事例情報

2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:27 (株)カナジュウ・コーポレーション   事例発表日:平成12年10月25日
事業内容:LPガス、冷暖房機器、工事
売上高:不明 従業員数:51名 資本金:8000万円 設立:1963年1月
キーワード LPG販売・配管工事、冷暖房設備販売、
ペーパーレス、
CRM、情報共有
経営革新にITをこう活かす/ナレジマネジメントシステム構築事例
 

(株)カナジュウ・コーポレーション URL:http://www.citygas.co.jp/

(株)カナジュウ・コーポレーション 代表取締役社長 牧野修三氏
プロフィール

 家庭用・業務用・工業用液化石油ガス販売、暖房機器・給湯機器・冷暖房機器販売、家庭用・業務用・集団供給LPガス配管工事、冷暖房・給湯設備設計・施工、東京ガス仕様配管工事設計・施工を事業としている。

~情報の共有化により、組織も社員もぐんと活性化~

 カナジュウコーポレーションは、LPガス販売、厨房給湯機器・冷暖房機器販売、ガス配管工事などの事業をDyneCS(ダイネックス)という基幹システムで行っている。創業が1963年という歴史のある企業において、手書きや紙を使ったアナログの業務体制から、革命のごとくデジタル化が進められた。その経緯、効果などを牧野社長に語っていただいた。


■新鮮な情報を共有することでパワーを引き出せる
  初めにお話しておきますが、私はビデオの録画、テープのダビングもできません。せいぜいその技術レベルですが、あくまでも実務家の立場から私どもの会社で行ってきたことをお話して、皆さんに少しでも参考になればと思います。
  最近、デジタルデバイド、情報化が生む経済格差ということがマスコミでもよく取り沙汰されています。しかし、私が思うに、中小企業においてはもともと経済格差はあったわけです。大企業は情報化投資がどんどんでき、中小企業はそれができないと。むしろ、今は経済格差がなくなってきたと思います。ダウンサイジングでメインフレームを使う必要がないわけですから、小型のパソコンをネットワーク上で使えば、かなり有効に経営の革新ができるという前提条件ができ、初めて我々は同一のスタートラインに立ったと言えます。だからこそ、これから先が問題ですよ、という意味でのデジタルデバイドなのだと、中小企業の経営者としてそう思います。パソコンをつないで経営改善に役立てるか役立てないかは経営トップの意識次第です。ITを活用する企業と活用しない企業の格差は幾何級数的に効いていくことでしょう。それだけ、ITが時代環境の変化の中で、我々の経営が環境変化適応業であるならば、まさに重大な意味を持つということです。
  経営の観点からの情報化というのは、見えないものを見えるようにする、あるいは見えにくいものを見えやすいようにする、透明度のある経営をすることではないかと思います。また、情報は賞味期限があるもので、ある日を境に価値のない情報になる可能性がありますので、全員同時に配信することが大事です。
  昔からの回覧板のように最後の人まで1カ月もかかるようでは意味がありません。さらに社員全員が情報を共有化することにより、参加意識が高まり、結果としてひとつの会社の経営方針にのっとったものになっていくのではないでしょうか。社内に1人1台のパソコンで、それも個別のパソコンがそれぞれ立っていて横につながっていないのではなくて、全部のパソコンをネットワークでつないで情報共有をする。これはいってみれば共同作業環境の確保ということです。ネットワークにパワーを充てる、またはネットワークからパワーを引き出すことになり、社内も社外も全てデジタルで完全に連鎖させていくとペーパーワークでの非効率さというものが完全になくなります。

■さまざまな場面でデジタル化に切り換えていった事例の数々
  かつて私どもの会社でどんなことをやっていたかと申しますと、トップが社員全員に情報発信するということで、『カナジュウ瓦版』というものをやっていました。全員同時に、ということが原則でしたから、コピーをとってどんどん全員の机の上にセロテープで留めておく。コピー機はすぐに壊れました。営業日報は、日別個人別でみれば本人の一日の行動履歴ですが、得意先ごとに並べ替えをしていました。日報のコピーをとって訪問先ごとにハサミで切って顧客ごとの台帳にはりつける作業で、手は汚れる、台帳は糊づけされるから反ってくる、という状況でした。お客様からオーダーをいただいて起こす作業指示書には、お客様の名前、住所、電話番号、指示内容等を書き入れますが、電話番号や住所を間違えるというこが頻繁に起こっていました。
  こうしたことがデジタル化によってどう変わったか。
・紙の日報をデジタルの日報にしました。日報は、工務店さん別に並べ替えたものと、担当者別と2つあります。デジタルで仕組みを作ると色々と便利なことができるわけで、例えば当社では次回の訪問日を入れないとその日報の報告が完了しないことになっています。また、上司や同僚が他部門からもコメントを入れています。これは紙の日報ではありえなかったことで、紙の日報では直属の上司に上がっていくようになっていて、他部門の人が見るなどまずないでしょう。
・電話帳もデジタル化して、色々な部門で分散していた電話帳を一本に統合しました。従来は、電話を受けると紙に伝言を書いて机におく、その移動のロスタイムがありましたし、本人が帰ってきてきちんとそれを見て取引先に返信をしたかどうかもわかりませんでしたが、デジタル化がそれを解消しました。
・稟議書も然り。紙の稟議書は出してから決裁が下りるまで、今どこにあるのかがわからない。私はよく「糸の切れた凧」だと言ったものです。それをデジタル化により、きちんと稟議のプロセス情報も全員が共有することによって今どこで審議中なのかが確認できます。
・勤怠、タイムレコーダーもバーチャルで行います。出勤してきた証にはネットワーク上に書いてある「出」のボタンを押します。休みを取りたい時は、各種届け出申請というデータベースで申請します。つまり、ITを使わないと出勤の証明もできないし、休暇もとれないということです。さらに、この勤怠ボタンで給与明細が自動計算でできます。それで、2年前に給与明細をメールで送るようにしたら、「そんな会社どこにもない」と社員から言われましたが、その半年後くらいに日本IBMで給与明細をメールで送り始めたということを知り、皆が納得したものです。
・戸建ての新築住居の入居時には、お客様に記念にお花を持っていってコミュニケーションを深めてこようという作業を行っていて、花はデジカメで撮影し、それに花屋さんのホームページから花言葉や花の手入れ法などの情報をダウンロードして印刷して添えています。
・お客様の訪問履歴は、一軒一軒のお客様とのコンタクトの履歴を時系列できちんと整理することで、お客様が望んでいるサービスが企画できると考えています。IT化による高度なCS化(CRM)の事例といえます。
・プロセス情報も共有化すべきだと考え、社内的に携帯電話のプッシュボタンによるスピード作業報告、リアルタイムの行動報告を実施しています。携帯電話のプッシュ信号をモデムが受けてそれをまた文字情報に変換して、全員のパソコンからどれを見ても誰がどこで何をしているか、どこまで作業進行しているかが確認できるようになっています。

■IT化の決めてはトップダウンで
  このように情報インフラが変わって業務プロセスを変え、次は組織の改革だということで、当社ではコールセンターや、メールセンターなど、機能中心の組織へと再編成が進んでいるところです。
  ご参考までに当社のIT投資の費用をいいますと、過去7年間の累計値でいって、売上に対する情報化投資額の割合は年平均で5%というところです。ご質問があったので具体的な数字でいいますが、6億3千万円です。しかし、これは私がかなり新しいもの好きなので相当かかっていますが、今これから始める方は、ハード、ソフト共に相当安くなってきていますので、皆さんがその気になればこの金額の10分の1、100分の1、1000分の1くらいで、実現は可能だと考えています。
  もうひとつ、情報の共有化に伴う機密性についてですが、できるだけ「見せない経営はしない」方針です。この部分については、良い悪いではなく、会社トップの人生観や経営哲学の問題になりますので、自分なりに情報化の対象範囲を決めてすればよいと思います。IT化の方針決定の中で情報の共有化の範囲を決定することは、トップのなすべき作業のひとつです。
  IT化の実行の前提条件は、トップダウンです。しかし、トップは必ずしもITおたくである必要はありません。社員の皆さんが情報を使いやすく活用できる環境を整える、そのための段取りをする、総合プロデューサーの役割でいいのです。そして、その環境整備をしたらあとは社員の活力に期待する。社内にITが得意な人材がいなくても、外部の支援を受けながら進めるとよいでしょう。当社も外部の支援や先生の指導をあおぎながら進めてきました。また、当社では、社員の1割くらいをキーマンという形で先行的に情報化の教育を選抜的に行い、インストラクターになるという形をとりました。これはかなり有効だったと思います。
  IT化のマインドとして、ロータスノーツのコンセプトでもある「小さく産んで大きく育てる」が大事です。具体的には、小さな部門でテスト的にネットワーク化して、小さい成功事例をいくつか創り上げていく方法がいいのではないかと思います。いい意味での失敗が経験値になってきます。
  いずれにしても、ITをうまく使いこなして我々の商売の仕方、仕組みというものを新しいモデルに変えていくことがお互いに重要な課題ではないでしょうか。
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:28 (有)お茶の亀屋翠松園   事例発表日:平成12年11月1日
事業内容:お茶販売
売上高:不明 従業員数:14名 資本金:800万円 設立:1946年8月
キーワード お茶販売、

データベース化、パソコン活用、商品データベース
e加減な中堅企業
  

(有)お茶の亀屋翠松園 URL:http://www.netwave.or.jp/~kameya/

(有)お茶の亀屋翠松園 代表取締役 尾碕正澄氏
プロフィール

 早稲田大学卒業後、黒姫移動大学、国立茶業試験場茶研究所を経て、1974年お茶の亀屋翠松園に従事。2000年、㈲お茶の亀屋翠松園代表取締役に就任。
  全日本茶商クラブ理事のほか香川経済同友会、高松稲門会、百十四たまも会等に入会し活躍中。

~自分流でコンピュータを活用して20年。そこから見えてきたIT時代の真髄とは?~

 IT、ITと言葉ばかり先行しがちな感がある中小企業経営者も少なくないが、自分がコツコツやってきたことが実は今でいうIT化の一環であったのだという人もいる。まだコンピュータなど一般にはほとんど普及していなかった時代から独学で取り組んできた尾碕氏もそんな一人だ。コンピュータ歴20年の氏の、今日までのコンピュータ活用のプロセスと理念を伺った。


■独学で始めた私のパソコン履歴
  今から25年前の1975年に、私は高松に帰ってきて「お茶の亀屋」に入ったものの、仕事はよくわからないし、経営に必要な金勘定や人の使い方もわからず、経営者として行き詰まっていました。そこで、経営を通してどういうことを目指せばいいのかを考え、立てた目標が「生活は明るく、仕事は楽しく、体は元気に、仲間や地域の人達とは仲良くやっていきたい」ということでした。それにはどうしたらよいのか。その方法として、パソコンに着眼し、初めて手に入れたコンピュータがシャープから出ていたPC-1211というポケコンです。
  当時は今のようなハウツー本もなく、パソコンを使っている人も周りにいなくて、一人でBASIC(ベーシック)というプログラムを組み、自分自身の仕事の上で役立つもの、今でいう商品データベースを作成しました。数キロバイトのポケコンですからデータを蓄積する余裕がないため、ポケコンにテープレコーダをつないでテープにデータを入力していました。テープに覚え込ませたものを夜中に読み取り、ドットプリンターにアルファベットで商品名や数字を打ち出して、商品ひとつひとつに「いつ」「どこから」「いくらで入ったか」という符丁を打ち出しました。以来、今日までの20年間、商品ごとにこのデータがレシートとしてついています。これが、私のパソコンを使った初体験の実績です。
  その後、エプソンのHC20というノートタイプを買い、次はPIPSにしました。PIPSは優秀な日本人が開発したソフトウエアで、今はリコーからマイツールという名前で出ています。当時は10数万円から20万円くらいしましたが、2000年10月から無料になりました。現在の私の仕事はマイツールなしには進みません。
  よく「パソコンは何を買ったらいいか」と相談されます。以前は「仕事で使うならマイツール、パソコンが好きでマニアックに使うならPC-98、クリエイティブなデザイン的な仕事ならマック」と答えていましたが、ウインドウズが出てからはどのメーカーのどのパソコンを使ってもいい、と言っています。どれでも十分すぎるくらい仕事がこなせます。ハードデスクも、フロッピーやCD-ROMも随分安くなり、パソコン自体の仕事のスピードも速くなりました。

■パソコンのフレキシブルな魅力をバランスよく活用
  人間は頭で考え、手で文字情報を書いたり、情報を発信したり、創作したりしています。また目で見たり耳で聞いたりして、情報を受信し蓄積していきます。こうみると身体も情報の受発信をしている道具です。昔からの言葉に「読み書き算盤」というのがありますが、これも情報処理。「読み」は情報の受信、「書き」は情報の発信、「算盤」はパソコンでいう数量情報の加工処理です。欠けているのが思考の部分ということになります。このバランスをもってパソコンを使わないと、単にワープロ機能だけとか、エクセルで表を作って報告書を作るだけとか、e-メールで受発信する程度で終わってしまいます。私のところは規模は小さいですが、この4つをバランスよく使っています。情報は、欲しいもの、入手しやすいもの、役に立つもの、ゴミになるもの、と、色々ですが、それを自分自身で判断して収集、蓄積、加工をしていかなくてはなりません。
  パソコンを活用すれば儲かります。例えば、商品情報のデータを活用すれば、仕入れの時に何万アイテムとある中から、何をどこから仕入れれば一番安いかがすぐにわかります。また、パソコンによって、人の動きも効率よくできるようになります。今まで手で書いてやりとりしていたものは、パソコンを使うことにより、繰り返しや同じ文句を差し込んだりすることも容易にできます。そして何よりパソコンは楽しんで使えるものですから、ゲームやインターネットにより今まで知らなかった世界の情報をどんどん取り入れることができます。私も商売のお茶のことだけでなく、趣味のマジックの情報も入手していますが、マジックのような陰でしか情報が得られなかった ものはインターネットにより情報が楽に入手できるようになり役立っています。
  さらにパソコンには情報の記憶蓄積という非常に大きな有効性があります。オペレーションができ、ソートしたり異質のデータ同士を付き合わせることで新しい発想ができます。

■ひとつひとつ積み重ねて、データベースを作り上げていく
  情報のデータベースを大きく分けると、人の情報、物の情報、金の情報、事の情報の4つがあります。
・ 人の情報は顧客名簿です。当社では全国に8千名のDMリストを持っています。DM発送には以前は宛名印刷でラベルを打ち出して封筒に貼っていましたが、現在は毎月ラベル印刷で簡単に発送ができています。
・ お金の情報は、経営面の数字情報です。P/L、B/S、給与、資金繰り等の情報のデータベースです。
・ 事の情報は、DMや販促等の企画、スケジューリングなどのデータをパソコンに入れて管理しています。
・ 物の情報は、当社では商品ひとつひとつに、PVQM(Pはプライス・価格、Vは仕入れ価格、Qは個数、Mはマージン・粗利)と商品名、仕入れ年月日、商品シリアルナンバーが入っています。
  ここでお勧めはシリアルナンバーです。オフコンを使っているところでは、商品にコード番号を入れることが多いのですが、コードを調べながら活用するのは大変なので、私は商品については名前で入れてしまいます。名前で分類するのです。仕入れた順番に入れていけばいいのです。こうして何年もやっていけば、自分のところのデータベースができていきます。ほとんどの企業では、データベースというとコンピュータ会社かソフトの請負会社が来て何万アイテムというものを一気に処理しようとするから大変なのです。当面必要なデータをひとつ一つ、入力し蓄積していけば楽です。
  マイツールのよさは、思いついた時に変更がきくことです。オフコンでは桁数が足りなくなったり、消費税が変更になった時に、オフコンのオペレータを呼ばなければできないので時間がかかるし、変更手数料も取られるでしょう。パソコンを使っていれば、マイツールはチェンジフォーマットで桁数変更も、消費税もコマンドで手軽にその場ですぐ変更できます。思いついたらすぐできるのもパソコンのメリットだと思います。

■人と人との繋がりがe-ビジネス成功のカギ
  私が儲かる企画を立てたプロセスをお話しましょう。大前提に、お客様に喜ばれ、役に立つことをしたいと思います。そしてまず自分のところの現況を考えます。もし商品が売れなくて困っているのなら、売れない原因を考えます。お客さんの要望を考えるのです。私はナツメの形をしたお抹茶を入れる器として「四季棗」という企画を考えました。そして、ヒットする要素を加味するため、数字情報、ストラック戦略会計というマネジメントゲームについているソフトウエアを考慮して価格決定しました。これにより何個売ったらいくら儲かるかという数量情報を活用して、結果的に利益を上げることができています。
  また、皆さんもパソコンを経営に活かしている仲間を増やしていくことが大事だと思います。よくインターネットというのは各所にプロバイダーなどがあって、それが世界中に繋がっていてその端末にパソコンがあるという説明がされますが、忘れてならないのはパソコンの前にいるのは人間だということです。インターネット時代で顔が見えないと言われますが、あくまでもその向こうにはお客様という人間がいるのです。こうした人と人とのネットワークですから、IT戦略において最後に成功するのはシステムを制する、OSを制する、アプリケーションを制するということではなく、人と人とがどう繋がるかが決め手となります。人と人とのいい関係を作っていくことが、e-ビジネスで成功する大事なカギなのです。例えIT化が進んで各家庭にパソコンが普及し、インターネットショッピングが当たり前になっても、人と人との繋がりが大切な時代になっていくことを強調したいと思います。
  私も商店街で活動したり地域活動の中でパソコンを使い、パソコンを抜きにしても人と人とのご縁を大切にしています。子供には、試験の点数より友だちの人数を増やせ、と言ってきました。これからは学歴は本当に関係なくなるでしょう。人とたくさん会うこと、特に異業種の人たちと違ったものの見方がわかる交流を深めていくことをお勧めします。同業種だとどうしても利害関係や勝ち負けが絡んで本音の情報交流ができません。年齢も幅をもたせて、異性も含めて、幅広く楽しい交流をもち、情報を得、活用していってください。
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:47 オムロン(株)   事例発表日:平成12年10月16日
事業内容:制御機器・FA、電子部品、PC周辺機
売上高:5942億5900万円
2001年3月
従業員数:6757名 資本金:640億8178万円
2001年3月
設立:1948年5月
キーワード 制御・電子部品・FA機器製造、
物と情報の流れの一致、
CAD、CAM、イントラネット構築
IT技術の活用と21世紀へ向けての事業基盤の強化
  

オムロン(株) URL:http://www.omron.co.jp/

オムロン(株)顧問 田崎 央(ひさし)氏
プロフィール

 昭和34年京都大学卒業、オムロンの前身・立石電機に入社。販売、営業、経営戦略部門をはじめ、中央研究所所長、技術本部長などを歴任。海外事業戦略も担当。専務取締役ののち、顧問に就任。通産省の地域コーディネイタ、ITSSPコーディネイタ、京都高度技術研究所客員研究部長なども務める。

~経営の質を上げるIT技術を柔軟に活用しよう~

 IT化時代の現在、世界各地でビジネスリーダーの役割を果たしている田崎氏は、経歴の通り技術、営業、経営とトータルな眼でIT化をとらえることができる人物である。気さくな関西弁のトーンの中に、最先端の事例や次代に生き抜くための経営へのアドバイスが光る。


■ITによる身の回りの変化とは
  IT革命と言われますが、いったいどんなことが起こっているのかをお話します。私は昨年、今年と通産省の関係でアメリカ、ヨーロッパへ何回か行っていますが、そこで言えるのは元気な国は産学仲良し・ベンチャー頑張れ・IT元気と言う特徴があります。例えばシンガポールもそうです。アメリカは10年前の不況からIT領域の産業により見事に立ち直りました。IT領域の産業はこの10年で7倍になったと言われています。日本ではIT領域のエレメントを全部持っている大手電気メーカーなどの各企業はほとんど成長していないはずです。これはすごく大きな違いです。また、ヨーロッパの例では、フィンランドが今大変景気がいいです。私どもも現地に子会社を持っていますが、毎年5割以上の売上の伸びとなっています。パソコンの普及率も携帯電話の普及率も世界一です。このようなことから、ITが経済のドライビングファクターとなり、ぎゅっと押し上げる効果をもたらしているといえると思います。
  では、我々の身の回りではどんなことが起こっているのでしょうか。一言で、自分の状況がどうなったらIT時代といえるのかというと、自分の好きな機械(iモード、パソコン、デジタルの双方向テレビなど)で自分の好きな時に自分の好きなやりたいことができる。それが例えば情報を集めることだとすると、イスタンブールへ遊びに行くけどどこで食事をしたらいいか、ということがすぐにわかります。あるいは、自分の口座から送金をする、切符を買う、株を売り買いする、役所の証明書類を取る、色々あると思います。フィンランドの例では、独居老人の住居のあちこちに色々なセンサーを付けておき、一日の行動の平均パターンを機械が覚えていて、毎朝8時に起きるのに今日は起きてないという時には、すぐにホームヘルパーさんが駆け付ける仕組みができています。痴呆老人の徘徊にカーナビの技術を応用したり、施設の入口のカメラが顔で識別して出入りを管理したり、というように我々の生活がITによって助けられることが増えていくでしょう。また、人が倒れてから1時間以内に処置できればその後のクオリティオブライフが非常に高いレベルで止めることができる、こんなところにもITが活用されていくと、生涯医療費を大幅に下げることもできると思います。

■ITによる社会及び経営環境の変化とは
  では、社会はどのように変わるのでしょうか。アメリカでは、BtoB、つまり企業間取引において、98年のデータで、年間50兆円がインターネットで取引されています。日本の総小売り金額が145兆円ですから、その3分の1にあたる金額です。また、同じくアメリカでインターネット取引により230万人の雇用が新たに創造されています。ちなみに日本の99年末の失業者総数が300万人です。なぜそういうことが起こるのか、それには色々理由がありますが、ひとつはアメリカでは市内電話がタダなのです。だからインターネットの接続は全員朝から晩まで繋ぎっぱなしで24時間いつでも使える環境があります。日本では使おうと思ったら電話代を心配しなくてはなりませんが、いずれ日本もそうなると思います。
  経営もまた色々変化しています。例えば私が籍を持っているオムロンのある系列会社はソフトウエアの生産を行っていますが、200人くらいが1フロアにいて、全員がソフトウエアの開発をし、一日中一言も言葉を交わしません。仕事は端末で行い、隣りの同僚に用があればメールを打つ、昼休みは一人でゲーム。こうなると中間管理職の部下を管理する役割は非常に難しくなります。マイクロソフトのビル・ゲイツは1日に何百通ものメールを社員とやりとりして会話しています。そのように直接考えが伝達でき、しかも履歴まで残るやり方に変わってきているのです。また、時間空間を越えるのがインターネットですから、例え2人3人の小さな会社でも全部グローバルマーケットを対象に物事を見ているのも特徴です。

■私が推進したオムロンでのIT化投資
  20年前、私は会社(現・オムロン)において、今でいうならITエグゼクティブとして大きな投資を推進しました。その大きな柱は次の3つです。
  1)ネットワーキング
  イントラネットの敷設です。当時30億円か40億円かかりましたが、今なら数十万円でできそうなものです。会社の中で色々な機構が分断されていたのでそれを繋ぎ、営業拠点50何カ所、特約店100店、工場30カ所、下請けや外注先200~250軒、それらを全部繋ぎました。これにより、今まで最適生産ロットという数字にしばられて数カ月分もの在庫を抱えていたものが、2週間分くらいの在庫にスリム化でき、経営の効率化をもたらしました。何よりも効果が高かったのは、コンピュータの何でも無い特徴「ポカミス避け」でした。また、特約店や外注先との結びつきは、新規事業にもネットワークとして活用できる効果がありました。
  2)機械による開発効率アップ
  CAD、CAMの領域です。昭和30年代後半にはかなりの営業マンがいましたが、ほとんどが大卒のセールスエンジニアです。つまり、お客と話している中でニーズを技術者の目でとらえて会社へ持ち帰り、その情報をもとに製品を作ってお届けすることができ、会社は10年で100倍に大きくなりました。ところがそのくらいの規模を経過すると小回りが利かなくなって、開発プロセスが滞りがちになりました。そこで、1度サンプルを作ったらそこで完了できるよう、それまでのプロセスをコンピュータ上で徹底的にシミュレーションするやり方にしました。これにより開発期間が3分の1に短縮できました。
  3)コンピュータに慣らせる
  エレクトロニクスの会社なのにコンピュータになじみがなかったらどうしようもない、と全員がパソコンにさわる環境を考え、当時4000人の社員に対して、パソコンを1,000台購入しました。それで色々とパソコンを使いこなしていくうちに、社内業務用のソフトウエアがいくつもできました。それを基にして他社が作ったパソコンにソフトウエアを積み込んで売る事業も興しました。

■IT化のベースにあった考えとは
  こうしてやった中で、根底にあった考え方は、まずPCを通さないと仕事ができない環境にしてしまうことです。データにさえなれば後は何とかなる。人間のポカミスも減り、生産効率も上がる。機械に任せられることは機械に任せ、人間はもうちょっと人間らしい仕事をさせたいと考えました。次に、1度入力したものをずっと使い続けようということです。工程計画、部品発注、出荷などそれぞれの現場ごとに同じことを入力していては必ず間違いが起こります。いったん受注で入力したデータを最後の売上、入金まで一連の流れの中で使っていけるデータの使い方がポイントです。
  そして、会社の仕事は頭の中で考える部分が多いのですが、機械向きにできるだけ単純化した仕事のやり方に変えていこうということです。自分のやり方で何がなんでも、ではなく、既製服に体を合わせるような物の考え方をしたほうがいいということです。ここでいう既製服とは、世の中の通り相場のソフトウエアややり方を、できるだけ使いこなそうという意味です。そうすれば、Windows2000が仮に2005になっても保証される。自我流にこだわっていたら、データも保証されないし、全て書き換えなくてはならない恐れもあります。
  このスタンダードなスタイルのポイントをいくつかあげましょう。ビジネスにおいて、伝票を動かさない限り物もお金も動かしてはいけませんね。これがIT時代になると、入力しないものは絶対に動かしてはいけないということになります。入力があって初めて物が出ていくというやり方です。また、A社の注文の「イ」はちょっと改造されていて本当は「ロ」のことだから、いつも「イ」の注文に実際には「ロ」を納品している、というような複雑なことは機械系には向きませんから、このような部分も取引先と話し合って改善していく必要があります。世の中の通り相場に合わせるため、方言とも言うべき、特殊な言語や、自分の会社だけが使うソフトも使いません。
  それから、望ましいこととして、ペーパーレスや会議をなくすこともあげられます。当社でもこれだけ情報投資したのだから、紙の消費量だけでも減らそう、意志の疎通ができるはずだから会議をやめよう、とやってみたのですが、なかなかうまくいきませんでした。しかし、経営者はその方向に努力すべきでしょう。
  IT投資は必ずペイすると信じることも大事です。私は、まだ会社がそう大きくなかった時代に膨大な投資を進めたわけですが、人間にはできない領域を機械に助けてもらえると信じて取り組みました。投資した分は必ず見合います。

■IT化は欠かせない経営資源、トップがその意識をしっかり持つ
  IT化に伴い、経営において取り組むべきこともあります。
例えば、短期経営の探索です。先月の売上がこう、今月の売上がこうだからといって、来月の売上もうこうなるとは決して言えません。来月確実に売り上げられる仕掛かり品が不足していたら、受注残の中から来月納期にしてもらうとか手を打たなくてはなりません。それはつまり手の中のデータを大事にするということです。
  また、これからも非常に重要な問題として、ファイヤーウォールがあります。直訳すると防火壁ですが、今コンピュータを使用している会社全てに関わる問題で、ハッカーという悪意の誰かが侵入して会社のデータを全部眺めることへの対処です。これはいくら侵入防止しても無理です。必ず会社の機密データというものは見られます。いちばんいいのは、機密データのない透明の経営をすることです。従業員に対しても社会にも株主にも透明性の高い経営をやっていくべきだと思います。
  トップがパソコンに触らず「ITがんばれ」といくら言っても部下はのってきません。時には部下にわからないようにゲームでもいいから、トップがパソコンをいじっている姿勢を見せることが大事なのです。しょせん、機械はさわらないと覚えません。パソコンを好きになるためにも指でぽつぽつの入力ではなく、両手で、アルファベット入力できるようにして、キーボードに対する恐怖心をなくしましょう。IT関連には特有の意味を持つ横文字が多いですが、その英単語の本来の意味を辞書で引くだけでもITには強くなります。
  最後に、インターネット領域のサーバー事業を行っているサンマイクロ社の経営者マクナリ氏の講演から、名言をご披露します。「IT化は避けられない。逆らうより波に乗れ。さもなくば死ぬぞ」。本当にその通りだと思います。IT技術というのは、ヒト、モノ、カネの経営資源に加えるものです。これを使いこなすことによって、経営の質を上げて新しい世紀を生き残っていこうということです。
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:44 (株)オーテック   事例発表日:平成12年11月29日
事業内容:金型設計・製作、プラスチック射出成型
売上高:不明 従業員数:84名 資本金:1億4900万円 設立:1995年11月
キーワード 金型・プラスチック射出成型製造、
ダイレクトメール、ペーパーレス、
EDI、構内PHS
仕事を獲得するための情報化
  

(株)オーテック URL:http://www.otec21.co.jp/
http://www.mt21.com

(株)オーテック 顧問 光井將宇氏
プロフィール

 立命館大学大学院に社会人入学し、産学共同研究に従事。卒業後、(株)オーテック顧問及びミレニアムトレード(株)取締役。近畿大学で教鞭もとる。

IT化の成功の決めては社員のレベルアップ
身近なところから始めて社員の成長に合わせて大きな成果を得る

 経営コンサルタントとして(株)オーテックの情報化戦略に関わった光井氏の語る事例は、中小零細企業でもすぐに取り組めることばかりだ。初年度5千万円だった年商を5年目に13億円にまで伸ばしたオーテックの成功を支えたIT化ストーリーとは。


■社員の意識改革で儲かる会社にしよう
  私は大学で教えるかたわら、経営コンサルタント業務も手がけ、関西を中心とした中小企業において、経営者や番頭さんが引退しても会社が成り立つためのひとつの提案として、コンピュータを導入しIT化しノウハウをそこに移すお手伝いなどを10年ほどしてきました。そして、(株)オーテックの情報化へのお手伝いという声がかかり、2年ほど前から関わっています。
  (株)オーテックは、金型設計・製作・プラスチック射出成形メーカーです。大手電機メーカーの3次下請けのプラスチック成形メーカーであった父の事業を引き継いだ呉宮(くれみや)が、1995年11月にそれを転換し全く独自の会社として設立したものです。
  それまで3次下請けでやっていたような仕事を直接メーカーに持ち込み、1次下請けにすることに成功し業績を大きく伸ばしました。初年度5千万円だった年商が5年目で13億円になりました。
  本当にものを造ってきた3次下請けだったからこそ、技術を持っていたわけです。しかし、それを顧客に提案する能力を持つまでには努力が必要でした。
  従来の日本の製造業の強味は、資材調達担当者との話の中から要望を聞き取りそれに合ったものを提案する"ご用聞きの能力"があったのですが、世代が交代してその能力がなくなりつつあります。日本の教育システム自体が選択肢主体で提案力のある人材が育たないという環境であり、中小零細企業では一層のこと、優秀な人材、提案力を持った人材を雇うのは困難です。

