事例情報

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
15 東京鋼鐵工業(株)

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東京都北区 「CSOによる我が社の情報化戦略」

現在42歳の若い経営者である田辺氏は、かつて大学卒業後入社したばかりの時から会社の問題点を把握し、解決に取り組んできた。そのツールがコンピュータだ。自社の営業マンが「自社の在庫表は当てにならない」と言う会社をどのように変えてきたのか。
45億円
130名
1億2768万円
戦略立案
オフィス家具製造
在庫管理
在宅勤務

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
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30 北海道地図(株)


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北海道旭川市 「情報革命時代の地図づくり~
      地図屋から空間情報ソリューションへ」

  紙媒体の地図から電子媒体の地図への変化は、地図にさまざまな情報を付加することになった。北海道地図、という社名から連想する範囲にとどまらず幅広く、業界において屈指の地位を築いている同社は、IT革命の中でも注目されている地理情報システム(GIS)の担い手として大きな使命を果たしつつある。もはや地図屋にとどまらず、空間情報ソリューション企業と名乗る同社の事業を紹介していただいた。
不明
270名(2001年4月)
7000万円
戦略立案
地図調製・印刷・出版
地図の電子化
GIS

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
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16 (株)山田農園


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広島県広島市 「サイバーモールの構築事例と情報化への取り組み」

グループウェアやワークフローなどの導入により社内の情報化の推進役を担ってきた定木氏が、時代に即したビジネスの形として始めたのが、WEB上のショッピングモール「楽市らくじゃん」である。始める前と実際に始めてからと、変更、改良した部分も多く、苦労は多いが、着実に育っているようだ。
不明
34名(2001年)
4000万円(2001年)
戦略立案
園芸植物輸出入
園芸モール実証実験
CRM
ショッピングモール

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
J
0
0
1
(株)***** 大阪府大阪市 「経営改革と戦略ITの刷新」

ある企業が株式公開を目標に業務の標準化と情報装備の高度化を進めていたが、うまくいかなかった。 途中でバトンタッチされた経験豊かなコンサルタントがどのように進めていったか・・・・・・。
100億円
310名
9000万円
経営改革
・環境用品、
  エコロジー用品製造
・基幹業務&支援業務
・Webベースの
  総合システム
J
0
0
6
美保テクノス(株) 鳥取県米子市 「総合建設業における
     戦略情報化企画コーディネート 事例」

美保テクノス株式会社は、設立後45年間土木建設業を営み、現在では地元の最有力総合建設業社に成長している。 美保テクノス株式会社からは、「現行グループウェアの活用についての相談」という依頼内容であった。 しかし、実際に訪問し、ヒアリングを行って、最終的には「土木事業全領域の今後のIT化戦略の提案」を行うに至り、 本ケースはIT導入段階を経過し経営成果を実感出来ない企業のIT戦略再構築の事例と云えるものである。
84億円
140人
1億円
経営戦略
・総合建設業
・土木工事管理
・グループウェア
11 矢橋林業(株)


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岐阜県大垣市 「矢橋グループイントラネット構築事例
  /グループ全体の情報提供および情報共有を目指して」

矢橋グループは、従業員数など規模的には中小企業の範疇だが、手がけている事業の数の多さから見れば大企業並みといえる。 異なる事業を柱とする3グループに加えて海外に子会社も有し、繁雑さが増すばかりであった経営環境を改革したのがイントラネットであった。 自らが、習うより慣れろ、でパソコンを使いこなすようになった矢橋社長は、社員にも何とかパソコンを使う機会が増えるように、とISO取得にも取り組んだ。 こうして社員の志気が高揚し、全体の活力が向上したひとつの事例を見てみよう。
95億円(1998年4月)
200名
4500万円
経営革新
建設、建設材料製造・販売
トップダウンでの情報化
イントラネット構築

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
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事例の主要局面
キーワード
J
0
1
7
(株)***** 近畿地方 「中小建設業SWOT・BSCによる重要経営課題の策定」

公共事業の減少、競争激化による営業利益率の低下を余儀なくされる建設業界にあって、 どのように生き残り策(経営課題)を決定するか、またIT活用をどのように勧めていけばいいのか、・・・・・
32億円
45名
9400万円
経営改革
・経営戦略策定
・SWOT
・クロスSWOT
・BSC
J
0
0
1
(株)***** 大阪府大阪市 「経営改革と戦略ITの刷新」

ある企業が株式公開を目標に業務の標準化と情報装備の高度化を進めていたが、うまくいかなかった。 途中でバトンタッチされた経験豊かなコンサルタントがどのように進めていったか・・・・・・。
100億円
310名
9000万円
経営改革
・環境用品、
  エコロジー用品製造
・基幹業務&支援業務
・Webベースの
  総合システム

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
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資本金
事例の主要局面
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23 池内タオル(株)


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愛媛県今治市 「愛媛県内の中小企業における情報化戦略」

発注から納品までの時間を短縮する方法として、生産工程に関わる企業同士の情報共有を図って成功したのがQRである。今日でいうSCMと相違ない。日本屈指のタオルの生産地、今治における業界のIT担当者として池内社長が取り組んできたQRのドラマには、IT革命によってあらゆる業界に起きている従来の流れから新しい流れへの潮流が渦巻いている。
8億4000万円
(1998年度)
32名
1000万円
戦略立案
タオル製造業
製造リードタイムの短縮
バーチャルファクトリ

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
23 池内タオル(株)


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愛媛県今治市 「愛媛県内の中小企業における情報化戦略」

発注から納品までの時間を短縮する方法として、生産工程に関わる企業同士の情報共有を図って成功したのがQRである。今日でいうSCMと相違ない。日本屈指のタオルの生産地、今治における業界のIT担当者として池内社長が取り組んできたQRのドラマには、IT革命によってあらゆる業界に起きている従来の流れから新しい流れへの潮流が渦巻いている。
8億4000万円
(1998年度)
32名
1000万円
戦略立案
タオル製造業
製造リードタイムの短縮
バーチャルファクトリ

2010.07.08
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53 (有)佐倉きのこ園


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千葉県佐倉市 「電子商取引の紹介と取り組み方の事例」

佐倉きのこ園の園長さん齋藤勇人氏は平成6年に脱サラしきのこ園を創業。完全無農薬の椎茸栽培に取り組み、現在生椎茸年間45tの生産量を誇るまでになった。通販への販路拡大、観光農園の展開、インターネットモールへの出店により、複数チャネルの相乗効果を活かした、いわばクリック・アンド・モルタルの成功モデルである。園長さんにきのこ園創業からの事業展開と、その中で既存顧客中心のターゲット・マーケティングや新規顧客開拓に、低コストの販促ツールや電子小売店という道具(IT)を何故導入し、どのように活用してきたのかを語っていただいた。
不明
16名
300万円
戦略立案
産地直送販売
ダイレクトメール
ショッピングモール

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
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従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
03 (株)喜多屋


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福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

江戸文政年間から酒造業を営む老舗・喜多屋の7代目として創業以来の経営理念や品質に対するこだわりは大切に継承しつつ、経営においては情報化という新しい風を吹き込んでいるのが木下社長である。酒造りは伝統のある世界だけに、蔵の中に今も残る習慣や受け継がれてきたやり方が根を張っている部分が少なくない。一見、システム化とマッチしないようなイメージのある独特の業界において、どのような情報化を進めてこられたのか、興味がわき上がる。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード
18 太洋産業(株)


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岩手県大船渡市 「情報を活用した業務革新」

銀行畑から食品製造の財務及びコンピュータシステム担当へ、数字のプロとして業績を築いてきた内藤氏。SAPのR/3を導入し、製造業に伴う材料入荷から原価計算、出庫までをシステム化する業務革新により、即時性を高め、コストを大幅に削減することに成功した。その手腕を語っていただく。
不明
875名
2億7500万円
業務革新
食品製造
製造原価計算の即時化
ERPパッケージ
25 (株)喜多屋 福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

  規制緩和が進み新しい価値観が生まれる時代の風を読み取り、IT化の重要性を認識していた木下氏。この若き経営者は、戦略的情報活用の原理ともいえるトップ主導型を遂行し見事に業務改革を推進している。正の字で出荷数を計算していたレベルから端末によるスキャンなど、一新したシステムとその効果を伺ってみた。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
03 (株)喜多屋


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福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

江戸文政年間から酒造業を営む老舗・喜多屋の7代目として創業以来の経営理念や品質に対するこだわりは大切に継承しつつ、経営においては情報化という新しい風を吹き込んでいるのが木下社長である。酒造りは伝統のある世界だけに、蔵の中に今も残る習慣や受け継がれてきたやり方が根を張っている部分が少なくない。一見、システム化とマッチしないようなイメージのある独特の業界において、どのような情報化を進めてこられたのか、興味がわき上がる。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード
25 (株)喜多屋 福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

  規制緩和が進み新しい価値観が生まれる時代の風を読み取り、IT化の重要性を認識していた木下氏。この若き経営者は、戦略的情報活用の原理ともいえるトップ主導型を遂行し見事に業務改革を推進している。正の字で出荷数を計算していたレベルから端末によるスキャンなど、一新したシステムとその効果を伺ってみた。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
45 シャボン玉石けん(株)


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福岡県北九州市 「無添加石けんと、その販売戦略」

  シャボン玉石けんといえば無添加石けんの製造販売で業績を伸ばしている企業である。売上高の約半分を通信販売が占め、その受注を支えているのがコールセンターだ。全国からひっきりなしにかかってくる電話をいかに効率よく、しかも真心込めたマンツーマンの応対で処理するのがポイント。Webショップの展開も行っている。パソコン導入以前から受注業務の現場に関わってきた平安氏に、CTI導入のいきさつから成果までを伺った。
不明
93名
3億円
戦略立案
無添加石けん製造・販売
コールセンター
CTI

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
45 シャボン玉石けん(株)


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福岡県北九州市 「無添加石けんと、その販売戦略」

  シャボン玉石けんといえば無添加石けんの製造販売で業績を伸ばしている企業である。売上高の約半分を通信販売が占め、その受注を支えているのがコールセンターだ。全国からひっきりなしにかかってくる電話をいかに効率よく、しかも真心込めたマンツーマンの応対で処理するのがポイント。Webショップの展開も行っている。パソコン導入以前から受注業務の現場に関わってきた平安氏に、CTI導入のいきさつから成果までを伺った。
不明
93名
3億円
戦略立案
無添加石けん製造・販売
コールセンター
CTI

