事例本文(北海道エニコム)

出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:38 北海道エニコム(株)   事例発表日:平成12年12月8日
事業内容:ソフトハウス
売上高:40億円 従業員数:295名 資本金:8000万円 設立:1985年11月
キーワード ソフトハウス、

IT化の提言
IT化をどう進めるか  

北海道エニコム(株) URL:http://www.hokkaido.enicom.co.jp/

北海道エニコム(株) 代表取締役社長 山本輝之氏
プロフィール

 1941年北海道函館市生まれ。1963年東京工業大学経営工学科卒業。
同年 富士製鉄(現在の新日本製鉄)に入社。1993年北海道エニコム常務取締役就任。1997年同社代表取締役社長に就任、現在に至る。
2000年北海道情報処理産業懇談会代表幹事就任。

~システムインテグレータとして、IT社会における企業のあり方を提案~

 北海道エニコムは、室蘭のIT化のリーダー役として期待されるところ。その企業の社長である山本氏に、今の時代のポイント、IT化へのアドバイス等をわかりやすく語っていただいた。


■もはやインターネットを無視して生き残れない
  当社は、本社を室蘭に構え、札幌と東京に支店があり、社員数300人、売上高40億円の企業です。もともとは新日鉄の室蘭製鉄所のシステム部門が鉄だけではない利益体質を求めて分社してできたもので、室蘭製鉄所のコンピュータ関係のアウトソーシング先として委託されています。
  それ以外に、さまざまな企業のシステムの受託開発も請け負っています。お客様のニーズに合わせて最適なシステムとソフトウエアを組み合わせて納めるシステムインテグレータということです。現況は東京のクライアントが中心ですが、北海道あるいはこの室蘭地区での仕事を増やしていきたいと思っています。
  こうしたIT業界の仕事を行っている私の目から、IT社会とは何かということからお話します。4、5年前からインターネットが急激に増え、グローバルに通信できるものが出来上がりました。このインターネットの上に立って社会のほとんどの活動が行われるようになるということです。例えば電子商取引、BtoBやBtoCです。BtoBは企業間取引ですが、トヨタ自動車が部品発注を世界に向けてインターネットで行なえば、世界中でいちばん安いところが見つかる。そのような取引がどんどん増えていくことでしょう。そうなると、当然それに応じない企業は商売ができなくなります。そういう社会が目前なのです。BtoCは企業が消費者に商品販売をネットを通じて行なうものですが、これもまた消費者向けの商売をなさっている方などは時代の流れとして取り組んでいかざるをえないでしょう。
  電子決済も定着しつつあります。ネット上で決済をやってしまうもので、銀行関係も力を入れています。
  また、政府が4、5年後には電子政府をやると言っています。当然自治体も巻き込んだものになるので、情報処理産業に関わる企業は日夜勉強しているところです。電子政府で想定されるのは、許認可を全てネット上で行うとか、国の入札もここで行うなど、まさにインターネットのもたらすネットワークとつき合っていかなくてはならない世の中だということです。

■インターネット端末としての携帯電話
  インターネットの普及は、日本はアメリカ、韓国より遅れています。しかし、携帯電話によるインターネットは圧倒的に日本で普及するのではないかと思います。NTTドコモのiモードには、1年の内に1,000万台の加入がありましたし、今でも毎月130~150万台くらい加入しているそうです。携帯電話の技術は日本がいちばん進んでいて、さらに使いやすく進化していくでしょう。2002年くらいには、おそらく通話よりも、データ転送のために携帯電話が使われることが増えるのではないでしょうか。そうすると電話じゃない、携帯情報端末と呼ぶほうがいいという話があります。パソコンよりも安いし、パソコンほど扱い方がむずかしくない。安いし、手軽だし、持って歩けるというメリットを考えると、インターネットの端末として携帯電話を使ったソリューションにもっと取り組んでいくべきだと考えています。
  例えば、社内メールや勤怠管理も携帯電話で行うといったことも考えられます。営業の現場では、セールスマンがお客様のところで商談中に「50個欲しいけど在庫あるか」と聞かれたら、携帯電話で社内システムに接続して在庫状況が即確認でき、「在庫が100あるから大丈夫ですよ」と答えられる。「じゃあ50個発注するわ」と言われたら、その場で携帯電話に受注を入力するということも実現されるでしょう。
  おそらく、21世紀は、携帯電話とインターネットがソリューションのキーワードになると思います。

■さあ、IT化に積極的に取り組もう
  では、このような世の中において企業はどうしたらよいのでしょうか。
  まずは何と言ってもインターネットを始めなさいということです。プロバイダのコストは、入会料と使用料に加えてプロバイダまでの電話料がかかるので、室蘭の企業なら当社のような室蘭のプロバイダを利用するとか、市内電話でかかるプロバイダにつなぐのがコツです。そして、情報発信のために、ホームページを作成するなど、インターネットと自分の会社が繋がるようなことから始めてみましょう。
  また、インターネットで外部とやりとりしていても、社内システムがないと競争力、経営革新という意味では効果がありません。社内システムの構築に努めることも重要ポイントです。現在請け負っている事例を紹介しますと、ある土建会社ですが、本社にLANが構築されていてグループウエアサーバーがあり、アプリケーションとしては工事管理と財務管理用のサーバーがあり、当然本社の全員にパソコンが配布されています。また道内に何カ所もある拠点とも回線で繋がっています。
  業務システムについては、もはやアプリケーションを作っているようではダメ、作らないとならない特殊な仕事の仕方をしていること自体、もう競争に負けるということです。パッケージでできている仕事の仕方が標準だと思って合わせていくようにしなくてはいけません。できるだけパッケージソフトを使うことが大事です。
  インターネットについては、まずは繋ぐこと、そして、どこまでやるかは各企業の事情によりますが、インフラを作ってアプリケーションをだんだん増やしていく方法で対応していかないと生き残っていけません。

■否応なしにIT化は進む、上手に専門家を活用して
  「俺は社長だからパソコンは触らない」と言っている方は、とにかくまずパソコンに触れることから始めてください。社員も含めて全員がパソコンに親しむようにしましょう。それから携帯電話も必需品です。
  社内インフラの整備は、「餅は餅屋」の発想で、専門家に頼むことをお勧めします。ネットワークを作ると今度はセキュリティの問題への対応、データベースのデータの重要度によって二重に持つなど技術的な知恵が必要ですが、そこまで社内で技術者を養成して行う必要はないと思います。システムインテグレータにお任せ下さい。また、大量のデータを自社に置いておかなくても、専門的な倉庫に預けたほうが安心ということでデータセンターへのニーズも高まっています。
  ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)もポイントです。専門的なものよりも誰が考えてもこういうシステムだというようなものが先に普及すると思われますから、業務システムよりCADなどのソフトウエアを使いたいというニーズがあるかと思いますが、そこでASPを活用するとよいでしょう。
 このように確実にIT社会が来ていますし、否応なしに対応していかなくてはなりません。当社は地元の皆様方のIT化のお手伝いをさせていただきたいと考えておりますので、何かありましたらお気軽にご相談下さい。

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