事例本文(ショウエイ)

出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:42 (株)ショウエイ   事例発表日:平成12年10月19日
事業内容:循環濾過装置製造
売上高:11億4600万円
2001年度
従業員数:74名 資本金:7000万円 設立:1974年5月
キーワード 循環濾過装置製造・販売、
見積精度向上、
BtoC、CAD、iモード
ITの業務革新
  

(株)ショウエイ URL:http://www.shoei-roka.co.jp/

(株)ショウエイ 代表取締役 辻 永氏
プロフィール

 昭和49年設立。環境濾過装置の製造、販売業。
業務OAシステム、3次元CAD設計、インターネットを利用した総合システムなどを積極的に導入し、顧客の要望に応えた質の高い商品とサービスの提供に心がけている。

~町工場からメーカーへ、自社製品に取り組む企業のIT戦略とは~

 温泉の湯をいつでもきれいに保つための循環濾過装置の製造メーカー、(株)ショウエイは、創業直後のオイルショックから今日まで時代の変化の中で、絶えず新たな事業の可能性を見いだそうと努力を重ねてきた。温泉の濾過装置の開発から販売までを行う現事業により、かつての1億5千万円から10億円を超えるまでになったのである。社員数も97年25名、98年33名、99年55名、2000年64名と増加。コンピュータやネットワークを活かしてさらなる発展を目指している。


■業態の変化とともに、IT化によるシステムづくりを徐々に推進
  当社のIT化の現況は、業務の中にITを取り込みながらシステム構築をすすめているところです。
  まず、会社概要についてお話しいたします。昭和49年設立、最初は下請の板金の仕事が主でしたが、オイルショックの影響で仕事が激減したことから、遊園地の遊具機器など金属加工の分野に転換いたしました。遊戯機械のマーケットもパラダイムの変化で将来性が望めないと思っていたところ、ある時、水処理装置のプラント業務を行なっている会社から、非常に温泉成分の強いところに製品を納める仕事がありました。温泉成分によっては鉄製・ステンレス製などの金属製品が腐食して破損してしまいます。そこで、腐食しない軽い素材、つまりFRPを使ったら市場に受け入れられるのではないかと考えて、FRPタンクを開発して製造したのが現在の業務に転換したきっかけです。このように業態を変化させていく中で、"町工場からメーカーへ"という目標を掲げて展開するにあたり、自社製品の開発、製造から販売までのシステムが必要になりました。そこでコンピュータを活用してシステムを少しずつ作り始めたわけです。IT化を進めるにあたり、最初に導入したソフトは、買掛、売掛を見るTKCの販売ソフトです。その後、財務ソフトも導入いたしました。また、手書きで図面や系統図などを書いていたものを全ての図面はCADで一本化され現在はオートCADを使っております。ショウエイオリジナルの見積ソフト「みつもろうVer6」は、今もマイナーチェンジを行い進化させながら使っているのですが、お客様への見積もり提出速度は業界NO1を自負していまして強力な戦力になっているソフトです。また、従来技術者にしかできなかった技術資料や計算書の作成を「プラン96」と言うオリジナルソフトの開発により、誰にでもすぐに資料提出できるように致しました。この計算ソフトの完成により従来1週間くらいかかる技術計算資料が1~2時間で提出することが出来まして、これもお客様に大変喜ばれております
  その後、LAN、ホームページ作成等に着手し、最近では受発注ソフトを作成いたしまして、いよいよ在庫、生産管理用ソフトの製作に入っていこうというところです。
  私共の業務の流れは、まず引き合いがあり、CADによる系統図の作成、技術計算資料の提出が必要になり、その後、見積書を作成いたしまして、ネゴがあり受注となっていきます。この流れによりオリジナル業務ソフトの中で、いちばん活躍しているのは見積ソフトでして現在はバージョン6です。計算ソフトは「プラン96」の他に「スイミングプラン」などのオリジナルソフトがあります。販売促進のために新製品を商品化した時は、その都度、必要に応じて新しいプログラムソフトを開発していきます。
  WANは営業所と九州工場と本社で立ち上げたものの、当社の規模では必要なかったという感じです。九州に工場がありますが、営業所も、ほとんどインターネットを使って業務を済ませています。WANよりもインターネットが使い勝手が良いのではないかと思います。営業マンやメンテナンスサービス担当者は、ノートパソコンを持って仕事をしておりましたが、現在、営業マンはiモードがあればメール送信や資料を得ることができますので、だれもノートパソコンを持っていきません。メンテナンス担当者については、現場に行ってデジタルカメラで写真を撮り、それをパソコンで本社に送り「ここが悪い」「あそこが悪い」とやりとりをするので、今でもパソコンを持って行くことが時々あるようです。