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
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事例の主要局面
キーワード
Z
0
0
8
木澤鉄工所(株) 兵庫県 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例8-

時代に取り残されないために、
3次元CADの勉強を始めました。


木澤鉄工所は昭和46年の創業。プラント設備や立体駐車場など多種多様な製品を製造する。 社長の木澤さんは、10年前から鉄骨CADを仕事に導入。今年新たに3次元CADを購入し、勉強を始めたばかりだ。
不明
10名
不明
IT活用
・鉄工所
・ITリテラシ向上

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
J
0
1
5
東海バネ工業(株) 大阪市福島区 「作って納めるまでのシステム」から「儲けるシステム」へ

当初は、社長としては情報化に関してはあまり問題を感じていなかったが、他の方のアドバイスも聞いてみたいということで西岡IT塾に応募してみた。 進めて行くにしたがって会社は少しずつ変化しはじめ・・
13億円
70人
9645万円
経営戦略
・製造
・営業支援、在庫削減
・情報共有、Web再構築
12 (株)ユニオン 大阪府大阪市 「情報を活用した業務革新」

バブル経済崩壊後の不況の中でも、ことに苦しんでいるのが建設業界だ。ドアハンドルメーカーとして圧倒的なシェアを誇るユニオンも、バブル期に210億あった売上が今では150億を割る現状にある。しかし、それほど売上が落ちても経常利益の割合は4.7~4.8%くらいをキープ、立野社長自らが自負する評価の高い数字である。そのカギはやはり情報の活用にあった。
130億1600万円
(2001年3月)
175名
4億4800万円
業務革新
ドアハンドル製造
インターネット販売
リアルタイム在庫
17 住友電装(株) 三重県四日市市 「戦略的情報化投資への決断 我が社のあゆみと課題」

激変する産業構造の中でも、自動車業界の変化は目覚ましい。グローバリゼーションの波が容赦なく襲い、自動車メーカー各社はたくさんの課題に懸命に取り組んでいる。そしてまた、共存共栄してきた部品メーカーも同様の環境のもと、自動車メーカーからの厳しい要求にいかに対応できるかが生き残れるかどうかの分岐点となっているのである。たくさんの苦しい課題を抱えながら戦略的な情報化投資に取り組み、売上増加にまで効果を結びつけた住友電装の事例に学ぶことは多い。
1953億円(1999年3月)
4590名(2001年9月)
50億3400万円
(2001年9月)
戦略立案
自動車部品製造
生産の柔軟性
設計リードタイム短縮
35 穴織カーボン(株) 大阪府高槻市 「製造業におけるインターネットの活用」

こつこつと物造りを行う誠実な中小企業というイメージだった穴織カーボン(株)が、その真摯な姿勢はそのままに、ITのいいところを取り入れてさらに発展を遂げている。大企業とも外国企業とも取引を行い、コンスタントに受注を得られているという。インターネットはツールとはいうものの、穴織カーボン(株)ではそのツールをどのように使いこなしているのだろうか。
2億5000万円
20名
4000万円
戦略立案
カーボン製品製造・販売
少量多品種生産
インターネット販売
42 (株)ショウエイ


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神奈川県川崎市 「ITの業務革新」

  温泉の湯をいつでもきれいに保つための循環濾過装置の製造メーカー、(株)ショウエイは、創業直後のオイルショックから今日まで時代の変化の中で、絶えず新たな事業の可能性を見いだそうと努力を重ねてきた。温泉の濾過装置の開発から販売までを行う現事業により、かつての1億5千万円から10億円を超えるまでになったのである。社員数も97年25名、98年33名、99年55名、2000年64名と増加。コンピュータやネットワークを活かしてさらなる発展を目指している。
11億4600万円
(2001年度)
74名
7000万円
業務革新
環境濾過装置製造・販売
見積速度向上
BtoC
44 (株)オーテック 神奈川県横浜市 「仕事を獲得するための情報化」

  経営コンサルタントとして(株)オーテックの情報化戦略に関わった光井氏の語る事例は、中小零細企業でもすぐに取り組めることばかりだ。初年度5千万円だった年商を5年目に13億円にまで伸ばしたオーテックの成功を支えたIT化ストーリーとは。
不明
84名
1億4900万円
戦略立案
金型・プラスチック
  射出成型製造
ダイレクトメール
EDI

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
01 (株)高知豊中技研


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高知県南国市 「情報を活用した経営革新」

ガス関連機器の製造メーカーである高知豊中技研では、製造にあたって各製品ごとの部品をセレクトするのに多大な間接工数が必要だった。情報システムの構築を決断し、業務の特殊性や将来性を考えて、あえて業者に外注せず社内での開発の道を選択した。スタート時には購入したソフトを使える人材さえいなかったが、それから、今日までの歩みはまさに手作り感覚。今後はその達成感とノウハウを強味に、システムのさらなるパワーアップを目指す。
4億円
44名
5000万円
経営革新
ガス関連機器製造
業務データの利用
社内開発
27 (株)カナジュウ・
コーポレーション



コメント
神奈川県横浜市 「経営革新にITをこう生かす
      /ナレジマネジメントシステム構築事例」

カナジュウコーポレーションは、LPガス販売、厨房給湯機器・冷暖房機器販売、ガス配管工事などの事業をDyneCS(ダイネックス)という基幹システムで行っている。創業が1963年という歴史のある企業において、手書きや紙を使ったアナログの業務体制から、革命のごとくデジタル化が進められた。その経緯、効果などを牧野社長に語っていただいた。
不明
51名
8000万円
経営革新
LPG販売・配管工事
冷暖房設備販売
CRM
46 (株)南野産業


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大阪府東大阪市 「情報を活用した業務革新」

  鋳物鋳造業というと熟練工が不可欠なイメージである。2代目社長の南野氏は、自らIT化に取り組み、ニーズの多様化・高度化・スピード化の進む時代にニーズに適応できる業務改革を実現した。できるところから始めた、最低の投資で最大効果をあげる。謙遜がちなお話の中に、中小企業にも参考となるIT化のヒントがあるようだ。
不明
35名
不明
業務革新
鋳物鋳造
トップダウンでの情報化
インターネット販売

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
05 山本精工(株)


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京都府城陽市 「経営効率改善の為の情報化取り組みについて」

厳しい経営環境にあえぐ日本の産業の代表例ともされる製造業。利益率の低下にあえぐ上に、3Kと言われる労働環境、従業員の高齢化もあり、将来性を憂える声も少なくない。しかし、そんな状況にITを武器に革命を起こした人物がいる。山本昌作氏である。家業である鉄工所、山本精工において情報化を進めてきたきっかけと道のりは大変興味深い。
不明
26名
1200万円
経営効率改善
アルミ素材加工
少量多品種生産
知的作業と
  ルーティン作業の区別
08 東北リコー(株)


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宮城県柴田町 「IT/Sを利用した間接部門の生産性向上」

長引く不況の時代は、見方を変えれば企業の本質が問われる淘汰の時代でもある。経営におけるクオリティの高い企業は、生存し、発展していくのは当然の論理。ここにもその好例となる企業がある。東北リコー(株)。時代の流れに迅速に対応、低コスト体質づくりに取り組み、その大きなベースとしてIT/S活用を推進してきた。その効果は売上高推移のデータが如実に物語る。売上低迷に苦しむ企業が多い時代においても、確実な伸びを示している。2000年3月15日、東証2部に上場を果たしたばかり。21世紀に向けてますます発展が期待される。
754億7700万円
(2000年度)
1419名(2001年3月)
22億7200万円
間接部門生産性向上
事務機器製造・販売
間接部門の生産性向上
事業計画策定業務の変革
09 田中精密工業(株)


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富山県富山市 「ビジネススピード向上による体質改善事例」

富山県内の本社及び工場を中心に国内外で自動車関連製造事業を展開する田中精密工業(株)は、厳しい競争市場、淘汰の時代において、ネットワーク構築を進めることにより、体質改善を図り経営力を強化することに成功し、店頭公開を射程距離におく元気な企業である。その成功のコツは、小さく産んで大きく育てること。自分の尺度にあったシステムづくりを時代の流れに対処しながら進めてきた今日までのストーリーとは・・・。
167億7700万円
(1998年度)
705名(2001年3月)
5億円(2001年)
体質改善
自動車部品製造
間接部門の生産性向上
経営のスピードアップ
17 住友電装(株) 三重県四日市市 「戦略的情報化投資への決断 我が社のあゆみと課題」

激変する産業構造の中でも、自動車業界の変化は目覚ましい。グローバリゼーションの波が容赦なく襲い、自動車メーカー各社はたくさんの課題に懸命に取り組んでいる。そしてまた、共存共栄してきた部品メーカーも同様の環境のもと、自動車メーカーからの厳しい要求にいかに対応できるかが生き残れるかどうかの分岐点となっているのである。たくさんの苦しい課題を抱えながら戦略的な情報化投資に取り組み、売上増加にまで効果を結びつけた住友電装の事例に学ぶことは多い。
1953億円(1999年3月)
4590名(2001年9月)
50億3400万円
(2001年9月)
戦略立案
自動車部品製造
生産の柔軟性
設計リードタイム短縮
32 不二精機(株)


コメント
奈良県橿原市 「情報を活用した業務革新」

  昔は職人的要素の濃かった金型産業も、今日では機械化、コンピュータ化の波にのり進化してきている。伊井氏の率いる不二精機㈱もまた、アナログ時代からIT時代へと、幾多の試行錯誤を経験しながら成長してきた企業のひとつである。国内市場の冷え込みにより、海外へ市場確保を図ってきた同社にとって、成功の武器となったIT化のステップをお話いただいた。 
94億7200万円
(2001年12月:連結)
223名
(2001年12月)
9億2400万円
(2001年8月)
業務革新
金型製造業
原価管理
ロボット化
54 (株)ヤマナカ
ゴーキン



コメント
大阪府東大阪市 「製造業におけるIT取り組み方の事例」

(株)ヤマナカゴーキンは金型技術を基盤とした技術開発型企業である。金型生産には少量多品種・注文生産という特徴があり、高精度な製品を短納期・低コストで生産できる技術と体制が企業の成長を支えてきたと言える。この背景でコンピュータシステムをどう活用し、どんな効果があったのか等、製造業におけるIT活用事例として山中常務にお話しいただいた。
不明
230名
8000万円
戦略立案
金型製造業
少量多品種生産
製造リードタイムの短縮

