なよさを残す、経営者の皆様頑張ってください。
   
閉会挨拶:特定非営利活動法人福井県情報化支援協会 理事 横屋俊一氏
フォローアップのご案内(無料相談⇒専門家派遣事業⇒しっかりフォローしていきたい)を参加者の皆さまにアピールをされていました。
参加者のアンケートから複数の相談依頼もあったとお聞きしました。

また、参加された方との新たなつながりができたことで、新たな連携の枠組みに発展しそうなこともあったようです。
福井のITCの皆さまの意気込み、参加者へのアピール、運営の仕方、開催直後からの活動、どれを見てもお手本になるカンファレンスでした。
今年度6か所開催のカンファレンス、素晴らしいスタートを切れたと感じます。

 

 


 

【開催情報】
セミナータイトル IT経営カンファレンス2013in福井
開催日時 2013年10月3日(木)13:30~17:30
主催 特定非営利活動法人福井県情報化支援協会
共催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
後援 公益財団法人ふくい産業支援センター、福井県商工会議所連合会、福井県商工会連合会、福井県中小企業団体中央会、株式会社富山県総合情報センター、財団法人石川県産業創出支援機構、特定非営利活動法人ITコーディネータ富山、特定非営利活動法人石川県情報化支援協会

 

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本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 事業促進部 山川まで。
 

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