■ IT化の成果と問題点
  見積速度業界第1位の目標を達成。
見積ソフトのバージョン6の開発においては「誰でも簡単に使用できる」「データを管理できる」「見積速度を業界のNO.1にする」などの目標を当初より掲げていました。このソフトを導入すると、見積日、見積番号、物件、品名、金額などのデータが作成できることはもちろんですが、いつからいつまでにいくら誰が見積もったか、その所要時間はどのくらいだったか、などもわかるようになっています。また、データは社長の私と、役員、社員では役職によって見るところが異なります。
  この見積ソフトの作成における問題点として、DOSからWindowsへの変更があります。ちょうどWindowsが出る前にDOSで作っていましたので、後になって切り替えるのに相当なエネルギーを必要としました。その後はWindowsになっていますからこの問題点は解消されました。
  ソフトは、新しい商品を市場に出す、価格変更をするなど、絶えずマイナーチェンジが必要です。現在バージョン6ですが、もっともっと進んでいくと思っております。また、オリジナルソフトの開発でソフトベンダーさんにお願いする場合に、可能、不可能が明瞭ではなくソフトベンダーさんにお願いすると、たいていの場合「それはちょっと無理ですよ」という答えになります。そこを諦めずに、「どうしてもこういうふうに」と訴え、「ここはこういうふうにしたらどうか」など提案を含めて話を進めていくと、だんだん出来上がっていく事が結構あります。このことを念頭において、自社にあった業務ソフトを製作する事が大切でしょう。オリジナルソフトの「プラン96」熱交換器「豊」の選定プログラムソフトでは、製品開発と同時にプログラム開発を進めました。

■インターネットを利用した新規ビジネス
  将来に向かって、インターネットを利用したビジネスを行いたいと考え、2000年11月から始めておりますのが、「いつくしみ21」です。企業間のBtoBではなく、BtoC、いわゆるコンシューマーに向かっての情報提供を行い、ホームページ上で「いつくしみ21」というパッケージ型露天風呂販売を見ることができます。従来、露天風呂を作るとなると、造園業、庭師などにお願いするのですが、ここではそっくり全体をインターネット上で情報提供して、販売につなげることを目的とします。3Dソフトにより、自分がほしいと思っている映像が取り入れられるので、バックが海の露天風呂など自由に描くことができます。そして、各パーツを選択しながら入れ替えていき、その合計金額、つまり積算がわかる仕組みです。3年前からアイデアを練って準備を進めてきて、ようやく公開できるようになりました。モデルプラントを長崎県の平戸や神奈川県の相模原に作っていて、完成致しましたら、Web上で紹介していきます。
  これからの高齢化社会において、福祉を考え、お年寄りが楽しめる施設づくりととして、「いつくしみ21」を立ち上げました。今後はリラクゼーションをテーマにハードとソフトを合わせたものを提供できる企業になっていきたいと考えております。
  最後に、当社がIT化を進めるきかっけとなったひとつは、ここの5階にあります中小企業支援センターに相談に行き、ご指導いただいたことがきっかけです。また、IT化を進める上で大切なこととして、私共は、M2企画と言う良いソフトベンダーさんと知り合えたことがきっかけでしたが、信頼できるソフトベンダーとコンタクトをきちんと、とっていくことが大切だと考えています。

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