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
17 住友電装(株) 三重県四日市市 「戦略的情報化投資への決断 我が社のあゆみと課題」

激変する産業構造の中でも、自動車業界の変化は目覚ましい。グローバリゼーションの波が容赦なく襲い、自動車メーカー各社はたくさんの課題に懸命に取り組んでいる。そしてまた、共存共栄してきた部品メーカーも同様の環境のもと、自動車メーカーからの厳しい要求にいかに対応できるかが生き残れるかどうかの分岐点となっているのである。たくさんの苦しい課題を抱えながら戦略的な情報化投資に取り組み、売上増加にまで効果を結びつけた住友電装の事例に学ぶことは多い。
1953億円(1999年3月)
4590名(2001年9月)
50億3400万円
(2001年9月)
戦略立案
自動車部品製造
生産の柔軟性
設計リードタイム短縮
22 新妻精機(株)/
(株)ニイヅマックス



コメント
東京都大田区 「情報の活用と業務の改革」

日本の製造技術が集約していると言われる東京都大田区。新妻精機㈱はその中でも、大田区を代表する試作の企業として、かなり早くからITに取り組んできたことで知られる。頑固な職人による技術が、売り物のイメージが強い中小企業において、IT化はどのように進み、どのような成果をあげているのか。日本産業界のひとつの縮図のごとく、新妻精機㈱における実例を見てみたい。
不明
48名
1000万円
業務革新
試作部品加工
受託型の加工業
品質保証体制の確立

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
04 極東産機(株) 兵庫県龍野市 「情報を活用した業務革新」

極東産機は、畳・襖・内装機器などの産業機械と、その情報システムを合わせて製造販売している。
コンピュータと関わりの深い事業を展開し続けてきた頃安氏は、柔らかな発想で関連業界や地域の活性化のリーダー役を担っている。20年近くに渡る氏のコンピュータとのかかわりと、情報化投資の具体的な事例を話していただいた。
94億397万円
(1997年9月)
320名
4億1500万円
業務革新
自動化機器製造
職人芸の自動化
生産管理
22 新妻精機(株)/
(株)ニイヅマックス



コメント
東京都大田区 「情報の活用と業務の改革」

日本の製造技術が集約していると言われる東京都大田区。新妻精機㈱はその中でも、大田区を代表する試作の企業として、かなり早くからITに取り組んできたことで知られる。頑固な職人による技術が、売り物のイメージが強い中小企業において、IT化はどのように進み、どのような成果をあげているのか。日本産業界のひとつの縮図のごとく、新妻精機㈱における実例を見てみたい。
不明
48名
1000万円
業務革新
試作部品加工
受託型の加工業
品質保証体制の確立
32 不二精機(株)


コメント
奈良県橿原市 「情報を活用した業務革新」

  昔は職人的要素の濃かった金型産業も、今日では機械化、コンピュータ化の波にのり進化してきている。伊井氏の率いる不二精機㈱もまた、アナログ時代からIT時代へと、幾多の試行錯誤を経験しながら成長してきた企業のひとつである。国内市場の冷え込みにより、海外へ市場確保を図ってきた同社にとって、成功の武器となったIT化のステップをお話いただいた。 
94億7200万円
(2001年12月:連結)
223名
(2001年12月)
9億2400万円
(2001年8月)
業務革新
金型製造業
原価管理
ロボット化

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
07 アラコ(株)


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愛知県豊田市 「経営管理(会計)システム構築事例
      -経営判断へのタイムリーな情報提供を目指して」

長年、情報システム部門に携わってきた本氏に、企業の命題として与えられたのが経営管理システムの構築である。資本や売上のほとんどをトヨタ自動車が有する独特の企業形態であり、けして進めやすい環境ではない中で、情報システムの真の意義を問うような真摯な取り組みで、見事2年間のスケジュールを完遂させた。大きな仕事を成し終えた感想も交えて、奮戦の流れを語っていただいた。
3239億4400万円
(2000年度)
5047名(2001年3月)
31億8800万円
経営革新
車両及び部品製造
会計制度のレベルアップ
パッケージ利用
09 田中精密工業(株) 富山県富山市 「ビジネススピード向上による体質改善事例」

富山県内の本社及び工場を中心に国内外で自動車関連製造事業を展開する田中精密工業(株)は、厳しい競争市場、淘汰の時代において、ネットワーク構築を進めることにより、体質改善を図り経営力を強化することに成功し、店頭公開を射程距離におく元気な企業である。その成功のコツは、小さく産んで大きく育てること。自分の尺度にあったシステムづくりを時代の流れに対処しながら進めてきた今日までのストーリーとは・・・。
167億7700万円
(1998年度)
705名(2001年3月)
5億円(2001年)
体質改善
自動車部品製造
間接部門の生産性向上
経営のスピードアップ
27 (株)カナジュウ・
コーポレーション



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神奈川県横浜市 「経営革新にITをこう生かす
      /ナレジマネジメントシステム構築事例」

カナジュウコーポレーションは、LPガス販売、厨房給湯機器・冷暖房機器販売、ガス配管工事などの事業をDyneCS(ダイネックス)という基幹システムで行っている。創業が1963年という歴史のある企業において、手書きや紙を使ったアナログの業務体制から、革命のごとくデジタル化が進められた。その経緯、効果などを牧野社長に語っていただいた。
不明
51名
8000万円
経営革新
LPG販売・配管工事
冷暖房設備販売
CRM

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
24 太洋工業(株)


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和歌山県和歌山市 「地場産業を近代化した!」

  繊維業界の中で布に色や模様を染める捺染は、和歌山の地場産業として知られている。しかし、時代の波は容赦なくこの業界に関わる企業を揺るがせた。そのうちの一社、太洋工業は、これまで培った捺染用彫刻製版の技術を活かしてプリント基板設計・製造事業に転換を図った。そして、努力を重ねて、現在ではフレキシブル基板製作、及び基板の検査機の開発・製造メーカーに発展を遂げている。父の会社を受け継ぐ細江専務の若いパワーが、事業転換に成功したといえよう。
不明
219名
2億4452万円
戦略立案
プリント基板製造
短納期生産
業種転換
42 (株)ショウエイ


コメント
神奈川県川崎市 「ITの業務革新」

  温泉の湯をいつでもきれいに保つための循環濾過装置の製造メーカー、(株)ショウエイは、創業直後のオイルショックから今日まで時代の変化の中で、絶えず新たな事業の可能性を見いだそうと努力を重ねてきた。温泉の濾過装置の開発から販売までを行う現事業により、かつての1億5千万円から10億円を超えるまでになったのである。社員数も97年25名、98年33名、99年55名、2000年64名と増加。コンピュータやネットワークを活かしてさらなる発展を目指している。
11億4600万円
(2001年度)
74名
7000万円
業務革新
環境濾過装置製造・販売
見積速度向上
BtoC

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
J
0
0
2
****工具(株) 大阪府大阪市 「とある工具屋さんのお話」

ITコーディネータの仕事は、ITを有効に活用して会社経営の改善につなげるということに尽きるが、 それを進める過程では経営者と深く意見を交換して信頼関係を築いていかなければできない仕事といえる。 ある会社の再建を題材にITコーディネータの仕事の一端がみえる話を紹介する。
3億円
20名
1800万円
経営改革
・製造業、
  工具メーカー
・経営再建
  経営改革
・URL開設
  インターネット取引

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
47 オムロン(株) 京都府京都市 「IT技術の活用と21世紀へ向けての事業基盤の強化」

  IT化時代の現在、世界各地でビジネスリーダーの役割を果たしている田崎氏は、経歴の通り技術、営業、経営とトータルな眼でIT化をとらえることができる人物である。気さくな関西弁のトーンの中に、最先端の事例や次代に生き抜くための経営へのアドバイスが光る。
5942億5900万円
(2001年3月)
6757名
640億8178万円
(2001年3月)
業務革新
制御・電子部品・
  FA機器製造
物と情報の流れの一致
イントラネット構築

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
47 オムロン(株) 京都府京都市 「IT技術の活用と21世紀へ向けての事業基盤の強化」

  IT化時代の現在、世界各地でビジネスリーダーの役割を果たしている田崎氏は、経歴の通り技術、営業、経営とトータルな眼でIT化をとらえることができる人物である。気さくな関西弁のトーンの中に、最先端の事例や次代に生き抜くための経営へのアドバイスが光る。
5942億5900万円
(2001年3月)
6757名
640億8178万円
(2001年3月)
業務革新
制御・電子部品・
  FA機器製造
物と情報の流れの一致
イントラネット構築

2010.07.08
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事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
47 オムロン(株) 京都府京都市 「IT技術の活用と21世紀へ向けての事業基盤の強化」

  IT化時代の現在、世界各地でビジネスリーダーの役割を果たしている田崎氏は、経歴の通り技術、営業、経営とトータルな眼でIT化をとらえることができる人物である。気さくな関西弁のトーンの中に、最先端の事例や次代に生き抜くための経営へのアドバイスが光る。
5942億5900万円
(2001年3月)
6757名
640億8178万円
(2001年3月)
業務革新
制御・電子部品・
  FA機器製造
物と情報の流れの一致
イントラネット構築

2010.07.08
IT Coordinators Association
事例コメント
ヒューマングループ佐世保交通産業 作成者:(有)ビジネス情報戦略研究所
       福田 有利
ITC認定番号:0014462001A
作成年月日:2002年10月16日
 企業がITを活用したシステムを構築し、運用していく上で、さまざまな乗り越えなければならない場面が生じてきます。 この場面は、経営者に依存する原因、社員に依存する原因、企業風土に依存する原因、外的環境による原因、突発的な事象による原因などさまざま存在します。 また、このような原因を回避することを考慮しながら、ITを導入・運用していくことが大切です。
 特に、IT導入は、経営者のビジョン(経営戦略)に基づいたものでなければならないこと、ITを使うことへのメリットを社員が理解し、 じょうずに利用していくことへの賛同と参画を得るということは、非常に大切です。
 今回の私のコメントは、経営品質の目からみて、経営戦略とITがどのように連携されているかについて検討しました。 経営品質の目としては、日本経営品質賞のアセスメント基準を採用しました。