■社長が社員を育てるツールとしてのIT化
  そこで呉宮社長が考えたのは、会社が伸びるためには優秀な社員が必要だからら育てないといけない、社長=教師になるのだということです。その第一歩が情報化だったのです。社長1人で何人もの社員の面倒を見るとなるとやりとりの手間が大変です。そこにコンピュータは非常に便利なツールであるという発想で、社長が全て相手をするという覚悟のもとにPCの購入補助制度を作り、社員全員にノートPCを持たせました。製造業はなかなか社員の異動が激しいので与えるのではなく月々に金額を給料から天引きし、半年くらいしたら本人のものになるような制度です。
  第一段階は、社内にPHS電話内線網を引き、PHS連絡網を作りました。これで、誰がどこにいても連絡を直接取れる体制にしたわけです。次に社内LANのコンセントを設置して、社員がノートPCにモデムカードを差し込めば社内LANに繋がるような環境を確立しました。ファイルサーバーを立てて、社内の情報、議案書などは全てここに保存し紙を出さないようにしました。コピー機も1台にして、ペーパーレス化を進めました。
  第二段階は、担当者しか書換えができなかったホームページに自動書換えソフトを導入し、各部門から直せるようにしました。この段階から私が関与することになり、社外に情報を出すとはどういうことか、セキュリティの問題等を認識させ、各社員に責任の所在を明確化させたのです。
  その上で、ネット営業を取り入れました。その方法は、200社ほどの資材調達メーカーに、お得な情報や展示会などで相手先の出展を見た感想など、きめ細かな内容のメールを毎週送ることから始めました。3カ月くらいは何の返事もありませんでしたが、やがてぽつぽつと返事が来るようになり、ついには大手メーカーから金型の注文が来るまでになったのです。信頼関係をネットで作っていくことが可能だという例といえましょうか。
  ファイルサーバーにデータを入れて管理したのは、ISO取得の準備を兼ねていました。ISO取得には文書管理が大変ですが、オーテックでは情報化の第一段階でファイルサーバーに皆が慣れたため抵抗感なく対処でき、各部門長がここまではコンピュータでやりましょう、ここはプリントアウトしてファイルに綴じておきましょうと見極めができました。

■大手取引先のニーズ、EDIにも対応
  次に在庫管理、経理の情報化に入っています。通常の会社ですと、最初に経理部門、在庫管理部門がコンピュータ化をします。するとそこの担当者だけが特権階級のように見え、いざ他の社員にコンピュータ化を進めようとした時に軋轢が生じてうまくいかないことがあります。オーテックのように社員全体のスキルが上がって初めて実際の業務に関わる部分をIT化するやり方は参考になると思います。また、目的のないIT化は失敗すると言われますが、逆に、現実にできない仕事はIT化してもできません。手作業で経理と在庫がきっちり合っていない会社はIT化しても数が合いません。それがきっちり合うレベルになってから初めてコンピュータを導入するという視点も必要です。
  また、オーテックは松下、シャープ、サンヨー、トヨタなどの企業と取引していますので、EDI(電子データ交換)に対応せざるをえない状況にありました。各社がそれぞれ自社専用のEDI端末のパソコンを用意しLANで繋ぐことを要求してきますが、機種も違えば操作も違うので、各企業向けに専用のハードとそれを操作するオペレータが必要となり、オーテック1社でEDIに対応するのはコスト的に合わない。それができるのは売上300億円以上の規模の企業ではないか。ならばその部分を代理で行う会社が必要だと考え、新会社ミレニアムトレード(MT社)を作ることになったのです。MT社が各企業から来たデータを変換して会員企業に回す、例えばシャープさんから来たデータは一般用に変換して会員各社に回すので、会員企業の出口はインターネットひとつでいいわけです。MT社の口座を利用してもらうということは会社の信用を貸すことですので、本当に一緒にやっていけるだけの技術力があるのか判断させていただくため、MTクラブを作り会員制とします。無料会員と月額5万円の2段階の会員を考えていて、有料会員には口座をお使いいただき、プラス成功報酬としてサービス料をいただく構想で2000年4月からスタートします。

■オーテックに見るIT化成功の3つの条件
  オーテックがIT化に成功したというのはまだ途中の段階ではありますが、オーテックの事例からIT化を成功させるための3つの条件を掲げてみましょう。
  1)社長が自ら使わないと社員は絶対使わない。
  オーテックでは社長が社員に対して「この間はこれこれこうだったけどその後どうだ」というように全部個人あてにメールで問いかけて、かつCC機能(メールの写しを送信する)で課長、部長にもメールの内容を明確にし、その中でいい提案やアイデアがあったら掲示板に張り付けて社員全員が見られる形を作りました。社長が高齢だとか多忙を理由にそんなことをやっていられないという企業の場合には、社長の代わりに会社の情報を全部管理する情報の責任者(CIO)を決めて下さい。そうしないとせっかくの情報化の流れをトップがせきとめることになりかねません。
  情報化に伴い、社内の人員の配置全体を見直す必要もあります。オーテックの場合は、この2年間に会社の組織を10回変えました。他社に混乱をもたらさないよう名刺上は変えてなくても、社内の実際の予算取り、各人の責任所在、プロジェクトに関するチーム分けなどは2カ月に1回のペースで変わっているということです。ネットを使って色々な提案が出て、取引先の変化もあって、希望者にどんどんその仕事を任せていくということをやっていれば組織が変わるのは当然です。IT化を投資として捉らえた時に、あくまでもITはツールであり会社はその設備を整えたのであって、実際に社員がそれを使って会社にメリットをもたらすプロジェクトを提案するようでなければその投資は回収できません。
  2)報連相の徹底。
  オーテックでは社員教育を徹底させました。といっても実際は"ほう・れん・そう"(報告・連絡・相談)の徹底をさせたのです。報告は過去のこと、連絡は現在のこと、相談は未来のこと。ですから、常にひとつの出来事に対して最初に相談があり、連絡があり、報告がありというワンセットになって終わるはずなのです。社員にその意識を持たせ、報連相対応用にメールの様式を変えました。タイトルを書き、その後に相談1番、相談2番、相談3番と書かせるようにしたのでその後の連絡や報告に繋がり、それがそのまま日報に近い形となって会社としては営業報告書として取引先ごとの重要なデータベースになっています。製造の面では、トラブル報告、不良品発生などが重要な対応マニュアルとなります。
  3)ホームページは優秀な営業マン
  現在、オーテックのホームページには、金型の会員見積システムがつけてあります。金型を発注したい人が条件等を入力すると簡単な金額が出るものです。また、中国や台湾などアジアの企業には日本の金型が非常に優秀だというイメージがあってもどこに頼んだらいいかわからない、そういう時にオーテックのホームページを見た外国企業から注文が来ることもあります。

■必要最低限から始めて、グローバルマーケットで勝つ
  オーテックでは入社初日にPCを渡され、使い方の指導が最初のトレーニングとなっています。PCを使って当然という環境ですから、どの社員も違和感なくできるようになっていきます。システムやソフトは最低限のものしか入れませんでした。
  IT化で社員のレベルが上がる、レベルが上がればやりたいことが増える、増えたらこれまでのシステムは捨てなくてはならない場合が出てきます。あくまでも会社の設備投資としてのITは、使い捨ての側面がありますから最低限の機能で始めるほうがいいと思います。そしてその機能が社員全員に使いこなせるようになった時点で次の機能を考えればいいと思います。もしくは使っているなかでこの機能では足りないということが明確になったら足せばいい。むしろ1年後に、今までのシステムではだめです、こんなシステムにしなくては、と社員から声が出てきたらそれこそ投資効果があったというべきでしょう。
  IT化の本質は、データが残る、1対n、n対nの3つです。
  データが残るので、そのデータを活用してノウハウを磨くことが非常に簡単になります。しかし、データを使える人がいなかったらデータもゴミになってしまいます。ですからデータを活用できる人間をいかに育てるか、それはつまり情報はお金を生むものだと社員が認識してくれるようにすることともいえます。
  1対n、n対nの対話が可能になる、時間と距離の壁がなくなるということは、互いにリアルタイムに情報を共有できるということでもあります。オーテックでは会議の1週間前に全員が議題を提出し(ない人は"ない"と表示)、議題を出した理由や関係資料などは全てメールで流しておきます。ファイルサーバーの文書ファイルで保管されます。ですから、会議当日は、責任者となる提案者がこの問題にこう取り組みたいと案を出し、それに採決をするだけですから30分以内に終わります。
  ホームページも1対nのひとつの形です。時間と距離がなくなるということはグローバル化が進むということです。日本語と日本の大きなマーケットに守られてきた日本の製造業も、ネット調達などによる外国企業の参入を受け、戦わなくてはならない時代です。その生き残りのためにもIT化は必須だと思います。
  身近な所から、まずは、最少の予算で始めて、それを徹底的に使いきることが、
IT化成功へのスタートです。
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:7 アラコ(株)   事例発表日:平成11年7月13日
事業内容:車両・自動車部品製造・特装
売上高:3239億4400万円
2001年3月
従業員数:5047名
2001年3月
資本金:31億8800万円 設立:1947年7月
キーワード 車両及び部品製造、特装、、
会計制度のレベルアップ、経営管理、
パッケージ利用
経営管理(会計)システム構築事例─経営判断へのタイムリーな情報提供を目指して
  
アラコ(株) URL:http://www.araco.co.jp/

アラコ(株) 取締役情報システム担当 本 輝恒
プロフィール

石川県出身
1967年4月 荒川車体工業(株)に入社 経理機械計算課に配属
(1988年7月 アラコ(株)に社名変更)
1972年9月 労働組合 出向 (書記長、副委員長を歴任)
1977年9月 技術管理課に復帰し、技術関連(CAD/CAM/CAE)システムの導入、整備に注力。
1990年4月 情報システム部 部長
1998年6月 取締役に就任
現在(1999年6月28日より)、技術管理部部長、情報システム部担当

~トヨタグループの中にあっても自社に適用した情報システムを追求~

長年、情報システム部門に携わってきた本氏に、企業の命題として与えられたのが経営管理システムの構築である。資本や売上のほとんどをトヨタ自動車が有する独特の企業形態であり、けして進めやすい環境ではない中で、情報システムの真の意義を問うような真摯な取り組みで、見事2年間のスケジュールを完遂させた。大きな仕事を成し終えた感想も交えて、奮戦の流れを語っていただいた。


■トヨタグループとして国内外に拠点、そこに時代の新しいニーズも加わってきた
まず、アラコという会社について紹介いたします。
1947年設立。すでに50年以上の歴史があります。資本金は31億8800万円、98年度の売上高3454億円、従業員数5687人となっています。88年7月に現社名に変更しました。主な生産品目は、車輌(トヨタランドクルーザー100等)、部品(セルシオ、プログレ等)、特装(福祉車輌、キャンピングカー等)これらは全てトヨタの製品です。また、トヨタの世界市場だけでは厳しい状況が考えられるので、電動カー・エブリデーという電動三輪車を自社ブランドで最近販売しています。
アラコの拠点は、基本的に愛知県でございます。本社・吉原工場、寿工場、猿投工場が豊田市に、豊橋市に豊橋工場があります。
その他、国内では九州に100%子会社のアラコ九州があり、シート等内装の工場として業務を展開しています。
海外拠点としては、今はどこの企業も海外進出をしていますが、アラコの場合は基本的に合弁会社という形で進出しています。現地プロダクトの会社と合弁でやっています。アメリカでは、デトロイト事務所、TMI(ケンタッキー、モデスト 等)、ロス事務所。ヨーロッパはブルッセル事務所。中東はバーレーン事務所。アジアでは中国に天津華豊汽車装飾有限公司、台湾に新三興、インドにAPL、インドネシアにカデラAR、そしてオーストラリアにオーストラリア事務所がございます。
私どもの資本の75%がトヨタ自動車です。ですから、ほとんどトヨタ自動車の管理のもとにアラコの経営が進められているといっても過言ではありません。その中で「アラコは非常にお金のかかる情報システムに主体的に力を入れてやってきた」ということがある意味で我々の誇りにもなっています。トヨタグループの中で「どうやって当社のトップに理解していただいて、どうやってアラコの社内システムを整備していくか」ということが課題ですが、当社には「トヨタ自動車がこうやっている、トヨタ自動車がこうやれと言っているから我々もやらなくてはならないのだ」という風潮があり、この様な説得をする事が情報化を進める上では効率的であるため、そうやって進めています。
会社をとりまく環境としては、自動車産業の国内市場のパイ縮小もあって、この先、トヨタ自動車以外の仕事もやらないとこれからのアラコはない、と全社をあげて新規事業に取り組んでいます。
こうした当社の現状を理解していただいた上で、システムによる成果を説明したいと思います。

■経営管理システムと命名した背景
経営管理取り組みの経緯としては
・業務改革としてどこから着手するか?
・決算日程短縮が当社に必要か?
・経営判断のサポート
ということがポイントとなりました。経営管理といっても、99%がトヨタ自動車に対する売上であり、生産計画そのものも全部トヨタ自動車の土台に乗ってやらされています。そんな格好ですから会計処理や、原価計算といったって何をやるのか、ということがいろいろありました。
我々コンピュータ屋としては、オフィスワークと生産の交通整理を、という会社の命題に対して、仕事の流れはいちばん下流工程の人が上流工程からデータを入手して進むだろうということで考えました。それで、私は経理部門の仕組みから手をかけようと考え、会計システムという提案でトップに上申しましたが、会計という表現では経理屋しか手伝ってくれないぞ、何かいい名前を考えろ。と言われ、どうせ大きく言うなら「経営管理システム」にしよう、経営管理とすれば何でも入るだろうということで、このネーミングになりました。
取り組みを始めてみたら、とてもじゃないが経理ではできないと抵抗があり、大変でした。出てきた月次決算の数字が正しいか正しくないかわからず、その検証のために、5月の連休頃は大変苦労しました。月次を翌月の稼働日7日ということで目標をたててやったのですが、実際には数字がかたまるのが12日頃、徐々にチューニングアップをして今は何とか稼働日の7日に数値がかたまるということは実現できています。会計処理にかかわる人員も50人から30人に削減できました。その他にも、監査法人の要求する基準のクリア、一流企業レベルの会計制度確立、会計情報の活用など課題はいろいろありました。
課題解決の考え方としては
・短期に開発を完了
・一流企業レベルの情報提供
・データベース統合化への基礎をつくる
などがあり、こうした課題に対するテンプレートとして統合パッケージソフト(Oracle Applications)を利用しました。

■若いパワーで新しい仕組みを!をテーマにプロジェクトを構成
プロジェクト体制は、まず社内体制の確立を図り、若手で新しい制度、技術にチャレンジしようと志気を揚げ、具体的には情報システム部主導による推進をベースとしました。
コンサルティング会社の選定、SI会社の選定なども課題として対処しました。
プロジェクトの構成は、制度設計/業務設計グループ、パッケージソフト設定グループ、導入推進グループ、周辺システム変更/インターフェースグループ、システム基盤グループから成っています。その統括役として、プロジェクトリーダー、プロジェクト責任者がおり、サポート基盤として事務局。プロジェクト責任者にはアドバイザーがつき、その他にも情報システム開発部隊がサポートするという体制でプロジェクトを構成しました。
実施スケジュールについては、95年2月から開始し、現状の問題点調査に取り組みました(2カ月間)。4月からはホストシステム日程短縮を図り(5カ月間)、新会計制度、業務概要設計を進めながら(6カ月間)、パッケージ選定と開発提案も推進(6カ月間)。96年4月より制度設計(5カ月間)、8月からシステム設計(3カ月間)、9月から詳細設計(2カ月間)、11月からはいよいよ大詰めとなり、ドキュメント作成(3カ月間)、教育・移行(2カ月間)、総合テストなどを行いました。
では、こうして完成したシステム評価についてはどうだったか。
会計制度のレベルアップは外部コンサルタント評価により、ほぼ目標達成を果たしたということになりました。

■情報は特別技術ではない、全て情報で仕事をしているのだ
私どもの会社は製造業ですが、開発部門、オフィス部門、発注部門、生産管理部門を含めて、全て情報で仕事をしています。情報以外何も扱っていないとも言えます。企業のモノづくりのおおもとは確かにモノを作っていますが、他のところは全て情報で仕事をしているのです。情報を扱って、情報を収集し、加工し、提供してお金をいただいているのです。設計も今では紙の上からCADに変わりましたが、これもすなわち情報です。良く考えてみるとオフィスワークは全て情報処理なのです。私の部署は情報システム部となっていますが、別にコンピュータを使わなくてもいいと思っています。コンピュータを使ったほうがより効率的によりスピーディで正確だから、コンピュータを使えばいい。もしもコンピュータを使うよりも遥かにいい情報が得られる方法があるならそれでも結構なのです。そういう仕組みづくりをするのが情報システム部の仕事なのです。
私はずっと情報システムに関わってきました。
今から50年くらい前にコンピュータというものが出てきたのですが、最初の30年間くらいは効率化の道具として使われていました。1985年から95年くらいになって、経営に有効な情報を与えるという形でコンピュータによる情報システムが使われるようになり、先進的な企業が取り入れていきました。
ところが、その後どういう状況が生まれたかというと、経営そのものをコンピュータシステムを使っていく、経営のためのインフラ、ツールとして情報システム、コンピュータが存在するという時代になりました。
ですから、今の時代、情報をうまく使って経営を進めないとその企業はたぶん淘汰されてしまう。経営者の皆さんは好むと好まざるとに関わらず、情報化に関心を持っていただいて情報化に取り組んでいくことが必要です。経営そのものをどうやって情報システムを使ってやっていくか、スピードをあげて精度をよく、いろんな戦略をたてて、経営に情報システムを役立てることが重要なのです。
情報化に取り組まないと、21世紀になると企業は淘汰されてしまうということを申し上げて終わりといたします
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:29 (有)アベニュー   事例発表日:平成12年11月9日
事業内容:ソフトハウス
売上高:不明 従業員数:8名 資本金:4000万円 設立:1965年4月
キーワード ソフトハウス、

iモード、インターネット販売、データウェアハウス、ポータルサイト
地域における情報化の事例と可能性
  

(有)アベニュー URL:http://www.ave-new.com/

(有)アベニュー 代表取締役 安部彰人氏
プロフィール

 (有)アベニューの代表取締役のほかに、協同組合オホーツクマルチメディア研究所理事長、北見ソフトウエア協会会長を担っている。

~北海道発・世界へ、さまざまな可能性の鼓動を感じている~

 ビル・ゲイツ氏と同じくらいの年月を、コンピュータと共に過ごしてきたという安部氏は、30代になってすぐの頃に、東京でソフトウエア関連のベンチャー企業を立ち上げ、現在は地元北海道で事業を展開している。インターネットにより「自宅から世界が見える」と説く氏の、フレキシブルな構想は広がるばかりのようだ。


■当地域の情報化へのがんばり
  私は、この網走管内のソフトウエア協会の会長という立場であり、先日、会社の定款上でITに関する目的を掲げている業者の数を調べてみたら53社ありました。この地域の企業数からみると、多いほうではないかと思います。さらに最近は、SOHOつまりスモールオフィス、ホームオフィスのスタイルも増えてきています。
  この地域ではプロバイダ事業が盛んです。最初にマルチメディア協会でオホーツクウェブというプロバイダ事業を立ち上げました。それから、美幌では村田システムさんがやっていますし、北見では北ネットさんがあります。大手のOCN、ODNなども当然たくさんあります。そんな状況のもと、注目すべきは、この管内で26の市町村の首長さんが集まり、オホーツク26というサーバーを立ち上げて行う「オホーツク情報ハイウェイ構想」を展開し、日経のアワード賞などを受賞するほどの実績をあげたことです。このオホーツクの片田舎でも結構情報化が進んでいるということを認識していただければと思います。
  たくさんの人が見に来る大規模な玄関サイトをポータルサイトと言いますが、このオホーツク管内で地域のポータルサイトになるのはこれかなと思うのが、北見市と商工会議所が中心になって行っている「タウンマネジメント構想」の中のサイトです。市内の商店300社もこれに順次入ってくると聞いていますし、価格も月500円程度でホームページ掲載ができるような準備をしているので、期待できそうです。このポータルサイトを活かしながら、各社が協力して、色々な情報やノウハウを収集して運営していくことが重要だと思います。
  また、私は網走支庁の新産業政策委員をしている関係で、地域情報化のお手伝いをしながらiモードの実験をしているところです。iモードでインターネットに繋がるし、メール交換もできるのは当然ですが、それだけでは大したことではなくて、データベースと接続した時にイントラネット、つまり企業内で使えるシステムができるのではないかと思います。一例では、友人が自動車販売会社を経営していますが、すでにiモードを活用した営業を行っています。車を販売する時に大事なのは即決できるかどうかということです。お客様との商談の中でいくらまで値引きするということを、従来は、いったん持ち帰って上司に相談してまた翌日持っていっていました。すると、すでに他社が来ていて契約されてしまったことも少なくありませんでした。そこでiモードを使って商談のその場で営業マンが会社のデータベースにアクセスでき、即決できるようにしたところ、かなり業績が上がってきているということです。

■リナックスで低コストなサーバーを展開
  私どもはリナックスでWebサーバーを立ち上げています。リナックスはフィンランド生まれのオペレーティングシステムでフリーです。タダなのですが、これを立ち上げるには多少の技術力が必要です。当社の場合、かかった費用はパソコンが5万円くらい、専用線を引いてルーターが3万8千円、買ったのはそれだけです。実際にこれで立ち上げてトラブルもなく非常に快適です。
  今、自分のホームページを作ろうとしたら、いちばん簡単なのはどこかのプロバイダに頼んで、例えば5メガ、10メガを買ってそれに載せればいいのですが、ここではアプリケーションが走るわけではないので、ただ紙芝居がそこに乗っかったという感じです。それでは何億とあるホームページの中に埋もれてたぶん誰も見てくれないでしょう。そこで、自分のところのサーバーを立ち上げると、アプリケーションを埋め込むことができ、インパクトのあるホームページができます。それがフリーウエアでお金がかからず、常時接続も5千円を切る程度の費用で実現できるということです。そこから、また世界が変わるかなと思います。
  当社はソフト開発の仕事をしていて、パッケージソフトを扱っています。主力は顧客管理のためのソフトや、建設業でいうと現場管理のソフトですが、これらをインターネットで販売しています。ホームページに体験版をアップしておいて自由に触っていただき、よろしかったらお金を振り込んで下さい、それでOKでしたらパスワードを差し上げますという方法をとっています。

■インターネット上での販売に、高い物流コストがネック
  もうひとつ当社では2年間ある実験をしてきました。無農薬のジャガイモ、タマネギをインターネット上で販売しようという試みです。インターネット上には色々な掲示板やサイトがありますが、そこに対してうちのスタッフの女性がほとんど専任で営業をかけ、うちのホームページに引き込みをします。特に無農薬ということで都会の主婦層に好評で、食べておいしいし子供たちにも安全だと人気があります。作付けをする時から生育具合、「これは今あなたのためのイモを栽培していますよ」と、刻々と写真やビデオで撮って、お客様にアピールしているのです。すると信頼度が高まり固定客が増えました。決済の問題もコンビニでもできる仕組みができています。
  これにより得たノウハウで、地域にいい物がせっかくあるのに実際に売る手段がなかなかないものを、売っていけると考えています。インターネットを使えば世界発信だってできます。ただネックは高い物流費です。このために、ジャガイモやタマネギもたくさん売れていながらあまり利益が出ていません。価格が千円以下のものに物流コストが千円くらいかかってしまうのです。この物流コストをなんとかできればと考えていますが、1社でやっても無理ですから、地域でインターネット物流センターも抱えるとか、色々な種類の商品を売ってシステマティックに考えられたら、利益が出てくるのではと思います。

■やる気を見せて補助金を活用していこう
  今、国がIT、ITと声を高くしていて相当な予算規模で取り組んでいくのだと思いますが、政策には補助金のことが必ず出てきます。これは地域にとっては大切なことです。特に地方分権が進んでいる世の中ですから、地域のやる気を見せることが肝腎です。やる気を見せているところには多くの補助金が下りています。
  例えば、岐阜県辺りはソフトウエア事業にずっと取り組んできて、かなり補助金が活用されている感を受けます。ITに関して我が地域でもどうだ、と市の方と話してみましたが、芳しくありませんでした。なぜかというと、12~13年前のテレトピアの時で話が終わってしまっているのです。テレトピアとは、郵政省が提唱したテレコミュニケーションとユートピアを合わせたもので、通信を使って理想的な社会を築こうという事業でした。今、インターネットというツールを手にして、何とかもう一度声を大にして、ITを地域としてどう捕らえていくのだ、ということを民間から市に対して言っていかなくてはならないと思います。やる気を見せて補助金を得て、うまく活用して活性化を図りたいですね。

■顧客満足度に繋がる情報を活用するために民間共同体制で
  情報を活用する方法には、例えばデータウエアハウスがあります。これはデータとして発生するものを全てコンピュータに詰めておき、ある切り口でもって引き出すものです。これを営業の戦略上で使うとすれば、何歳の人が、どの性別の人が、どんな時にどんな形のどんな色のものを買った、という情報が瞬時にわかり、その蓄積したデータをもとに営業戦略が立てられる、というものです。情報をいかに蓄積し、自由自在に切って見えるようにしておくかが大事なのです。企業にとって大事なのは、どちらかというと財務諸表よりも、販売管理、仕入など実際お客様の顔がみえるためのデータ、顧客満足度に繋げられるデータです。
  ここに来る前、に私が当社のユーザーを調べてみたら、日本航空さんがうちのソフトを使っていました。自動車ではスバルさん、マツダさん。洋服ではプラダジャパン。北海道では北海道コープさん、北ガスさん。大手のユーザーがいがいに多く、改めてびっくりしました。
  顧客管理のソフトはインターネットで販売しているものですからおそらく数千本は売れていると思いますが、今後はこれを売るという方法でなく使用料という期間貸しの方法でやれるようにASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)の研究をしたいと考えています。ブラウザがあれば、ウインドウズでも、リナックスでも、マックでもどこでも動くようなポータビリティの高いシステムを目指したいと考えています。例えば、Javaという開発言語が望ましいのですが、北海道にはまだそのセンターがありません。世界に先駆けてここにJavaのセンターができたらいいと願って、北見工業大学や行政に話を投げかけているところです。
2010.07.08
出典:ITSSP講演事例 IT Coordinators Association
事例本文
事例番号:36 アスクル(株)   事例発表日:平成12年11月21日
事業内容:オフィス用品通販
売上高:752億万円
2001年5月
従業員数:161名
2001年5月
資本金:31億1550万円 設立:1977年5月
キーワード オフィス用品通販、
時間を約束したサービス、コールセンター、ワンストップショッピング、
Webでの情報照会、インターネット販売、情報共有、予算管理サポート
アスクルモデルにおけるIT活用
  

アスクル(株) URL:https://club.askul.co.jp/html/index_www_top.html

アスクル(株)マーケティング&マーチャンダイジングマネジャー 天沼英雄氏
プロフィール

 1989年プラス(株)入社、アスクル事業部のWebシステム等を担当。現在は、アスクル(株)の経営戦略マネジャーとしてECや顧客対応業務の戦略立案等に携わっている。

~お客様の満足を追求したらEビジネスになった~

 プラス(株)の社内ベンチャーから独立、ぐんぐんと目覚ましい発展を遂げ、ついに店頭上場にまで至ったアスクル。IT戦略をメインに、この元気印の企業がいかに成功したか、そのヒミツを知りたい。


■お客様のために進化するアスクル、だから・・・
  おかげさまで、本日、アスクルは株式市場への店頭公開を果たしました。ただ、社長も言っていますが、店頭公開はひとつのステップであってこれを目標にしてきたのではない、我々の目標はいつも、いかにお客様に満足していただけるか、ということです。
  アスクルはもともとプラス(株)という大手文具メーカーのいち事業部からスタートしました。最初はスタッフ4人。売上高の推移は、94年の2億円から、6億円、19億円、56億円、100億円と伸び、先期が471億とほぼ毎年倍々という形で伸びてきました。ご利用登録数は、オフィスに対する通販ですので、会社の数ではなくオフィスの数で計りますが、2000年5月期で約106万オフスあります。インターネットでの売上は2000年5月期で77億円くらいで、利用するお客様は13万オフスまで急激に伸びてきました。現在の取扱商品は約11,000アイテムです。
  アスクルの理念は「お客様のために進化するアスクル」、お客様第一です。オフィスのためのワンストップショッピングとして、明日来るからアスクル、と時間を約束したサービスを提供しています。アスクルで扱っている商品は90数%が通常のメーカー品で、それ自体では付加価値のつけようがないし、価格でも限界があります。当社ではお客様に満足いただけるサービスを提供することによってそれが付加価値となり、お客様に満足いただけるのではないかと考えています。
  Eビジネスにしても、それをしようと思って始めたわけではなく、お客様の満足を追求していくと、Eビジネスがあったのです。お客様からのご意見がきっかけでインターネットで受注に取り組むべきではないかという話になり、やっていくうちに、我々の限られた体力の中でいちばんいいサービスを提供できるツールじゃないかと実感し、ますますEビジネスに注力しています。ファックスやインターネットで24時間ご注文OK、翌日にはお届けいたします。というのがアスクルのお客様へのお約束です。現在では、午前11時までにご注文いただくと当日配送可能なエリアも、都内23区、大阪市内、神戸エリア、仙台市内、福岡市内と増えています。登録料金、カタログは一切無料です。お支払いは月1回のまとめ払いで昔ながらの掛け売りです。配送料は300円ですが、2,500円以上の注文ですと無料です。

