●届出組織(ITC沖縄)のはじまりを教えてください
|
ITC沖縄はITC制度資格維持のポイントを取るために、コミュニティを作って勉強をしましょうということで5人から始まりました。公共事業入札条件でITC資格が必要という話もあり設立後数年は順調に会員数が増えていきましたが、2006年、2007年ごろより企業所属のITC離れが始まりました。この時期は企業からするとITCのメリットが見いだせなくなったようです。
沖縄は他の地域と違い、周囲を海に囲まれているため他県との行き来も無く完全にひとつの県でひとつのIT経営応援隊でした。
IT経営応援隊事業の委託先は沖縄県情報産業協会だったのですが、企画立案や事業を遂行するメンバーはITC沖縄のメンバーが中心でした。ITC沖縄は任意団体なので事業の受託はできないし、その当時は資金調達をしてまで自ら事業を受託したいという考え方もありませんでしたので、沖縄県情報産業協会を通して活動をさせていただいていました。ただ、沖縄県情報産業協会を通して、公社だけでなく、沖縄総合事務局とのつながりもできました。
|
|
●設立当初(IT経営応援隊時代)から現在のITC沖縄の活動について教えてください
|
沖縄はIT立県を目指していますので、設立当初から公社や情報産業協会等の支援機関とも密着な関わりをもって応援隊事業を中心に活動してきました。
|
沖縄は”島“なので他の地域と比べて不利なところがあるのです。他の地域では1つの都道府県ではなく隣接した地域でのマーケットがありますが、沖縄はどうしても海を渡らないといけません。地域関係なしに経済活動できるのはITなのです。
沖縄は2000年から県として情報産業に力を入れてきた結果、情報産業に関係する企業も雇用も増えました。今は、より高度な人材の育成に力を入れており、その一つとしてITC取得を進めています。もともとは公共事業の入札のためのITC取得が、ITCを活用した人材育成に変わってきたのです。 |

ITC沖縄 前代表理事 西平 点様
現在はITC沖縄理事兼一般社団法人
ITCビジョン琉球の代表理事
|
|
このように変わってきたのは、ITCが沖縄県情報産業協会と係り、公的機関に所属し活動していたことも多く、それらを見てもらってきたことが大きいと思います。
|
|
|
●ビジネス志向の届出組織「一般社団法人ビジョン琉球」の設立経緯とITC沖縄の強みはなんでしょう
|
応援隊事業の活動は、中小企業の支援に必要で大事なことであり、中小企業との接点としてITCの自分達が自ら進んでやっていくことではありますが、支援事業なのでなかなかビジネスにはなりません。
ITCとしてビジネスをする必要性を強く感じ、対企業、支援機関から直接仕事が取れるようにするためにビジネス志向の法人団体(一般社団法人ITCビジョン琉球)を作りました。将来独立したい人や、企業を退職した人たちの受け皿としても使いたいというのも目的です。
ITC沖縄にはベンダー出身のITCが多く所属しています。
ITベンダーで培った経験を生かせるのはITCだけ。新技術、新言語だと若い人が優位ですが、ITCは経験を積み重ねた分だけスキルになっていくのです。 |

|
|
|
●4月から新ケース研修になりました、何か変化が感じられますか
|
以前のケース研修では、社内において社員の管理能力(管理者としてのスキル)の判断材料としてITC資格が使われていましたが、今年から受講側の企業スタンスが変わりました。今までの受講料(50万)では企業の部長クラス以上がメインの受講者でしたが、受講料が安くなったことにより受講者の範囲を広げられるようになってきました。今までなかなかITC受講者を出してくれなかった企業さんも営業研修などにITC制度を取り入れ社員のスキルアップとして活用してみようとスタンスになってきたように感じます。
沖縄の場合、県がIT人材育成の支援事業を強化していますので、私たちの考えも、支援事業による県内IT人材育成を活用しようと思っています。
県の高度人材育成のスタンスはITCのスタンスと合致していると感じます。企画、開発から導入、運用までの全工程をマネッジメントする上流工程で仕事ができる付加価値の高いIT人材の強化を目的とした講座を要望されていますが、まさにITCプロセスガイドラインがうってつけなのです。
これまでは技術者を育てる講座(JAVAやアンドロイド等)が多かったのですが、上流工程のできる人材を育てていかないと今後沖縄県がITで発展していくことはできないというのは県も意識しています。そこに対してアプローチしていくにもITCは最適です。また、今年は一括交付金のおかげで補助(iTAP)が出るのでケース研修にも補助の付くことが決まりました。
ITCビジョン琉球がビジネスの機能をアップできるチャンスが来ているので、ITC沖縄とうまく連動させることができれば活性化できると思います。
|
|
●県内外の支援機関、ITCやITC届出組織とのつながりは
|
ITCは設立の当初から、沖縄県情報産業協会をはじめ、沖縄県産業振興公社、内閣府沖縄総合事務局など、さまざまな支援機関との連携や応援隊事業など国の事業をとともに歩んできました。これからも基本的な形は変わらず、多くの支援機関とともに県内の中小企業支援を進めていきます。
先に触れた一括交付金の目的は、沖縄県民が沖縄のために予算を使ってなにかやるというもの。一過性のものではなく後世に残していく事業に役立てなくてはなりません。そういう意味で沖縄県自体が今年は勝負の年になっています。ITC沖縄としてもこれまで以上に情報産業の推進役として役立っていきたいと思っています。
ITC沖縄のメンバーには沖縄の主要IT企業の管理職が参加しており、いろいろな情報共有もできています。おかげさまで第2期のケース研修もすでに8名の参加が確定していますおり、(6月末現在)支援事業や沖縄県の情報産業推進の意識が高まるとともに、さらに増える見込みです。
また、公的機関だけでなく県外のITC届出組織とのつながりも大事にしています。ITC栗原さんをはじめ、ITC中部の矢口さんやITC-Labo.の川端さんは良く沖縄に来ていただいています、沖縄がお好きなのでしょうね(笑)観光立県として沖縄に来ていただくことは大歓迎です。公社の事業やITCの活動支援ではITC栗原さんと繋がりを持っております、おかげで明日のITC沖縄10周年記念シンポジウムにも基調講演をお願いできました。
|
|
●ITC沖縄さんのように多くの支援機関やITCとの連携は他の届出組織から見ても理想だと思います。どうしたらこのような繋がりが作れるのでしょうか
|
支援機関の中にITCがいるのかいないのかでも違いはあると思います。
連携のきっかけは、IT経営をうたったITC資格が出来たときに、当時、公社職員のITCであった兼次さんの働き掛けで公社のIT活用経営戦略支援事業の前身の事業である情報化モデル事業が立ちあがりました。
同じ方向性を持ったもの同士連携がはじまり、その関係をキープしてきました。
そのうちにIT経営応援隊事業が始まり、情報産業協会からのお話がITC沖縄に来ました。 |