 経営戦略を策定していく上で、企業の「経営の成熟度」を推量して、身の丈に合ったものを作らなければ、 企業が経営戦略を実行できないというジレンマに陥ってしまいます。
 「経営の成熟度」を測り表彰するという、日本経営品質賞の仕組みができたのは1995年ですが、この「ヒューマングループ佐世保交通産業」殿の事例では、 そのカテゴリーからポイントを示してみます。さらに、日本経営品質賞「アセスメント基準書」が明文化された現在、それに則ってもう一度自企業を見直せば、 「経営の成熟度」をさらに高めることができます。
というのも、「ヒューマングループ佐世保交通産業」殿が携わる、車に関する事業(自動車教習所、観光バス、タクシーなど)は、まさしく「冬の時代」だからです。

◆日本経営品質賞アセスメント基準-概観-
 日本経営品質賞が目指す方向は、顧客本位に基づく卓越した業績を生み出す仕組み――パフォーマンス・エクセレンス――を追求する企業づくりです。 パフォーマンス・エクセレンスとは、顧客・競争・変革の3つの視点でバランスよく最高水準を維持し、さらにそれを向上するための活動や結果を言います。
 基本理念は、企業の「あるべき姿」を明確にし、それに基づいて意思決定を行うという「価値前提」に立つということです。 (一方、「事実」に基づいての意思決定を「事実前提」と言います)
 日本経営品質賞アセスメント基準では図1にありますように、企業は、社員一人ひとりの尊厳を守り、その独創性と知の創造により独自能力を追及し、 お客さまに対する価値を創造することによって、社会に貢献し、調和するということです。 そして11個の基本的考え方に基づいて、組織プロフィールと8つのカテゴリーから、つまり、「組織プロフィール」をベースにして、 顧客・市場のニーズや動向を的確に捉え、進むべき方向を具体的に示し、さらに、戦略に沿った人材を育成し、 製品・サービスを顧客に提供するプロセスを構築するということです。

◆「ヒューマングループ佐世保産業」殿の組織プロフィール
 社長が社員に、「何をしたいか明確に伝えてきたことが成功の一因」と語られています。この部分は、非常に重要です。 社員の独自性発揮と企業風土に大いに関係するのですが、事細かに伝えていくと逆効果の場合もあります。
 日本経営品質賞のアセスメント基準の先頭にあり、最も大切な「組織プロフィール」では、企業の目指すべき方向、ビジネスパートナーとの関係、 外部環境変化、競争状況の変化などを記述します。
 社長は、「価値前提に基づいた企業として目指すべき方向」を、企業の視点で捉え、社員と共にその方向と力を結集することが使命です。 この成功を糧に、社員に伝える内容を広く深く吟味して、継続することが肝要です。

◆個人と組織の能力向上
 社長は、バブル期に家庭の事情で急遽社長に就任しました。その当時、経理が全くわからなかったと述懐されております。 経営者が、経理指標を解読できないということは致命傷になってしまいます。先代社長時代の経理責任者から、自社の経理ノウハウを得られないということを認識し、 これを契機として、社長が習得すると同時に「経理指標の読めるような社員の育成」に取組まれてきました。 このような取り組みは、社員への権限委譲という面からも、企業として必ずプラスの方向に作用すると思います。
 自動車学校の指導員、貸し切りバスのドライバー、整備工など現場スタッフからは、「コンピュータなんてとんでもない」、 「自分たちは経営をするためにこの会社にはいったのではない」という声が、あがっており、今後ともあがると思います。 特に、交通関係のドライバーはどこも同じようです。個々人への権限委譲に取組むと同時に、組織への権限委譲に取組むことによって、 このような声が出ないようにすることも大切なことです。
 権限委譲を推進するという意味で、日本経営品質賞アセスメント基準のカテゴリー5.「個人と組織の能力向上」の考え方をご紹介します:
①組織に対しては、組織編制の方法、組織に求められる能力を明らかにする方法と能力を高める方法、②個人に対しては、潜在能力を引き出し、 組織としての能力を高める方法、自律を促すための支援方法、③外部組織を含めた組織横断での協力方法、そして、 ④社員や組織に対する評価方法、フィードバック方法と処遇方法、についての基本的考え方を記述します。
 組織とこれを構成する個人という両面から、能力向上を行えば、個人への権限委譲も克服できると思います。

◆顧客・市場の理解と対応
 社長は、自動車学校に通学された生徒さんとの相互会話、自動車学校や観光バスの利用者の中で不満を持つ人の声の聞き取りをやるために、 「生徒とのメール通信インフラ整備による会話、顧客の苦情を聞くコールセンターの設置」と立ち上げてきました。 顧客からは苦情だけでなく、感謝の連絡もあります。
 顧客・市場をさらに理解するという意味で、日本経営品質賞アセスメント基準のカテゴリー3.「顧客・市場の理解と対応」の考え方をご紹介します:
 ①組織内・外の知識や情報、顧客接点から得られる情報を把握・分析し、
  現在および将来にわたる顧客・市場の要求・期待を理解し、
  顧客・市場に対する知識を高める、
 ことによって価値ある製品・サービスの創出や新たな事業機会の開発、
 ②顧客の要求・期待に根ざした顧客対応の基準やルールに基づいて、
  顧客の意見・要望や苦情の収集と対応、
  問い合わせへの回答、
  顧客の意見に基づいた問題解決
 などの活動が行われ、それによって顧客からの信頼や満足を獲得し長期的な信頼関係の強化や新たな関係の構築、についての基本的考え方を記述します。
 ①苦情は迅速に解決する、②予測される苦情は事前に察知し解決する、③お褒めは標準プロセスとして取り入れる、 など顧客の声をどのように聴き、どのように取り入れるのかという面で大きな方針を掲げることを期待したいと思います。

◆情報マネジメント
 ITの導入には非常に積極的で、過剰投資ではないかと思われるくらいです。「企業内における情報の開示と共有、 企業外とのコミュニケーション」を、ネットワークを通じて行っています。また、「お客さまとの商談プロセスの情報共有」、 「企業外部で得た知識の、迅速な社内への展開」と非常に熱心で、 ITを経営に生かそうということが読み取れます。
 経営戦略面でもう少し生かすという意味で、日本経営品質賞アセスメント基準7.「情報マネジメント」の考え方をご紹介します:
 ①組織全体および組織を構成する各部門の業務能力を的確に把握する、
 ②それら業務能力から新たな意味を発見する、
 ③重要な意思決定や戦略策定に活用する、
 ④顧客満足、競争の優位性確保、生産性の向上、効率化推進など重要な経営課題を改善する、
 ⑤業務やプロセスの改善に活用する、
など、経営や生産性を高めるための情報活用の仕組みを企画・設計、提供し、その活用のしやすさ、どのように効果を高めているか、 についての基本的考え方を記述します。
 企業としての経営戦略の面で、広く深くITを生かしていけば、さらに前途は洋々となるものと思えます。

◆まとめ
 「ヒューマングループ佐世保産業」殿は、経営にいかにITを利用しているかということは非常によくわかり、 同規模の企業には参考になる部分が多々あります。 次回、発表される機会があれば、日本経営品質賞のカテゴリー2.「経営における社会的責任」、 4.「戦略の策定と展開」、6.「価値創造とプロセス」、 とりわけ「組織プロフィール」について語って欲しい。
 組織プロフィールから、その企業の姿やビジネスモデルが浮かび上がってきます。したがって、企業としての戦略が見えてきます。 また、今回は紙面の都合でありましょうが、価値創造とプロセスが残念ながら見えてきませんでした。特に、観光バスは地域の観光事業とも密接な絡みがあり、 その事業をみながら戦略を練り、さらに、ITをいかに整備していくかということが重要だからです。
 最後に、日本経営品質賞「アセスメント基準書」に基づいて自社について記述し、セルフアセスメント(自己評価)してみることを提案いたします。

◆参考資料
 日本経営品質賞「アセスメント基準書」(日本経営品質賞委員会)
 日本経営品質賞とは何か(社会経済生産性本部)
 経営の質を高める8つの基準(かんき出版)
 観光事業論(ミネルヴァ書房)
2010.07.08
IT Coordinators Association
事例コメント
誠新産業(株) 作成者:小川 兼一郎
ITC認定番号:0009162001C
作成年月日:2002年9月4日
1.はじめに
 本事例では産業用資材商社における営業支援及びトップの経営判断に必要な情報を提供するシステムの開発の目的、経緯、方法、 及びそれに伴う業務プロセス改善等の効果が述べられている。経営上の課題として、"IT活用による企業体質の改善、物を仲介する商社から 情報を仲介する商社への転換"を挙げ、その課題解決のために情報化投資を行っている。本稿では本事例から学ぶべき点を整理し、 その中の中心的テーマに関して深掘りを行い、最後に今後の展開について考察する。

2.本事例から学ぶこと
 場当たり的な情報化投資ではなく、以下に述べるような手順を踏んで進めたことが成功に至った要因であると推察する。 まずは、現状の問題点を経営面、営業サイド面の両面から行っている。
 [経営の問題点]
  ①営業マンの動きが見えない。
  ②売掛金の管理が行き届いていない。
  ③実績が出るのが遅い。
  ④部門を越えた情報の流れがない。
  ⑤現場の声が届かない。
  ⑥最終的な物件ごとの収支がよくわからない。
 [営業サイドの問題点]
  ①見積・受注・手配・納品・請求・入金の管理が必ずしも連携されていない。
  ②業務日誌・報告書が書きにくくて活かされていない。
  ③売り上げ状況がタイムリーにわかっていない。
  ④データを自由に見に行くことができない。
  ⑤取引先に対する営業の実際の経緯がわからない。
  ⑥引継ぎがうまくない。
  ⑦仕入先からの請求書の照合が大変、売掛金の情報がタイムリーでない。
  ⑧売れ筋商品が見えない。
  ⑨報告業務が迅速にできない。
 現状分析を行う場合によく活用されるSWOT分析(*1)手法に準拠すれば、上記は「内部環境の弱み」と言える。 また、「外部環境の脅威」として捉えることができる中抜きの進展や、需要減についても本事例本文中に触れられている。 このように現状をしっかり把握することが成功への第一歩であると考える。
 さて、次に上記の問題点を解決するために以下の機能群が選定され、実装されている。
  a.スケジュール管理: 行動計画登録、業務日誌連携、訪問予実管理
  b.取引先管理: 取引実績把握、取引条件把握、顧客状況把握
  c.売掛金管理: 得意先別・部門別・担当者別入金情報管理
  d.業務日誌: スピン機能、リンク機能
  e.受注支援: 受注状況参照
  f.見積支援: 見積書比較、過去見積参照
  g.リテールサポート: ビジネスパートナーとのネットワーク
  h.定量的情報提供: 受注明細照会、得意先別・商品別等の販売実績確認、見積状況把握
  i.定性的情報提供: 件名情報、工事概要、取り組み状況、行動計画、行動予定、活動状況等
 分かりやすく整理すると、①営業マンの頭の中だけに存在する情報を記録、保管する仕組みをITで実現し(業務日誌、スケジュール管理等)、 ②その情報を共有化することにより、業務の効率化(受注支援、見積支援等)を行い、③経営者や営業マンに必要な情報を定量的・定性的に 提供するためのIT投資である、と言える。
 また、本事例は今日的言い方をすると、「CRM(*2)の実践」の第一歩とみることもできる。そこで、CRMのコンセプト及び支援ツールに関して、 次に整理することとする。

