PMI/ISOのPM最新動向のご紹介

掲載日:2017年12月22日
執筆者:田島 彰二
今年(2017年)は、ITCにとって参考になるビジネス分析と実践に関する世界の標準・ベストプラクティスが発行/更新された年だった。そのポイントは、二つあり後述する。ITコーディネータの利用の観点からは、ビジネス分析標準、ポートフォリオ・マネジメント標準等の上流領域での概念、ツール、プロセスの考え方が利用できる。これらに関しては、ITCフォローアップ研修c4.「IoT環境で企画から実践までのベネフィットリアライゼーションマネジメント」で紹介している。
一つ目は、一般的にはプロジェクトマネジメントの元締めとも目されている、プロジェクトマネジメント協会(米国)から、新規のビジネス分析のガイド標準(1版)(*1)が発行された。さらに、ほぼ4年毎にオリンピック年周期程度で更新されてきた、主要な3つの標準、ポートフォリオ標準(4版)(*2)、シリーズ物のプロジェクトの固まりをビジネス観点で効率を上げて管理するプログラム標準(4版)(*3)、一つのプロジェクトをしっかり仕上げるプロジェクトマネジメント標準(6版、PMBOK®と言われる)(*4)が、更新された。
二つ目は、これらのベースとも見られるプロジェクト関係のISO世界標準のISO21504(ポートフォリオ標準)、ISO21503(プログラム標準)、ISO21500(プロジェクト標準)、ISO21505(ガバナンス標準)が最後のプログラム標準が、8月に発行され出揃った。
https://www.jsa.or.jp/dev/iso_project_mngment/
これらは、最近の変化の激しい環境に対応するためにいかに俊敏にビジネス分析から、実践につなげて、結果を出すベネフィット・リアライゼーション・マネジメント(BRM:
Benefit Realization Management)に対応したものだとも言える。
これらの標準には、特にPMIのものはISOとの対比を利用者の面から考慮したとも言える。作業フェーズにおいてどんなツールと技法を適用すべきかなどの参考情報を一覧の形で追加したり、実施する個人の特性/コンピタンス(能力)の高め方の部分まで記述したり、IT経営推進プロセスガイドライン(PGL)のIT経営認識、IT経営実践で具体的な分析、実施に適用できる各種ノウハウも記述されている。特に、ITCのビジネスの観点から上流の作業領域で、ビジネス分析、リスクを踏まえたポートフォリオ・マネジメント、それを実践につなげ、実行していく上でプログラム・マネジメントを業務に取り込んでいくことが結果を出すために必須な知識となると思われる。以下に、そのプロセスガイドライン(PGL)と上記のPMI標準類の位置づけを重ねて記述する。
*1;The PMI Guide to Business Analysis, PMI,ISBN:978-1-62825-198-2
*2;The Standard for Portfolio Management Fourth Edition, PMI, ISBN: 978-162825-197-5
*3;The Standard for Program Management Fourth Edition, PMI, ISBN: 978-1-62825-196-8
*4;A Guide to the Project Management Body Of Knowledge(PMBOKR Guide) Sixth
Edition, PMI, ISBN:978-1-62825-194-5


※参考
米国プロジェクトマネジメント協会の日本支部(PMI日本支部)のホームページはこちら


執筆者プロフィール
田島 彰二 (たじま しょうじ)
キャリア(経歴)
国内大手製造業者に入社後、IT系新規事業開発(自社向、顧客向)をプロジェクトとして実践。事業責任者も経験、その後独立して、新規事業関係、IT系ビジネス、
PM系のコンサルタント、教育を実施。 PMのISO化(ISO21500シリーズ)の委員、米国PMIの現4標準全ての貢献者、英国PRINCE2の日本語翻訳監修者でもある。

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