2017年度IT経営カンファレンス開催地概要報告(富山)

 

2018/3/2
ITコーディネータ協会
事業促進部 山川 元博


2017年度 IT経営カンファレンス開催地概要報告(富山)
 

講演内容
主催者挨拶 特定非営利活動法人ITコーディネータ富山
会長 吉田 誠 氏
基調講演 「職人技」から生まれる「感動」を「おもてなし」へ
~一個流し生産からIoTへと飽くなき挑戦~
武州工業株式会社 代表取締役 林 英夫様
特別講演 ITを経営の力として活かすために
特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会 会長 澁谷 裕以
閉会挨拶 特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会 山川 元博
・参加人数 61名
 

富山では4回目となるIT経営カンファレンス。
毎回、ITC富山の公開セミナーと一緒に開催され、多くの方に参加いただいています。
今回は、3月2日(金)に富山県民会館401号室にて開催されました。

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主催者挨拶 特定非営利活動法人ITコーディネータ富山 会長 吉田 誠 氏
(講演概要)
主催者のITコーディネータ富山の吉田会長より、IT経営カンファレンスin富山の開催説明と開会の挨拶がありました。
・これまでITを前面に出してこないセミナーだったが、今年は変えた
・人手不足という状況をきっかけに、“ITの活用”という企業が増えた
・人の採用ができない中で効率よくやるためにはITを活用しなくてはだめだ、という考えに変わってきた
・県をあげてITの利活用を推進している
・AIの話題が多い=⇒人の仕事を奪われるのかな?という論調が多い
・では、人がいらなくなってくる世界では人は何をする?
・SFの世界にはまだ時間がかかる、人がAIを使うことを考えたい
・また、人間がやる仕事は何か、AIがやる仕事は何か、を考えていかなくてはいけない
・“人を活かす”IT利活用をしなくてはいけない。
人を活かす、と言うテーマで2人の講師に来ていただいた。
・武州工業さんは以前からITを人を活かすために使ってきた、人を活かすIT活用の先駆け
・製造業もサービス業の時代
・ITコーディネータ協会会長には、ITを経営の力にすることについて講演いただく

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基調講演 「職人技」から生まれる「感動」を「おもてなし」へ
~一個流し生産からIoTへと飽くなき挑戦~
武州工業株式会社 代表取締役 林 英夫 様
(講演概要)
・会社紹介
・金融EDIとの連携、Fintechも視野に入れている、でもそんなに遠い世界の話ではない。
・武州工業はティア2の立ち位置。
・人口減少、採用ができないという時代に、おかげさまで人の採用はできている。昨日の会社説明会も100人くらいが来てくれた(80社合同説明会)。
・地元の人を採用して地元に貢献する、ということを念頭に頑張ってきている会社。
・LCCを実現。(ここだけ、ということで、バランスシートを投影していただいた)これは社内にオープンしている。
・先日タイに視察に行った、670台の旋盤機械が動いている。ここは20年前に青梅から海外進出した会社、たぶん世界最大の旋盤工場。⇒何をしているかというと、ほとんど検査をしている。
・タイは日給1000円、コストではさすがに勝てない。。。でも武州工業はそんな会社と勝負して勝とうとしている。
・現在8.20体制(1直8時間20分稼働)が実現できているが、昔は相当の残業時間があった。
・優良申告法人は80社、そのうちの1社(立川税務署管内は17000社ある)=税金を納めている会社が少なすぎる
・日本でいちばん大切にしたい会社(2017年)受賞。
・3年前まで、IT利活用やバランスシートなどはクローズだった。しかし海外との闘いをする日本の製造業がこのままではだめだと思い、オープン化した。日本が元気にならないとだめだと思ったから。
・ISO認証を取るのをやめた⇒ろくなことが無い⇒これは後半でお話。
・基本的に全員正社員化
・株価と売上を比較すると、少しのタイムラグで同じような動き、下請けなので仕方ない。そんな中、日本で元気にがんばって行かなければいけない。
・日本のものづくりに学ぶ=道具を作る、人に任せる、人を信頼する⇒一個流し方式
・道具をつくる=製品仕様に合わせたミニマムスペックの設備開発。
・人に任せる=溶接は難しいもの、しかし新人研修に必修で盛り込んでいる、そして人はできるようになる。属人化しないためには全員ができるという状況を作る。武州工業では全員ができる。
・武州庵=デジハブ、ハッカソンのようなことをしている。学びの場。
・付加価値がかかっているのに、時間がかかっていない。⇒なので動画や工場はクローズしていた⇒国内で戦っている場合ではないのでオープンした。
・U字型で一個流しの工程(動画)視聴。最終検査(品質保証も一人でやっている)⇒製品が完成する=品質保証までOK(検査部と言う部門は無い)⇒できたら積み込むだけ。
・自立性を担保するためにベクトルを統一する必要がある、それが品質保証につながる。
・以前はプロバイダをしていた。多摩でWebネットワークを作りたかった、2年でやめた、当時ネットつなげるのがダイヤルアップだった⇒FAXの方が早かったから。⇒社内のネットワークはWebでやっていたので、オフコンを入れたことが無い。
・社内Web版を作るために人を雇った、現場を知ってからと思い、3年現場をやってもらって作ったのがBIMMSというシステム
・BIMMS=日日決算のできる仕組みを作った(コンビニのPOSを目指した)=生産計画は作っていない。毎日「棚卸」をやる仕組み。毎日やるから可能になる。そのためにタブレット170台(全員が持つ)を導入した⇒その場で入力が可能になった。
・全員がタブレットを持っているので、体調も棚卸をしている(体調と生産に関係しているかもしれない)つまりビッグデータを集めている。
・紙で書いていたことをタブレットでやっているだけなのだが、正確な入力をしないと次の工程ができない仕組みにした⇒嘘をつけない環境(アラートがあがる)。
・ログインすると過去一年の実績が出てくる⇒納期、購買管理を見ると結構ばらつきがある⇒新購買の方法として、購入先(顧客)に在庫情報自動で送信⇒すると、顧客が仕事を増やしてくれるようになる。※富山の置き薬のIT版=自動発注(協力メーカーにとっても◎)
・リアルタイムな品質改善、工程能力を数値化。
・トレーサビリティ、紙で持っていてもデータではない、サーバーにデータがあるので、累計も分析もできる。
・QAネットワーク(TOYOTA)もやっている。実はTOYOTAもISOは取得していない。
・情報入力のIoT化=簡単入力。現場の動きを拾っているのは中古のiPOD Touch=ペースメーカでもありカウンターでもある。生産性が向上(20%)⇒基本給Upにつながった!。当初社員は嫌がったが結果が出ることで、当初2台だったものがいま60台に!
・停止理由入力版にバージョンアップ⇒1.5hも停止していることがわかった⇒改善対象の特定ができた。
・BIMMSのアプリ化をしている(4月リリース)。
・BIMMS on Cloud 共通EDIの実証実験をしている。受発注のフォーマットが各社バラバラ⇒共通化して効率化している=国連CEFACT標準に!
・全銀システムは(今後変わるが)ダイヤルアップで128文字しか送れないのでカタカナ表記。つまり金融機関は商流情報を持っていない⇒Web版になることで金融機関が持てるようになる。
・最初からデータで取ることでビッグデータになる、データ・緻密・自在・AIに活用。
・紙でやっていたことをデータ化しようとすると抵抗勢力にあって変化を拒むため、生産性が一時的に下がる(4年かかってまだ7割)。人が変わることがネックになっている⇒これは変わるのを待つしかない。しかし、インセンティブによってでも抵抗勢力を変えて行く必要がある、時間をかけると紙に戻ってしまうので、一気に変えることが必要。
―いくつかの質疑応答あり(4番目の質問に対して)
BIMMSをアプリにする=専門家がいない中小企業でも使えるものにしたかった。当社では利益の半分は社員と会社で折半にする=普段から見える化することでやる気、意味を持たせることが大事。X’mas会で高額商品のビンゴ大会をした=盛況だった、成果が出れば還元するのは当たり前だ。目標の作業線は自分で入れさせる、上司が入れた瞬間ノルマになる。
ITはもろ刃の剣、人を活かすことも殺すこともできる、気を付けないといけない
 