3.今日的CRM
 CRMとは、顧客との関係マネージメントであり、その要諦は『顧客を知ること』、そして『顧客に応える』こととされる。 言い換えれば、顧客のニーズを素早く知り、情報の共有化により、情報から知識へ、知識から知恵へと昇華させ、次の手を素早く打つことである。 ここで重要となるのが、顧客主義への変身というビジョンである。 本事例では、参考文献①ホームページに記載されている「顧客第一」という社是に表現されていると考える。
 マス・マーケティングからワントゥワン・マーケティングへの大きな流れの中で、CRMは発展途上にあり、ITのサポートを得て、様々な形で実装されている。 本事例は資材販売を事業とするものであり、一般的なマス・マーケティングとは異なるが、ワントゥワン・マーケティングの実践という意味では同じである。
 CRMを実践する上で欠かせないツールのひとつにSFA(*3)がある。 SFAとはチームあるいは組織としての生産性向上と営業の確度を最大化するためのシステムと捉えることができ、 事例では「業務日誌」、「受注支援」、「見積支援」等が該当する。
 また、一般的にはCRM実践のもうひとつのツールとしてCTI(*4)が挙げられることが多いが、本事例では触れられていない。 これは、コールセンターで一括して顧客からの注文や問い合わせ、苦情等を受けるという形態よりも、取り扱い商品の特性から営業マンが直接、顧客と折衝する という形態の方が「顧客第一」主義に即しているということなのだろう。それゆえに営業マンの直行直帰という形態を推進しているものと推測される。
 さて、今日的CRM支援アプリケーションを分類すると、以下の3つになろう。
  ア.オペレーショナルCRM: 営業部門を直接サポ-トするSFA、CTI等
  イ.コラボレーティブCRM: 顧客との協業推進(情報提供、VMI等)
  ウ.アナリティカルCRM: 顧客情報の分析、それに基づく企業行動立案等
 本事例では、上記分類に従うと主としてオペレーショナルCRMの実践+αと捉えることができる。 +αの部分は経営者にとって必要な情報の定量的・定性的な提供である。

4.次なる展開と課題
 事例では次なるIT化戦略として以下の4点が挙げられている。
  ①電子カタログ
  ②メーカとのコラボレーティブ情報提供
  ③仮想ショッピング
  ④ASP的事業
①~③に関しては、"物を売る仲介業から、情報エージェント、情報仲介業へ"変化する上でかかせない要素であると言える。 ④は若干、異色であるが、興味深い戦略である。システムを売るのではなく、利用してもらうことを目指すという。
 次なるIT戦略として次の2点を付言したい。ひとつは、前節で述べたアナリティカルCRMとコラボレーティブCRMに関して検討することである。 顧客に関する様々な情報の収集できる環境を構築したのであるから、それを分析することにより、様々な事象の原因と結果を見出すことができるようになる。 これに基づいた素早い意思決定を繰り返すことによって、より確固たる地位を築くことができると考える。このためには、 顧客情報のデータベースを分析ツールにより、解析したい。また、顧客情報の収集に当たっては、上記④が活きてくる。 システムを他社に利用してもらうことにより、他社におけるデータをも入手することが容易になる。 これより広範囲な顧客動向、ひいては市場動向を把握することができるようになるはずである。
 もうひとつは、商社においてはCRMと車の両輪を構成するSRM(*5)に関する検討である。 すでにメーカとのコラボレーションは視野に入っている(上記②)が、さらに市場動向・需要の素早いレポートを行うことにより、 メーカにおける生産計画支援や共同製品開発につなげていくことを考えてみたい。「情報エージェント」として、顧客サイドの情報をメーカへ、 メーカサイドの情報を顧客へ、両方向の情報を制御しながら、情報に付加価値を付けていくことを考えてみたい。


[参考資料]
 ①誠新産業株式会社HomePage
  http://www.bcc-net.co.jp/kigyo/seishin
 ②【図解入門塾】すぐわかる! CRM
  熊谷直樹著 2001年発行 かんき出版
 ③「CRMアプリケーション展望」
  http://www.atmarkit.co.jp/fbiz/feature/0201crm/02/01.html

[用語解説]
*1:SWOT(Strength, Weakness, Opportunity, Threat)分析
 マーケティング戦略を策定するには、「内部(自社)」についての分析と「外部(自社をとりまく環境)」についての分析が必要である。 これを「内部」に関しては、競合相手と比較した自社の相対的な)強みと弱みという観点で分析し、「外部」に関しては自社を取り巻く環境についての 機会と脅威について分析する手法である。環境には自社がコントロールできないいろいろな要因(顧客、競合他社、政府、経済状況、など)が含まれる。

*2:CRM(Customer Relationship Management
 営業マンによるフェース・トゥー・フェースの営業活動だけでなく、インターネットや電話による問合わせ・苦情などの情報から顧客の全情報を把握し、 顧客を"個客"としてとらえ各々のニーズに的確に対応することで、収益を拡大するための顧客重視戦略

*3:SFA(Sales Force Automation
 顧客との接点となる営業活動の生産性向上を目的としたツール

*4:CTI(Computer Telephony Integration
 データベースなどの情報システムとPBX(構内交換機)などの通信システムを結合し、連動させる技術のことである。いわゆるコールセンター等で利用される。

*5:SRM(Supplier Relationship Management
 インターネットを利用して、入札形式で仕入先を決定したり、あるいは仕入先に自社在庫の管理を委託したり、 市場情報をリアルタイムに仕入先に提供することにより、仕入先の需要予測の精度を高めることに寄与したり、仕入先との関係管理を言う。 ただし、日本ではまだ一般的な用語とは言えない。
2010.07.08
IT Coordinators Association
事例コメント
北海道エニコム(株) 作成者:山口 正一郎
ITC認定番号:0018892002C
作成年月日:2002年9月12日
 ITSSP講演事例「IT化をどう進めるか」の内容に沿って、現在のインターネットを中心としたITの普及状況や動向と、 中小企業におけるIT活用のアドバイス的な内容を以下に述べます。

1.インターネットを中心としたITの普及状況および動向
 日本のインターネットの利用者数は、ここ数年で急速な増加を続けています。総務省が行った通信利用動向調査によれば、 平成13年末における利用者数は5593万人(人口普及率44.0%)で、1年間で885万人(前年比18.8%)の増加を示しており、 平成17年には8720万人(人口普及率68.3%)に達するものと見込まれています。また、図1に示すように企業(300人以上)ではほぼ普及が終わり、 事業所(従業員5人以上)と世帯の普及が急速に進んできています。



 インターネット関連で注目されているのが、ブロードバンドネットワーク(インターネットへの高速の通信回線)と携帯電話や 携帯端末、携帯パソコンといったモバイル機器の普及です。図2に示すように、ブロードバンドネットワークの利用世帯数は、今後急速に増加すると予想されています。 また、平成11年2月に開始された携帯インターネットサービスの加入者数は、平成13年度末時点で5193万人(携帯電話加入率の75.1%)となり、 世界でも高い普及率を示しています。



 ブロードバンドネットワークを利用すると、電話回線(56Kbps)では2時間半以上かかる音楽CD(60MB)のデータを、 一般電話回線を使用したADSL(8Mbps)では1~2分程度、光ファイバ(100Mbps)では5~数十秒程度で送ることができるようになります。 ブロードバンドネットワークの利用分野としては、映像などのコンテンツ配信サービスなどが期待されていますが、 企業内でも大容量のために扱いづらかった設計図面や高精細写真、モニタ映像が扱えるようになり、映像を使った商品説明やテレビ会議なども安価に 実現できるようになります。モバイル機器も新規格(IMT-2000)の高速伝送サービスが利用できるようになってきています。 更にインターネットの番地に相当するIPアドレスの桁数を増やしたIPv6を利用して身の回りのあらゆる機器(モバイル機器や家電など)が インターネットに接続され「いつでも・どこでも・誰でも」情報をやりとりできるユビキタス環境の実現に向けた開発が進められています。
 また、インターネットを利用した電子商取引も高い成長率で拡大を続け、IDCジャパンの調査によると企業間電子商取引の市場規模は図3に示すように 平成13年の9兆8千億円から平成17年にはその約5.5倍の54兆4000億円規模になると予測されています。



 このように、インターネットを中心としたITの普及の速度は凄まじく、固定電話が6千万台普及するまでに約100年かかったことと比較すると十倍以上です。 この速度の表現に人間が年をとるスピードと比較したドッグイヤー(7倍)やマウスイヤー(18倍)という言葉が使われています。 デジタル産業革命時代とも呼ばれるこの状況を中小企業の経営者自らが理解することが重要です。

2.中小企業におけるインターネットを中心としたIT活用について
 こうした状況においては、中小企業もインターネットを中心としたITの活用を図ることが大変重要です。 電子メールが使えない、ホームページがないといった企業は、企業の能力そのものを疑われるようになってきていますし、 今後企業間電子商取引に対応できない中小企業は取引自体に影響が出てくる可能性があります。
 では、どのようにITを活用していったら良いのでしょうか。課題は何でしょうか。
企業におけるITの利用目的は以下の2つに大別されます。