■小規模な企業にフルサービスを提供したい
  文具マーケットは1兆4千億円あるといわれており、そのうちの75%が法人のお客様向けです。民間事業所数は620万ありますが、そのうち従業員30人以上の事業所は全体の5%しかなく、ほとんどが30人未満、10人以下の小規模な事業所です。そういうところにも大企業並のサービスを提供していこう、というのが当社の狙いです。アスクルはカタログ販売ですが、通常の通販と違って、エージェント(文具店が多い)を通じて販売しています。エージェントは顧客開拓、与信、回収機能に特化した代理店で、その他の、例えば商品に対するお問い合せ、在庫、配送、請求書の発行などは全てアスクルが一元化して行うことで無駄を省き、流通の最適化を図っています。商品の注文はお客様とアスクルが1対1で行いますが、請求書はアスクルがエージェントの代行で行います。お支払いは、お客様からエージェントに支払われ、エージェントがとりまとめてアスクルに支払うという構造になっています。
  要望やクレームなどのお客様からの生の声をメーカー、商社、協力会社などにフィードバックして、新製品や新技術の開発、新サービスなどの新しい価値に置き換えてお客様に還元すること、このひとつのぐるりと回るような情報の共有が大切です。こうした情報共有の具体的な事例としては、インスタントコーヒーの詰め替え用をネスカフェさんと共同企画したことがあげられます。これはゴミ問題にも対処できる上、価格も安価に押さえることができるものです。また、オフィス用の足元暖房機を松下さんと開発しました。従来の家庭用では大きすぎるという声からオフィス用の食器乾燥機も生まれました。
  お客様の声より、タブーに挑戦したのもアスクルの進化の過程です。最初はプラス(株)のいち事業部でしたからプラスの商品しか扱っていなかったのですが、お客様のご要望に応える形で他社のものも扱うようになりました。今ではプラスのものは全商品アイテムの10数%程度です。お客様にとって必要なもの、ニーズのあるものが第一です。また、価格にしても、やはりお客様からの強いご要望とご指摘から引き下げるという決断をし、業界のお叱りの声や反発を受けることになりました。

■インターネットによる双方向性を活かして
  1997年5月、プラス(株)からアスクル(株)として分社しました。現在では、単なる流通業ではなく我々は情報サービス業だと自負しています。リレーションシップセンター(お問い合わせセンター)では、1日に6千から8千件くらいお客様からの声が寄せられます。それは電話、ファックス、インターネットとさまざまな形ですが、そこにコミュニケーションチャンネル統合システムを入れて、顧客対話支援システムを確立し、お客様の声をきちんと反映させています。
  アスクルモデルを支える最新テクノロジーとして、ファックスOCRとWebサーバーが上げられます。また、仙台、東京、大阪、福岡の4箇所の物流センターに完備されたロジスティクスシステムによって、1日に全国数万の事業所からくる受注を、正確かつ迅速に対応できるようになりました。注文を受けてから最短ですと、20分くらいで最終工程まで進みますので、キャンセルのご連絡が20分後にあっても、すでに物が出てしまっているということもあり、早いが故に、今度は止める方も何とか考えなくてはなりません。
  一部の地域で実施している当日お届けや、翌日のお届けに関しては、それぞれ締め時間を設定しているのですが、その締め時間前に注文が集中します。ピーク時にシステムを合わせるというのは辛いのですが、それが当社の仕組ではきちんと処理ができるようにハードウェアを装備しています。
  インターネットの受注がふえていますが、95年にアンケートを取った時には「インターネットで発注したい」というお客様は2%、それが96年には44%にまで増えていました。先期末のインターネット受注による月商は約13億円です。Eビジネスの流通経路としてのメリットは、情報の双方向性だと思います。実店舗を持たないでやるので、双方向性によりお客様が増えたり商品が増えたりするのも容易に対応できます。当社で工夫していることとして、ネット上でいつも注文するものを登録しておいて、いちいちカタログを見なくても注文できる「Webマイカタログ」、月ごとのオフィス用品などの購買予算をオーバーしそうな時に知らせる「予算管理サポート」、オフィス用品の購買に上司の承認が必要な方には、発注担当者と管理者(上司)へのリプライメールで「承認申請サポート」、「購買履歴をダウンロード」などがあります。このように、インターネットを利用することで、お客様の購買のプロセスのサポートも可能になりました。

■しっかりしたビジネスモデルをインターネットでよりいいものに
  手書き文字のファックスによる注文に比べ、インターネットによる注文はミスがありません。時間にしばられたサービスをやっているのでインターネットからご利用いただくことは時間短縮の面からも当社にとっても大変メリットがあります。そういった意味からもインターネットでのサービスの内容をより充実させています。お客様の声を知る場として、アスクルのサイト内にあり、「みんなの広場」という掲示板的なコミュニティの場をお客様にオープンしています。お題は、「オフィスの知恵袋」「口コミオフィスグッズ」「オフィスグルメ」など。また、お客様とアスクルを結ぶWeb連動型の情報誌として「dreamers」も始めています。さらに、現在の取扱商品は文具、事務用品、生活雑貨などですが、カタログで扱えないものもあります。例えばパソコンや周辺機器は非常に値動きが激しいので、6カ月に1回発行する紙媒体のカタログでは無理、ということで、ビジネス機器購買の「パソコンショップB2Bマート」という専用サイトを展開しています。2000年7月からは、ビジネス書籍を注文できるサイト「アスクルブックカフェ」もあります。その他にも軽印刷のサービス「プリントオンデマンド」も行っています。
  インターネットによる事業展開を図ってきてわかったことは、まず、インターネットによる可能性は、参加してみなければわからないということです。そして、一人ではできないので、信頼できるパートナーを選ぶことが大事です。技術屋、システム屋にしても踊らされずにパートナーシップ的な関係でやっていけるところを選びましょう。
  ビジネスモデルの確立も重要な要素です。やはり基本的な考え方、モデルの段階できちんとしたものをインターネットに載せることでいいものができると思います。例えばアスクルの場合もそうですが、インターネットが明日なくなっても生きていける、というぐらいのものがあって、それをインターネットでやると、相乗効果ですばらしいものができるのだと思います。
  ビジネスモデルを立ち上げる際に大切なのは、普通の会社、一般のお客様にとって何が便利なのかを考えなければならないということです。インターネットをマニアやサーファーと呼ばれるような一部の人たちでなく、普通の会社員などから本当に便利だなと言われるようなサービスを我々は常に提供していきたいと考えています。2000年6月に発行された雑誌「THE21」(PHP刊)の「感動のサービスランキング」でアスクルが3位に入っていたので社員一同たいへん感動した次第です。
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 伊賀産業株式会社(Z001) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 高圧ガス類製造、販売
売上高 従業員数 40名 資本金 設立
キーワード 製造業、高圧ガス類製造販売、ITリテラシ向上


IT化では私が先頭に立ちました。
率先垂範はビジネスの鉄則ですから。


LSIや液晶ディスプレイの製造に欠かせない高圧ガスを大手電機メーカーの工場に供給する伊賀産業。 強力なリーダーシップで40名の従業員を牽引する松岡社長は、社内の誰よりもITに詳しい。 社内のIT化を先頭きって推し進め、経営の効率化を実現している。




伊賀産業株式会社 松岡 稔さん(60歳)

 各種高圧ガスの製造・販売、各種家電製品、住宅設備機器据付工事などを手がけるガス総合サービス業・伊賀産業の代表取締役社長として40名の従業員を率いる。 パソコン歴は15年。率先垂範がモットー。

従業員全員に1台ずつパソコンが普及

 伊賀産業は、大手電機メーカーの半導体工場や液晶工場に酸素・窒素・炭酸ガスなどの高圧ガスを供給している会社。 工場に送られた高圧ガスは、LSIや液晶ディスプレイの製造に用いられる。
 「得意先である半導体工場や液晶工場には当社の自前のプラントがあり、そこから工場内に高圧ガスを供給しています。 高圧ガスの販売会社は全国に多数ありますが、こうしたオンサイトのサービスを提供しているのは、当社だけです」
 高圧ガスは、「高圧ガス取締法」で取り扱いが厳しく規制されている。専門知識を持った有資格者でないと、取り扱うことはできない。 松岡社長は、現場で作業にあたるスタッフ全員にこの「高圧ガス取扱」のライセンスを取得させ、安全管理を徹底している。 取得にともなう費用は、会社が全額負担した。人材育成には、ことのほか熱心だ。
 「オンサイトのサービスを提供できるのは、こうした技術の裏付けがあったからにほかなりません」
 また松岡社長は、人材育成に力を入れる一方で社内のIT化を強力に推進。業務効率化で大きな成果をあげている。 現在パソコンは、40名の従業員ほぼ全員に1台ずつ行き渡り、社内の連絡や業務通達には欠かさずメールが使われている。
 「当社では、毎年5月、各部署ごとに年間の数値目標を発表する『経営計画発表会』を行っています。 発表はすべて『Power Point』。会議の席でもパソコンが欠かせません」
 姫路にある本社を訪ねると、従業員のデスクにはところ狭しとパソコンがならぶ。 いまやパソコンのひとつも使いこなせないようでは、仕事にならないというほどの徹底ぶりなのだ。

パソコンをツールとして社内業務を標準化

 高圧ガスという危険物を取り扱う企業には、公共の安全確保という重い責任が課されている。 伊賀産業も例外ではない。万が一にも公共の安全を損ねるようでは、企業としての社会的責任を果たすことはできない。
 そこで松岡社長は、ISO(国際標準化機構)の認証取得をめざして社内業務の標準化を推し進め、安全管理の一層のレベルアップに力を注いできた。 まず2000年4月には「ISO9002」の認証を取得。昨年4月には「ISO14000」の認証も取得。 さらに今年4月には「ISO9002」から「ISO9001」への更新を行った。
 ITは、こうした一連の認証取得にあたっても重要な役割を果たしている。
 「社内文書の整理、また各担当者、部門長、環境委員会や品質会議などさまざまな階層へのメールを使った業務通達、さらにはそのフィードバックなど、 パソコンを基幹ツールとして社内業務の流れを再構築しました。また今は技術が発達して、メールを誰がいつ見たかまでチェックできます。 もし通達に対するレスポンスが遅かったり、問題意識のない返事が返ってくると、賞与の査定にも影響します」

 なにごとも、徹底的にやるのが松岡社長の主義だ。
 「ISOのお墨付きを得たというだけで、それが100%の安全を保証するものではありません。 しかし業務の標準化にあたっては、現行の業務内容を徹底的に見直し、安全上問題がないかを洗い出した上で、不測の事態を防ぐ業務改善を主体的に行いました。 決して出来合いの基準を取り入れただけの業務改革ではありません」
 このようにITをさまざまな業務に活用する松岡社長だが、ここにいたるまでには時間的にも経済的にも大きな投資が必要だったと振り返る。
 「IT化の前提として一人に1台ずつ端末を用意しなければいけないし、ITリテラシーを磨く社内教育も必要です。経営的には大きな負担でした」
 また社内のIT化にあたっては、まず自らが独学でパソコンをマスター。従業員にお手本を示してきた。 それがIT化を成功させる上でとても重要ということと松岡社長はいう。
 「最初は私が責任者を教え、責任者がさらにそれを部下に伝えるといったやり方で全社に周知徹底させていきました。 上司は部下の仕事をある程度理解した上でマネジメントしないと部下は決してついてきません。それが私の経営者としての持論なんです」

参考書の助けも借りずまったくの独学でマスター

 松岡社長とパソコンの出会いは平成元年。100万円の予算をはたいて購入したDOS/Vマシンが、記念すべき第1号パソコンだった。
 「これからの時代はコンピュータという認識があったことは確かなんですが、 もっと切実な理由としては次男坊が大学受験で家に帰ってもテレビを見ることもできないので、女房に直談判して買ってもらったんです(笑)」
 DOS/Vのコンピュータは、Windowsマシンと比べて操作も難しい。松岡社長は、参考書の助けも一切借りず、文字通り独学でこれをマスターした。
 「画面は文字が中心でしかもモノクロ。アイコンでカラフルなWindowsマシンとは比べようもないし、 アルファベットのコマンドをたくさんおぼえないと仕事をしてくれません。 これから比べれば、Windowsは、なんて使いやすいパソコンなんだろうとあらためて思います」
 ムダなお金もたくさん使ったという松岡社長だが、 2年後にはDOS/マシンで会社の商慣行にマッチしたオリジナルのフォームの納品伝票発行システムを作り上げるまでに上達した。
 「この伝票によって、単純な記載ミスが激減したんです」
 現在使われている納品伝票も、この時に松岡社長が自作した伝票の書式がベースになっている。
 「また、本来ならトップシークレットのはずの大手電機メーカーの工場管理システムの仕様書を特別に許可を得て見せてもらったこともあります。 これを見ていずれ中堅中小企業においてもパソコンがなくてはならないツールになるという確信を得ることができました」
 こうした経験はかけがえのない財産を松岡社長の中に蓄えた。
 「失敗もたくさんしましたが、この時の経験があったからこそ、その後外部の業者にソフト開発を委託する時でも、 具体的にこちらの要望や条件を明確にした上で的確な発注ができたと思います」

 まず自らが体験してみること―。それがビジネスの鉄則と松岡社長はいう。



【DOS/V(どすぶい)】
DOSはDiskOperatingSystemの略。一般的には米・マイクロソフトのMS-DOSの略称として使われる。 DOS/VはこのMS-DOS系のOSで、日本語を表示することができる。
【コマンド(こまんど)】
使っている人がコンピュータに与える命令のこと。今のパソコンでは、プルダウンメニューなどに含まれている。
【プルダウンメニュー(ぷるだうんめにゅー)】
メニュー表示の形式。メニューのタイトルでマウスボタンを押すと、メニュー項目が下方に開いて表示される。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 みどり美粧院(Z016) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 美容院
売上高 従業員数 資本金 設立
キーワード 美容院、ITリテラシ向上


会計ソフトを使って確定申告。
横着者の私にはうってつけです。


小見山さんが、友人に影響されてパソコンを始めたのは今から8年前。 今では顧客カルテや予約表、販促用のダイレクトメールなどもすべて自作。 3年前には会計ソフトも導入し、年度末の確定申告でもフル活用。




みどり美粧院 小見山 鈴子さん(68歳)

21歳で「みどり美粧院」を開業。以来50年近く、女手ひとつで店を切り盛り。地元きっての老舗美容院にまで育て上げた。 店は今も完全予約制。欠かさず利用するという固定客に支えられて経営も順調だ。

本当に大丈夫?ずっと不安だった導入前

 小見山さんは、人一倍好奇心が旺盛。新しいものに進んでチャレンジする気持ちを今も失わない。 パソコンを習い始めたのが、今から8年前、ちょうど還暦を迎えた年だったというから驚かされる。
 「お友だちがパソコンを習い始めたのに刺激されて、私も習いたいと思いました。でもアルファベットは大の苦手。 やっていけるだろうか不安で、なかなか決心がつかないままでいたんです」
 店の近くにあるパソコン教室の前をクルマで通るたび、『生徒募集』の看板が目に飛び込んでくる。 「習いたい、でも不安、どうしよう」。しばらくは思い悩む毎日が続いたという。
 だがそんなある日、どういう巡り合わせか、当のパソコン教室の営業担当が勧誘のために店にやってきた。
 「ローマ字ができなくても大丈夫ですか?と聞いたら、『大丈夫ですよ!そういう方もたくさんいらっしゃいます』と太鼓判を押してくださったので、 ようやく踏ん切りがついたんです。あのひとことがなかったら、きっと今でも迷っていたでしょうね(笑)」
 小見山さんの新たな挑戦が始まった。

触る時間を多くすることが上達するためのコツ

 小見山さんは、美容院が定休日の月曜日、月2回のペースでパソコン教室へ通い始めた。 最初に勉強したのは、『クラリスワークス』。ワープロやペイント、表計算などの機能をひとつにした統合ソフトだ。
 「はじめの頃は、アルファベットがキーボードのどこにあるのか、キー配列をおぼえるのにもひと苦労。 授業が始まる30分前には教室にいってベタ打ちの練習をしたり、 紙にキーボードの絵を書いてお客さまがいらっしゃるまでの時間にこっそり練習したりしていました(笑)」
 小見山さんにとっては、それがちっとも苦にならない。 知らなかったことが、ひとつひとつ頭の中に入っていくのが楽しみでもあった。
 「間違った操作をするとパソコンが壊れてしまうんじゃないかと最初は不安なもの。でも、めったなことで壊れたりはしません。 適当にマウスをクリックしているうちに、いつのかにか新しい操作をおぼえてしまうこともたびたびありました」
 まさに習うより慣れろ。少しの時間でも、パソコンに触れていることが上達の秘訣と小見山さんはいう。
 「パソコン教室の先生にも、ずいぶん助けられました。 コンピュータの"コ"の字も知らなかった私を、根気強く指導してくださったおかげです」

会計ソフトでラクラク経理、もっと早く導入しておけば

 『ワークス』をひと通りおぼえた小見山さんが、次に挑戦したのは会計ソフトだ。 小見山さんは開業以来、店の帳簿類を税理士にも頼らずすべて手書きで処理してきた。 それだけに、わずらわしい経理業務から解放されたいという気持ちは、他の自営業者と同じように強かった。
 「帳簿といっても、家計簿を詳しくした程度のものですが、それでも月末や確定申告の時期になるといつも伝票整理や記帳でバタバタしていたんです」
 会計ソフトを勉強したい―。その思いを強くしたのは、小見山さんが商工会議所主催の簿記の講習会に参加した時だった。 講師の税理士に、手書きの帳簿を見せたところ会計ソフトの導入を強く薦められた。
 「『これなら、いっそのことパソコンを入れてみては』といわれたんです。それで本格的に、会計ソフトを勉強したいと思うようになりました」
 小見山さんは、さっそくIBMのノートパソコン(Windows98)と会計のアプリケーションソフトを購入。 パソコン教室で基本操作を習ったあと、平成11年9月から本格的に使い始めた。
 「実際に使ってみると本当にラク。日頃からきめ細かく伝票入力さえしておけば、月末にバタバタすることもないし、何より確定申告の書類がワンタッチで作れます。 字が下手な私でもきれいな書類が作れるし、計算間違いの心配もありません」
 それ以来、会計ソフトは手放せない仕事の道具になった。 確定申告の時期が近づくとそれまでは気分までなんとなく重たかったという小見山さんだが、 会計ソフトを確定申告に活用するようになって気分的にもラクになったという。
 「会計ソフトは1本が10~15万円。サポートセンターの年間契約料も必要ですが、税理士の先生にお願いしてもそれくらいはかかります。 どうしてもっと早くに導入しなかったんだろうと、むしろ悔やんでいるほどです」
 小見山さんは、今年も確定申告の受け付け初日に、税務署への申告を終えた。

ワードを使って販促用のツールも自作

 パソコン教室では、会計ソフトの他にワープロソフトの「Word」も習った。この「Word」も小見山さんにとって、仕事で欠かせない道具だ。
 「お客さまのカルテや予約表、来店後のフォローのハガキ、 しばらくいらっしゃっていないお客さまへのお便りなんかは全部「Word」を使って私が自作しています。 美容院の定休日を書いた年間のカレンダーはお客さまからも喜ばれていて、ご自宅の部屋に貼ってくださっているお客さまもいらっしゃいます」
 パソコンを導入するまでは、そうした印刷物はすべて印刷会社に発注していた。印刷にかかるコストは、毎月大きな負担だった。 だが「Word」を使うことでそれも一挙に解消された。
 「『プリントごっこ』を試したこともありますが、1枚1枚用紙をセットするのに大変な手間がかかります。 その点パソコンなら、枚数を指定し"プリント"ボタンをクリックするだけ。あとはかってにパソコンが処理してくれます。 どんなに酷使しても、私が遊んでいても、文句もいわず黙々と仕事をしてくれるんですから、こんなに便利なことはありません(笑)」。
 しかも一度ひな形を作っておけば、あとは数字を入れ替えるだけで何回も使える。
 「感覚をつかむまでは少し時間もかかりますが、おぼえてしまえばあとはラク。私のような横着者には、まさにもってこいの機械ですね(笑)」
 パソコンはひとまず仕事で使えるまでには上達した。次は、デジカメにも挑戦したいという小見山さんだ。




【クラリスワークス(くらりすわーくす)】
ワープロ、データベース、表計算など6つの機能をひとつにした統合ソフト。 現在は「アップルワークス」として、「マッキントッシュ」パソコン(米・アップル社)に標準装備。
【会計ソフト(かいけいそふと)】
経理業務をパソコン上で処理するために作られた応用(アプリケーション)ソフト。
【Windows98(ういんどうずきゅうじゅうはち)】
「Windows」は多くのパソコンに搭載されている基本ソフトウエア(OSともいいます)の標準品。その1998年版が「Windows98」。 現在は「Windows2000/ME」を経て、「WindowsXP」が最新版。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 トゥリー・トップ(Z014) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 コーヒーショップ
売上高 従業員数 資本金 設立 1988年
キーワード コーヒーショップ、ITリテラシ向上


パソコンがないと、したいこともできない。
そんな時代なんですね。


長い間の夢だった心理学の勉強。だが受講するためにはパソコンが必須。 機械が大の苦手で、パソコンに触ったことすらない西海さんは、大慌てで勉強開始。 半年という限られた時間の中で、必要な知識とテクニックをマスターした。




トゥリー・トップ 西海 章子さん(44歳)

エスニックムードあふれるカフェ「トゥリー・トップ」を経営。今年で16年目を迎える。 社会福祉にも強い関心を寄せ、ホームヘルパー2級の資格も取得。介護サービスのボランティア活動にも従事。

パソコンが必須の通信大学、あわてて習うことに

 西海さんは、今年「大学生」になった。この春、武蔵野女子大学(4月から武蔵野大学)の通信教育部に入学。本格的に心理学の勉強を始めたのだ。
 「以前から社会福祉の分野に興味があって、去年まではお店の定休日に社会福祉施設でお年寄りや障害をもつ人の介護ボランティアにも参加していたんです。 心理学の勉強をしたいと思ったのは、その延長で体だけでなく心のケアについても専門の知識や技能を身につけたいと思ったからです」
 大学入学が正式に決まってからというもの、西海さんは授業が始まるのを今や遅しと待ち続けた。だが、困った問題がひとつだけあった。 通信教育部の授業を受けるためには、パソコンを扱えないといけないのだ。
 「必須といっても、メールのやりとりに使うぐらいだろうと最初は簡単に考えていたんです。 ところがよくよく資料を読んでみると、「Word」「Excel」の基本操作をマスターしていなければいけないとか、 通信回線はADSLじゃないといけないとか、いっぱい書いてある。言葉の意味さえ分からない私には、何をどうしていいのか見当もつかない。 とにかく今のままじゃいけないことは確かなんで、誰かに教えてもらうことにしたんです」
 西海さんは、パソコンに詳しい知人・友人を頼ることも考えたが、思いきってパソコン教室に通ってみることにした。
 「友人に習って、自分の中に甘える気持ちが出てくるのが恐かったんです。 真剣に何かをおぼえたり、新しいことを身につけようと思ったら、やっぱりお金を払ってプロの人に教えてもらうのがいちばん良いと思います」
 西海さんが店の近くのパソコン教室を訪ねたのは、入学を半年後に控えた昨年11月のことだった。

クリックもおっかなびっくり、不安だらけだったスタート

 西海さんは、お店が定休日の木曜をレッスンの日に選んだ。1回90分。教室に数人が集まり、マンツーマンでインストラクターが指導にあたる。
 「パソコンを始めるならWordとExcelが基本―そう先生がおっしゃって、Wordから習うことにしました。 表情は笑っていても、内心は不安で不安で仕方がなかったですね」
 アイコン、マウス、クリック。次々に飛び出す専門用語。コトバだけは聞きかじりで知ってはいたものの、内容までは分からない。 西海さんにとって、それは英語よりずっと難しものに思えた。
 「初めの頃は、マウスでアイコンをクリックするだけでももうこわごわ。押せば、何だかとんでもないことが起きそうな気がして(笑)。 恐怖感が薄らいできたのは、通い始めて1ヶ月が過ぎたあたりからです」
 自宅でも練習できるように、西海さんは自分専用のパソコンも手にいれた。1台20万円の最新機種。 ノート型だから、折り畳めばどこへでももって行ける。お店、自宅、教室。いつでも、どこでも開いた場所が練習の場になった。
 「レッスンが終わると、自宅に帰って練習の続き。平日お店にいる間も、時間を見つけては練習を繰り返しました。 ただしその場合は、お客さんが店にいないことが条件。以前お客さんがいる時にパソコンを触っていて、『終了』の仕方が分からなくなったことがあるんです。 しかたないのでそのまま放っておいたら、今度は画面が真っ黒になって、壊れてしまったのかと大騒ぎでした」
 西海さんが、それを「スクリーンセーバー」という機能のひとつだと知ったのはそれからしばらくしてのことだった。

短期間で上達するために自分に強いた宿題の山

 最初は左右の指を1本ずつ使っての文字入力だったが、慣れてくるとキータイピングの練習も始まった。左右10本の指をフルに活用してキーボードを叩く。
 「言葉でいうのは簡単なんですけど、これがホント難しくって・・・。滅多に使うことのない左手の小指が硬直してなかなか動いてくれないんですよ(笑)」
 もっとも、西海さんにはのんびり構えている時間などなかった。春になると、本番の授業が始まるのだ。残された時間は少ない。西海さんは、覚悟を決めた。
 「先生に相談して、毎回宿題をいっぱい出してもらうことにしたんです。私はなまけ者だから、宿題がないときっとどこまでもサボってしまう。 自分を追い込むことで、時間のハンディを乗り越えたいと思いました」
 せっかく教室でおぼえても、次のレッスンまでの1週間、キーボードに触らないでいるとすぐに操作の手順を忘れてしまう。 それがキッカケで、途中で投げ出してしまう人も少なくない。少しでもパソコンに触れる時間を作ること。それが短期間で上達する秘訣だ。
 「文字入力の授業では、制限時間内に文字を打っていく練習なんかもありました。私はこれがけっこう好きでしたね。 制限時間をオーバーしてしまうと、よーしもう一度って負けん気が湧いてくる。もっと早く、もっと早くとついつい頑張ってしまうんです」

自宅にはADSLも開通、この半年がウソのよう

 西海さんの上達ぶりには、めざましいものがあった。教室に通い始めて3ヶ月も経つと、お店で出すメニューも1人で作れるほどになった。
 「次はチラシ作りにも挑戦したいし、ゆくゆくはホームページをインターネットに公開して、よりたくさんの人にお店のことを知ってもらいたいと思っています。 あっ、そうそう。この間ADSLに加入してパソコンからつなげられるようになりました。やっぱり早いですねぇ。 ホームページの画像なんかも、一瞬で画面にあらわれるんです。これで準備は万端。あとは一生懸命勉強するだけです」
 わずか半年で、触ったこともなかったパソコンはすっかり西海さんの生活の一部になった。
 「実は私、機械が大の苦手なんです。機械をいじらずに生活できるんだったら、それにこしたことはないというくらい苦手。 でも今回は、そんなのんびりしたことを言っていられない。パソコンをおぼえないと、やりたいこともできないんですから。 そういう時代なんでしょうね、きっと・・・」




【スクリーンセーバー(すくりーんせーばー)】
パソコンのディスプレイに同じ画面を長時間にわたって映し出していると、画像がディスプレイに焼き付いてしまうことがある。 それを防止するために、一定時間ごとにディスプレイの映る画面を変えていくプログラムをスクリーンセーバーとよんでいる。
【ノート型パソコン(のーとがたぱそこん)】
B5版~A4版ほどの大きさの、持ち運び可能なパソコン。これに対して机の上におく据え置き型のパソコンを、デスクトップパソコンとよぶ。 最近は技術が飛躍的に進歩し、ノート型でもデスクトップ型に匹敵する性能を備えたものが多数登場している。
【アイコン(あいこん)】
パソコンで作成した文書やデータのファイルを、小さな絵で表現し、中身や機能を直感的に理解できるようにしたもの。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 有限会社大西洋ツーリスト(Z013) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 旅行代理店
売上高 1億円 従業員数 8名 資本金 設立
キーワード 旅行代理店、ITリテラシ向上


パソコンなんて仕事に関係無ない―。
何年か前までそう信じてました。


ほんの数年前まで、大西さんにとってITは遠い世界の出来事でしかなかった。 だが、今ではすっかりパソコンがビジネスになくてはならない武器になった。 今年中には、メールを使った新しいサービスにも挑戦したいと大西さんはいう。




有限会社大西洋ツーリスト 大西 洋平さん(39歳)

10年前に中堅旅行社をスピンアウト。大西洋ツーリストを立ち上げた。 従業員は現在8名。個人から法人まで幅広い得意先を対象に、あらゆる旅行商品を取り扱う。3月には加西市内で2つ目の拠点がオープン。

知人から預かった中古のPCがそもそもの始まりだった

 ITの可能性を、いまでは信じて疑わない大西さん。だが、つい数年前まではまったくの無関心を決め込んでいた。
 「たかだか売上げ1億円の小さな旅行社。売上げの集計なら手計算の方が早いし、予約も電話があれば十分こと足りる。 パソコンなんて、旅行代理店の世界には必要のないものだと勝手に思い込んでいたんです。古い感覚に、アタマまでどっぷりつかってたんですね」
 大西さんとパソコンの出会いは今から8年前。 パソコンショップを経営する知人から、1台の中古マシン(Windows3.1)を譲り受けたのが最初だった。
 「譲り受けたといっても、なかば強制的。 『将来、業種を問わずパソコンで売上げや収益を管理したり、メールでメッセージをやりとりする時代が必ずやってくるから今のうちに勉強しとけ!』。 そう言って無理矢理持たされたんですよ。でも、もともと機械が得意な方じゃないし、ローマ字入力さえよく知らない。 しばらくはホコリをかぶったままの状態でした」
 そんな折り、阪神大震災がやってくる。旅行社はどこも開店休業。 時間を持て余した大西さんは、自宅で眠ったままになっている中古マシンを引っ張り出し、参考書を片手に勉強を始めた。
 「コンピュータを勉強するなら、きっと今しかないだろうなと思ったんです。 中堅中小企業の経営者は、毎日の仕事に追われて新しいことを勉強する時間なんてよほどの事がない限り作れませんから。 震災が、思いもよらない時間をプレゼントしてくれたわけです」
 キーボードにはアレルギーのあった大西さんだが、どうにか「Word」を使いこなせるまでにはなった。 そして中古パソコンをくれた知人から、領収書と請求書のテンプレートを借りて、仕事で実際に使ってみることにした。
 「なるほど便利だと思いましたね」
 だが大西さんが、パソコンの真価に気付くには、もう少し時間が必要だった。