 


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特別講演 ITを経営の力として活かすために
特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会 会長 澁谷 裕以
(講演概要)
・1977年東京海上入社、以来ずっとIT部門。
・ITCとは、の紹介。
・目指す第2の創業計画。
・日本の中小企業の現実と、システム開発の失敗の多さ⇒明るい台所を作るには対話を繰り返して、納得できたものを作る。
・ITを取り巻く誤解⇒専門家に任せておけば! ITって数年に入れ替わるガジェットでしょ?、金食い虫!、これでは対話にならない。
・ITは変革のツール、でも本質的には見えない、対話は経営者とかわす、その繰り返しでITは経営の力になる
・事例紹介①梅田和紙株式会社&ITC先織氏
対話による見える化と自分ごと化
経営力向上計画書を
・事例紹介②大東亜窯業&ITC水口氏
在庫の山からのスタート
・事例紹介③セイブクリーン
15年にわたり伴走型支援
ITエコタウンの実現
ITで効率化、ではなく、社員のインセンティブ、やる気を高めることが重要
ITを花開かせるために大事なのは変革の土壌づくり
・小さな一歩、そしてそれを連続させる
大きな船を動かすことと同じ、ITも小さな一歩、それを連続させる⇒大きな変革にしていく(できればレバレッジ効果の大きな光る一歩を)
・第2の創業計画のなかでの様々なネットワーキング
自治体、銀行、信金との連携、企業内ITC活性化 exオービックビジネスコンサルタントのような。
・ユーザー企業の経営者の皆様、対話を繰り返してITコーディネータを・ITをぜひ活用いただければ幸いです。
 
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閉会挨拶 特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会 山川 元博

・過去4回の開催の内容披露。
・本日の講演からコメント。
・IT、ITCの利活用促進のご紹介。
 
 


 

 

 



 【開催情報】
セミナータイトル IT経営カンファレンス2017 in TOYAMA
~人を活かすIT活用~
開催日時 2018年3月2日(金)13:30~17:30
会 場 富山県民会館401号室
主 催 NPO法人ITコーディネータ富山
共 催 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
後 援 富山県、(独)中小企業基盤整備機構北陸本部、(公財)富山県新世紀産業機構、富山県商工会議所連合会、富山県商工会連合会、富山県中小企業団体中央会、(株)富山県総合情報センター、富山経済同友会、(一社)富山県経営者協会、(一社)富山県情報産業協会、日本政策金融公庫富山支店、日本政策金融公庫高岡支店、(株) 北陸銀行、(株) 富山銀行、(株) 富山第一銀行、富山信用金庫、にいかわ信用金庫、(一財)北陸経済研究所、(株)北日本新聞社、(株)チューリップテレビ

 



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本件に関するお問い合わせは、ITコーディネータ協会 事業促進部まで

 

 

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