①経営の能率や生産性の向上
 従来から主に利用目的とされてきたもので、情報を活用することによって経営や業務の効率化を図るものです。 この例として製造業界を中心に導入されているSCM(Supply Chain Management)があります。 SCMは、企業横断的に物と情報の流れを整理し、商品の製造や調達、流通、販売の物の流れ(サプライ・チェーン)を 取引先と連携して管理することによって、在庫コストや流通コストを減らし、納期短縮を図るためのものです。
②新たな事業の創出やビジネス機会の増大
 インターネットの普及によって増えてきた利用目的で、ITを利用して事業の拡大や新規事業の創出を図るものです。 この例としては、インターネットビジネスの成功例として知られるアマゾン・ドット・コムのオンライン書籍販売があります。 インターネットを利用して販売方法を抜本的に変えることによって事業規模を大幅に拡大しました。しかし、この例では商品そのものは変わっていません。

 これだけの内容から各企業においてITをどう活用できるかと考えてもピンとこないと思います。それはITが高い柔軟性を持った道具である良さと、 それゆえの難しさを持ったものだからです。
また、中小企業でITの活用が進まない理由として、「効果がわからない」、「IT化を推進できる人材がいない」、「中小企業にとってコスト負担が大きい」、 「ITベンダの手が回らない」といった点が指摘されています。利用の側面では「利用する必要を感じない」、 「必要だと思うが機器を使えない」といった情報リテラシー(リテラシーとは読み書き能力のこと)面の課題が挙げられ、 組織や個人の情報リテラシーの差が経済格差につながるデジタルデバイド(情報格差)の拡大が懸念されています。
 これらの中小企業がもつIT活用上の課題を解決し、費用対効果を高める方法を以下に挙げます。

①インターネットを利用したASPサービスの利用
 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスとは、業務アプリケーションの利用に必要なソフトウェアおよびハードウェアを サービス事業者が用意し、複数の企業ユーザーがこれらを共同利用する形態です。企業ユーザーはインターネットを利用する環境を準備すれば、 「利用料」を支払うことで業務アプリケーションシステムを利用することができます。ASPサービスを利用するメリットとして、 サービス事業者が所有する専門の施設や機器、技術、運用管理などを共同利用することによって「コストが低くなる」、「専門の要員がいらない」、 「導入期間が短い」、「セキュリティ対策が容易に行える」といった点があります。コスト的には、ホームページやグループウェア、 会計や給与計算といった汎用性が高いものは、初期費用:数万円~、月額利用料:数千円~です。製造業、建設業、小売業向けといった業種対応システムは、 初期費用:数十万円~、月額利用料:数万円~です。中小企業向けのASPサービスはまだ熟した状況にはありませんが、 中小企業のニーズに即したサービスですので有力な選択肢として検討する必要があります。
②政府や自治体などの支援施策の活用
 中小企業のIT化の支援施策として「専門家派遣事業」や「情報化投資融資制度」などが実施されています。 「専門家派遣事業」を利用すると政府や地方公共団体から専門家派遣費用の3分の2の補助が受けられます。 「情報化投資融資制度」を利用すると、政府系金融機関から特別金利で貸し付けを受けることができます。 また、「IT基礎技能講習事業」を中心とした国・県・市町村が推進する一般成人を対象とした「IT講習会」が全国で実施されており、 中小企業向けには地域中小企業支援センターなどが実施する講習会が開催されています。 中小企業のIT化支援やデジタルデバイド問題の解決を図るための施策ですから、地域中小企業支援センターなどに相談して積極的に活用するのが得策です。
③ITコーディネータの活用
 ITコーディネータは、経営者の立場に立って経営とITの間の橋渡しを行い、真に経営に役立つIT投資を推進・支援するプロフェッショナルであり、 ITのホームドクターとして、ちょっとした相談からIT顧問、 専任アドバイザー、導入マネージャーなど実現に至るまで一貫したサポートを実践する 人材とされています。地域のシステムインテグレータの主な役割がシステムの導入であるのに対し、ITコーディネータの役割は経営の視点で 経営戦略策定からシステム導入後の効果確認や改善まで、中堅・中小企業のCSO(情報化戦略担当役員)を支援することです。 中小企業の経営者自らがITを理解し、自社の経営にどうITを活用していくかを考えることは重要ですが、 現実的には難しい面がありますので地域のITコーディネータを積極的に活用するのが良いでしょう。

 これらの内容をイメージ化すると図4のようになります。



 以上、中小企業におけるIT活用のアドバイス的な内容を述べましたが、ITは経営を支援するための道具ですから、 経営戦略や企業体力、能力に合った効果的な活用を図ることが重要であり、経営の視点からITの活用を支援するITコーディネータの活用をお勧めします。

[参考資料]
「情報化白書2002」
  財団法人 日本情報処理開発協会
2010.07.08
事例コメント
(株)ダン 作成者:(株)イットアップ
      岩佐 修二
ITC認定番号:0002032001C
作成年月日:2002年11月06日
 (株)ダンの成功事例について丸川常務がお話される内容は、システム構築というよりは経営ノウハウであり経営戦略そのものである。 決してITの先端技術に触れることもなく、いかに経営基盤の仕組みを作り上げたかが伝わってくる。我々ITコーディネータが企業のIT化支援をする際に、 最も考えなければ成らないこと、すなわち、"まずは経営戦略を明確にすること。 その経営戦略の実現手段の一つとしてITを活用すること"を当事例では、丸川常務が語っている。

 この度事例本文を読み、ダンの情報化への取り組みの原点が、経営トップの次の言葉だったことを知り、改めて戦略とは、戦略の実現とは、 システム構築とはといった命題を私は再考させられた。

 丸川常務の上記言葉は、店舗と工場が一体になって、"靴下"という商品をお客様に供給する仕組みの原点の思想である。 店舗からは工場の状況が見えず、逆に工場からは店舗が見えない状況が普通と考えられる。 最近でこそ、多くの企業が情報システムを整備し、工場と店舗の情報を共有できる環境にあるが、ダンでは随分以前から店舗と工場の密なる連携を意識していた。 さらに、その連携を繋ぐ要はお客様であると位置付けている。
 システムにはあまり詳しくない経営トップの "店の横に工場がある"、"店と同じ呼吸をするメーカー" という表現は、 経営課題を的確に掴みこれからのダンはどのような仕組みを作るべきかという方向性が明確に表現されていると思われる。 いわゆる、経営トップの想いでありビジョンが明確になった時点と考えられる。

 既に完了した事例ではあるが、経営戦略とシステム化を学ぶ目的でITCプロセスに当てはめて整理してみた。 事例本文より読み取り、事業ドメイン(顧客、ニーズ、コンピタンス)を整理すると図表1のようになる。

 戦略的に顧客を"女子高生"に絞り、その顧客ニーズを"1人ひとりの好み"とし、 それを実現できるコンピタンスは"店頭でのお客様の声を聞く"あるいは"お客からの注文は一足単位"とし"工場、本部、店舗の連携"の仕組みづくりとまとめることができる。 もちろん当初から全体を考慮して進めていたとは考え難いが、全ての要素を的確に表示できる点は、この事例のもつ魅力でもある。

 次に、CSF(重要成功要因)を同様に事例本文から探り、図表2のようにまとめてみた。 さらに、私なりにCSFの優先順を考えてみた。上位3項はどれを優先するか悩むところだが敢えて順番付けを行った。

これらのCSF(重要成功要因)はどれも実現が難しいと思われるが、実現できたところにダンの先見性と力強さがあると考える。

 最後に、優先順を高くしたCSF(重要成功要因)について、私見を述べる。

「お客様第一主義への意識改革」
 お客様第一主義に対してダンは徹底した理念を持っている。事例本文にも書かれているように「お客様第一主義」を理念に掲げる企業は多くある。 しかし経営母体が違う企業が集結したチェーンストアでは、本部と店舗がお客様を共通に認識することが難しい場合が多いように思われる。 特に、フランチャイズチェーンでは本部と店舗が別法人であるため利益の配分は大きな経営課題となる。 お客様第一という大義名分があるが、本来は相反している利益配分は多くの場合、本部の利益確保が優先されているのが現状であろう。
 ダンの場合は、"この一足の靴下をお買い上げいただくお客様が、本部からみてもメーカーからみても、糸商からみてもお客様なんだ。 とういう風に社内の教育体制から物の考え方から全部変えました"とある。お客様が明確である。 また、この一足の靴下を買って下さる...とは、誰が本当のお客様であるかを改めて教えられる。 我々はお客様第一主義といいつつも、少しでも多くの売上金額(購入数量の多い)が見込めるお客様を「お客様」と認識しているのではないかと考えさせられた。

「本部の売り手都合を廃し、店舗から一足の発注を可能にする」
 "店舗から一足の発注"は、チェーンストア加盟の店舗数が増加し、数がまとまれば可能にもなろうが、 ダンのいう一足とはあくまでもお客様が店舗で買われたその一足を指している。 靴下というアイテムごとの色数が豊富な商品を一足単位で発注を可能にするシステムこそはダンの心骨髄といえる。 ここでは本部の売り手都合を完全に廃している。これはシステムというよりダンのお客様を常に意識した思想そのものと考えられる。
 実際に、広陵町にあるダンのSCMセンターを見学する機会を得たが、まさに、店舗からの一足の注文に対して、早朝からパートさんが出荷作業に対応している。 また、センターへ製品を納めるメーカーも同様に店舗から一足の注文に対して種々の作業を進めている。 センターでは一足の発注情報を元にした協業作業を随所に見ることができ、まさに、お客様第一を実感できるセンターとなっている。

「内見会、展示会、数入れの中止で不良在庫削減」
 アパレルを中心にした流通業各社が、最も期待を寄せておこなう内見会や展示会、数入れを中止するということは逆転の発想であると考えられる。 内見会や展示会はどのアパレル企業でも売上が読めると信じて、多大な準備期間とコストをかけており、アパレル関係者の一大イベントとなっている。 しかし、あくまでも見込み数や思い込み数であり、予想したほどに売れない結果となっている。 あるいは予想以上に売れて品切れが発生するなど、どの企業でも常に問題となっている。 問題だと認識しつつも、かといって止めることもできないまま、各アパレル企業は毎期同様に繰り返しているの一般的な状況である。
 ところが、ダンでは"展示会そのものを止める"と経営判断している。従来の慣習を変えるという、まさに"情報化の前に戦略あり"を実践している。