低予算で売上管理と顧客管理のシステムを導入

 パソコンの便利さにすっかり魅了された大西さんは、面倒な事務処理をパソコンで肩代わりできないものかと知り合いのソフト開発会社に相談を持ちかけ、 会社の業務形態にあった売上管理と顧客管理のシステムをオリジナルに作ってもらった。成果は予想した以上だった。
 「売上管理システムは、予約番号を入力すればお客さまの氏名や入金日、支払額、残金、利益までを一覧表示することができるシステムです。 以前は、出納帳から数字を目で拾いながら、ほとんど3日がかりでデータを集計していたのがほんの一瞬のうちに画面に表示されるんですから驚きですよ。 今から考えると、どこにでもあるただのデータベースのシステムなんですが、ITの底知れない可能性を初めて肌で感じた気がしましたね」
 顧客管理システムも、なかなかの出来映えだった。 氏名、年齢、過去の売上実績などあらゆる顧客情報を入力しておけば、いつでも必要な時に呼び出すことができる。
 「お客さまから電話が入ると、名前を入力するだけで情報がすぐに画面に表示されます。 何度も住所や電話番号をうかがわなくて済むし、お客さまの事情もたちどころに把握できるので話が通じやすい。 何より分厚い顧客台帳をいちいち手で繰って探す必要がなくなりました」
 将来は、ユーザーの食べ物の好き嫌いや趣味嗜好など、数値化しにくい情報もデータベース化していきたいという。
 「オリジナルのシステムといっても、お願いしてなんとか安く作ってもらいました。 なにも高いお金をかけなくても、使い勝手のあるシステムは作れるんです」
 大西さんは、パソコンを自分でそこそこ使いこなせるようになっていたことが大いに役立ったと話す。
 「パソコンで何ができるかが分かっていれば、自分なりにプランを描けますから。 すべてを業者任せにしないで、まず自分で使ってみる。それが大事だと思います」
 以前はコンピュータやITを、どこか冷ややかな目でながめていた大西さん。 だが毎朝出社して、コンピュータの調子が悪いとたちまちイライラしてくる。それほどパソコンは、仕事にきってもきれないものになっている。

今年中にメールマガジンを使った地域サービスも開始

 こうして1台の中古パソコンをキッカケに、大西さんはITの信奉者になった。 今では販促用の簡単なパンフレットや法人顧客にプレゼンテーションする際の企画書なども、すべてパソコンで自作している。
 「もう以前のようにチラシを大量にばらまくやり方は通用しません。 法人顧客だったら、いつ頃社内旅行の計画があるのか情報をいち早く入手し最適なプランをA4版2ページほどにまとめてパンフレットを作り、 幹事宛に送るようなピンポイントの販促戦略が今は主流になっています」
 また今年中には、自社のホームページも立ち上げ、インターネットを通じて予約の申込みを受け付けるシステムもスタートさせる計画だ。
 「当社のような小さな旅行社が大手代理店のマネをしてホームページを立ち上げても、いったいどれだけの人がそれを見て予約してくるだろうか、 ずっと半信半疑でいました。でも最近は、ホームページから個人の携帯電話に格安のパッケージツアーを電子メールで案内し 成功している個人のエージェントの例もあるくらい。 これに刺激されたわけでもありませんが、当社では地元地域に限定していろんな旅行情報を満載したメールマガジンを 個人のお客さま向けに配信するサービスを始めるつもりです」
 ITは仕事をスピードアップするだけでなく、今やビジネスチャンスを広げる上でもなくてはならないものになりつつある。
 「以前は、大手旅行社の端末を導入しない限りパック旅行の予約・解約・発券はできませんでした。 それが今では、インターネットを通じて海外のホテルとコンタクトし、決済の手続きまでできるんです。 15万円のパソコンとライセンスさえあれば、世界ともビジネスができる時代。 当社のような中堅中小の旅行社にとっては、いろんなチャンスが広がっている時代といえるかもしれません」
 今やインターネットや携帯電話から航空会社のホームページにアクセスし、格安チケットの予約がカンタンにできる時代。 ITはまさに旅行業界のビジネスモデルを劇的に変えた。 そして1台の中古パソコンをキッカケに、大西さんはそんな時代の変化に適応し事業を拡大することに成功した。
  





【Windows3.1(ういんどうず・さんてんいち)】
米・マイクロソフト社が開発したMS-DOS上で動作するウインドウ・システム。 1993年5月に日本語版が発売された。画面も見やすくなり、操作性も飛躍的に向上した。95年に発売された「Windows95」はこの後継OS。
【メールマガジン(めーるまがじん)】
各種の情報を定期的に電子メールで配信するサービス。 コンピュータ系の情報を扱ったものから映画や書籍に関するものまでさまざまなメールマガジンが発行されている。
【Word(わーど)】
米・マイクロソフト社が提供する日本語ワードプロセッサの応用ソフトウェア。 先進的な機能で常に新しいワードプロセッシング環境を提供してきたワープロソフトの代名詞的存在。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 有限会社ケアテック(Z010) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 訪問介護サービス
売上高 従業員数 50名(ヘルパー) 資本金 設立 2003年
キーワード 訪問介護サービス、ITリテラシ向上


パソコンとの出会い。
それは人生を変える出会いでした。


かつての部下に、街で偶然再会したのがキッカケでパソコンにのめり込んだ前田さん。 今では「IT講習会」や民間のパソコン教室でインストラクターを務めるまでに。今年4月には独立して新会社を立ち上げ。社長業でもパソコンは手放せない。




有限会社ケアテック 前田 文男さん(63歳)

大手サッシメーカーに勤務。営業所長、関連会社社長などの要職を務め、平成10年に早期退職。 今年4月1日に、訪問介護サービスの有限会社ケアテックを設立。経営者として新しいスタートをきった。

老後にむけて準備万端、そんな時パソコンと出会った

 前田さんにとって、パソコンは長い間待ち焦がれた恋人のような存在かもしれない。偶然がキッカケで出会い、たちまちその魅力の虜になった。
 長いキャリアの中で、コンピュータとの出会いが一度もなかったわけではもちろんない。 営業所長時代には、社内の先陣をきってコンピュータ導入を決断したこともある。だがその頃と比べると飛躍的に技術は進歩し、性能は格段に向上している。 そのことを前田さんは知らないままでいた。
 前田さんは平成10年、定年まで一年を残し長年勤めた大手サッシメーカーを辞めた。 早期退職で退職金の増額も受けられ、1年後には年金の支給も始まる。悠々自適の老後が待っている筈だった。
 「家庭菜園と釣りと競馬。老後はこの3つに打ち込むつもりで、遠出のためのオートバイやわずかばかりですが畑も手にいれ、着々と準備も整えていたんです」
 だがバイクも畑も、結果的にはムダになった。待ち焦がれた"恋人"が、目の前に現れたからだ。
 「パソコンとの出会いは、全くの偶然。6年ほど前、街でバッタリかっての部下と再会したのがキッカケでした」
 その日は休日。懐かしい顔のその部下は、片一方の手にいま買ってきたばかりのパソコンを重たそうにぶら下げていた。
 「何ができるのか半信半疑でたずねてみると、なるほど便利そうだ。 思い立ったが吉日というわけで、さっそく同じ電器店に足を運び、まったく同じセットをその日のうちに予約してしまったんです(笑)」

独学の限界を感じ、意を決してパソコン教室へ

 前田さんには、パソコンを使ってやりたいことがひとつだけあった。 この30年あまりの間、思いつくままに書きとめておいた膨大な量のメモを、すべてパソコンの中にしまい込んで管理したかったのだ。
 だがパソコンは想像した以上にやっかいな代物だった。 ガイドブックを何冊か買い込んで読んではみたものの、およそ理解の範疇を超えた意味不明な専門用語、カタカナ英語の氾濫。どうにか接続を完了し、 スイッチを入れるが起動しない。頼りになるはずの元部下も、しばらくして東京に引っ越し。前田さんは窮地に立たされた。
 「それからはメーカーのサポートセンターに電話をかけまくりました。 ていねいに教えてくれてそれはそれでよかったんですが、独学の限界を感じないわけにはいきませんでした」
 前田さんは、ついに意を決してパソコン教室へ通うことにした。だが結果的には、それが正解だった。
 「同年輩の人も思った以上にたくさんいたし、良い先生とも巡り会えましたから」
 パソコンを使いこなす上で、日本語の文字入力は避けて通れない。一般的に10分間で250字というのが目安で、これ以上だと手書きより早い。 その頃の前田さんの腕前は10分間200字程度。どう頑張っても、これを超えることができなかった。 ところがパソコン教室に通うようになって、ようやくこのハードルを乗り越えることができた。
 「入力ミスをしても、気にせずそのまま打ち続けるようにある日先生からアドバイスされたんです。 性格が几帳面なものですから、ミスをほったらかしにしておいて前に進むのは最初抵抗があったんですが、ほどなく250字を超えることが出来ました。 専門の人に習うことの大切さをあの時ほど痛感したことはありませんね」

時間を忘れて夢中になった、インターネットの世界

 パソコン教室では、ワープロソフトの「Word」に加え、表計算に使う「Excel」についてもインストラクターの指導を受けた。 とりわけ前田さんが興味を引かれたのは「Excel」だった。
 「会社に勤めていた頃は、よく営業会議で目標の売上げや利益を電卓で集計したものです。 ところが何度やっても答えがあわず難儀しました。それがExcelを使えば、数字を入力するだけでたちどころに答えが出てくる。 もう10年早く習っていれば、ムダな労力も使わずに済んだのにと悔やむことしきりでしたね(笑)」
 こうしてようやくパソコンを何不自由なく操作できるようになった前田さんは、たちまちのうちにパソコンとインターネットの世界にのめり込んでいった。 料金の安い深夜の時間帯にインターネットを使うために、昼夜逆転の生活を続けたこともある。 チャットにはまり、深夜遅くまで話し相手を探しまわった毎日が懐かしい。
 「一度も会ったことがない人とインターネット上で出会い、話し合ったりするというのが最初はどうにも理解できなかったんですが、 実際にやってみるとなかなか楽しいものです。もともと凝り性なところはありますが、これほどのめり込むことになろうとは自分でも想像できませんでした」
 失敗もいくつか経験した。4年前に世界中で猛威をふるったウイルスに感染。だが何といっても最大の失敗は、 ようやく入力を終えたばかりの雑記帳のデータを単純な操作ミスで消去してしまったことだ。
 「パソコンは信頼性がそれほど高くないので、作動中にフリーズしてせっかくのデータを失ってしまうことが度々あります。 でもなにしろ30年あまりの時間が詰まった私の財産でしたから、ショックも大きかったですね」
 だがそれでパソコンへの興味が失われることはなかった。 そして教室に通うようになってからみるみる腕をあげた前田さんは、昨年「シニアIT講師」(民間の認定資格)の資格を取得。 とうとう教わる側から教える側へと立場を変えた。
 「去年は、地元の自治体が主催する『IT講習会』で講師を務めたり、 8月から12月は生涯学習センターの『パソコン教室』の講師として40講座を受け持ったりしました。 実は子どもの頃から、先生になるのが夢。パソコンと出会ったことで、とうとうそれも叶えることができたんです」

片時も手放せないパソコン、経営を支えるパートナー

 前田さんは、今年の4月1日付けで独立を果たした。要介護の高齢者や障害者の家庭へホームヘルパーを派遣するデイサービスの会社を立ち上げたのだ。 今は毎朝、住宅一棟を借り上げてつくった事務所にクルマで通勤する毎日。 「仕事では、もちろんパソコンをフル活用しています。開業の挨拶状から名刺、ファックスの送付書、営業用の簡単なパンフレット、 さらにはヘルパーさんの誓約書や守秘義務の同意書にいたるまで、仕事で必要なものはほとんどすべてパソコンで自作しました。 印刷会社に注文するとなると、大きな投資が必要だったでしょうね」
 「Excel」も大活躍している。50名を数えるヘルパーさんの管理は、「Excel」でつくった「介護サービス実績集計表」で行う。 勤務状況や提供したサービス内容などを入力しておけば、給与も自動的に引き出せる。 利用者の氏名・年齢・症状などの基本データを一元管理するオリジナルのテンプレートも「Excel」で自作した。
 「いずれはオリジナルのホームページなんかもつくってみたいですね。 国保連に請求書を発行するソフトウエアの開発にも、一度挑戦してみようと思っているんです」
 新会社設立と同時に、パソコンも処理能力の高い最新機種ヘ更新した。 社長業に転身した前田さんにとって、パソコンは経営に欠かせない"パートナー"に違いない。




【Excel(えくせる)】
米・マイクロソフト社の表計算ソフトウエア。強力なグラフ作成機能などを備え、最新のユーザーインターフェースを採用。表計算ソフトの標準ソフトになっている。
【チャット(ちゃっと)】
インターネットにつながっているユーザー同士が、画面上で文字を使ってリアルタイムに会話すること。
【ワクチン(わくちん)】
コンピュータウイルスをチェックしたり、退治したりするためのソフトウエア。
【テンプレート(てんぷれーと)】
一部を変更するだけで繰り返し使用することのできるひな形データ。よく使う定型フォーマットの書類をテンプレートとして保存しておくと便利。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 いわさき歯科(Z003) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 歯科医院
売上高 従業員数 17名 資本金 設立 1993年
キーワード 医療、歯科医院、ITリテラシ向上


患者さんのサービス向上のために、
パソコンをフル活用しています。


ワープロでは誰にも負けない自信はあっても、パソコンのことは何も知らない。 そんな岩﨑さんは昨年9月から地元のパソコン教室へ通いはじめた。 セミナー資料の作成や配布物作成にフル活用。患者さんとのコミュニケーションも円滑になった。




いわさき歯科 岩﨑 小百合さん(39歳)

夫の岩﨑義夫院長とともに「いわさき歯科」の経営に携わる。一方で全国各地の歯科医院から依頼を受けスタッフの教育も手がける。 「継続通院したくなる歯科医院スタッフの育成計画」など2冊の著作がある。

ワープロにできること、パソコンでしかできないこと

 医療機関のコンピュータといえば、レセプトコンピュータを真っ先にイメージする。レセプト(診療報酬請求書)を発行するための専用コンピュータだ。
 岩﨑さんが夫である岩﨑義夫さんと共同経営する「いわさき歯科」には、このパソコンの他に窓辺に小さなパソコンがある。 4年前に購入したものだが、これが岩﨑さんが出会った最初のパソコンだった。
 「夫がドイツで開かれる『国際インプラント学会』で講演する際の資料を作ったのが、このパソコンの初仕事でした。 でもまだ十分な知識もなく、上手に使いこなすことはできませんでした」
 岩﨑さんは、かって歯科衛生士学校で教鞭をとっていた。講義の資料を作成したり、試験問題を作ったり、仕事でワープロは欠かせない道具だった。 だが、パソコンとなると話は別。マニュアルと首っ引きで練習をしたせいでそこそこに使いこなせはするのだが、分からないことも多すぎて納得がいかない。 このままでは埒があかないと感じた岩﨑さんは、パソコン教室に通い一から勉強し直すことにした。
 「いわさき歯科のこれからを考えた時、パソコンはどうしても欠かせません。きちんとした勉強をしておきたいと思ったんです」

頼もしい味方パソコン、今や欠かせない道具

 レッスンは、講師の先生とのマンツーマン。何事も、徹底してやり遂げないと気が済まない岩﨑さんだ。
 「最初に習ったのは『Power point』。 4年前に、自分の納得のいく講演資料を作れなかったので、以前からどうしても絶対マスターしたいって思っていたんです」
 岩﨑さんは、全国の歯科医院に請われて、女性スタッフ育成のセミナーでたびたび地方へいく。その際、セミナーで発表する資料作りにも役立つ。
 「その次に習ったのは『Word』です。いわさき歯科でお客さまに渡す配布物や、待合せ室に掲示するオリジナルの案内を作りたかったんです」
 病院や医療機関で掲示されたり手渡されたりする配布物は、とかく無味乾燥したものが多い。 だがいわさき歯科の場合は、イラストや写真も取り入れたカラフルなものが目につく。これも『患者の立場に立った歯科医院』という理想をめざす一環だ。
 「かわいらしいイラストが入っていたり、きれいなカラーで印刷されているだけで、受け取る側の印象はずいぶん違ってきます。 きれいなものだったら大事にしてくれるかも知れないし、ちょっと読んでみようかなという気になってもらえる。 でもそれが、味も素っ気もない文字だけの紙だったり、原本を複写しただけのものだったりしたらきっと読んでもらえない。 気がついたらどこへいったか分からないということにもなりかねません。いわさき歯科とお客さまとの関係も、それだけ薄れていくと思うんですね。 こうしたちょっとした工夫を凝らすことで、お客さまとの間にいい関係を築いていきたいんです」
 岩﨑さんにとってパソコンは、手軽に低コストでそのためのキッカケを作ってくれる、実に頼もしい味方なのだ。
 「レッスンを受けてあらためて思ったのは、もしも私がパソコンやワープロについて知識が何もない段階から始めていたらすごく時間かかっていただろうということです。 でも、ある程度理解できている私でも、教室にいけば新しく覚えることがたくさんある。 きっと習ったことは、コンピュータの能力のほんの数%にしか過ぎないんでしょうね。 だから、とりあえずさわってみてから飛び込んでみるというのも、これからパソコンを始められる方には選択肢のひとつかも知れません。 またパソコンは、文字の世界だとばかり思いこんでいたんですが、実は映像や画像の世界なんだという印象を強くしました。 そんなイメージでこられたら、きっと楽しめると思うんです」

アイデアはいっぱい、新しい歯科医院をめざして

 岩﨑さんの知識欲は、まだまだ旺盛だ。パソコンを使ってこんなことができないかという新しいアイデアが、頭の中で次から次へと沸き出してくる。
 「たとえば診察台のすぐ脇にノートパソコンをおき、 「Power point」の「スライドショー」を使って歯周病について患者さんに説明するようなこともしたいなと思っているんです。 また配布物に載せるイラストは、今まだソフトウエアを使いこなすだけのテクニックがないものだから版権フリーの題材を使っていますが、 いずれはオリジナルの絵をかけるようになれればいいなと思っています。次はぜひ、ペイント系や画像処理のソフトも勉強したいと思っているんです」
 またいずれは、オリジナルのホームページを作る講座にもチャレンジしたいと岩﨑さんはいう。
 「管理が大変なので、まだ立ち上げまではいかないと思いますが、将来的には必ず作りたいと思っています。 できればサーバーなどの管理は、女性のスタッフにまかせたいですね。 違う世界を見ることで彼女たちも気持ちが和むし、楽しいことがいっぱいある歯科医院って面白いじゃないですか。 だから彼女たちには、休み時間にパソコンをおもちゃにしていいよっていってあるんです」
 

 ゆくゆくは女性スタッフたちのために、IT講習会を院内で開いてみることも考えたいという岩﨑さんだ。
 最近は、歯科医療向けのさまざまなソフトウエアが出回っている。捜しまわれば、イメージにピッタリのものがもしかするとあるかも知れない。 だが岩﨑さんは、あくまでオリジナリティにこだわりたいのだという。
 「私たちは、お客さまとの接点でちょっとした工夫を凝らすことで、便利さや快適さ、 知らなかったことが分かって少し得したなという気分をお届けしたいと思っているんです。 だから、お金を出して高い市販ソフトを買ってくるのではなくて、自分のところにあるものでできればもっと面白いし楽しいと思うんです。 もちろんそれが口コミとなって多くの人たちに伝わり集客につながれば、もっと素晴らしいですよね(笑)」




【Power Point(ぱわーぽいんと)】
米・マイクロソフト社のプレゼンテーションソフト。各種の企画書の作成、OHP資料の作成などに活躍する。
【スライドショー(すらいどしょー)】
「Power Point」に搭載され多機能のひとつ。 プレゼンテーションを行う際、コンピュータの上に複数の画面をまるでスライドを連続的に映し出すように表示する機能。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 進皎不動産株式会社(Z012) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 不動産業
売上高 従業員数 9名 資本金 1000万円 設立 1987年2月
キーワード 不動産業、不動産売買・仲介・管理、ITリテラシ向上


まず発想を変えてみる。
そこからが始まりだと思うんです。


進皎(しんきょう)不動産は、賃貸に特化した不動産サービスの会社。 不動産会社の多くが長期低迷を余儀なくされる中で、業績好調を維持している。 その好調を支えているのが、実はインターネットだということを多くの人が知らない。




進皎不動産株式会社 前川 豊さん(51歳)

ハウスメーカーの営業として活躍。17年前に賃貸の入居斡旋と管理、集金代行などのサービスを行う進皎不動産を設立。 不動産の賃貸業は、不動産ビジネスの原点というのがポリシー。

インターネットで情報武装

 不動産の仲介サービス業は、本来いらない業種―。前川社長の口グセだ。だからこそ、情報武装しなければならないというのである。
 不動産会社の販売促進としてもっとも多く利用されるのは折り込みチラシだ。 だが前川さん率いる進皎不動産は、ここあしかけ3年、折り込みチラシによる宣伝活動は一切行っていない。
 ではどうやって情報武装を実践するのか。前川さんが選択したのが、インターネットだった。
 「当社のホームページには、現在400件以上の当社管理物件が登録され、場所、家賃、間取り、タイプなど、さまざまな検索条件で検索できます。 ホームページは、ヤフーをはじめとする国内の代表的なインターネット検索エンジンのほとんどとリンクが張られ、いつでも、どこからでも、 そして誰でもアクセスすることができます。 インターネットでアクセスしてこられた方の成約率は30~40%。昨年が15%でしたから、急速に拡大しつつあります」
 実際、同サイトには、全国からアクセスがある。 これまで遠く離れた地域の物件を探す場合、現地に直接出かけ下見をするか、あるいは地場の不動産情報誌に頼るほかはなかった。
 進皎不動産のサイトには、転勤や進学で加古川に転居を希望する人のアクセスが引きもきらない。
 一方、進皎不動産では、携帯のiモード電話から物件情報にアクセスできる専用のサイトも設けている。
 「現場の物件に番号を表示。携帯でその物件番号を入力すると、当社管理物件のすべてについて、 外観の写真とテキストで間取りや家賃などを確認することができます」
 まさに、ITが可能にした新しいビジネスモデルということができる。 進皎不動産はこの独自のビジネスモデルによって、ここ数年で大きく業績を伸ばしている。
 「私の息子が横浜に転居する際、事前に情報誌を取り寄せてめぼしい物件をピックアップし、現地へ下見にいったところ、 ピックアップしていた物件はことごとく入居済み。苦い経験をした記憶があります。 でももうそんなムダなことをする必要もないんです。ITの力って、ほんとスゴイものだと私自身思っています」

年間1000万の広報宣伝活動

 前川さんは元ハウスメーカーの営業担当。17年前に脱サラ、進皎不動産を設立した。 だがインターネットを使った独自のビジモデルを築き上げるまでには、さまざまな曲折があった。
 「当社でもかつては、年間を通じて相当な広告宣伝費を支払い、定期的にチラシ広告を打って営業活動をしていたんです」
 進皎不動産がインターネットを使った販売促進活動を本格的にスタートさせたのは今から4年前。 しかしそれ以前には、年間で1000万円近い費用を広告に注ぎ込んでいたという。
 「例えば、月に1回新聞折り込みのチラシを10万部刷ると、1回当りに要する費用は1枚6円。 つまり毎月60万円、年間720万円がかかる計算になります。それだけではありません。 住宅情報誌への出稿、地域情報誌への出稿なども含めると、年間で1000万円の投資を行っていました。 しかしそれだけのお金を注ぎ込んで、いったいどれだけの効果が期待できるのでしょう。特に若い人は新聞離れが進んでいます。 年輩の方でも、見るのはテレビ欄とスポーツ欄だけという人が少なくありません。 もうすでに新聞がメディアとしての役割を果たさなくなってきているんです。 なのに私たちだけが、昔はこのやり方だったからという理由だけで既成のワクから出ようとしない。それでは時代に取り残されていくばかりです」
 そんな時、前川社長が出会ったのがインターネットだった。 1年365日、休むことなく働き続けるコンピュータ。そして国境を超えて広く世界にまで情報を発信できるインターネット。 前川さんは、思いきって方向転換することを決心した。

想像した以上の成果、初契約は仙台のお客さま

 前川さんは、地場のあるコンピュータディーラーを何のアポイントもとらず飛び込みで訪れ、ホームページの制作とそれを運用するシステムの構築を依頼した。
 「何で知ったかは、もう今となっては記憶が乏しいんですが、あちこちのホームページを見てその中で目に止まったのがそのディーラーだったと思います」
 前川さんは、これから自分がやろうとしていること、ホームページのコンセプト、システムに関する要望などを伝え、ディーラーを後にした。
 後日、ディーラーからプレゼンテーションを受けたシステムは、ほぼ前川さんの要求を満たすものだった。
 「当社管理物件をデータベース化し、キーワード検索で好みの条件にあった物件を捜し出せるシステムというのは、今でこそ当り前ですが、 きわめてめずらしいものであったことは確かだと思います」
 システムの運用が始まると、想像した以上の成果だった。
 「一人目が確か仙台のお客さんだったと思います。すんなり成約になりました。 その後奈良、大分など、コンタクトのあったお客さんは全員遠方のお客さんでした。 これはもしかすると、大きく化けるかも知れない。その時に勝利を確信しました」

最大で月間に3000件のヒット数

 その後もアクセス数は確実に増えた。だが情報の更新を怠ると、たちまちアクセス数は減少傾向をたどった。 お客さんは確かに見てくれているんだ・・・。前川さんは、その時そう感じたという。
 「こんなお客さんもいました。ある日、一人の年輩の方が来られていくつか実際の物件を見せてくれとおっしゃるんです。 見ると、ホームページの画像をプリントアウトしたものを5枚ほどもっておられた。 つまりホームページを徹底的に洗い出して目星をつけ、それから当社に来られたんです。 しかもその方は地元の方。それを見て初めて私は、遠方だけでなく地元の人たちも見始めていることを確信しました」

 それだけホームページの存在が、地元にも定着し始めたことを表していた。 ヒット数はその後も着実に伸びて、いまでは月間で最大3000件、最少でも1000件におよぶ。
 「このほかにも当社は、地場の同業不動産会社5社と提携し、2ヶ月に1度情報誌を発行。専用のWebサイトを立ち上げています。 費用は1社当り、1回10万円です。もう昔ながらの不動産の売り方は通用しなくなったんです。 不動産業だけではありません。あらゆる業種で、同様の現象が多かれ少なかれ、おきています。 私たちは、そのことをもう一度再認識すべき時が来ているのではないでしょうか」




【Webサイト(うぇぶさいと)】
Webによるサービスを提供しているホストコンピュータや、そのコンピュータを運営している団体。
【ヒット数(ひっとすう)】
パソコンからホームページにアクセスした件数。ヒット数によって、ホームページの人気度を推し量ることができる。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 有限会社小川ビル(Z007) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 ビル賃貸、管理
売上高 従業員数 資本金 設立
キーワード 不動産業、ビル管理、ITリテラシ向上


機械オンチの私でもできるとは
まさか思ってもみませんでした。


いつも誰かの手に頼ってばかりいた自社ビルの入居契約書や管理台帳の作成。 それを自分で出来るようにしたいと、2年間教室に通ってパソコンをマスターされた小川さん。 毎年創作活動でヨーロッパに出かけられるご主人との間でメール交換するのが夢だとか。




有限会社小川ビル 小川 孝子さん(57歳)

JR大久保駅前に所有する土地にテナントビルを建設。ビルを管理する有限会社小川ビルの代表を務める。 ご主人の小川英紀氏は東京芸術大学美術学部在籍時に小磯良平の指導を受けた風景水彩画で知られる。

負担をかけるのがいやでパソコンを勉強しようと決心

 JR大久保駅前は、ここ数年の間に大きく様変わりした。駅舎はモダンなデザインに生まれ変わり、駅前にはターミナルや大型商業施設が完成。 週末ともなれば多くの人で賑わう。
 そんなJR大久保駅の北側ターミナルに、最初にできたテナントビルが「小川ビル」。 周辺一帯が区画整理事業の指定を受けたのを機に、土地の所有者の小川さんが6年前に建てた鉄筋5階建てのテナントビルだ。
 現在小川さんは、このビルを管理する「有限会社小川ビル」の代表取締役。テナントとの折衝、契約などを一手に引き受けている。
 「ビル管理の仕事では、たくさんの事務書類が発生します。入居の契約書、テナント管理の台帳、駐車場の契約書、電気・水道の請求書。 書類ではありませんが、駐車禁止の貼り紙や注意書きのステッカーなども作らないといけません。 初めの頃は、それをワープロをもっている主人や娘に頼み込んで作ってもらっていたんですが、いつまでも負担をかけるわけにはいかず、 ずっとパソコンを習いたいと思っていたんです」
 だが小川さんは、機械が大の苦手。家にパソコンはあっても、触ったことすらない。 パソコン教室に通うことも考えはしたが、それがとてつもなく難しいものに思えて二の足を踏んでいた。
 「そんな時、偶然に4階フロアをあるパソコン教室にお貸しすることになったんです。 契約の話し合いなどを通じて教室の方とも懇意になっていたので、思いきってお世話になることにしたんです」

最初不馴れだったローマ字入力、忘れないための宿題も

 小川さんは週1回のペースで教室に通い始めた。最初はワープロソフト(Word)を使って、五十音順にひらがなを入力。 慣れると今度はローマ字入力に挑戦だ。
 「ローマ字なんてもう何十年も使っていないので、最初は戸惑いました。でもだんだんローマ字入力の方が打ちやすくなっていくんです」
 ひと通り文字の入力ができるようになると今度は文章のレイアウト。そして表や簡単なイラストを挿入し書類としての完成度を高めていく練習へ進む。
 「授業では毎週宿題が出るんです。だから1週間ほど間が空いても、習ったことを忘れてしまったりしない。次のステップにも進みやすいんです」
 こうして「Word」が終わると次は表計算ソフト(Excel)。段階をふんで使い方をおぼえていく。
 「授業は上手にプログラムがたてられていて、とても分かりやすかったですね。お友だちにも紹介して、楽しく勉強することが出来ました」
 もちろん苦労がないわけではない。
 「ある程度予備知識があるならともかく、通い始めた頃は簡単な用語すら知りませんでした。 言葉の意味を教えてもらうところからスタートしたので、ひと通り習得するまでには時間もかかりました。 でも苦労したからこそ、身につくものもいっぱいあるんだと思います」

あらゆる書類をパソコンで、今や仕事に欠かせない道具

 2年間、根気よく教室に通った小川さん。今では、簡単な書類なら1時間程度もあれば作れるようになった。もう人の力を借りることもない。
 「電気料金や水道料金の請求書は、「Excel」を使って作りました。 最初に計算式を作っておけば、あとは検針の数字を入力するだけで消費税も含めた請求金額がほんの一瞬で出てきます。 本当に便利ですよね。時間もかからないし、何より計算間違いをしてしまう心配がありません。 それまでは自分で電卓を叩いて集計していましたから、間違っていないかいつも不安でしかたがなかったんです」
 請求書だけではない。例えば物件案内のような、細かい表組みがたくさん出てくる事務書類なども今やお手のものだ。
 「これはこの間作ったばかりの物件案内です。こちらは入居の契約書と駐車場の契約書。 本当なら、こうした書類はみんな不動産屋さんが作ってくれるんですが、最近は自分で作る方が早いのでぜんぶパソコンで作っているんです」
 また小川さんは、パソコンの良いところは一度作ったデータをフロッピーディスクなどに記憶させて、コンパクトに保管できることだという。
 「不意にテナントさんから問合せがあっても、フロッピーからすぐに呼び出せるから即座にお返事ができるんです」