|
公社や中小企業支援センターのサブマネジャなどの専門家対する能力基準に会計士や中小企業診断士と並んでITCが含まれており、何人かのITCが専門家として公社に採用されてきました。こんな感じで広がっていったわけですが、大事なことは先輩ITC達がそれらの機関と連携を続けていく努力をしてきたことですね。支援機関からの要請に応えられるメンバーがいたことも大きいと思います。 |
|
|
●ITCビジネスと共存とは
|
ITCはコンサルタントなので一人でも仕事が出来なくはないはずです。ただ、ITC沖縄の独立系ITCの場合、それぞれの役割や得意分野が違うので保管し合う方が強いようです。また独立系のITC自体があまり増えていないことが幸いしているのかもしれませんが、かえって一緒にやったほうが効率的だねという話になっていて、うまくまとまっています。
ITC沖縄のメンバーはずっと地元でやってきた人たちが多く、何よりも沖縄のことをわかっています。
だから無茶な動きもしません。仕事があれば、ITC沖縄・ITCビジョン琉球内で分担した方が効率的なのです。
|
|
●これからのITC沖縄についてお聞かせください
|
ITC沖縄・ITCビジョン琉球の体制は整っているので、それをしっかりビジネス・人材育成を軸として回していきたいです。また、ITCビジョン琉球の方をきちんと稼げる組織にすること、それと並行してITCの認知度、必要性を高めていくこと、支援機関との連携も更に強めていくことが大事だと思っています。
支援機関内のITCの方も任期満了や退職されたりして、少なくなってきています。もっと支援機関との繋がりを強くして、県内の中小企業支援に取り組んでいきたいですね。そうすればITCビジョン琉球が稼げるITCの組織になるでしょうし、そうなればITCを取ろうと考える人も増えてくるでしょう。
実践をやって、そのノウハウをITC沖縄に提供する。ITC沖縄のメンバーもそのノウハウを学ぶことによって自らの営業活動に生かせると思うのです。そういう実践活動を学べる場がITC沖縄、という感じでうまく回して活用できればと考えています。
また、今年度からITCケース研修を受講しやすくなる環境が整います。現在、県内のITCは約50名となっていますが、この機会を活かしてITCを100名規模に増やしたいと考えています。それにより、県内ITベンダーのレベル向上が望めるだけでなく、ユーザ企業のITCも増えることにより、企業のIT利活用力、経営力も向上し、結果的には沖縄の企業全体が潤うことになるのではと考えています。
|
|
●ITC沖縄内部の変化、世代交代などはいかがですか
|
今、中心となっている世代は60代ですが、もっと若手ITCを育てようと考えています。
沖縄のIT業界のメインはNECさんや富士通さん等の県外発の企業だったのですが、最近は地元企業で21世紀沖縄を掲げるOCCさんに変わってきました。ITC沖縄の代表理事であるOCC出身の下地さんの働き掛けがあり、OCCさんが会社をあげてITC取得に動いてくれたおかげで若い世代が増えてきました。去年のケース研修の受講者も30代が中心です。今年は受けやすくなったことも手伝ってさらに若い人が増えていきそうです。
ITCビジョン琉球とITC沖縄も、その様な若い世代が入会することにより組織も活性化していくと思います。
|
|
●最後に、他の地域に負けない沖縄の良さを聞かせてください
|
地元愛は沖縄が一番!それがみんなの根底にあります。
OCCさんが中心になり始めたのも地元愛からきているからだと思います。
ITCが一番活躍できるのは地元なのです。
地元の小さい企業は大手のような情報部門、専門家を社内に置くだけの余裕はありません。そこを支えられるのはITCだけなのです。
本当は県外に出て行った方が儲かるのかも知れないけれど、地元のために頑張るんだ!とやっている企業さんっていいですよね。
多分、そういうITベンダーやユーザー企業さんの中に良いITCが生まれてくるのかもしれないですね。 |
 |
|
|