 私は、このたびの事例本文を読み返すにあたり、先ほども記述したが、"IT化を進める前に企業戦略あり"という大命題をダンは我々に伝えている。 さらに、丸川常務というキーマンがいてこそ成し得た情報化の成功事例であると思われる。 この事例が示唆することを実践できるケースに巡り合いたい、ITCとして実践スキルを身に付けたいと考えている。
2010.07.08
事例コメント
(株)タマル 作成者:松本 真由美
ITC認定番号:0009082001C
作成年月日:2002年11月20日
 1930年創業した(株)タマルは、現在、香川県高松市に4店舗、丸亀市に2店舗をかまえる音楽・映像ソフト(CD・DVDその他)、 ゲームソフト販売、および、中古CD販売の専門店である。

1)(株)タマルの情報化の歴史
1979年:コンピュータ導入。(ネットワーク構築による各支店の売れ筋データ収集)
1985年:POSレジ導入。(支店データを本部で収集、各レコードメーカーへ発注処理)
1990年:RESPONS事業にて、同システムを他社に提供。
1996年:社内メールサーバー導入。
      (シャープのPDAザウルスを社員に配布。社内の情報共有化)
1996年:WindowsPC OSでの開発に着手。
      店頭情報端末の開発に着手。(音楽情報発信システムTaMulti(タマルッチ))
      ソニーミュージックシステムズと共同でデータベース関連企業(株)エプシス設立(東京)。
1997年:Windows版のPOS完成。
      店頭にて、音楽情報発信システムTaMulti稼働スタート。
      本支店間をINS64による常時接続環境を整える。
1998年:ACTRESS第1号店が稼働。
      (ACTRESS(アクトレス)とは、(株)エプシスで発表し、日本レコード販売網の
       システム端末として採用されたPOSシステム)
1999年:新POSシステム導入。
      同システムで、「お客様の買上履歴の表示」、「レシートへのコメント印字」を可能とした。
      携帯電話のショートメールで、商品情報提供。Webサイトへ誘導。

 以上、事例本文を元に、現在までの当該企業の情報化の歩みをまとめてみると、まず、POSレジ導入による売れ筋商品は何か、 音楽情報発信システムの導入による顧客への提案、さらには、POSレジでの買い上げ履歴の表示によるきめ細かな接客により、 顧客が何を望んでいるか、専門店として顧客に何を提供できるかという視点で取り組んできた様子がうかがえる。
 当該企業のWebサイトでの吉岡社長のコメント、「感性とIT(インフォメーションテクノロジー)の融合を図り、 商品知識ばかりでなく日本の先端を行くシステム統合力を駆使して、フランチャイズチェーン及び直営での全国展開を視野に入れている。 また、データベース活用のノウハウを自社開発し、様々な分野への進出を模索しています。」というメッセージからも、同社の理念が汲み取られる。 このようなシステムを構築してきたのも、 「お客様が本当に喜んでくださる楽しい店舗を作りたい。きっと楽しい音楽がある、そういう場でありたい」という基本理念があればこそと推察される。

2)現在の(株)タマルの取り組み

(1)Webサイトコンテンツ
 現在の当該企業のコンテンツは、「音楽情報発信 TaMulti」、「CD販売」、「GAME販売」、「タマルメンバーズクラブ(TMC会員)」、 「会社案内」「リクルート情報」に大別される。
 さらに、このうちの「音楽情報発信 TaMulti」ページにて、「イベント&セールのご案内」、「USEDCD高価買取り情報」、「今月の新譜情報」、 「週間売上ベスト10」、「とっておきの情報を、あなただけに!」と分類されており、当該企業各支店にて申し込むTMC会員ナンバーを元に、 専用ページにログインし、個別の情報提供や、先行予約受付可能な仕組みとなっている。(図1)

(2)来店における取り組み
 当該企業に来店した顧客には、ポイント制のTMC会員入会を提案し、メールサービス申込み受付を行い、Webサイトと連携して、顧客に情報提供を行っている。
 また、POSレジにて過去の購入履歴を表示することで、接客時に個々の顧客の嗜好に沿った話題の提供することに加え、 レシートに顧客の好みに合わせたアーティスト情報や新譜案内を行っている。(図1)



3)現在の(株)タマルを取り巻く経営環境

(1)国内の同業他社の動向
 CCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)が運営する全国規模のFCチェーン店TSUTAYAは、携帯端末を活用して顧客にきめ細かな情報提供を行い、 店舗へと顧客を誘導するCRM(注1)戦略の成功例として今や最も有名となり、急成長を遂げている (店舗数、2002年9月現在:店舗数1071店、有効会員数1700万人達成)。同社では、(株)タマルの実施してきた携帯端末による情報提供をさらにきめ細かに行っている。 音楽ソフト・映像ソフト・ゲームソフト・書籍等、幅広い取扱商品について、それぞれ毎週メール送信という高頻度、かつ豊富な情報量で、 期間限定のクーポン提供等もあわせて行っている。店においても、舗数で業界第2位のゲオも同じく、AV(音楽・映像ソフト)のレンタル・販売、とりわけ、 本業である中古商品の分野で売上を伸ばしている。

(2)外資系企業の動向
 書籍のオンラインショップの先駆者であり、現在はAVソフトも主力商品となっているアメリカ・Amazonの日本法人アマゾン・ジャパンは、 2002年7月より再販のはずれた国内盤CDの割引価格商品点数を拡大させ、また、配送料金の低価格戦略により、国内の顧客数は100万人に達した。 2002年7月のプレスリリースでは、年内の推定売上高は1億ドルに達すると発表されている。 さらに、本国アメリカ同様、音楽・映像ソフト販売店舗「ヴァージンメガストア」を運営する株式会社ヴァージン・メガストアーズ・ジャパンとも、 オンライン販売分野で2002年9月に提携した。
 アマゾンのオンラインショップでは、早くからリコメンデーション・サービス(注2)を実施しており、顧客はサイトにアクセスしたり、商品を購入するたびに、 自分の興味のある分野において、より精度の高い情報を得られるようになっている。(株)タマルでも顧客の購入履歴を店頭POSレジで表示することはできるが、 これは販売員の接客用に用いられ、アマゾンのように自動的に類似の嗜好に関する商品提供されるまでは至っていない。

(3)音楽ソフト卸の動向
 業界大手のライラック商事は、小売店支援策を強化し、来年春をめどに、POSとネット通販の連携したシステム「アクティブ・ネット」を提供する予定である。 このシステムでは、顧客の購入履歴に応じた販売促進メールの配信が組み込まれる予定である。 また、業界最大手の星光堂も以前から小売店向けに各種のシステム支援を提供しており、同様の動きが進められている。

(4)ユーザーの動向
①CD市場規模とユーザーの実態
 1998年をピークに、CDの出荷額は3年連続減少し、現在の市場規模は約5000億円である。 さらに、今年度の出荷額も前年比20%と音楽不況は依然、深刻である。この原因の一つとして、情報通信機器・携帯電話の登場が上げられる。 AVソフト購入費用は、パソコンや携帯電話での情報収集費用へと取って代わり、さらに、わずかずつ売上を伸ばしているネット配信市場の伸びも一因である。
 日本レコード協会の2001年度音楽パッケージソフトユーザー実態調査によれば、中高年層マーケットが拡大する傾向にあるものの、 CD購入経験率は前年比72%、シングルCD購入経験率は前年比38%、一方、過去一年間にレンタルCDを利用したダビング行為が63%と最も多く、 録音先メディアはMD(54%)、カセットテープ(55%)、CD-Rも24%へと急激に増加している。 コピー不可能なコピーコントロールCDが2002年より発売され始めたが、旧譜には対応しておらず、今後も音楽コピーの流れは続くと推測される。
 一方、音楽情報ポータルサイトOngakuNET.comによる、音楽の情報源に関するユーザーアンケート(2002年6月実施)によると、 よく見るホームページとしては、「TSUTAYA online」、2位は大型CDショップとして認知度が高い「HMV」、 3位は日本最大級のアクセスを誇る「Yahoo! JAPAN」が運営する音楽情報サイト「Yahoo music」、 4位も大手外資系CDショップ「タワーレコード」が運営する「@TOWER.JP」等、大手企業に集中している。 また、利用頻度が増えたという点で目立ったメディアは、「パソコンで音楽関連のホームページを見る頻度」であり、約45%の人が「増えた」と回答している。
②オンラインショップ動向
 中小企業庁発表の中小企業白書によれば、平成13年度の最終消費者向け電子商取引は14,840億円と、インターネットユーザー、携帯電話の普及と共に年々増加基調にある。
 また、日経ネットビジネス誌第14回インターネット・アクティブ・ユーザ調査によれば(2002年6月実施)、いずれも複数回答だが、 「オンライン・ショッピングで購入したことがあるすべての商品」の中で、CD、ビデオソフト、 ゲームソフトは30.5%(2000年12月:30.3%、2000年6月:26.1%)、 「最近のオンライン・ショッピングで購入した商品」としての購入者は全体の6.9%と増加傾向にある。
 このような状況から、今後、ブロードバンド(注3)の普及により、ネット上で試聴・試写後に、 音楽・映像ソフトをファイルとしてダウンロード購入する傾向が増加することも推測される。 ちなみに、2002年6月に実施された第14回日経インターネット・アクティブ・ユーザー調査でも、音楽配信を含むデジタルデータの購入経験は全体の9.1%、 携帯電話の場合では9.8%であり、また、ブロードバンドの利用によるインターネットの利用状況の変化については、 音楽や動画などデジタルコンテンツの利用が増えたとする人の割合は無料コンテンツの場合は、66.7%、有料でも5.3%という回答が得られている。

(5)地域経済
 当該企業が本社・支店をおく香川県は、風光明媚な土地柄で、面積が全国で最も狭いことから、土地利用度や人口密度は高く、 県都高松市を中心として県内全域が一日生活圏を形成し、四国を統括する国の出先機関や主要企業の支社・支店の設置、さらには地域企業の集積などにより、 四国の中枢拠点地域としての役割を担ってきた。しかし、瀬戸大橋等の開通により、今後は広域交流や連携が活発化する一方で、 これまで以上に地域間競争の激化が予想される地域である。地元商業の景気も停滞している中、音楽業界では、すでにTSUTAYAが5店舗進出を果たしている。