インターネットやデジカメはプライベートでも活躍

 パソコンの操作とソフトウエアの使い方に慣れた小川さんは、仕事だけでなく最近は「Word」で手紙を書いたり、プライベートにも大いに活用している。
 「調べものをするときも、最近はインターネットを使うことが多くなりました。 このビルが不動産会社のホームページでどんなふうに紹介されているのかを確かめたり、何かと重宝しています」
 最近は、デジカメも始めたばかりだ。
 「娘の結婚式の時は全部デジカメで撮って、お気に入りの写真だけをアルバムにしまってあります。好きなものだけ残しておけるし、 画質も現像写真とほとんど変わりません」
 いずれはデジカメで撮影したビルの写真を使って、写真付きの物件案内なども作ってみたいと小川さんはいう。
 「主人はパソコンの操作は知りません。だから今は立場が逆転して、私が主人の仕事に必要なものをいろいろと作ってあげたりしているんです」
 ご主人は、毎年夏の休みを利用してヨーロッパに写生旅行に出かける。いつかヨーロッパ滞在中のご主人と、メールでやりとりするのが小川さんの夢だ。
 「子どもの頃からずっと機械とは縁遠い環境で過ごしてきました。だから私がパソコンを習っているというと昔を知っている友人なんかはみんな驚くんです」
 時間があれば、将来はホームページの作成などにも挑戦していきたいという。




【フロッピーディスク(ふろっぴーでぃすく)】
磁気で情報を記憶する記録媒体。現在は3.5インチが主流。 パソコンでよく用いる外部記憶媒体には、他にMO(光磁気ディスク)、CD-R(記録できるCD)などさまざまな種類がある。
【デジカメ(でじかめ)】
画像を0と1のデジタルデータで記録するカメラ。データをパソコンヘ移し、プリントしたりインターネットでメールとして送ることもできる。 ここ数年の間に価格も下がり、従来のアナログ式カメラに急速にとって変わりつつある。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 株式会社エス・ティー・エス(Z004) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 不動産売買・賃貸斡旋・管理
売上高 従業員数 資本金 設立
キーワード 不動産業、不動産売買・賃貸斡旋・管理、ITリテラシ向上


難しいことは分からなくても、
どう使えるかを知ることが大切です。


地場の加古川で多くの人から高い信頼を勝ち得ているSTS。 その強さの秘密は、ユーザーを裏切らないていねいな仕事とITを駆使した情報サービス。 夫と二人三脚でSTSを支えてきた石橋昶子さんも、パソコンを最大限に活用している。




株式会社エス・ティー・エス 石橋 昶子さん

個人営業の時代も含めると20年あまりの実績を有する不動産サービス会社のSTS。 取締役として、経営を支えてきたのが石橋昶子さん。社内では、主に賃貸のサービスを担当。

あらゆるサービスを提供、「石橋不動産」でない理由

 多くの不動産会社は、経営者の名前を冠するところがほとんどだ。STSは、その数少ない例外のひとつだ。
 「このことひとつをとってみてもお分かりいただけるように、当社は他社にないサービス、独自のサービスを追求しているんです」
 石橋さんは、いくつかの例を挙げて紹介する。
 「例えばSTSは、自社管理物件だけでなく、ときには採算を度外視して他社の物件にまで選択範囲を広げ、 ユーザーの要求に100%合致するものを探し出そうとします。またSTSは、本来違法なチラシを使った勧誘や情報提供は一切行っていないんです。 地域に密着し、地域とともに発展するのが不動産業の本体の姿。 街の美観を損ねてまでビジネスを考えるより、地域の人びとに信頼されるサービス提供をめざしていこうというのが私たちの考え方です」
 そんな姿勢をかたくなにまもり続けるSTSは、飛び込みで来店し成約に結びつくケースより、紹介客が圧倒的に多い。 多くの不動産サービス会社は、駅前のビルのしかも1階に陣取っているケースがほとんだ。 STSが駅から離れた場所にあり、しかもビル2階にオフィスを構えているのは、何よりもの大切な財産として維持していきたいという考え方の表れでもある。

インターネットを駆使して他社とはひと味違うサービス

 そんなSTSにとって、ITはサービスのオリジナリティを高める上でなくてはならない重要なビジネスツールだ。 例えばインターネット。STSでは、情報収集のツールとして最大限に活用している。
 「不動産の場合は、権利関係が複雑にからみ合っています。土地を扱う場合、それがどんな土地なのか、徹底的に調べる必要があります。 以前は不動産の所有権や担保状況など詳しい情報を収集するために、地方の法務局などに足を運んでいましたが、 最近ではあらゆる土地関係のデータベースが充実しています。 例えば「国有財産売却物件情報」は、所有者の氏名、どこが競売にかかっているのかや路線価などをいながらにして、情報収集することができます。 時間の短縮につながれば、それだけお客さまの満足度もアップするはずです」
 またSTSは、自社のホームページも情報発信の窓口として重視している。
 「情報流通のチャネルを広げるために、主だった検索エンジンをはじめポータルサイトにも進んで登録し、情報提供を行っています。 だから当社では、遠く離れた地域の方からの問合せが多い。一人でも多くのお客さまの目に触れていただくことが大事だと思っています。 たとえそれが直接のビジネスにつながらなかったとしても、記憶の中の片隅に当社の名前をとどめていていただければ、 いずれそれがビジネスチャンスへとつながっていくかも知れません」
 STSはすべてにおいて、そんな考え方をとっているのだ。

半年間教室に通って基本操作を勉強

 インターネットをビジネスのツールとしてごく日常的に使う石橋さん。 もっとも、その石橋さんも、ついこの間まではスイッチを入れるくらいのことしかできなかったという。
 「それで2年ほど前、半年間だけ近くのパソコン教室に通ったことがあるんです」
 レッスンは週1回。「Word」「Excel」の基本操作を勉強した。
 「実は私がいく前に、息子と女性の事務スタッフを同じパソコン教室に通わせていたんです。 息子はレッスンで勉強した内容をもとにして、「Excel」を使ってオリジナルの請求書や見積書を作成しました。 そのテンプレートは、いまでも社内で愛用しています」
 半年間とはいえ、石橋さんも「Word」についてはほぼ思い通りに使いこなせるまでになった。
 「思ったほど難しくないというのが私の印象です。最初は何かを操作することに対してとても臆病だったんです。 しばらくするとそれにも慣れて、自由にいろんなところを操作しているうちに、アッそうかと思える時がくるんです」
 仕事はもちろん、最近はプライベートで、例えば旅行先の情報収集などにも頻繁に用いているという。


トラブルをつくらないこと、それがサービス

 不動産の仲介サービスでは、賃貸であっても売買であっても、売り手と買い手の間でトラブルが発生しやすい。 だがSTSの場合は、極端に少ない。そこにも顧客から寄せられる信頼の大きさが表れている。
 「多くの不動産会社は、トラブルが起こると、仲介業者であるとを理由にして積極的にそこに関ろうとはしません。 それが売り主、借り主の不審を招く原因にもなっているんです。しかしSTSの場合は、トラブルの問題解決がはかられるまで、あらゆる手段を尽くします。 ときには法律の専門家を紹介したり、自ら話し合いの場に参加して妥協点を見出すべく最大限の努力を払います」
 そればかりではなく、STSの場合は、最初の段階からさまざまな情報を収集し、将来トラブルに発展しそうな可能性のある場合には、 事前にそのトラブルの芽を摘み取っていく。
 「だからトラブルの発生軒数そのものが、極端に少ないんですよ」
 見せ掛けだけの言葉ではなく、徹底して本質を追求していることが、STSの本当の意味での強味となっている。
 




【PCカード(ぴーしーかーど)】
携帯性に優れたモバイルコンピューティングの必須アイテム。名刺サイズでカードの厚みにより3種類ある。 フラッシュメモリーカード、FAXモデムカード、デジタルセルラーカード、ハードディスクカード、ネットワークカードなどがある。
【スキャナ(すきゃな)】
絵や文字などの原稿を、画像情報に変換する装置。受光素子を走査(スキャン)させ、原稿の光の反射量や透過量をとらえることができる。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 割烹森繁(Z018) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 割烹料理店
売上高 従業員数 資本金 設立 1926年(創業)
キーワード 割烹料理店、ITリテラシ向上


一家はみんなパソコン好き。
すっかり私も手放せなくなりました。


いったんはあきらめながら、ひょんなキッカケからパソコンに再挑戦。長い間の夢だった自作のホームページも1年前についに完成。 仕事がひけた深夜、イタリアから届く息子のメールが待ち遠しい。




割烹森繁 宮永 二三夫さん(64歳)

「森繁」は、昭和元年創業の地元で老舗の割烹料理店。宮永さんは昭和39年に2代目を継いだ。 遠く京都や大阪から、「森繁」を訪ねてやってくる贔屓の客も少なくない。

スイッチを入れるのはもっぱら11時を過ぎてから

 宮永さんのお店の営業時間は午後11時まで。だが12時を過ぎても、いつもお店には煌々と明かりがともって途絶える気配がない。 理由は簡単。宮永さんが、パソコンでインターネットをしているのだ。
 「昼間は店の仕込みで忙しい。もっぱらインターネットをするのは仕事がひけて、夜12時を回ってからになります。 まわりも静かだし、これがけっこう快適なんです。夜は私の時間なんですよ(笑)」
 今年のはじめには、宮永さんの下の息子さんが料理の修業でイタリアにわたった。時間差の関係で、電話での連絡はとりにくい。連絡はもっぱらeメールだ。
 「こっちからパソコンと私のデジカメをもっていってるんで、2~3日おきにメールが届きます。 ろくにイタリア語も分からないままでいっているから、メールが入っているとホッとします。 最近は向こうも景気が悪いらしくって、親としては心配なんですが・・・」
 愛用のパソコンは、最近になって上の息子さんがくれた。「Windows XP」を搭載した、最新鋭機種だ。
 「本人は、マッキントッシュのパソコンを買ったばかり。この間、私の作ったホームページを見たっていってましたね。 立ち上がりが遅いって、文句いわれましたよ(笑)」
 宮永一家は、みんなパソコンが大好きなのだ。
 「すっかり手放せなくなりましたね。もうこれからは、パソコンなしではやっていけないんじゃないでしょうか。 私の周囲でも、今年になって何人かパソコンを始めましたよ」

買って帰ったその日にもう挫折

 宮永さんが、パソコンと出会って、もうかれこれ10年がたつ。出会いは、とあるスーパーだった。
 「電気製品のフロアをぶらぶらしていた時に、偶然に見つけたんです。『これ私でも使えるかな?』と訪ねたら、店員さんが『もちろん使えますよ』。 それならというので、ひとつ買って帰ったんです(笑)」
 だが当時のパソコンは、プロでも扱いが難しい。接続するだけで一苦労。 仮に接続がうまくいったとしても、今どきのパソコンのようにカラフルなGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)ではない。 わくわくしながら帰宅した宮永さんだったが、案の定挫折した。
 「すぐに、私の部屋の置き物になりましたよ(笑)」
 それから、パソコンは部屋の片隅でずっとホコリをかぶったままだった。
 転機が訪れたのは、それから2年ほどが過ぎたある日、宮永さんは近所のパソコンディーラーから仕出しの注文を受け配達に出向いたときだった。
 「まだ1回も使ったことのないパソコンの話をしたら、あちらの 社員さんが『最近後継OSのWindows95が出たんで、 なんとかなるんじゃないですか』というんですよ。じゃあってことで、セッティングに来てもらったんです」
 かくしてホコリにまみれたパソコンは、息を吹き返した。そしてここからが、宮永さんの本当のパソコンライフの始まりだった。

早すぎてもいけない、ゆっくり確実に

 1995年は、日本でインターネットの一大ブームが巻き起こった年だった。 宮永さんも、お店のホームページを自分の手で作ってみたいものだと秘かに企んでいた。
 「それで、パソコンを復旧してくれたディーラーさんがパソコン教室をやっているっていうんで通ってみることにしたんです」
 レッスンは週1回。ワープロソフト「Word」を手始めに、「Excel」へと進んでいく。
 しかし宮永さんは、早くホームページが作りたくて仕方がない。 いよいよ我慢ができなくなった宮永さんは、別の教室の「ホームページ作り方講座」にも出かけてみることにした。 「Homepage builder」でホームページの作り方を学ぶ短期集中型の講座だ。
 「いちおう6日間すべての授業に参加して、修了証なるものをいただきました。でも身に付いたものはゼロでしたね。 時間が限られているから、先生がどんどん前へ進んでしまって追いつけないんです。 自分の中できちんと消化するには、週1回くらいのペースが一番いいのかも知れませんね」
 勉強は早すぎてもいけない。自分にあったペースで学んでいくことが大切と宮永さんはいう。

1年前についにホームページが完成

 宮永さんは、仕事が忙しくて一時レッスンを中断した期間も含めて、パソコン教室にはトータル4年通った。 その間に宮永さんがマスターしたのは、「Word」「Excel」「Homepage builder」の3つのアプリケーション。 途中、期間限定の短期集中講座で年賀状の作成も勉強した。それらはいま、仕事にプライベートにフルに活躍している。
 「Wordは、オリジナルのメニューやチラシ、従業員の出勤表なんかを作るのに使っています。Excelはもちろん経理。 1年前には、「Homepage builder」を使ってとうとうオリジナルホームページも立ち上げました」
 お店やメニューは愛用のデジカメで自ら撮影した。デザインやキャッチフレーズも、自分で考えた。何もかもが宮永さん手作りのオリジナルだ。
 「思わぬところから注文や問合せがあるんで、自分でもビックリしています。 この間は岡山のお客さんが観光バスで来られたし、鳥取や京都のお客さんが旅行帰りに来られたりもしています。 こんな遠くのお客さんから問合せをいただくなんて、今までなかったことですよ」
 インターネットの威力にいちばん驚いているのは、ホームページを作った当の宮永さんだ。
 「去年の暮れは、インターネットを見たといっておせち料理の注文をいただいたお客さんもいました。 それがなぜだかご近所のお客さんなんですよ。近場から遠方のお客さんまで、いろんなところでいろんなお客さんが見てくれてるんですね」
 来年は、「Excel」で確定申告に挑戦したいという宮永さんだ。




【GUI(じーゆーあい)】
グラフィカル・ユーザー・インターフェースの略。ウインドウやアイコンなどの画像を表示し、マウスやペンなどのポインティングデバイスで操作する。 GUIが登場するまでのパソコンは文字ベースの画面で、キャラクター・ユーザー・インターフェースと呼ばれる。
【OS(おーえす)】
オペレーティングシステムの略。コンピュータ本体を動かすための基本ソフトウエア。 ファイルの管理、メモリの管理、入出力の管理、ユーザーインターフェースの提供などを行う。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 株式会社メイ(Z017) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 調剤薬局
売上高 従業員数 37名 資本金 1000万円 設立 1984年
キーワード 調剤薬局、ITリテラシ向上


パソコンなんてカンタン、カンタン。
私なんて自分で作ってますよ。


株式会社メイは、昭和59年に創業。現在神戸、明石、加古川に5店舗を展開する調剤薬局。 創業社長の赤澤さんは、無類のパソコン好きで、早くからパソコンを社内業務に活用。 業務の負担軽減や患者さんサービスの向上に役立ててきた。




株式会社メイ 赤澤 陽さん(64歳)

東京生まれの東京育ち。飯田橋で薬店を営む実家を飛び出し神戸へ。「アメリカンファーマシー」に勤務した後、神戸市内で一般薬局を開業。 昭和59年に株式会社メイを設立。調剤薬局の分野に進出。

『指導箋』を日本で最初にカラー化

 調剤薬局で薬を処方してもらうと、薬といっしょに「指導箋」とよばれる文書を手渡される。 薬の用法、用量、効能など知りたい情報が写真を添えて分かりやすく記載されていて、とても便利だ。
 今ではごく当り前になったこの『指導箋』を日本で最初に作ったのが、実は赤澤さんの経営する調剤薬局だった。
 「薬を1錠1錠デジカメで撮ってパソコンに取り込み、プリンターで印刷・・・。大変な手間でしたよ。 しかも1枚印刷するのに15円のコストがかかる。まともな経営者だったら、誰もやらないでしょうね(笑)。 これだけの手間とコストをかけても、売上に直接結びつくとは限らないんですから」
 あくまで患者さんのためを思って始めたサービスという赤澤さんだが、『指導箋』は最近になって保険適用を受け、診療報酬の対象になった。 時代を一歩先駆けた赤澤さんだった。
 「薬剤師は薬を処方するだけが仕事ではありません。 その薬が何の薬なのか、どういう使い方をすればいいのか、患者さんに正確な情報を添えてお渡しすることが本来の役目だと思うんです」
 『指導箋』をカラー化するにあたっては、高性能のコンピュータやプリンタを買い揃えるのに3000万円近いお金を注ぎ込んだ。 だが赤澤さんにとってはそんなIT投資も、患者さんへのサービス向上の一環なのだ。

グループウエアを導入、円滑なコミュニケーション

 赤澤さんはこの他にも、従業員とのコミュニケーションや業務効率化にITを最大限に活用している。 平成8年にはグループウエア(Lotus Notes)を導入。5つある店舗をネットワークで結んだ。
 「導入して最初にきたメールが、『私の給料はいつ上るんですか?』(笑)。 初めの頃は従業員もどう使えばいいのか分からなかったみたいですが、 今では電子メールが互いの情報交換に欠かせなの頃は従業員もどう使えばいいのか分からなかったみたいですが、 今では電子メールが互いの情報交換に欠かせないの情報交換に欠かせないツールになっています」
 グループウエアで店舗をネットワーク化したことで、経理の数字を離れた場所からリアルタイムで遠隔監視できるようにもなった。電子掲示板もフル活用だ。
 「"私語をなくそう"とか"笑顔がいちばん"とか、毎日のように従業員全員にメッセージを発信しているんです。 従業員の査定ともリンクしていて、返事を送ってこなかったり、返事があったとしてもピントはずれな意見だったりすると、評価は下がります」
 赤澤さんの調剤薬局には、現在薬剤師が30名近く。人の命に関る仕事だけに、モチベーションをどう高めていくかは重要なテーマだ。
 「メールや掲示板はそのためのツールとしてとても有効に機能しています」
 薬剤師の業務報告も、今ではすべてメールの添付ファイルで送られてくる。 また個人の患者さんがこれまでにどんな薬を服用してきたか、どんな副作用があったか、すべての情報を記した「薬歴」も、 すべてコンピュータの中にデータとして記録されている。
 「ほんの10年前まで、この世界ではコンピュータをまったく信用していないと公言してはばからない人がたくさんいました。 それが今年からフロッピーディスクに記録された文書が公のモノとして認められるまでになった。やっとこの業界でもIT化が始まったんです」
 赤澤社長には、そんな時代を先駆けてきたという自負がある。4年前には、ネットワークを光ファイバーに切り替えた。 調剤薬局でここまでIT化が進んでいる例は、おそらく全国でも稀だろう。

コンピュータとの出会いは20年近く前

 赤澤さんのコンピュータとの付き合いは、もうかれこれ20年近くにもなる。 昭和59年に最初の調剤薬局をオープンした時、レセプトコンピュータを導入したのが最初の出会いだった。
 「まだパソコンという名前が一般にはほとんど認知されていなかった頃、20万円でノートパソコンを衝動買いしたこともあります。 でも肝心のOSが入ってなくて動かないんですよ(笑)。1年くらいホコリをかぶったままでしたね」
 そんなある日、赤澤さんはTV番組でさる高名な評論家がインターネットの将来性を盛んに訴えているのを見た。 いても立ってもいられなくなった赤澤さんは、パソコンショップに駆けつけてマッキントッシュパソコンを手に入れた。
 「確か平成6年でした。この界隈にまだプロバイダが2社しかなくて、悪戦苦闘しながらインターネットにつないだのをおぼえています」
 その後、震災のあった平成7年にはマッキントッシュパソコンからWindowsパソコンへと切り換えた。 パソコンの進化と歩調をあわせるように、キャリアを積んだ赤澤さんだった。
 「でもこれまでパソコン教室に通ったり、ガイドブックや取り扱い説明書を読んだことは一度もありません。 すべて独学です。ただ、友だちに一人パソコンに詳しいやつがいて、動かなくなった時なんかはよく電話で相談してました。 そういう友だちを作っておくことも大事ですね。自分のまわりにいないという人は、パソコンショップで詳しい店員さんと懇意になればいい。 私にも何人かいますよ、そういう人が・・・」

6万円でできる自作パソコン

 何事も自分の手でやってみないと気がすまない赤澤さん。最近は既製品のパソコンでは飽き足らず、とうとう自作するまでになった。
 「そう言うとなんだかとても難しそうに聞こえるかもしれませんが、そんなことはない。 実にカンタンなんです!ロジックボードとかハードディスクとか、パーツを買ってきてつなぐだけ。ウソだと思うんなら一度試してみてください」
 最近も自作パソコンの中身を大幅に入れ替えた。マイクロプロセッサは最新のPentiumⅣ(4.5GHz)だ。
 「これだってマザーボードとハードディスク買っただけですよ。予算はわずかに6万円。パソコンショップで店員さんに聞いてやれば、誰でもできます」
 自作のパソコンは現在2台。仕事だけでなく、プライベートでも大活躍だ。
 「ゴルフが大好きで、シニア大会で競技員をしたりしているんですが、スコア表なんかも全部パソコンで作っています。 名簿をスキャナーで読み込んでOCRでテキストファイルに落とし、Excelで処理すれば簡単に作れます」
 デジカメで撮った写真などは、CD-Rに記録。オリジナルのラベルをつけて大切に保管している。
 「パソコンは生鮮食料品なんです。次々に新しいのが発売されて、旧型はすぐに賞味期限が切れてしまう。 だからいつ買っていいか分からないという人もいますが、新しいのが出たら古いのは原価でさっさと処分して買い換えるようにすればいい。 時代はどんどん進んでいますから、なんとかついていくことが大事なんじゃないでしょうか」
 





【グループウエア(ぐるーぷうえあ)】
電子メール、スケジュール管理などの機能を持ち、ネットワークによるグループの作業を効率的に行うためのソフトウエア。 米のソフトメーカーLotus社の「Notes」が代表的。
【電子掲示板(でんしけいじばん)】
コンピュータでメッセージ交換ができる機能。発信されたメッセージをネットワーク上にあるユーザーが閲覧し、自分の意見などを書き込むことができる。
【マイクロプロセッサ(まいくろぷろせっさ)】
コンピュータの演算処理機能を1枚のLSIに集約しチップ化したもの。パソコンのいわば心臓部にあたる。 「Pentium」や「Celeron」などが有名。CPU(中央演算処理装置)という言い方をする場合もある。ほぼ同義語と考えてよい。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 有限会社ブロッサム(Z015) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 フラワーショップ、フラワースクール
売上高 1億円 従業員数 資本金 設立 1999年
キーワード フラワーショップ、フラワースクール、ITリテラシ向上


ショップやスクールの運営に、
今やパソコンは不可欠な存在です。


インターネットの通信販売で注文を増やしたい―そんな動機でパソコン教室に通い始めた日坂さん。 オリジナルのホームページ立ち上げをキッカケに、パソコンの世界へ。 今ではショップのPOP作りやフラワーアレンジメント教室のツール作りに大活躍している。




有限会社ブロッサム 日坂 明広さん(40歳)

大阪芸術大学インテリアデザイン科卒業。4年前にフラワーギフトショップ「ブロッサム」を開業。 3店舗を展開中。またフローリストとしても活躍。作品は「ジャパンカップ」でも度々上位入賞を果たしている。

手作りのホームページめざしてパソコン教室へ

 日坂さんのご実家は、地元で老舗として知られるフラワーショップ。 日坂さんは大学卒業後、いったん店舗設計の会社に就職するが、25歳のとき会社を辞めて家業を継いだ。
 それから10年、日坂さんは経営者の父親をサポートしながら店を切り盛り。4年前には独立して、「ブロッサム」の名前で自分の店を構えた。
 「生花市場の中でも、ギフトは景気の波に左右されにくい安定したマーケット。そこに狙いを絞った店を作ろうというのがそもそもの発想だったんです」
 新しいコンセプトでスタートした「ブロッサム」だったが、スタート当初は知名度もない。 もっとたくさんの人に店を知ってもらう良い方法はないものだろうか―。 あれこれ思案をめぐらせる中で、日坂さんがたどり着いた答えが、インターネットを使った通信販売だった。
 「その頃は電子モールやネット通販がちょっとしたブームで、大企業から中小の自営業者までこぞってホームページを立ち上げ、ネットショップを始めていました。 じゃあ、自分たちも一度やってみようということになったんです」

ついに完成した自作HP、5月にオープン

 だがホームページの制作を外部の業者に委託するとなると、そこそこの費用を覚悟しなければならない。 そこで日坂さんはコストを安く抑えるため、自力でホームページを立ち上げようと決意。 お店が一息つく2月前後を見はからって、近くのパソコン教室に通い始めた。
 「自分では、1日か2日くらいで出来上がるんだろうと簡単に考えていたんです。 なにしろパソコンがどういうものなのかまったく知らないし、キーボードに触ったこともない素人でしたから」
 ところがいざフタを開けてみると、予想は見事に裏切られた。
 「『Homepage builder』というソフトを使って作るんですが、暗号めいた記号やたくさんの操作をおぼえないといけない。 これは大変なことになったなあと正直思いました」
 それでも店の将来がかかっていると思えば、苦労も苦労のうちには入らない。 日坂さんは悪戦苦闘の末、どうにか3ヶ月で自作のホームページを完成させた。あとはいよいよ、ユーザーからのアクセスを待つばかりだ。
 「ところが期待に胸を膨らませて立ち上げたわりには、さっぱりアクセスがない。 ホームページさえ立ち上げれば自然とアクセスはあるものだと思い込んでいたんです。 実際には、アドレスをお客さまに知ってもらう広告活動がいちばん重要なんですが、そのことを知ったのはそれからずっと後のことでした(笑)」
 日坂さんが悪戦苦闘の末に作り上げたホームページは、今でも使われている。少しずつだが、インターネットからのオーダーも増えてきた。 フローリストの第一人者である日坂さんの作品を自由に閲覧できるコーナーは業界関係者の間では評判だ。 日坂さんにとって、ITはなかなかどうして手強い相手だった。

スクールは生徒数が220名、大盛況の裏にパソコンの活躍が

 インターネットショッピングで商売繁盛―。 日坂さんのその目論見は成功とは言えなかったが、それでもパソコン教室で身につけた知識や経験はしばらくして思わぬところで役立つことになる。
 日坂さんは、独立して2年目の2000年、1号店の近くに新しく「ブロッサムフラワースクール」をオープンした。 女性をメインターゲットにしたフラワーデザインの教室だ。
 スクールの生徒数は初年度こそ80名ほどだったが、次第に評判が口コミで広がり3年目の現在は220名を数えるまでになった。 フラワーデザインのスクールとしては、全国でも中規模クラスだ。
 「いまフラワースクールの経営は、どこも厳しいはず。 そんな中で大きな費用をかけて宣伝広告をしているわけでもない私たちのスクールにこれだけ人が集まるのは、 やっぱり手作りの販促活動が功を奏しているからだと思うんです」
 「ブロッサムフラワースクール」では、受講コースや年間カリキュラムの解説、体験レッスンの案内など手作りのチラシやビラを用意し、 スクールの入口などにおいて通りすがりの人がいつでも手にできるようにしている。 また新入生には、年間スケジュールなどを案内した「スクールガイド」を全員に配布。 生徒の作品はひとつひとつデジカメで撮影し、冊子にまとめて渡している。 そして、こうした販促物やガイドブックをすべてパソコンを使ってハンドメイドで制作しているのだ。
 「パソコンで可愛らしい花の写真などを添えて作ると、出来上りの印象が全然違います。 何でもないことのようですが、これだけのことでスクールの見え方というものが大きく変わってくる。 組織として運営されているというイメージが生徒さんたちに安心感を与えるんです」
 日坂さんは、パソコンを使ってこうした販促物の手作りするようになって生徒数が増えてきたという。
 「当社の売上高は3店舗合わせて現在1億円あまり。フラワーショップの全国平均を少しですが上回っています。 売上げに対する貢献度という点ではスクールの存在はとても大きいし、そのスクールはといえば今やパソコンなしでは運営できないまでになっています」

ショップの運営にもパソコンが欠かせないものに

 パソコンがなくてはならないものになっているのは、何もスクールに限ったことではない。 本業であるショップの運営においてもパソコンは不可欠のものになっている。
 「例えばショップの店頭を飾るPOP広告や看板も、当社ではパソコンで作っています。 もっと分かりやすいのは、『花キューピット』ですね。 『花キューピット』は花束やブーケを全国各地に配達するデリバリーサービスで当社も加盟していますが、 来年から取り引きがインターネットを通じてしかできなくなるんです。 インターネット環境をもっていないフラワーショップは、いま大慌てでパソコンを導入しようとしています。 実は私の父親も、ついこの間からパソコン教室に通い始めたんですよ(笑)。悪戦苦闘はしましたが、パソコンを習っておいてつくづくよかったと思います」
 日坂さんとITの出会いは、どうやら結果オーライだったようだ。
   





【ホームページ(ほーむぺーじ)】
インターネットで情報を表示するための画面。本でいえば表紙にあたる。 そこに組み込まれた絵や印のついた言葉をクリックすると、より詳しい内容の情報が表示される。
【ネットショップ(ねっとしょっぷ)】
ホームページをインターネット上に公開し、それを通じて通信販売を行うこと。ネットショップばかりをたくさん集めたサイバーモール(電子商店街)もある。
【Homepage builder(ほーむぺーじびるだ)】
米・IBMのホームページ作成用ソフトウエア。初心者から上級者まで幅広く使える。ホームページ作成ソフトの業界標準。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 株式会社キシモト(Z009) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 フォトスタジオ、DPEショップ
売上高 従業員数 10名 資本金 設立 1971年(創業)
キーワード フォトスタジオ、DPEショップ、ITリテラシ向上


フルデジタルのハイテクスタジオ。
やっと思い描いたビジネスモデルができました。


いま岸本さんが、もっとも力を入れているのはフォトスタジオ「ユースマイル」のチェーン展開。 斬新なコンセプトと最新のITを駆使したサービスで人気急上昇。3月には6つ目の店ができた。岸本さんは早くから経営にコンピュータを導入。 ようやく思い描いたビジネスのカタチが整った。




株式会社キシモト 岸本 成司さん(47歳)

株式会社キシモトは、フォトスタジオ「ユースマイル」を6店舗、DPEショップを3店舗展開。 今後は「ユースマイル」を中心に、100店舗のチェーン展開をめざしている。

ビジネスモデル特許も取得、フォトスタジオの新しいカタチ

 フォトスタジオ「ユースマイル」のキャッチフレーズは、『衣裳のそろった写真館』。 祝着やベビードレスは、動物の着ぐるみや漫画のキャラクターウエアなど、ありとあらゆる衣裳がそろい、いちばん気に入ったものを着用しメイクまでしてくれる。 小さな子どもをもつお父さんやお母さんに大人気だ。
 だが「ユースマイル」がユニークなのは、それだけではない。 撮影から写真のセレクト、仕上がりまで、最新のITを駆使することでお客の満足度アップにつながる新サービスを提供しているのだ。
 「貸し衣裳を着せて撮影してくれる子ども向けの写真館やスタジオはたくさんあると思いますが、 フルデジタルでインターネットを駆使した新しいサービスを提供しているところは少ないんじゃないですか?  『新産業育成投資』の選考にも応募しましたし、ビジネスモデル特許取得の申請もしています」
 岸本さんは胸を張る。確かにここまでハイテク装備のフォトスタジオは、全国的にみても極めて少ない。「ユースマイル」独自のビジネスモデルなのだ。

ハイテク装備のフォトスタジオ、プリントまですべてデジタル

 「ユースマイル」には、ハイテクスタジオの名にふさわしい機材がズラリ勢ぞろいしている。
「まず撮影用のカメラはすべてデジタル。 撮影が終わると画像データはすぐにコンピュータに送られ、打ち合わせデスクに設置されたコンピュータの画面上に映し出されます。 コンピュータには写真の画像を大きくしたり、背景のデザインとの合成やレイアウトが自由自在にできる画像編集用のソフトウエアが組み込まれていて、 お客さまは店のスタッフと相談しながら気に入ったものをチョイス。写真が決まると台紙にトリミングしていく。 どこまで入れるか、実際の画面上で確認できるんです」
 今やデジカメはめずらしいものではないが、お客にとってみれば、いまスタジオ撮影されたばかりの写真がその場で見られ、 しかも何枚かの写真の中でいちばん気に入った写真だけをチョイスできるのは何よりも嬉しいサービスだ。
 「さらにお客さまが選んだ写真の画像データは、夜の間に光ケーブルやADSLの高速回線を通じて本部のコンピュータに送られます。 本部では専任のスタッフが画像処理用のソフトウエアを使って切り抜きや合成などの加工を行い、高性能のプリンタで印刷して各店へ配送。 お客さまへお渡しするという仕組みです」
 「ユースマイル」では写真撮影を注文したお客向けの特典として、画像を携帯電話やパソコンのメールに送れるサービスを無料で提供している。 名付けて「たのしメ~ル」。また「かわいい写真展」と題して、撮影した写真の画像をユースマイルのホームページ上に掲示できるサービスもある。 パソコンや携帯電話をもっているユーザーは、ホームページにアクセスすれば撮影した写真の画像をいつでも楽しめるというわけだ。
 岸本さんの夢は、この新業態店舗をチェーン店化し100店舗のチェーン店網を構築することだ。

試行錯誤の10年間、ようやくたどり着いたゴール

 まさにIT時代を先取りした「ユースマイル」。だがここにいたるまでには、さまざまな試行錯誤、紆余曲折があった。
 「最初はカメラの販売店だったんです。でもモノを売っているだけじゃつまらない、メーカーをめざそうというので現像の分野に進出。 1時間仕上げのDPEショップを始めたんです」
 そこからさらにスタジオへと進化したのは、今から10年前のことだ。
 「カメラやフィルムの販売から現像へと進んだら、今度は撮影となるんですが、ただ撮るだけでは差別化できない。 いっそのこと撮影に必要な衣裳、メーク、撮影をワンストップサービスで提供できるスタジオをめざそうというわけでできたのが『ユースマイル』なんです」
 92年オープンの「ユースマイル」1号店は、大きな成功をおさめた。チェーン店化の構想が持ち上がったがひとつ問題があった。 時代はまだアナログ。現像などに手間とコストがかかるためチェーン店化は難しかったのだ。そこで思いきってフルデジタル化へ移行を果たす。
 「思えばいろんな失敗がありました。例えば写真は1枚が4~5MBくらいのデータ量があるんです。 それをそのまま通信で送っていると時間がいくらあっても足りないので、送りやすいように1MB程度まで圧縮して送るんです。 以前はISDNの電話回線で送っていたんですが、送信に一晩中かかったりしていました。 すぐパンクするのは目に見えているので、急いで光ファイバーに切り替えたんです」
 岸本さんとコンピュータのつながりは長い。最初のコンピュータはまだフロッピーディスクが8インチの大きさの時代。以来独学でやってきた。
 

 「必ず会社の中に、一人か二人はコンピュータに詳しい専門家がいるものです。私の場合は、もっぱら彼らから。 今も社内には、イラストレータとかフォトショップに詳しくて、VBをかじっていてHTMLも書けるという専門家がいますよ。 私はいつも彼の後ろにいて、『これなんだ、これなんだ』としょっちゅう邪魔をしながら勉強しているんです。でもそれが手っ取り早い。 一人で勉強する10分の1の時間でマスターできますよ。

ITが可能にした新しいビジネスモデル

 長い間の試行錯誤を経て、岸本さんは独自のビジネスモデルを完成させた。それはまさにITがベース。 高性能のパソコンやデジタル技術の進歩がなければ、実現は難しかったにちがいない。

 「画像をホームページに表示したり、携帯電話のメールに送るには、画像データをいろんなファイルフォーマットに変換する必要があります。 特に携帯電話は、キャリア(通信事業者)によってファイルフォーマットが違う。でもそれをすべてコンピュータが全部自動的に処理してくれるんです。 ITがなければとうてい実現できなかったでしょうね」
 大きな投資もしただけに、これからしばらくは投資を回収する時期だ。
 「お陰で社内はいま、パソコンだらけですよ。1店舗に10台ずつあるとして6店舗だから60台。 さらに本部には40台くらいありますから、合計100台。もしコンピュータをやっていなかったら、もっと儲かってたかも知れませんね(笑)。 IT化するために働いているようなところがありますから」
 だがもし仮りにIT化を進めてなければ、独自のビジネスモデルも存在しなかった。それは確かだ。
 「今の段階ではこうしたサービスはあくまで付加価値のひとつ。あくまで本業は写真と考えています。 特に年輩の方などは、新しいサービスといってもピンとこない。 ただパソコンや携帯電話に親しんだ世代が増えた時、大きな差別化の要素になる―そう考えているんです」




【ADSL(えーでぃーえすえる)】
非対称デジタル加入者線。従来からある電話回線を利用するが、音声電話に使用しない高い周波数を利用することで、高速通信を可能にする技術。
【光ファイバー(ひかりふぁいばー)】
ガラス繊維でできたケーブルで、光通信のネットワークに用いられる。電話回線とくらべると、大量のデータを高速通信できる。
【イラストレータ】
米・アドビ社が開発販売しているグラフィックソフト。コンピュータ上で、絵やCG(コンピュータグラフィックス)を作成できる。
【フォトショップ】
米・アドビ社が開発販売しているフォト・レタッチソフト。写真の色調を変えたり、さまざまな効果をつけたり画像の加工に適している。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 オイルワールド(久後石油株式会社)(Z006) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 ガソリンスタンド、サービス全般
売上高 従業員数 資本金 設立
キーワード ガソリンスタンド、サービス全般、ITリテラシ向上


メールをやりとりしたり、社内文書を作ったり。
パソコンはすっかり手放せなくなりました。


これからはパソコンのひとつも使いこなせないと時代に取り残される・・・。 そんな危機感から、1年間週1回のペースでパソコン教室に通った久後さん。 社内向けの文書作成に、JC(青年会議所)での活動に、仕事の道具として片時も手放せない。




オイルワールド(久後石油株式会社) 久後 勇人さん(32歳)

播州地域でスタンド2店舗、複合店2店舗の計4店舗を展開するオイルワールドで現在取締役統括本部長を務める久後さん。 メーカー系列に属さず、いち早くオリジナルブランドを掲げて顧客サービスを追求。

遠ざけていたパソコン、危機感から教室へ

 久後本部長は、まだ中学生だった頃、一度パソコンにさわった記憶がある。だが操作の仕方もまるでチンプンカンプン。 それからというもの、およそコンピュータと名のつくものにはおよそ縁がなかった。いや、むしろ関りをもたないようにしてきたといった方が正確かも知れない。
 そんな久後本部長が、3年前のある日、パソコン教室に通い始めた。
 「ITブーム真っ盛りの頃。いつまでも知らぬ存ぜぬでは通用しない。 これからは、パソコンくらい使いこなせないと取り残されるんじゃないか・・・。 そんな危機感がありましたね。それで思いきって知人の経営するパソコン教室に飛び込んだんです」
 レッスンは週1回。「Word」「Excel」をひと通り習い、最後にメールのやりとりなどインターネットの使い方について学ぶプログラムだった。
 「実際に行ってみるまでは、抵抗がすごくありましたね。果たして本当にできるだろうかとか、上手い人がいっぱいいるんじゃないかとか、 余計なことばかり考えてしまうんですよね。これも仕事と割り切るしかありませんでした」

自己流は結局遠回り、それを実感したレッスン

 だが実際に教室を訪ねると、みんな自分と同じ初心者だとすぐに分かった。
 「意外に女性が多いし、相当年輩の方も少なくない。何だかホッとしたのをおぼえています(笑)」
 そればかりではない。授業が進むうち、内容についても納得のいくものであることが分かってきたという。
 「教室に通うしばらく前から、実はパソコンを手に入れて見よう見まねでさわっていてはいたんです。 でもレッスンを受けてみて、自分の理解が間違っているところや、ずいぶん遠回りをしてたんだなと実感させられることが思った以上にたくさんありました」
 久後さんは「Word」を使った日本語入力で実例を紹介してくれた。
 「日本語入力をする時、習いに行くまでは文字を入力するたびにひとつひとつ変換キーを押して変換していたんです。 でもスピードを考えれば、入力ミスがあってもそのまま文章を打ち続けてあとで変換する方がよっぽど効率的なんです。 そのことが分かってからは、ずいぶん入力スピードがアップしました」
 またマウスを使わず、ショートカットキーといってキーボード操作だけでパソコンに命令を与えるやり方も教わった。 久後さんにとっては、まさに"目からウロコ"の思いだった。
 「独学が悪いというわけではありません。きっと、努力すればそこそこ使えるようにはなると思います。 でもすごく時間がかかることは覚悟しておいた方がいいですね」

販促物の作成にフル活用、全員に配布する出勤表も手作り

 久後さんはパソコン教室で学んだ知識をもとに、従業員に今度は自らが先生役になってパソコンの操作を教えた。 現在オイルワールドでは、販促物の制作や、従業員の出勤表など、社内業務でパソコンをフルに活用している。
 「キャンペーンやイベントがある時は、ガソリンやオイルエレメントの半額券、あるいは洗車の無料券などいろんなクーポンを発行しますが、 今はぜんぶパソコンで作っています。イベント当日に手渡ししたり、事前にポスティングなどで配っておいて集客に使います。 一度作ってパソコンに記憶させておけば、数字やタイトルの色、大きさを変えるだけで何度でも使えるし、コストもほとんどかかりません。便利ですよね」
 また商品名や値段を書いたPOPの作成でも、パソコンは大活躍だ。
 「タイヤのようにスペースをとる商品は店の外に展示しているんですが、目立つようにパソコンでPOPを作っています。 屋外に展示していると雨にふられることもありますが、ラミネートしておけば雨がふっても大丈夫です」
 1ヶ月の勤務ローテーションを記した出勤表は、毎月従業員全員に配布されている。
 「当社では、隔月16日から翌15日までを1クールとして、出勤のローテーションを組んでいます。 出勤表は以前は定規とボールペンで作った手製。 お世辞にもスマートとはいえなかったですが、パソコンで作るようになってからはずいぶん見やすくなりました」

JCでの活動にもこれからはパソコンが不可欠

 このほか久後さんは、社内通達や人事異動の発令など、業務連絡用の文書を作る時にも、今はほとんど「Word」を使っている。
 「ローマ字入力に慣れてしまえば、手書きよりよっぽど早いですからね」
 仕事をする時は、すっかりパソコンが手放せなくなった。
 「パソコンを使いこなす経営者も、ひと頃のことを考えるとずいぶん増えてきましたね。 私もJC(青年会議所)や業界団体の会合に出席することがあるんですが、パソコンをメモ代わりに使っておられる方もたくさんいます。 特にJCはいまペーパーレス化に力を入れていて、日常の連絡は基本的にぜんぶメール、会議などもほとんど全員がパソコン持参です。 またグループで連絡を取り合う場合はメーリングリスト、書類もメールの添付ファイルでやりとりしているほどです。 パソコンができない人は少数派。ほとんどいないじゃないでしょうか」

九九や算盤と同じ、仕事になくてはならないもの

 今後も久後さんは、自らが率先して会社のIT化を進めていきたいという。
 「メールなどはまだ全員が使えるまでにはいたっていません。全員に浸透させることが最初の宿題ですね。 特にフロントのスタッフは、パソコンが使えないと仕事にならないですし。 また将来的には、現在ファックスで行っている納入業者さんへの発注なんかも、全部インターネット経由になると思います」
 いまガソリンやバッテリー、タイヤなどの仕入れは、ファックスに必要事項を記入して本店から納入業者にファックスで送っている。 4つある店舗からも所長が必要に応じて本店にファックスを送付して本店では4つの店舗の数量をまとめて納入業者にファックスしている。
 「でも、もう2~3年もすれば、全部端末を通じてインターネットで行われるようになるでしょう。 そうなってくるとパソコンが使えないと、仕事ができないという状況が起こることだって十分ありえます」
 パソコンは、今や九九や算盤と同じようなものだと久後さんは言いたいらしい。
 「慣れるまでは少し時間が必要ですが、一度おぼえてしまえば仕事はもちろんプライベートでも、いろんなことに使えるんですよね。 実際に使えると、またそれが嬉しい。これを読まれている皆さんにもぜひお勧めします」




【メーリングリスト(めーりんぐりすと)】
インターネット上で特定のメンバーに一斉同報の電子メールを送るシステム。ニューズレターの配信や、ネットを使ったディスカッションなどに使われる場合もある。
【添付ファイル(てんぷふぁいる)】
インターネットの電子メールに付録としてつけて送るデータファイルのこと。画像ファイルやワープロファイルなど容量の比較的大きなデータを送る際に使われる。
【ショートカット(しょーとかっと)】
何段階かの操作を一度のキーボード操作で行える機能のこと。マウス操作をキーボード操作で代用するキーボードショートカットを指す場合が多い。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 株式会社エントリー(Z005) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 オートバイ販売・サービス全般
売上高 従業員数 20名 資本金 設立 1979年7月
キーワード 小売業、オートバイ販売店、ITリテラシ向上


始めなければ始まらない。
パソコンだって同じです。


1年間欠かさず通ったパソコン教室。山本さんはそこで学んだ知識や経験をもとに、自社のホームページを作成。 近い将来はサイバーモールへの出店や、ネットオークションへの出品も計画している。新しいビジネスチャンス獲得へ期待も膨らむ。




株式会社エントリー 山本 郁代さん(56歳)

バイクショップとして兵庫県下に5店舗を展開する「エントリー」。山本さんは山本信行社長と二人三脚で、同社をここまで育て上げてきた。

社長はバイク、私はパソコン

 西明石の「エントリー」といえば、バイクファンの間では名の知れた存在である。 世界的名車「Z1/Z2」の生みの親・山本信行氏(現社長)が、川崎重工を退社してつくったバイクショップだ。
 「ヨーロッパでバイクといえば、時間的・経済的ゆとりをもった大人のホビー。 ハイウェイを時速250キロでスッ飛ばすライダーが、ヘルメットを脱げば白髪の老紳士だった―そんな光景をよく目にします。 将来日本にも、そんな文化が根付いてほしいものほしいものです」(山本信行)
 エントリーは、今年で創業24年。この間、山本社長と二人三脚で経営を支えてきたのが奥さんの山本郁代さんだ。
 「明石で小さなお店を開いたのが昭和54年(1979年)。振り返ってみれば、アッという間でしたね」
 山本さんは、5年前にパソコンを始めた。平成10年から1年間は毎週パソコン教室に通い、 「Word」「Excel」「Homepage builder」の3種類のソフトをひと通り勉強した。 バイクの腕前では山本社長にとうていかないはしないものの、ことパソコンに関しては、立場がまったく逆転する。
 「パソコンでは、社長は私の教え子なんです(笑)。もっとも、あまり成績優秀な生徒ではありませんが(笑)」

欠かさず通った1年間、待ち遠しかった水曜日

 山本さんがパソコンを本気で勉強しようと思ったのは、社内で担当している損害保険の仕事に幅広く役立てたいという理由からだった。
 「過去の販売成績や前年・前月比など、数字の動きが一目瞭然で分かるような自分専用のシステムを、オリジナルでつくりたいと思ったんです」
 もちろん会社では、経理業務に会計ソフトが、顧客管理に業務用のシステムが稼動している。コンピュータと無縁だったというわけではない。
 「でも市販のソフトには、なかなか思い通りのものがないんです。だったら自分の欲しい情報やデータが出てくるものを自分でつくろうと思いました」
 また山本さんは、インターネットを使ったネットショップにも早くから注目し、 いずれ会社のホームページを立ち上げるにあたって基本をひと通り身につけておきたいという理由もあった。
 山本さんは、1年間欠かさず教室に通った。お店が定休日の毎週水曜日の午前中が、レッスンの時間だった。
 「授業の内容は、特に難しかったという印象はありません。先生がとても分かりやすく教えてくださったし、上達を実感できるのがうれしかった。 毎週水曜日が来るのを楽しみにしてたくらいです。それにしてもてもパソコンって、どうしてあんなにすぐにフリーズするんですか?  少し重たいデータを扱うととたんに動きが鈍くなるんです。なんでもっとテキパキ動かないのかって、授業中はよく機械に八つ当たりしていました(笑)」

すぐに生かされた1年間の成果

 パソコン教室に通った1年間は、山本さんにとって充実した1年だった。レッスンが終了すると、パソコンはたちまち仕事でフル回転の活躍だった。
 「特に「Excel」が便利ですよね。表計算ソフトですが、「Word」のように文章も作成できますから」
 「Homepage builder」を使って、ホームページもすぐに作り上げた。もちろん今でもそれは使われている。
 「アクセスしてくれた人の数が、これまでに1万2000人を超えました。ニューモデル情報、中古車情報、今月のお買得車など、 いろんなコーナーをつくってバイクファンが関心を持てるようなものにしてあるつもりです」
 なかなか時間をつくれず、画面上から直接商品をオーダーできるようなネットショッピングの仕組みはまだ作れていない。 だがそれでも、メールで問合せが入り、それが成約につながったケースは何度かある。エントリーのホームページは、少しずつだが着実にファンを広げつつある。
 「ホームページを運営するとき、いつも気を付けているのは情報の鮮度です。古い情報がいつまでも掲載されていたりすると、 お客さまからすぐにそっぽを向かれてしまいますから。中古車情報コーナーやイベント案内のコーナーで新しい情報が入ると、 タイミングをはずさずすぐに更新するように心がけています。同じ広告でも、インターネットは印刷物と違い、最新の情報を発信できるのがいちばんのメリット。 ほったらかしにしていたら、埋もれてしまいます」
 


メーカーとディーラーとがインターネットで結ばれる時代

 山本さんがパソコン教室に通ったのは、結果として最高のタイミングだった。 バイク業界では、今やパソコンがないとビジネスそのものができない状況が生まれつつあるからだ。
 「将来はすべてのディーラーがインターネットを通じてメーカーと直結し、パソコンを通じて受発注を行うという時代がやってくるはずです」
 昨年暮れ、エントリーは川崎重工との間でネット契約を交わし、商品の受発注、部品の受発注に関するデータのやりとりを、 すべてネットワークを通じてコンピュータの端末同士で行うようになった。 エントリーの端末で入力したデータは、瞬時にメーカーの業務センターにあるサーバーに送られ、処理される。
 「ついこの間まですべて電話でやりとりしていたのが、この1年でガラッと変わってしまいました。 パソコンをうまく導入できないところとは、もうメーカーと取引さえするのが難しくなりつつあるんです。 端末を導入すれば一応は取引はできるんですが、パソコンのことを分かった人間がいるといないでは大きな違い。 その点当社は、スムーズに導入することができました。何もわからなければウロウロしてしまうところです」
 こうした状況に刺激されて、山本社長は今後ネットショッピングに本腰を入れて取り組もうとしている。
 「サイバーモールに出店したり、中古車のネットオークションへの出店も考えています。 オートバイは、アフターケアが必ず必要になる商品。売りっぱなしにはできないんです。 そんな事情もあって、これまでは問合せをいただいてもあまり遠方の方には積極的に売ってきませんでした。 でも時代の動きを見ていると、どうやらそうではない。実際に同業他社でネットショップをツールにグングン売上げを伸ばしているところもたくさんあります。 当社としても、それを無視するわけにはいきません」(山本信行)
 想像する以上に、時代は進んでいるといえるかもしれない。
 「これからは、ビジネスもカラダを使う時代からアタマを使う時代なんでしょうね。 全国津々浦々、世界にまで店をはれる手段があるわけですから、これを使わない手はないと思っています。 苦手意識のある人も多いとは思いますが、とにかく始めてみることでしょうね。始めなければ何も始まらないんですから」




【サイバーモール】
電子商店街。インターネット上に、ネットショッピング専門の仮想店舗を集めたもの。 「楽天市場」などが有名。インターネットを使えば、海外のサイバーモールにもアクセスできる。
【ネットオークション】
インターネットを通じて行われるオークション。
【フリーズ】
ソフトウエアに異常が発生し、パソコンの画面が動かなくなってしまうこと。ハングともいう。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 株式会社和田企業(Z019) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 コンクリート製品製造・販売・施工
売上高 従業員数 資本金 設立
キーワード コンクリート製品製造・販売・施工、ITリテラシ向上


私のIT化初期投資は800円。
入門書を買っただけなんです。


運送事業、コンクリート2次製品事業、一般土木事業の3つの柱で事業を展開する和田企業。必要に迫られてIT導入を実施したのは今から3年前。 導入の先頭にたった和田充弘さんは、パソコンの入門書を800円で購入した以外は一切の投資ゼロ。




株式会社和田企業 和田 充弘さん(43歳)

ワクにとらわれず新たな分野に挑戦することでビジネスチャンスを広げ成長を続ける和田企業の2代目。 現在専務取締役として、主力事業であるコンクリート2次製品と一般土木工事業を統括する。

紙からフロッピーへ、加速する電子提出の動き

 和田企業に、パソコンが初めて導入されたのは1999年の暮れも押し迫った12月。 それまで和田企業には、コンピュータと名のつくものは一切なかった。官公庁や取引先へ提出する公文書。 あるいは日報などの社内文書。そのいずれもがワープロで処理されていた。
 「もっといえば、ワープロが導入されたのも、そのわずか4~5年前。それまでは手書きで処理していました。 でも私たちが特別遅れていたというわけではないんです。土木関連の中堅中小企業はどこも似たようなものだったんですよ」
 だがインターネットが登場する時代になって、状況は一変する。
 「当社が手がけるコンクリート2次製品は、下水道工事やトンネル工事、耐震性防火水槽工事などの公共工事に用いられるもの。 そのため官庁や取引先に提出しなければならない書類が山ほどあるんですが、 1995年から紙の書類ではなくフロッピーやMO(光磁気ディスク)などのデジタルデータとして提出するよう通達があったんです」
 データ納品への流れはいったんストップするものの、90年代後半に再び大きなトレンドとなる。 ISO(国際標準化機構)の基準に合致した公共工事が一気に増えたからだ。
 「こうなるともう遅いか早いかの違いだけですから、いよいよ当社でも覚悟を決めてパソコンを導入。電子提出に対応できる体制作りを始めたんです」

強敵「Excel」、隣にいた助っ人

 それまでワープロしか扱った経験のない和田さんも、さっそくパソコンの猛勉強を始めた。 「パソコン入門」と題するビギナー向けの専門書を書店で購入。 一日中パソコンと向かいあって、「Word」や「Excel」の操作について学ぶ毎日が半年間ほど続いた。
 だが「Word」については、どうにか見よう見まねで動かすことはできたものの、「Excel」についてはまったくのお手上げ状態だった。
 「これはどうしたものかなと、さんざん悩みましてね。 高いお金を払って専門家に来ていただくほどのことではないという気がするし、かといって会社を抜け出してパソコン教室に通うわけにもいかない。 仕事をしながらノウハウを効率良く身に付けられるようなうまい方法はないものだろうかと、ずっと考えていたんですよ(笑)」
 和田さんは悩み抜いたあげく、奥さんの協力をあおぐことにした。
 「家内に思いきり勉強させて、私は家内を"専任教師"として教えてもらう。家内なら気兼ねがいらないし、コストもかからない(笑)」
 かくして和田企業のIT化の行方は、和田さんの奥さんの双肩にかかることになった。

奥さんを教師にExcel勉強、「MOUS検定」にも合格

 和田さんの奥さんは、暑い盛りの2000年夏、自宅に近いパソコン教室に通い始めた。 レッスンは毎週1回。習うのは、もちろん「Word」と「Excel」だ。
 「家内も実はパソコンは初めてなんです。最初は果たしてどうなることやら不安でしたが、一生懸命やってくれましたね」
 和田さんは、少しずつ上達していく奥さんを質問攻めにした。和田さんも、奥さんと歩調を合わせながらテクニックを身につけていった。
 「家内は、結局1年間教室に通いました。昼間は生徒、夜は私という生徒を教える教師。一人二役をよくこなしてくれたと感謝しています。 結局私は、一冊800円の『パソコン入門』の本を買っただけですよ」
 1年も過ぎる頃には、和田さんも「Excel」をどうにか使いこなすことができるまでになり、和田企業のIT化へ道筋ができた。
 「でも何よりも嬉しかったのは、家内が「MOUS検定」に合格したことですね。1年目ではなかなか合格できないといいますから」

ぜんぶ知ろうとするから敷居が高い

 その後、業界内でIT化の流れはさらに加速している。 最近では取引先との間で見積書や注文書といった文書を交わす際もすべてメールの添付ファイルが使われる。 添付ファイルを開くと、そこには案件の設計図が記載されていて、それを見て積算し見積書を送り返す。
 こうしたことがごく日常的に行われるようになった。 ワープロでほとんどすべての文書を処理していたかつての時代が、まるでウソのような変わりようである。
 「私もいまでは、出張などに出かける際ノートパソコンは必需品になりました。 今では当社でも、一日に発生した会社の動きを示す数字をすべてコンピュータに入力し、一元的に管理しています。 その作業を、ぜんぶ私がやっているんです。時代の変化に、ようやくついていっているという感じです。 今でも思うんですが、もしあの時家内まで引っ張り出してIT化をすすめていなかったら、今頃はどうなっているんだろうって思います。 女房さまさまですよ(笑)」
 実際、業界ではIT化に乗り遅れたばっかりに、他社の先行を許してしまった例が少なくないという。
 「ITというと、なんだか難しそうに感じてしまいますが、それはなにもかも覚えマスターしようとするからじゃないでしょうか。 私なんて、おそらく家内がパソコン教室で身につけたものを100とすれば、20%がいいところじゃないでしょうか。 ぜんぶ知ろうとするから敷居が高い。ほどほどでいいんだという開き直りも必要じゃないでしょうか」




【MO(えむおー)】
消去や再書き込みができ、パソコンにも接続できる記録メディア。125MB(メガバイト)、230MB、640MBなどの容量がある。 ちなみに125MBは、フロッピーディスク約125枚分の容量。画像などの容量の大きなデータの記録に適している。
【フロッピーディスク(ふろっぴーでぃすく)】
プラスチックのレコード状円盤に鉄粉などが塗ってあり、これを紙やプラスチックのジャケットなどでカバーした記録媒体。約1MBの記憶容量がある。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 小林種苗株式会社(Z011) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 農業種苗生産卸
売上高 14億円(H4.1) 従業員数 45名 資本金 3000万円 設立 1948年5月
キーワード 農業種苗生産卸、ITリテラシ向上


机の上のノートパソコン。
これが私の新兵器なんです。


明治43年に創業、以来90年あまりにおよぶ長い歴史を有する小林種苗。 その4代目社長の小林忠子さんは、バンキングシステムのトレーニングでパソコン教室へ。 Excelをマスターし、営業日報システムを自作、販売データを直接一元管理している。




小林種苗株式会社 小林 忠子さん

独自に品種改良を重ねたオリジナルの種子を、国内はもとより世界各国にも輸出する小林種苗。 小林さんはその4代目社長。パソコン教室でのトレーニングを通じてITの可能性を再認識した。

パソコンに占領された社長のデスク

 社長の月末は忙しい。小林社長もまた、例外ではなかった。月末になると取引銀行まで足を運び支払を済ませ、入金を確認するのを常とした。
 だが、昨年から小林社長の月末は、いたって平穏な日になった。 企業決済をオンラインで処理できるバンキシングシステムに加盟。銀行へ、直接出向く必要がなくなったのだ。
 「便利になったもんですよね。机の上にあるコンピュータの操作ひとつで、支払や社員の給与振り込み、海外への送金までできるんですから」
 小林社長は、ITの飛躍的な進歩に、目を白黒させている。
 バンキングシステムの導入にともなって、小林社長の身の回りの様子もずいぶんと変化した。 いちばん変わったのは、デスク回りかもしれない。最新のノートパソコンがならび、バンキングシステムの端末がどっかと腰を据えている。 デスクトップは、さながらハイテク機械に占領されてしまったかのようだ。周囲の社員も、驚きをかくせない。なにしろ小林社長は、大の機械オンチなのだ。
 「でも大丈夫なんです。ちゃんと教室で、パソコンの勉強してきましたから」
 インターネットの技術が駆使されているバンキングシステムを操作するには、パソコンの操作にも習熟しておく必要がある。 小林社長は銀行の紹介で、1年半前から近くのパソコン教室でみっちりレッスンを積んできたのだ。

Excelを使ってやりたかったこと

 レッスンは週1回。「Word」「Excel」をはじめ、メールやインターネットなど、パソコンの基本的な機能やその操作方法をひと通り学ぶプログラムだった。 小林社長は、社長業の合間をぬって通い続けた。
 「先生のマンツーマンで教えていただいたんで、機械が大の苦手な私でも何とか操作をひと通りマスターすることができました」
 レッスンでは、テーマを決めて実際にモノ作りをしていく。例えば一昨年の暮れは、お正月にちなんでWordで「箸袋」と年賀ハガキを作ることになった。
 「きっと教室の先生が気をきかせてくれたんでしょうけど、ホントのことをいえばあんまり関心がなくて(笑)。 内心では、早く「Excel」やってくれないかなと思ってたんです(笑)」
 小林社長が「Excel」を早く勉強したいと思ったのは、「Excel」を使ってやりたかったことがあったからだ。
 「どの取引先に何を何個販売したのか、利益はどれくらいなのか、毎日の営業の売上げ日報を私が直接セールスから報告を受け、 週単位、月単位で集計できるようなシステムを、「Excel」でつくりたかったんです。 パソコン教室に習いにくることになったのは、バンキングシステムの導入がキッカケなんですけど、 本当の目的は先生に相談しながらこのシステムを実現したかったからです」
 「Excel」の授業が始まるや、小林社長は人が変わったように熱心になった。
 「教室の先生からは、目の色が違いますねっていわれました(笑)。 確かに覚えるスピードは、「Word」のときと比べると断然早かったかも知れませんね、ハッハッハ」
 小林社長が待ち焦がれた営業日報のシステムは、昨年暮れにようやく完成。 今では毎日夕方、セールスからの報告を受けその日の売上げを数字でパソコンに打ち込むのが小林社長の日課になった。