4)今後の事業展開への期待

 当該企業は、情報システムの活用に早くから取り組み、顧客データベースやインターネット、携帯端末による情報発信と、地域はもとより国内でも先駆者的なIT活用企業であった。
しかし、上記のように多くの企業がCRMに注目している現在では、同程度の取り組みを行っている同業他社も増加し、 顧客にとっておすすめ情報が企業から届くのは当たり前の時代となり、他社との差別化ができなくなっている現状である。
 CD市場が減少傾向にある中、同地域の同業他社、また、オンラインショップ等に、顧客を奪われないように、当該企業には、次の一手・戦略が求められる。
 まず考えられるのは、商圏の拡大・新規顧客獲得をめざして、オンラインショップの拡大が一般的である。 また、逆に、「香川における音楽シーンのポータルサイトになりたい」という経営者のビジョンを確実に実現し、自社の顧客を他社に奪われないように、 よりきめ細かな情報提供、新しい顧客サービスを構築する方向である。
 たとえば、ここで、試みとして提案したいのは、地元・香川県発の技術「スペースタグ」の導入である。これは、携帯電話の位置測定機能を利用し、 場所や時間を限定して、特定の人にプレミア情報を配信する次世代モバイル情報システムである。「ある地域に入ったときだけ、情報を受信できる」、 「ある時間だけ、情報を受信できる」、「先着数名だけ、情報を受信できる」。この技術は、香川大学工学部の垂水浩幸教授が開発したもので、 2001年9月(株)スペースタグを設立し、事業化をめざしているものである。
 たとえば、この技術を(株)タマルのTMC会員向けサービスとして導入し、当該企業の実店舗の近くにいる顧客向けの限定お買い得サービスの企画や、 地元の季節イベントに合わせたタイムサービスの企画など、今までの会員向けメール配信サービスから、地域限定・時間限定・高頻度の情報提供を繰り返し実施することで、 進出する全国チェーンと一線を画し、長年にわたる地域の顧客とのコミュニケーションが図れるのではないだろうか。
 このような地元での産学連携の実験的試みから、新しいビジネスチャンスが見えてくると思われる。

参考にしたサイト

・株式会社タマル
http://www.tamaru.co.jp
・CCC(Culture Convenience Club)
http://www.ccc.co.jp/
・TSUTAYA online
http://www.tsutaya.co.jp/index.zhtml
・ライラック商事
http://www.lilac-net.com/
・香川県ホームページ
http://www.pref.kagawa.jp
・音楽情報ポータルサイトOngakuNET.com
http://www.ongakunet.com/
・コピーコントロールCD関連リンク集
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/link/cccdlink.htm
・日本レコード協会記事「CD-Rへのコピーが増加 音楽ソフト白書」
http://www.riaj.or.jp/cgi-bin/press_release.cgi?id=30
・音楽パッケージソフトユーザー白書(PDFファイル)
http://www.riaj.or.jp/news/pdf/press_020305.pdf
・総務省統計局 統計センターホームページ
http://www.stat.go.jp/
・中小企業庁 2002年版 中小企業白書(2002年6月発表)
http://www.chusho.meti.go.jp/hakusyo/h13/index.html
・日経ネットビジネス「第14回インターネット・アクティブ・ユーザー調査」
http://nnb.nikkeibp.co.jp/nnb/200107/f_nmmq12.html
・スペースタグ
http://www.spacetag.jp/

用語解説

注1:CRM(Customer Relationship Managemanet
  ・情報システムを応用して、企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、 個々顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、 顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。
注2:リコメンデーション・サービス(recommendation searvice
・ユーザの購買履歴やあらかじめ登録してもらった趣味などの情報から、ユーザの好みを分析し、各ユーザごとに興味のありそうな情報を選択して表示するサービス
注3:ブロードバンド(Broadband
・xDSLやケーブルテレビなど高速な通信回線を用いたインタネット接続サービス、および、ネットワーク上に提供される大容量データ送信を活用したサービスのこと。
2010.07.08
IT Coordinators Association
事例コメント
(株)ニュヒーロー 作成者:勝野 直樹
ITC認定番号:0007582001C
作成年月日:2002年10月18日
<はじめに>
 (株)ニュヒーローは、沖縄県において、資本金2150万円、従業員22名の自動車整備および中古車販売を手がける企業である。 1972年、沖縄の本土復帰と同時に設立されている。 会社の経営状態が悪化した際に、経営コンサルタントのアドバイスを受け、窮状の打開策としてインターネットオークションを活用した中古車販売に取り組んだ。 実車ではなく、映像とデータ、いわゆる"情報で売る"といったインターネットオークション(注1)が顧客のニーズを的確に捉え、 現在は年間3億円以上の売り上げを得ている。
 (株)ニュヒーローが実施した戦略は、課題となっていた在庫の圧縮だけでなく、新たな顧客層を獲得するまでに至っている。 また、一方では、自動車整備という自社の得意分野をベースにして、うまくITを組み合わせた事例でもある。 本事例コメントでは、(株)ニュヒーローを取り巻く経営環境と同社が実践した「車を映像とデータで売る」という経営戦略とその背景について考察する。

<中古車市場の動向>
 本事例の商品である中古車は、新車から入庫するまでの間の使われ方が千差万別で、車の履歴、車輌状況は実際に手元に来るまではわかりにくく、 一定の品質というものがない。そのため、仕入れ・買い付けの善し悪しが利益に影響するという性質を持っている。 このことは、車を購入する消費者を惑わす要因にもなっている。
 消費者が中古車を購入する場合は、自分の目で実車を確認して車の状態を納得の上で購入する方法が一般的であるが、 プロの車両検査員がチェックした結果や価格の最新相場情報が消費者に対して十分に伝えられているとは言えない。
 こうした中古車業界における、品質・価格の不透明さ、アフターサービスの面から、どちらかというとダーティーなイメージを持たれがちだったことに対し、 ここ数年は商品の情報をオープンにした顧客第一主義を全面に出した戦略を展開している企業が増えている。

<沖縄県における中古車販売>
 沖縄県では鉄道がない(注2)ため公共交通はバスしかなく、通勤通学などの交通手段としては車は必需品となっている。 しかしながら、県内の国道沿いには中古自動車販売店が密集している地域も多く、一見して厳しい競合環境が伺い知れる。 その数は、ブローカーまで入れると、1000社程度はあると推測され、中古車販売大手の"ガリバー"や"アップル"も沖縄県に進出している。
 このように、本事例の場合は、中古車の需要はあるという機会に対して、競合会社の多さ・大手業者の進出が脅威となっている。
 また、従来から行ってきた在庫中心の中古車販売方法では、品揃えや顧客ニーズへ対応するためには在庫経費がかさみ、経営を圧迫することが弱みとなる。

<IT活用の経緯>
 (株)ニュヒーローは、現在のインターネットオークションを活用する以前、在庫を100台ほど抱え、在庫管理にかかる費用が大きかったことに加え、 クルマを早期に販売するために新聞・ラジオ等への広告宣伝費の負担も大きかった。
 このような状況において、(株)ニュヒーローは、バブル崩壊後の車検台数も中古車の販売台数も落ち込んだ時期に、 情報関係にくわしい経営コンサルタントのアドバイスを受けた。そこで、(株)ニュヒーローが選んだ戦略は、 消費者であるクルマの購入希望者が直接インターネットオークションに参加して中古車を購入してもらう方法であった。
 消費者にインターネットオークションに参加させる販売方法については、業界からの強い反発があったが、城間社長は懸命な説得を行い、 中古車の新しい販売方法の導入に至っている。(株)ニュヒーローが、こうした業界としては革新的な方法を取り入れた背景には、 同社が中古車の販売を専業としている企業ではなく、自動車整備を主力とした経営基盤があったことも確かである。 また、社内のよき理解者の支援もあり、実践面での協力が得られたことも戦略を実行する追い風となっている。

<インターネットオークション導入の成果と成功要因>
 (株)ニュヒーローでは、平成10年2月から中古車のインターネットオークションを活用し、平成11年の6月頃から顧客が増え事業が軌道に乗り始めた。 その結果、在庫管理経費を従来の10分の1に圧縮することができ、当初の目標は達成できた。さらに予想外の成果として、 安価な日常の足としての車を購入する顧客ではなく、高額車を購入する顧客を獲得している。 これは、インターネットを活用することで、従来店頭で選んでもらうという方法と比べ、顧客が選択できる車種や台数が飛躍的に増えたことが要因と考えられる。 インターネットという手法により、車に詳しいプロや車好きの消費者と、地元では入手できないような車とを引き合わせることができたのであろう。
 しかし、この成功は単にインターネットオークションを活用したからだけではない。 たとえ、インターネットでより多くの選択肢から好みの車を手に入れることができても、整備に多くの費用を要したり、後々のメンテナンスが困難になっては、 この販売手法は長続きするものではない。そこには創業以来のしっかりした自動車整備の技術的な信頼があったからに他ならない。
 ここで、(株)ニュヒーローの経営環境について筆者なりのSWOT分析を試みた。


 このSWOT分析から、(株)ニュヒーローの売上向上の主要成功要因は、次の2点と考えられる。
・インターネットによる豊富かつ信頼性の高い情報提供
・自動車整備の高い技術力による裏付け

<おわりに>
 (株)ニュヒーローのホームページを見ると、中古車販売だけでなく、経営基盤となっている車検整備に関しても魅力的な商品が掲載されている。 「ランチタイム/ディナータイム車検」、「一日車検」といった短い時間で車検整備ができるシステムである。 さらにその記事をよく見ると、「立会車検」、「立会見積」といったシステムがあることに気付く。 ここに、自動車整備・中古車販売業界の不透明さを一掃し、真の顧客満足を向上させるという(株)ニュヒーローの基本的な経営姿勢を感じるのは筆者だけではないだろう。 今回のIT導入の成功の背景はこの顧客の立場に立った姿勢にあるものと考えられる。

参考にしたサイト
(株)ニュヒーロー
http://www1.ocn.ne.jp/~hero/

社団法人 日本自動車販売協会連合会
http://www.jada.or.jp/

株式会社ガリバーインターナショナル
http://www.glv.co.jp/

日本自動車流通ネットワーク株式会社(通称:アップル)
http://www.applenet.co.jp/

注1:インターネットネットオークション
インターネット上での商品の競売。あるいはそのサービスを提供するホーム-ページ。ホーム-ページ上での出品や入札などが可能。

注2:沖縄県の鉄道
現在、日本に鉄道がないのは沖縄県のみ。しかしモノレールが平成15年に那覇空港・首里間に開通が予定されている。

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