現行システムとのドッキングでよりきめ細かい情報管理

 小林社長は、将来的には自作のこのシステムを現行の販売管理や在庫管理のシステムとドッキングさせていきたいと考えている。
 「当社は、野菜や果物の栽培に必要な種子を交配によってつくり出しているいわば「種のメーカー」。製品は海外にも輸出しています。 扱う種子は多品種にのぼり、例えば大根だけでも600種以上あります。 そうした多品種の商品の在庫を効率的に管理するために、10年前に在庫管理と売上げ管理のシステムを導入。 これが当社の本格的なIT導入の先駆けでした。 このシステムと、「Excel」でつくった営業日報のシステムを組み合わせれば、今よりもっと詳細な数字をリアルタイムで管理できると思うんです」
 大の機械オンチという小林社長だが、バンキングシステムをキッカケにしてITに対する可能性に気付き、いまでは積極的にそれを経営に取り入れていこうとしている。

ITへの取り組みはまだ始まったばかり

 小林社長は、この一連の取り組みの中でITのもつ可能性について再認識したようだ。
 「実はパソコン教室の先生にもお願いして、ホームページの制作も手伝ってもらったんです。 最初はどれくらい効果があるだろうかと少し疑問に感じていたんですが、思わぬ反響があったりで驚いているんです。 金額は決して大きくないですが、一般のお客さんからも多数注文をいただいているんです。 新しいルートを通じて、私たちが丹精込めてつくった種が広がっていってほしいですね」
 小林社長は、「Word」「Excel」のレッスンをいちおう終了した。次はメールに挑戦するという。
 「近い将来には、一人に1台のパソコンを実現したいんです。 一人1台端末をもつことで、社内のコミュニケーションを活発にしていきたい。 また販売管理システムに自由に入力できるようにして、 ボタン操作ひとつで売上順にランキングが出るようなシステムができないかなとも考えているんです」




【メール(めーる)】
コンピュータのネットワークを通じてやりとりする電子的な手紙。コンピュータによるコミュニケーション手段として、今や世界中でごく日常的に使用されている。
【バンキングシステム(ばんきんぐしすてむ)】
企業と銀行とをオンラインで結び、ネットワーク上で決済を行うシステム。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 井上畳店(Z002) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 畳製造・販売
売上高 従業員数 3名 資本金 設立 明治44年創業
キーワード 畳製造・販売、ITリテラシ向上


パソコンを使って家業をサポート。
今年から教室の先生になりました。


脱サラして畳店の3代目を継いだご主人をサポートしようと、パソコンを始めた井上彩香さん。 今では経理や在庫管理、宣伝用のチラシやDMまでパソコンで自作。 今年マイクロソフトの「MOUS検定」にも合格し、4月からインストラクターとしても活躍している。




井上畳店 井上 采香さん(32歳)

 岡山県出身。ご主人は、元自動車部品メーカー勤務。6年前に脱サラして、子どもの頃からの憧れだった畳職人の道を選んだ。 「今はその選択が間違っていなかったんだと思っています」

やってきたパソコン、でも使い方がわからない

 明治44年に創業、95年の歴史をもつ井上畳店に、最新鋭のパソコンがやってきたのは今から6年前のことだった。
 「それまで、店の経理は私の母親と家内が、算盤や電卓を片手に帳簿をつけていたんです。でも手書きですから、古い伝票があとで見つかったりすると大騒ぎ。 ぜんぶ書き換えないといけません。高齢の母親もさすがに根をあげてしまって、パソコンさえあればなんとか改善できるだろうと思ったんです」(井上功次)
 もっとも、とりあえず導入してはみたものの、パソコンの詳しい操作方法をまだ誰も知らない。これから勉強するとしてもご両親は、還暦が近づいている。 井上さんは毎日の仕事に忙しい。お鉢は当然のことながら、奥さんの采香さんにまわってきた。
 「主人はスグにおぼえられるだろうって、すごく簡単に考えていたみたいなんです。でも、実はこれが大変で・・・」
 采香さんのパソコンとの格闘が、このときから始まった。
 「まず会計ソフトを買ってきて、試してみました。でも市販の会計ソフトの多くは会社用につくってあって、私たちのような小規模の自営業者には使いにくいんです。 しかたなく、お店にいちばんあったテンプレートを自作するしかないということになって、パソコン教室で本格的に勉強することになったんです」

誤った操作でソフトが破損、独学には限界がある

 井上さんは、何も分からないままに、商工会議所が主催するパソコン教室に通ってみることにした。
 「でもいざ始まってみると、授業にまったくついていけない。一日で辞めてしまいました。 それからしばらくは、書店でテキストを買ってきて独学で勉強することにしました」
 だが、見よう見まねで練習を始めたものの、過った操作で今度はパソコン自身が悲鳴をあげてしまった。
 「繰り返し「強制終了」を使っている間に、パソコンの中に入っているソフトウエアが壊れてしまったようなんです。 当然、それまで数カ月間毎日コツコツ入力していた帳簿のデータもすべて消えてしまいました。 すぐに修理に出して一応復旧はしたんですが、いまだに調子がよくないんです」
 井上さんは、独学の限界を感じないわけにはいかなかった。 そして数カ月後、新しいノート型パソコンを購入すると同時に、今度は近くにある民間のパソコン教室の生徒募集に応募した。
 「この時は私も必死です。教室の先生には、お店の仕事で使いたいからと最初にお話しして、人より早いペースで教えていただくことにしました」
 井上さんは遅れを取り戻そうと、週に2回教室に通うこともあった。ようやくトンネルの向こうに明かりが見えるようになってきた。

スグに仕事で使える実践的なテクニックを学ぶ

 1年間の"特訓"が実って、采香さんは見違えるほどに腕をあげた。市販誌には書かれていない、さまざまなテクニックをたのしく勉強できた。
 「簡単なやり方、新しいやり方、仕事で使えそうなテクニックをたくさん教えてもらいました。毎週教室に通うのが、いつの間にか楽しくなっていました」
 それらはさっそく実際の仕事でも使われている。例えば店の普段の帳面は、「Excel」でつくったオリジナルのテンプレートを使用。 試算表もラクにできるようになった。
 「単にお金の出入りが書かれているものではなく、いま在庫がいくつあって、どれくらいの原価が発生し利益が出ているのか、材料のストックは十分にあるのか、 主人にいつ聞かれても、今はパソコンの画面を見ながら即答できるようになりました」
 これにはご主人も大助かりだ。
 「畳職人の多くは現在量を在庫するという感覚がなくて、目の前にある材料が切れたら注文するという人がほとんどです。 でも畳の原料のい草は、農作物で収穫によって相場も違ってきます。計画性をもって材料を仕入れていかないと、価格や利益にも影響がでてしまう。 結局お客さまに迷惑をかけてしまうことにもなりかねないんです。きちんと材料や原価を管理できるシステムが必要なんです」(井上功次)
 また確定申告にあたっては、税務署への提出前に毎年書類を税理士にチェックしてもらっていたが、今年はパソコンで作成したものを届けるだけで完了した。
 「この頃は、税務署も厳しくなっていますから、バランスシートもしっかりつくらないといけません。だからすごく助かっているんです」

「Word」を使ってチラシやDMも

 経理を一通りパソコン上で処理できるようになった采香さんは、最近になって宣伝用のチラシやダイレクトメールもパソコンで作るようになった。
 「教室で習ったことを参考にしながら「Word」で作りました。まだまだ完成度も低くて、恥ずかしいんですけれど、待っていても仕事は来ませんから。 出来上がったチラシやビラは、自分で目星をつけて県営住宅やマンションにポスティングしています」
 近いうちには、メールを使ってユーザーからの問合せを受け付けるような販促活動も試してみるつもりという。
 「この街に、真面目で良心的な畳店があるっていうことを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいんです。 他の店とは違うんだということを、どうやってアピールすればいいのか、これからはそんなことも考えながらパソコンをうまくビジネスに役立てていきたいですね」
 パソコンと出会い、畳店の仕事に深く関わっていく間に、采香さんの意識も考え方も大きく変わってきたようだ。
 「以前は、私自身も畳のよさをまったく知らずにいました。でも主人の脱サラをキッカケにして、義父がこれまで必死に守り抜いてきたものが見えたような気がします。 畳が実は日本人にはいちばん落ち着く空間なんだってこともあらためて知りました。パソコンを使って、私なりに主人をサポートしていきたいと思っています」
 パソコンを通じて、井上さんはご主人のよきビジネスパートナーになった。





【強制終了(きょうせいしゅうりょう)】
ソフトウエアがフリーズしてしまった時、特別なキーボード操作でそのソフトウエアを強制的に終了してしまうこと。 Windowsの場合は、「Alt+Ctrl+delete」が一般的。ただし頻繁に使用すると、ソフトウエアが破損する場合がある。あくまで非常手段。
【MOUS検定】
米・マイクロソフトが認定する民間資格。「Word」、「Excel」など、アプリケーションごとに設定され、一般試験・上級試験の2段階に分かれている。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

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産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
出典:財団法人ひょうご中小企業活性化センター
経営改革・IT化事例(発表済事例)
事例企業 木澤鉄工所株式会社(Z008) 事例発表日 平成15年3月
事業内容 鉄工所
売上高 従業員数 10名 資本金 設立 1971年(創業)
キーワード 鉄工所、ITリテラシ向上


時代に取り残されないために、
3次元CADの勉強を始めました。


木澤鉄工所は昭和46年の創業。プラント設備や立体駐車場など多種多様な製品を製造する。 社長の木澤さんは、10年前から鉄骨CADを仕事に導入。今年新たに3次元CADを購入し、勉強を始めたばかりだ。




木澤鉄工所株式会社 木澤 武さん(59歳)

昭和46年、27歳の時、自宅前庭につくった5坪ほどの小さな事務所で木澤鉄工所を創業。 30年あまりにわたって実績を積んできた。今も約10名の従業員の先頭に立って、陣頭指揮にあたる。

新しいWindowsパソコンと最新の3次元CADをこの春導入

 この不況下にあって、鉄工所はどこも難しい経営の舵取りを余儀なくされている。だがそんな中、木澤社長のところだけは、連日大忙し。 10名の従業員は、フル稼動の状態が続いている。
 「ウチは、私自身が真っ黒になりながら従業員といっしょになって働いていますからね。 価格競争力がある。だからヨソ様がヒマな時でも、ヒマにならない。自分の給料は自分で稼ぐというのが私の主義なんです」
 木澤社長は、一人で何役もこなしてしまう。経営者であり、営業であり、モノ作りの職人でもある。
 「図面もコンピュータを使って自分で描いています。何でもかんでも抱え込んでしまうから、体がいくらあっても足りやしない。 性分とはいえ、困ったもんですわ(笑)」
 この3月には、新しいWindowsパソコンと最新の3次元CAD「Cadraw」を揃えたばかりだ。
 「もっとも、勉強はこれから始めるんですけどね(笑)」
 せっかく導入した最新の3次元CAD。本来なら、インストラクターに来てもらって操作の方法をみっちり勉強したいところだが、 忙しすぎてそのための時間すらつくれないのが目下の悩みだ。
 「その代わり、従業員がいつでも自由に使えるようにはしてあるんです。 今まではCADを扱えるのが私だけだったんで、基本図面から詳細図を起こす時は全部私が一人でやらないといけなかった。 でもこれからは誰でもCADを操作できるようなスキル(技能)を持ってもらおうと思っているんです」
 従業員一人ひとりが図面起こしからモノ作りまで、すべて自分でお膳立てを整えられるような技能を持った会社になっていくことが、今の木澤社長の目標だ。 新しいWindowsパソコンと3次元CADは、そんな会社にしていくためになくてはならないツールなのだ。

最初のCADは15年前、1台がなんと550万円

 木澤社長は、多くの鉄工所がまだ情報化とは縁遠かった時代から、設計にコンピュータを使ってきた。 最初のCADを導入したのは昭和62年。今から15年も前のことだ。
 「ちょうどその頃、立体駐車場が当社の主力でしてね。 数えきれないほどの仕事をこなして経営的にずいぶんゆとりができたので、思いきって導入してみることにしたんです」
 最初に導入した鉄骨CADは、開発者の名前をとって『ヒロシくん』といった。
 「1台550万円もしました。CADを買うために、欲しかったクルマをあきらめたほどですよ(笑)。 今のパソコンのことを思えばとてつもない値段ですが、当時はまだコンピュータのことも分からなかったし、 開発した本人がわざわざウチの会社にまで足を運んで一生懸命説明してくれるんで、550万円出す気になったんです」
 だが、それからが木澤社長の悪戦苦闘の始まりだった。
 「2回ほどインストラクターの人に来てもらって操作の方法を習ったんですが、しばらくするとそのソフトメーカーが倒産しましてね。 教えてくれる人が突然いなくなってしまったんですから、使えるわけないじゃないですか(笑)」
 それからしばらく、『ヒロシくん』とMS‐DOSを搭載した最新のパソコンは、木澤さんの事務所の単なる"置き物"と化した。

「友だちネットワーク」でどうにか難関を突破

 だが、なにしろ550万円である。木澤さんは、一念発起して『ヒロシくん』をあらためて一から勉強し直そうと机に向かった。
 「私には実は"前科"がありましてね。初めて買ったパソコンを三日坊主で投げ出したことがあるんです。 女房の顔つきもだんだん厳しくなってくるわ(笑)、図面が必要な仕事も増えてくるわで、やむにやまれず再挑戦することにしたんです」
 木澤さんにとって、唯一の頼りは附属の取扱説明書だった。
 「でも書かれてある日本語がやたらと難しいんです。"コマンド"って何なんだ?兵隊?何でこんなところに兵隊がでてくるんだ?そんな調子ですよ(笑)」
 木澤さんは、友人・知人はもちろん、あらゆる人脈を頼って、聞きかじりでひとつひとつ操作をおぼえていった。
 「豊岡に同じ『ヒロシくん』を使っているエンジニアがいるっていうんで、電話をかけて何度か教えてもらったこともありますよ。 最初はその人も好意でアドバイスしてくれていたんですが、私の電話があんまり頻繁なものだからとうとう怒りだしてしまいましてね(笑)。 『なんで私があなたに教えなきゃいけないんだ』って、ずいぶんしかられました」
 すぐ近くの鉄工所の2代目社長がコンピュータに詳しいというので、さっそく教えてもらいに出かけたこともある。
 「自分より30歳も年下に、『すまん、ちょっと教えてくれよ』なんてお願いして教えてもらうんですから、情けない話ですよ(笑)。 でも、そうやって聞ける仲間が近くにいたっていうのは、今考えれば運がよかったのかも知れませんね」
 "電話作戦"と"友だちネットワーク"が功を奏し、木澤社長はどうにか『ヒロシくん』を仕事で使えるまでに上達した。

3次元CAD「Cadraw」、新しい挑戦がスタート

 やっとの思いでマスターした知識は、なかなか手放せない。木澤社長にとっては、『ヒロシくん』がそれにあたる。 15年前に比べると技術は格段に進歩した。性能や機能の面で『ヒロシくん』に優るCAD製品は、それこそ世の中には数えきれないほどあるにちがいない。 だが木澤社長はいまだに『ヒロシくん』と手を切れないままでいる。仕事で設計をする時は、もっぱらこの使い古した2次元CADが相棒だ。
 「最近は、発注先が基本図面をメールの添付ファイルで送ってくるのが当り前になりました。 CADの図面にはいろんなファイル形式があって、それを『ヒロシくん』で展開できるデータに変換するのに少し時間がかかります。 でもそれ以外は、特別不都合を感じることはありません。そりゃあ新しく入れた3次元CADの方がきっと便利に決まってます。 でも、どうしてもこっちを使ってしまうんですよね」
 『ヒロシくん』に対する愛着は人一倍強い。だが、いつまでもそうは言っていられない。木澤社長は「Cadraw」の勉強に本腰を入れはじめた。
 「また一から勉強のし直しですよ。 でも、長い時間がかかったものの『ヒロシくん』をなんとかモノにできたから、新しいソフトに挑戦する気が湧いてくるんだと思います。 もし『ヒロシくん』で挫折していたら、3次元CADを導入することもなかったでしょうね」
 木澤社長が投じた550万円と、マスターするまでに要した時間は、決してムダではなかったようだ。




【CAD(きゃど)】
Computer Aided Designの略。設計の作業を支援するコンピュータシステムのこと。 建築、電子回路、航空機、自動車など、さまざまな分野で応用されている。平面図を扱うものを2次元CAD、立体図を扱うものを3次元CADとよんでいる。
【Cadraw(きゃどろ)】
平面計画図、立面計画図、3Dパ-ス図を瞬時に自動作図できる3次元CAD。
【ファイル(ふぁいる)】
ひとかたまりのデータやプログラムのこと。データはすべてファイル単位でハードディスクやフロッピーディスクに保存され、管理される。 ファイルデータには文字データだけのテキストファイルと、それ以外のバイナリファイルがある。

<出典>
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
2003年3月発行 IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)
筆者:六田 伸彦氏(ろくだ のぶひこ)
 (株)ジェイ・シー・エヌ 代表取締役
 ITコーディネータ(0006652001C)・ITCA公認インストラクター、
 ITSSPアドバイザー、中小企業事業団登録IT推進アドバイザー

本事例のお問合せ先:
財団法人ひょうご中小企業活性化センター
産業情報部 情報推進課 八木課長様(078-291-8503)
2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
01 (株)高知豊中技研


コメント
高知県南国市 「情報を活用した経営革新」

ガス関連機器の製造メーカーである高知豊中技研では、製造にあたって各製品ごとの部品をセレクトするのに多大な間接工数が必要だった。情報システムの構築を決断し、業務の特殊性や将来性を考えて、あえて業者に外注せず社内での開発の道を選択した。スタート時には購入したソフトを使える人材さえいなかったが、それから、今日までの歩みはまさに手作り感覚。今後はその達成感とノウハウを強味に、システムのさらなるパワーアップを目指す。
4億円
44名
5000万円
経営革新
ガス関連機器製造
業務データの利用
社内開発
02 (株)タマル


コメント
香川県高松市 「当社における情報化への取組み 過去~現在~未来」

アメリカのアマゾンドットコムが著しく業績を伸ばしているのは、顧客ごとのデータベースを活用し、その人向けの情報を発信している強味が大きいことが勝因となっている。
我が国でもさまざまな業界で情報化を駆使した新業態が生まれているが、香川県内でレコードショップを展開している(株)タマルも注目されている企業のひとつである。顧客の嗜好が年代、ライフスタイルなどにより多様化している商品であるが、情報システムを活用し、顧客へのアプローチ、顧客の選別化などを実現した効率的な経営を行っている。
不明
75名(1997年4月)
1000万円
戦略立案
レコード業界
1to1マーケティング
POSシステム
03 (株)喜多屋


コメント
福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

江戸文政年間から酒造業を営む老舗・喜多屋の7代目として創業以来の経営理念や品質に対するこだわりは大切に継承しつつ、経営においては情報化という新しい風を吹き込んでいるのが木下社長である。酒造りは伝統のある世界だけに、蔵の中に今も残る習慣や受け継がれてきたやり方が根を張っている部分が少なくない。一見、システム化とマッチしないようなイメージのある独特の業界において、どのような情報化を進めてこられたのか、興味がわき上がる。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード
04 極東産機(株) 兵庫県龍野市 「情報を活用した業務革新」

極東産機は、畳・襖・内装機器などの産業機械と、その情報システムを合わせて製造販売している。
コンピュータと関わりの深い事業を展開し続けてきた頃安氏は、柔らかな発想で関連業界や地域の活性化のリーダー役を担っている。20年近くに渡る氏のコンピュータとのかかわりと、情報化投資の具体的な事例を話していただいた。
94億397万円
(1997年9月)
320名
4億1500万円
業務革新
自動化機器製造
職人芸の自動化
生産管理
05 山本精工(株)


コメント
京都府城陽市 「経営効率改善の為の情報化取り組みについて」

厳しい経営環境にあえぐ日本の産業の代表例ともされる製造業。利益率の低下にあえぐ上に、3Kと言われる労働環境、従業員の高齢化もあり、将来性を憂える声も少なくない。しかし、そんな状況にITを武器に革命を起こした人物がいる。山本昌作氏である。家業である鉄工所、山本精工において情報化を進めてきたきっかけと道のりは大変興味深い。
不明
26名
1200万円
経営効率改善
アルミ素材加工
少量多品種生産
知的作業と
  ルーティン作業の区別
06 (株)ダン


コメント
大阪府大阪市 「情報を活用した業務革新」

靴下の卸し・製造業の(株)ダンは、全国に専門店「靴下屋」を展開し、靴下の中でも伸び率の高いレディース物を扱い成長を遂げている。製造メーカーから、164のフランチャイズ店や58の直営店(53店舗は百貨店)、84の一般店までを全てネットワーク化し、発注から納品、オーダーシステムまで新しい体制を築いている。システム導入によりこの新生ダンを育ててきた丸川常務に現在までの経緯、特長などを伺った。
73億円
(2000年2月:本部)
91名
1億4700万円
業務革新
靴下専門店
顧客中心主義経営
SCM
07 アラコ(株)


コメント
愛知県豊田市 「経営管理(会計)システム構築事例
      -経営判断へのタイムリーな情報提供を目指して」

長年、情報システム部門に携わってきた本氏に、企業の命題として与えられたのが経営管理システムの構築である。資本や売上のほとんどをトヨタ自動車が有する独特の企業形態であり、けして進めやすい環境ではない中で、情報システムの真の意義を問うような真摯な取り組みで、見事2年間のスケジュールを完遂させた。大きな仕事を成し終えた感想も交えて、奮戦の流れを語っていただいた。
3239億4400万円
(2000年度)
5047名(2001年3月)
31億8800万円
経営革新
車両及び部品製造
会計制度のレベルアップ
パッケージ利用
08 東北リコー(株)


コメント
宮城県柴田町 「IT/Sを利用した間接部門の生産性向上」

長引く不況の時代は、見方を変えれば企業の本質が問われる淘汰の時代でもある。経営におけるクオリティの高い企業は、生存し、発展していくのは当然の論理。ここにもその好例となる企業がある。東北リコー(株)。時代の流れに迅速に対応、低コスト体質づくりに取り組み、その大きなベースとしてIT/S活用を推進してきた。その効果は売上高推移のデータが如実に物語る。売上低迷に苦しむ企業が多い時代においても、確実な伸びを示している。2000年3月15日、東証2部に上場を果たしたばかり。21世紀に向けてますます発展が期待される。
754億7700万円
(2000年度)
1419名(2001年3月)
22億7200万円
間接部門生産性向上
事務機器製造・販売
間接部門の生産性向上
事業計画策定業務の変革
09 田中精密工業(株)


コメント
富山県富山市 「ビジネススピード向上による体質改善事例」

富山県内の本社及び工場を中心に国内外で自動車関連製造事業を展開する田中精密工業(株)は、厳しい競争市場、淘汰の時代において、ネットワーク構築を進めることにより、体質改善を図り経営力を強化することに成功し、店頭公開を射程距離におく元気な企業である。その成功のコツは、小さく産んで大きく育てること。自分の尺度にあったシステムづくりを時代の流れに対処しながら進めてきた今日までのストーリーとは・・・。
167億7700万円
(1998年度)
705名(2001年3月)
5億円(2001年)
体質改善
自動車部品製造
間接部門の生産性向上
経営のスピードアップ
10 (株)レンタルの
ニッケン



コメント
東京都千代田区 「情報を活用した業務革新」

レンタルのニッケン、といえば業界屈指の全国ブランド。レンタルの取り扱い商品はおよそ2000アイテム、100万点という規模になり、それに係る業務はかなり繁雑であることが想像できる。今日お招きした講師役の取締役・鈴木氏は「鴎 長太郎(カモメ チョウタロウ)」と自己紹介をされた。それが仕事の場面における氏のビジネスネームだとか。全社員がこうしたビジネスネームを持つという、なかなかクリエイティブな企業経営に取り組まれているようだ。この企業が情報化をどのように使いこなしているのか興味深い。
555億円(2001年6月)
1526名(2001年)
12億2512万円
業務革新
建設機械レンタル
レンタル機械管理
経営のスピードアップ
11 矢橋林業(株)


コメント
岐阜県大垣市 「矢橋グループイントラネット構築事例
  /グループ全体の情報提供および情報共有を目指して」

矢橋グループは、従業員数など規模的には中小企業の範疇だが、手がけている事業の数の多さから見れば大企業並みといえる。異なる事業を柱とする3グループに加えて海外に子会社も有し、繁雑さが増すばかりであった経営環境を改革したのがイントラネットであった。自らが、習うより慣れろ、でパソコンを使いこなすようになった矢橋社長は、社員にも何とかパソコンを使う機会が増えるように、とISO取得にも取り組んだ。こうして社員の志気が高揚し、全体の活力が向上したひとつの事例を見てみよう。
95億円(1998年4月)
200名
4500万円
経営革新
建設、建設材料製造・販売
トップダウンでの情報化
イントラネット構築
12 (株)ユニオン 大阪府大阪市 「情報を活用した業務革新」

バブル経済崩壊後の不況の中でも、ことに苦しんでいるのが建設業界だ。ドアハンドルメーカーとして圧倒的なシェアを誇るユニオンも、バブル期に210億あった売上が今では150億を割る現状にある。しかし、それほど売上が落ちても経常利益の割合は4.7~4.8%くらいをキープ、立野社長自らが自負する評価の高い数字である。そのカギはやはり情報の活用にあった。
130億1600万円
(2001年3月)
175名
4億4800万円
業務革新
ドアハンドル製造
インターネット販売
リアルタイム在庫
13 ダイカ(株)


コメント
北海道札幌市 「当社のC&L戦略」

資本金36億円、従業員数約1200名、売上高約1300億円強。北海道・札幌に本社を位置するダイカ(株)は、全国各地に営業拠点を有する卸売業者である。扱う商品は細々した日用品や衛生用品など。業界に先駆けて、戦略化を推進してきた大氏は、先進的感覚に優れた経営者である。
1564億8700万円
(2001年7月)
1284名(2001年8月)
38億653万円
戦略立案
日用品卸売
原価率コード
リアルタイム在庫
15 東京鋼鐵工業(株)


コメント
東京都北区 「CSOによる我が社の情報化戦略」

現在42歳の若い経営者である田辺氏は、かつて大学卒業後入社したばかりの時から会社の問題点を把握し、解決に取り組んできた。そのツールがコンピュータだ。自社の営業マンが「自社の在庫表は当てにならない」と言う会社をどのように変えてきたのか。
45億円
130名
1億2768万円
戦略立案
オフィス家具製造
在庫管理
在宅勤務
16 (株)山田農園


コメント
広島県広島市 「サイバーモールの構築事例と情報化への取り組み」

グループウェアやワークフローなどの導入により社内の情報化の推進役を担ってきた定木氏が、時代に即したビジネスの形として始めたのが、WEB上のショッピングモール「楽市らくじゃん」である。始める前と実際に始めてからと、変更、改良した部分も多く、苦労は多いが、着実に育っているようだ。
不明
34名(2001年)
4000万円(2001年)
戦略立案
園芸植物輸出入
園芸モール実証実験
CRM
ショッピングモール
17 住友電装(株) 三重県四日市市 「戦略的情報化投資への決断 我が社のあゆみと課題」

激変する産業構造の中でも、自動車業界の変化は目覚ましい。グローバリゼーションの波が容赦なく襲い、自動車メーカー各社はたくさんの課題に懸命に取り組んでいる。そしてまた、共存共栄してきた部品メーカーも同様の環境のもと、自動車メーカーからの厳しい要求にいかに対応できるかが生き残れるかどうかの分岐点となっているのである。たくさんの苦しい課題を抱えながら戦略的な情報化投資に取り組み、売上増加にまで効果を結びつけた住友電装の事例に学ぶことは多い。
1953億円(1999年3月)
4590名(2001年9月)
50億3400万円
(2001年9月)
戦略立案
自動車部品製造
生産の柔軟性
設計リードタイム短縮
18 太洋産業(株)


コメント
岩手県大船渡市 「情報を活用した業務革新」

銀行畑から食品製造の財務及びコンピュータシステム担当へ、数字のプロとして業績を築いてきた内藤氏。SAPのR/3を導入し、製造業に伴う材料入荷から原価計算、出庫までをシステム化する業務革新により、即時性を高め、コストを大幅に削減することに成功した。その手腕を語っていただく。
不明
875名
2億7500万円
業務革新
食品製造
製造原価計算の即時化
ERPパッケージ
19 金井度量衡(株) 新潟県新潟市 「情報ネットワークを活用した業務革新」

ハカリなどの計測機器を販売する企業、金井度量衡(株)は、新潟県内ではいち早くIT化への取り組みを図ってきた。コンピュータにおいてはマニアだと自称する同社取締役の金井氏が、情報化への取り組みの歩みを語る。数々の課題も次へのステップに活かして、使いやすい自社仕様を実現しつつある情報化戦略は興味深い。
19億5000万円
37名
3000万円
業務革新
計測機器販売
社員コンピュータ
  能力アップ
情報伝達のスピードアップ
20 (有)函館カネニ


コメント
北海道函館市 「ネットショッピングはこれからだ」

インターネットを利用して販路拡大を実践しているが、『商品を売る前に心を売る』という心情を持つ藤田社長にまだまだ未知数の可能性を持つネットビジネスについて伺った。
不明
不明
不明
戦略立案
海産物加工・販売
荷物問合せ
ショッピングモール
22 新妻精機(株)/
(株)ニイヅマックス



コメント
東京都大田区 「情報の活用と業務の改革」

日本の製造技術が集約していると言われる東京都大田区。新妻精機㈱はその中でも、大田区を代表する試作の企業として、かなり早くからITに取り組んできたことで知られる。頑固な職人による技術が、売り物のイメージが強い中小企業において、IT化はどのように進み、どのような成果をあげているのか。日本産業界のひとつの縮図のごとく、新妻精機㈱における実例を見てみたい。
不明
48名
1000万円
業務革新
試作部品加工
受託型の加工業
品質保証体制の確立
23 池内タオル(株)


コメント
愛媛県今治市 「愛媛県内の中小企業における情報化戦略」

発注から納品までの時間を短縮する方法として、生産工程に関わる企業同士の情報共有を図って成功したのがQRである。今日でいうSCMと相違ない。日本屈指のタオルの生産地、今治における業界のIT担当者として池内社長が取り組んできたQRのドラマには、IT革命によってあらゆる業界に起きている従来の流れから新しい流れへの潮流が渦巻いている。
8億4000万円
(1998年度)
32名
1000万円
戦略立案
タオル製造業
製造リードタイムの短縮
バーチャルファクトリ
24 太洋工業(株)


コメント
和歌山県和歌山市 「地場産業を近代化した!」

  繊維業界の中で布に色や模様を染める捺染は、和歌山の地場産業として知られている。しかし、時代の波は容赦なくこの業界に関わる企業を揺るがせた。そのうちの一社、太洋工業は、これまで培った捺染用彫刻製版の技術を活かしてプリント基板設計・製造事業に転換を図った。そして、努力を重ねて、現在ではフレキシブル基板製作、及び基板の検査機の開発・製造メーカーに発展を遂げている。父の会社を受け継ぐ細江専務の若いパワーが、事業転換に成功したといえよう。
不明
219名
2億4452万円
戦略立案
プリント基板製造
短納期生産
業種転換
25 (株)喜多屋 福岡県八女市 「情報を活用した業務革新」

  規制緩和が進み新しい価値観が生まれる時代の風を読み取り、IT化の重要性を認識していた木下氏。この若き経営者は、戦略的情報活用の原理ともいえるトップ主導型を遂行し見事に業務改革を推進している。正の字で出荷数を計算していたレベルから端末によるスキャンなど、一新したシステムとその効果を伺ってみた。
18億500万円
(1999年6月)
61名
2000万円
業務革新
酒造業
在庫管理
バーコード
26 (株)ニュヒーロー


コメント
沖縄県浦添市 「IT時代における企業戦略と経営者の役割」

  沖縄ではお馴染みのヒーローモータース。城間社長は20代で会社を設立し、今日まで一貫して自動車整備、中古車販売の事業を手がけている。県内ではいち早く自社の情報化とともに、インターネットオークションに参加して中古車の買い付け、販売を行っている。車の状態をいかにチェックするかという点で中古車販売はむずかしい。そこで城間社長が見出した方法とは?
3億2800万円
(1999年度)
22名
2150万円
戦略立案
自動車整備
中古車販売
インターネットオークション
27 (株)カナジュウ・
コーポレーション



コメント
神奈川県横浜市 「経営革新にITをこう生かす
      /ナレジマネジメントシステム構築事例」

カナジュウコーポレーションは、LPガス販売、厨房給湯機器・冷暖房機器販売、ガス配管工事などの事業をDyneCS(ダイネックス)という基幹システムで行っている。創業が1963年という歴史のある企業において、手書きや紙を使ったアナログの業務体制から、革命のごとくデジタル化が進められた。その経緯、効果などを牧野社長に語っていただいた。
不明
51名
8000万円
経営革新
LPG販売・配管工事
冷暖房設備販売
CRM
28 (有)お茶の
亀屋翠松園
香川県高松市 「e加減な中堅企業」

  IT、ITと言葉ばかり先行しがちな感がある中小企業経営者も少なくないが、自分がコツコツやってきたことが実は今でいうIT化の一環であったのだという人もいる。まだコンピュータなど一般にはほとんど普及していなかった時代から独学で取り組んできた尾碕氏もそんな一人だ。コンピュータ歴20年の氏の、今日までのコンピュータ活用のプロセスと理念を伺った。
不明
14名
800万円
戦略立案
お茶販売
データベース化
商品データベース
29 (有)アベニュー 北海道北見市 「地域における情報化の事例と可能性」

  ビル・ゲイツ氏と同じくらいの年月を、コンピュータと共に過ごしてきたという安部氏は、30代になってすぐの頃に、東京でソフトウエア関連のベンチャー企業を立ち上げ、現在は地元北海道で事業を展開している。インターネットにより「自宅から世界が見える」と説く氏の、フレキシブルな構想は広がるばかりのようだ。
不明
8名
4000万円
戦略立案
ソフトハウス
インターネット販売
ポータルサイト
30 北海道地図(株)


コメント
北海道旭川市 「情報革命時代の地図づくり~地図屋から空間情報ソリューションへ」

  紙媒体の地図から電子媒体の地図への変化は、地図にさまざまな情報を付加することになった。北海道地図、という社名から連想する範囲にとどまらず幅広く、業界において屈指の地位を築いている同社は、IT革命の中でも注目されている地理情報システム(GIS)の担い手として大きな使命を果たしつつある。もはや地図屋にとどまらず、空間情報ソリューション企業と名乗る同社の事業を紹介していただいた。
不明
270名(2001年4月)
7000万円
戦略立案
地図調製・印刷・出版
地図の電子化
GIS
31 サンプラス(株)


コメント
島根県出雲市 「私はこうして不況打開をIT導入で業務改善した」

  バブル崩壊で業績が著しく悪化して苦しんでいる企業、経営者は少なくない。サンプラス(株)も然りであった。しかし、海田社長は、このどん底の中で大幅な業務改善を行い、IT導入の経費を絞り出すことを決意した。この英断と努力は、社員の意識とレベルの向上、ひいては利益向上という成果となってあらわれてきている。 
20億円
42名
5000万円
業務革新
機械工具・水道機材
社員の意識改革
情報共有
32 不二精機(株)


コメント
奈良県橿原市 「情報を活用した業務革新」

  昔は職人的要素の濃かった金型産業も、今日では機械化、コンピュータ化の波にのり進化してきている。伊井氏の率いる不二精機㈱もまた、アナログ時代からIT時代へと、幾多の試行錯誤を経験しながら成長してきた企業のひとつである。国内市場の冷え込みにより、海外へ市場確保を図ってきた同社にとって、成功の武器となったIT化のステップをお話いただいた。 
94億7200万円
(2001年12月:連結)
223名
(2001年12月)
9億2400万円
(2001年8月)
業務革新
金型製造業
原価管理
ロボット化
33 市満や運送(株)


コメント
徳島県阿南市 「わが社の情報化の取り組み」

  厳しい経営環境が続く時代、物流業界もまた、淘汰の波を受けている。IT化による産業界の変化が進むにつれ、物流へのニーズはますます高度化している。物流そのものの変化、地方の中小零細業者の生き残りのための競争力、を考えて湯浅氏らが取り組んだのが、情報化を活用したネットワーク構想であった。そのネットワーク事業、「物流ネットワーク徳島」の誕生のきっかけから今日までの取り組みを伺った。 
不明
82名
1000万円
戦略立案
運送業
地域中小企業
  物流効率化推進事業
34 ヒュ-マングループ
佐世保交通産業



コメント
長崎県佐世保市 「全員経営全員コンピュータ」

  先代社長である父の急逝で経営者のポジションに立った内海氏は、なかなかのアイデアマン。自動車学校、観光バス運行という事業において現場のスタッフまでも全員がコンピュータで情報を共有し、経営がわかるような企業に育ててきた。失敗は山ほどある、と笑う氏だが、厳しい経営環境の時でもできるだけ教育やコンピュータ導入等をしてきた結果が実を結びつつある。
不明
66名
1600万円
経営革新
観光事業
自動車学校経営
情報共有
35 穴織カーボン(株) 大阪府高槻市 「製造業におけるインターネットの活用」

こつこつと物造りを行う誠実な中小企業というイメージだった穴織カーボン(株)が、その真摯な姿勢はそのままに、ITのいいところを取り入れてさらに発展を遂げている。大企業とも外国企業とも取引を行い、コンスタントに受注を得られているという。インターネットはツールとはいうものの、穴織カーボン(株)ではそのツールをどのように使いこなしているのだろうか。
2億5000万円
20名
4000万円
戦略立案
カーボン製品製造・販売
少量多品種生産
インターネット販売
36 アスクル(株) 東京都江東区 「アスクルモデルにおけるIT活用」

プラス(株)の社内ベンチャーから独立、ぐんぐんと目覚ましい発展を遂げ、ついに店頭上場にまで至ったアスクル。IT戦略をメインに、この元気印の企業がいかに成功したか、そのヒミツを知りたい。
752億円(2001年5月)
161名(2001年5月)
31億1550万円
戦略立案
オフィス用品通販
ワンストップショッピング
インターネット販売
37 (有)ニコニコ酒販 福岡県筑紫野市 「鬼が島焼酎探検隊~インターネットによる焼酎販売~」

  インターネットショッピングはすっかり定着した感があるが、焼酎に特化したところは珍しい。その事例として、マスコミでも取り上げられている鬼ヶ島焼酎探検隊を訪ねてみよう。
不明
5名
300万円
戦略立案
酒類販売
焼酎専門Webショップ
ショッピングモール
38 北海道エニコム(株)


コメント
北海道室蘭市 「IT化をどう進めるか」

  北海道エニコムは、室蘭のIT化のリーダー役として期待されるところ。その企業の社長である山本氏に、今の時代のポイント、IT化へのアドバイス等をわかりやすく語っていただいた。
40億円
295名
8000万円
IT化の観点
ソフトハウス
IT化の提言
39 サンエス電気通信(株) 北海道釧路市 「ネットウェア時代の経営戦略」

  釧路において電機通信の企業を経営する宮田氏は、青年会議所など地域振興にも注力し、IT時代への対応を図るべく努力を続けている人物。事例講演では、まず前段として、アメリカがリードするIT時代、日本のIT化の現状などについてデータとともにレポート的な内容を述べられた。確実に時代をとらえている宮田氏は早速自社においてIT戦略を推進している。その一例が、グループウエアである。
不明
136名(1998年12月)
1億5000万円
戦略立案
電気・通信設備工事
グループウェア導入
データベース
  マーケティング
40 久米繊維工業(株) 東京都墨田区 「社長がパソコン1台からはじめる企業革新」

  Tシャツのネット販売を行う会社をはじめ、いくつもの経営を行う久米氏は、ドットコム企業の旗手としても知られ、マスコミ取材を多く受けるほか、講演や原稿執筆も数多くこなしている。大企業より中小企業にチャンスというネット時代の現状、氏の事業の内容、可能性などを語っていただく中に、新しい時代の芽が見いだせる。
12億4151万円
(1999年6月)
59名
3億円
企業革新
Tシャツ製造・販売
インターネット販売
メールマガジン
41 誠新産業(株)


コメント
福岡県福岡市 「中小企業の生き残りをかけたITへの取り組み」

  中抜きの時代、電設建設関連の資材及び機器工具の商社である誠新産業も新たな展開を図るべき時を迎えていた。その局面において、坂本社長の選択した方法がIT活用による企業体質の改善、物を仲介する商社から情報を仲介する商社(情報エージェント)への転換である。まずはどこから着手し、どのように進んでいるのか、現場の声を届けていただいた。
不明
約200名(関連含む)
2億円
体質改善
産業用資材販売
経営情報
モバイル端末
42 (株)ショウエイ


コメント
神奈川県川崎市 「ITの業務革新」

  温泉の湯をいつでもきれいに保つための循環濾過装置の製造メーカー、(株)ショウエイは、創業直後のオイルショックから今日まで時代の変化の中で、絶えず新たな事業の可能性を見いだそうと努力を重ねてきた。温泉の濾過装置の開発から販売までを行う現事業により、かつての1億5千万円から10億円を超えるまでになったのである。社員数も97年25名、98年33名、99年55名、2000年64名と増加。コンピュータやネットワークを活かしてさらなる発展を目指している。
11億4600万円
(2001年度)
74名
7000万円
業務革新
環境濾過装置製造・販売
見積速度向上
BtoC
43 (株)ヤマトヤ


コメント
佐賀県唐津市 「1人のお客様のために」

  激動の時代、変化の激しい社会において、繊維業界もまた淘汰の波に洗われている。佐賀、唐津の駅至近の場所に創業90年の専門店を経営する江頭氏は、このまま専門店、小売店の形態で存続できるのかと危機感を募らせる。そして、生き残るには顧客の求めるもの、好みを的確に把握することこそ重要と考え、そこにデータ活用を用いている。
不明
不明
不明
戦略立案
ファッション専門店
ダイレクトメール
購入履歴データ活用
44 (株)オーテック 神奈川県横浜市 「仕事を獲得するための情報化」

  経営コンサルタントとして(株)オーテックの情報化戦略に関わった光井氏の語る事例は、中小零細企業でもすぐに取り組めることばかりだ。初年度5千万円だった年商を5年目に13億円にまで伸ばしたオーテックの成功を支えたIT化ストーリーとは。
不明
84名
1億4900万円
戦略立案
金型・プラスチック
  射出成型製造
ダイレクトメール
EDI
45 シャボン玉石けん(株)


コメント
福岡県北九州市 「無添加石けんと、その販売戦略」

  シャボン玉石けんといえば無添加石けんの製造販売で業績を伸ばしている企業である。売上高の約半分を通信販売が占め、その受注を支えているのがコールセンターだ。全国からひっきりなしにかかってくる電話をいかに効率よく、しかも真心込めたマンツーマンの応対で処理するのがポイント。Webショップの展開も行っている。パソコン導入以前から受注業務の現場に関わってきた平安氏に、CTI導入のいきさつから成果までを伺った。
不明
93名
3億円
戦略立案
無添加石けん製造・販売
コールセンター
CTI
46 (株)南野産業


コメント
大阪府東大阪市 「情報を活用した業務革新」

  鋳物鋳造業というと熟練工が不可欠なイメージである。2代目社長の南野氏は、自らIT化に取り組み、ニーズの多様化・高度化・スピード化の進む時代にニーズに適応できる業務改革を実現した。できるところから始めた、最低の投資で最大効果をあげる。謙遜がちなお話の中に、中小企業にも参考となるIT化のヒントがあるようだ。
不明
35名
不明
業務革新
鋳物鋳造
トップダウンでの情報化
インターネット販売
47 オムロン(株) 京都府京都市 「IT技術の活用と21世紀へ向けての事業基盤の強化」

  IT化時代の現在、世界各地でビジネスリーダーの役割を果たしている田崎氏は、経歴の通り技術、営業、経営とトータルな眼でIT化をとらえることができる人物である。気さくな関西弁のトーンの中に、最先端の事例や次代に生き抜くための経営へのアドバイスが光る。
5942億5900万円
(2001年3月)
6757名
640億8178万円
(2001年3月)
業務革新
制御・電子部品・
  FA機器製造
物と情報の流れの一致
イントラネット構築
48 (株)九州システム
アカデミー
福岡県福岡市 「インターネットを経営に生かす」

  コンピュータに関わる仕事をし、コンピュータを仕事のツールとして使いこなしているIT業界そのものの人物である高野氏に、初歩から取り組めるインターネットの活用方法を語っていただいた。
不明
76名
2億円
IT化の観点
ソフトハウス
IT化の提言
49 関西カーゴ
軽自動車運送
協同組合連合会



コメント
京都府京都市 「運送業界におけるIT戦略化事例」

  軽自動車の赤帽運送サービス業、というと物流の一端を担う定番。しかし、ここにも新しい物流の流れが起こり、大きく変化を遂げている。その現状と未来構想を語っていただいた。
不明
組合員47名
不明
戦略立案
運送業
物流の隙間産業
カーナビ
50 (株)九州システム
アカデミー
福岡県福岡市 「情報技術の活用と企業経営」

  九州システム・アカデミーは、九州地区のシステム開発で多数の実績を有する。東京地区に比べて遅れがちな地方のIT化、だが、着実に進めて成功している企業もある。その事例をご紹介いただいた。
不明
76名
2億円
IT化の観点
ソフトハウス
IT化の提言
51 トーマツ
コンサルティング(株)
福岡県福岡市 「情報技術の活用と企業経営」

  企業に関する情報システム分野において豊富な実績とノウハウを持つ江藤氏。IT化のもと、今ものすごい勢いで変わりつつあるさまざまな事象を掲げていただき、そこから我々の目指すべき方向、取り組み視点を説いていただいた。
不明
126名
1億1000万円
IT化の観点
監査法人
IT化の提言
52 (株)ダン


コメント
大阪府大阪市 「ダン・ネットワークシステムとマーケティング戦略」

靴下の卸・製造業の(株)ダンは、全国に「靴下専門店」というユニークなフランチャイズチェーンを展開し小売でも急成長を遂げている。これを支えているのが川上の工場から川下の店舗まで全てをネットワーク化したサプライ・チェーン・マネージメントシステム(SCM)である。豊富な品揃えで若い女性の変化しやすいニーズに的確に応え、しかもどの段階においても無駄な在庫を持たず、売れ筋商品が最適なタイミングでお店に届くという「店の隣に工場があるような」体制をゼロから創り上げた丸川常務にここに至るまでの業務革新への発想からシステム化内容までお話しいただいた。
73億円
(2000年2月:本部)
91名
1億4700万円
業務革新
靴下専門店
顧客中心主義経営
POSシステム
SCM
53 (有)佐倉きのこ園


コメント
千葉県佐倉市 「電子商取引の紹介と取り組み方の事例」

佐倉きのこ園の園長さん齋藤勇人氏は平成6年に脱サラしきのこ園を創業。完全無農薬の椎茸栽培に取り組み、現在生椎茸年間45tの生産量を誇るまでになった。通販への販路拡大、観光農園の展開、インターネットモールへの出店により、複数チャネルの相乗効果を活かした、いわばクリック・アンド・モルタルの成功モデルである。園長さんにきのこ園創業からの事業展開と、その中で既存顧客中心のターゲット・マーケティングや新規顧客開拓に、低コストの販促ツールや電子小売店という道具(IT)を何故導入し、どのように活用してきたのかを語っていただいた。
不明
16名
300万円
戦略立案
産地直送販売
ダイレクトメール
ショッピングモール
54 (株)ヤマナカ
ゴーキン



コメント
大阪府東大阪市 「製造業におけるIT取り組み方の事例」

(株)ヤマナカゴーキンは金型技術を基盤とした技術開発型企業である。金型生産には少量多品種・注文生産という特徴があり、高精度な製品を短納期・低コストで生産できる技術と体制が企業の成長を支えてきたと言える。この背景でコンピュータシステムをどう活用し、どんな効果があったのか等、製造業におけるIT活用事例として山中常務にお話しいただいた。
不明
230名
8000万円
戦略立案
金型製造業
少量多品種生産
製造リードタイムの短縮
55 (株)カヤバ


コメント
新潟県新潟市 「ガソリンスタンドをカービジネスの拠点にする経営情報戦略」

安売り、規制緩和と厳しい経営環境にあるガソリンスタンド業界。その中で、新潟県のカヤバは、1990年代半ばでガソリンスタンドから、カービジネス全体を扱う「町の車の診療所」として変身を遂げ成長を続けている。しかし、この変身は初めから順調にいった訳ではない。経営上の問題を的確に捉えた萱場社長は、いち早くITの重要性に気づき、お客様を大切にするという経営理念を貫く手段としてITを活用した。また、ここで萱場社長が語るプロジェクト成功のためのポイントは、これからIT化を推進しようとしている中小企業の経営者には示唆に富む。
13億円(2000年度)
30名
6500万円
戦略立案
ガソリンスタンド
トップダウンでの情報化
ITコーディネータの活用
56 (株)鳴海屋紙店 宮城県仙台市 「我が社の経営戦略とIT革命」

鳴海屋紙店は、明治16年創業の仙台で120年続く紙類卸・販売業の老舗である。老舗にありがちな組織面の問題、小規模紙卸売業の厳しい市場環境という経営課題を克服するために、社長の鳴海氏の打った手は何か?
8億円(2000年度)
22名
1000万円
戦略立案
紙類・紙加工品卸・販売
トップダウンでの情報化
顧客・仕入先・社員満足度

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
Z
0
0
1
伊賀産業(株) 兵庫県明石市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例1-

IT化では私が先頭に立ちました。
率先垂範はビジネスの鉄則ですから。


LSIや液晶ディスプレイの製造に欠かせない高圧ガスを大手電機メーカーの工場に供給する伊賀産業。 強力なリーダーシップで40名の従業員を牽引する松岡社長は、社内の誰よりもITに詳しい。社内のIT化を先頭きって推し進め、経営の効率化を実現している。
不明
40名
不明
IT活用
・製造業
・高圧ガス類製造、販売
・ITリテラシ向上
Z
0
0
2
井上畳店 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例2-

パソコンを使って家業をサポート。
今年から教室の先生になりました。


脱サラして畳店の3代目を継いだご主人をサポートしようと、パソコンを始めた井上彩香さん。 今では経理や在庫管理、宣伝用のチラシやDMまでパソコンで自作。今年マイクロソフトの「MOUS検定」にも合格し、4月からインストラクターとしても活躍している。
不明
3名
不明
IT活用
・製造業
・畳製造、販売
・ITリテラシ向上
Z
0
0
3
いわさき歯科 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例3-

患者さんのサービス向上のために、
パソコンをフル活用しています。


ワープロでは誰にも負けない自信はあっても、パソコンのことは何もしらない。そんな岩﨑さんは昨年9月から地元のパソコン教室へ通いはじめた。 セミナー資料の作成や配布物作成にフル活用。患者さんとのコミュニケーションも円滑になった。
不明
17名
不明
IT活用
・医療
・歯科医院
・ITリテラシ向上
Z
0
0
4
(株)エス・ティー・エス 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例4-

難しいことは分からなくても、
どう使えるかを知ることが大切です。


地場の加古川で多くの人から高い信頼を勝ち得ているSTS。その強さの秘密は、ユーザーを裏切らないていねいな仕事とITを駆使した情報サービス。 夫と二人三脚でSTSを支えてきた石橋昶子さんも、パソコンを最大限に活用している。
不明
不明
不明
IT活用
・不動産業
・不動産売買、賃貸斡旋、
  管理
・ITリテラシ向上
Z
0
0
5
(株)エントリー 兵庫県明石市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例5-

始めなければ始まらない。
パソコンだって同じです。


1年間欠かさず通ったパソコン教室。山本さんはそこで学んだ知識や経験をもとに、自社のホームページを作成。 近い将来はサイバーモールへの出店や、ネットオークションへの出品も計画している。新しいビジネスチャンス獲得へ期待も膨らむ。
不明
20名
不明
IT活用
・小売業
・オートバイ販売
・ITリテラシ向上
Z
0
0
6
オイルワールド
(久後石油(株))
兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例6-

メールをやりとりしたり、社内文書を作ったり。
パソコンはすっかり手放せなくなりました。


これからはパソコンのひとつも使いこなせないと時代に取り残される・・・。そんな危機感から、1年間週1回のペースでパソコン教室に通った久後さん。 社内向けの文書作成に、JC(青年会議所)での活動に、仕事の道具として片時も手放せない。
不明
不明
不明
IT活用
・ガソリンスタンド、
  自動車整備、カー用品
・ITリテラシ向上
Z
0
0
7
(有)小川ビル 兵庫県明石市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例7-

機械オンチの私でもできるとは
まさか思ってもみませんでした。


いつも誰かの手に頼ってばかりいた自社ビルの入居契約書や管理台帳の作成。 それを自分で出来るようにしたいと、2年間教室に通ってパソコンをマスターされた小川さん。 毎年創作活動でヨーロッパに出かけられるご主人との間でメール交換するのが夢だとか。
不明
不明
不明
IT活用
・不動産業
・ビル管理
・ITリテラシ向上
Z
0
0
8
木澤鉄工所(株) 兵庫県 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例8-

時代に取り残されないために、
3次元CADの勉強を始めました。


木澤鉄工所は昭和46年の創業。プラント設備や立体駐車場など多種多様な製品を製造する。 社長の木澤さんは、10年前から鉄骨CADを仕事に導入。今年新たに3次元CADを購入し、勉強を始めたばかりだ。
不明
10名
不明
IT活用
・鉄工所
・ITリテラシ向上
Z
0
0
9
(株)キシモト 兵庫県 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例9-

フルデジタルのハイテクスタジオ。
やっと思い描いたビジネスモデルができました。


いま岸本さんが、もっとも力を入れているのはフォトスタジオ「ユースマイル」のチェーン展開。 斬新なコンセプトと最新のITを駆使したサービスで人気急上昇。3月には6つ目の店ができた。 岸本さんは早くから経営にコンピュータを導入。ようやく思い描いたビジネスのカタチが整った。
不明
不明
不明
IT活用
・フォトスタジオ
・DPEショップ
・ITリテラシ向上
Z
0
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(有)ケアテック 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例10-

パソコンとの出会い。
それは人生を変える出会いでした。


かつての部下に、街で偶然再会したのがキッカケでパソコンにのめり込んだ前田さん。 今では「IT講習会」や民間のパソコン教室でインストラクターを務めるまでに。今年4月には独立して新会社を立ち上げ。社長業でもパソコンは手放せない。
不明
不明
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IT活用
・訪問介護サービス
・ITリテラシ向上
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小林種苗(株) 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例11-

机の上のノートパソコン。
これが私の新兵器なんです。


明治43年に創業、以来90年あまりにおよぶ長い歴史を有する小林種苗。その4代目社長の小林忠子さんは、バンキングシステムのトレーニングでパソコン教室へ。 Excelをマスターし、営業日報システムを自作、販売データを直接一元管理している。
14億円(H4.1)
45名
3000万円
IT活用
・農業種苗生産卸
・ITリテラシ向上
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進皎不動産(株) 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例12-

まず発想を変えてみる。
そこからが始まりだと思うんです。


進皎(しんきょう)不動産は、賃貸に特化した不動産サービスの会社。不動産会社の多くが長期低迷を余儀なくされる中で、業績好調を維持している。 その好調を支えているのが、実はインターネットだということを多くの人が知らない。
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9名
1000万円
IT活用
・不動産業
・不動産売買、仲介、
  管理
・ITリテラシ向上
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(有)大西洋ツーリスト 兵庫県高砂市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例13-

パソコンなんて仕事に関係無ない―。
何年か前までそう信じてました。


ほんの数年前まで、大西さんにとってITは遠い世界の出来事でしかなかった。だが、今ではすっかりパソコンがビジネスになくてはならない武器になった。 今年中には、メールを使った新しいサービスにも挑戦したいと大西さんはいう。
1億円
8名
不明
IT活用
・旅行代理店
・ITリテラシ向上
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トゥリー・トップ 兵庫県 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例14-

パソコンがないと、したいこともできない。
そんな時代なんですね。


長い間の夢だった心理学の勉強。だが受講するためにはパソコンが必須。機械が大の苦手で、パソコンに触ったことすらない西海さんは、大慌てで勉強開始。 半年という限られた時間の中で、必要な知識とテクニックをマスターした。
不明
不明
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IT活用
・コーヒーショップ
・ITリテラシ向上
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(有)ブロッサム 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例15-

ショップやスクールの運営に、
今やパソコンは不可欠な存在です。


インターネットの通信販売で注文を増やしたい―そんな動機でパソコン教室に通い始めた日坂さん。 オリジナルのホームページ立ち上げをキッカケに、パソコンの世界へ。今ではショップのPOP作りやフラワーアレンジメント教室のツール作りに大活躍している。
1億円
不明
不明
IT活用
・フラワーショップ
・フラワースクール
・ITリテラシ向上
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みどり美粧院 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例16-

会計ソフトを使って確定申告。
横着者の私にはうってつけです。


小見山さんが、友人に影響されてパソコンを始めたのは今から8年前。今では顧客カルテや予約表、販促用のダイレクトメールなどもすべて自作。 3年前には会計ソフトも導入し、年度末の確定申告でもフル活用。
不明
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IT活用
・美容院
・ITリテラシ向上
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(株)メイ 兵庫県明石市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例17-

パソコンなんてカンタン、カンタン。
私なんて自分で作ってますよ。


株式会社メイは、昭和59年に創業。現在神戸、明石、加古川に5店舗を展開する調剤薬局。 創業社長の赤澤さんは、無類のパソコン好きで、早くからパソコンを社内業務に活用。業務の負担軽減や患者さんサービスの向上に役立ててきた。
不明
37名
1000万円
IT活用
・調剤薬局
・ITリテラシ向上
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割烹森繁 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例18-

一家はみんなパソコン好き。
すっかり私も手放せなくなりました。


いったんはあきらめながら、ひょんなキッカケからパソコンに再挑戦。長い間の夢だった自作のホームページも1年前についに完成。 仕事がひけた深夜、イタリアから届く息子のメールが待ち遠しい。
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IT活用
・割烹料理店
・ITリテラシ向上
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(株)和田企業 兵庫県加古川市 「IT活用奮闘記(ITなんてこわくない)」より -導入事例19-

私のIT化初期投資は800円。
入門書を買っただけなんです。


運送事業、コンクリート2次製品事業、一般土木事業の3つの柱で事業を展開する和田企業。必要に迫られてIT導入を実施したのは今から3年前。 導入の先頭にたった和田充弘さんは、パソコンの入門書を800円で購入した以外は一切の投資ゼロ。
不明
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不明
IT活用
・コンクリート製品製造、
  販売、施工
・ITリテラシ向上

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
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神戸商事(株) 兵庫県神戸市 ITコーディネータがその行動規範としているITCプロセスガイドラインは、いくつかの理由からそのままでは従業員数数名等の小規模事業者には適用しにくい。そこで、短期間で成果を出してゆく「検証ユニット型」という実施方法を考案し、コーディネート現場に活用したところ良い成果が出た。

本事例では、ITコーディネータ(筆者)は小規模事業者と地場システムベンダー、地場コミュニティの関係や特性を活かし、地場システムベンダーの後ろ盾として行動した。

小規模事業者すなわちスモールカンパニーをITによって活性化するには、(1)IT化推進の共通言語としてITCプロセスガイドラインのフレームワークを柔軟に活用し、(2)地場企業の人的結びつきに着目し、(3)地域振興につながるIT化を意識すべきである。そして、地場のコミュニティがITコーディネータ等と共に信頼できる地場システムベンダーを見極めて、地方の成功例をその地方で育て、「ローカルスタンダード」を育成することが重要である。

『地域コミュニティのニーズに対応できる体制づくりをすすめることにより、日本の80%以上を占めるスモールカンパニー支援のスタンダードになり得るのではないか』という感触を本事例の実践を通して得ることができた。
6億円
20名
3000万円
経営戦略+IT戦略
・卸業
・販売管理
・ASP
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(株)***** 近畿地方 「中小建設業SWOT・BSCによる重要経営課題の策定」

公共事業の減少、競争激化による営業利益率の低下を余儀なくされる建設業界にあって、 どのように生き残り策(経営課題)を決定するか、またIT活用をどのように勧めていけばいいのか、・・・・・
32億円
45名
9400万円
経営改革
・経営戦略策定
・SWOT
・クロスSWOT
・BSC
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東海バネ工業(株) 大阪市福島区 「作って納めるまでのシステム」から「儲けるシステム」へ

当初は、社長としては情報化に関してはあまり問題を感じていなかったが、他の方のアドバイスも聞いてみたいということで西岡IT塾に応募してみた。 進めて行くにしたがって会社は少しずつ変化しはじめ・・
13億円
70人
9645万円
経営戦略
・製造
・営業支援、在庫削減
・情報共有、Web再構築
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オリエンタル
写真商事(株)
東京都中央区 「ネットビジネスによる売上拡大と業務効率化」
 ~新時代の卸売業(ニューミドル)を目指して~

さまざまな競争要因にさらされている専門商社が、ターゲットを絞り込み自社の強みを活かして、B2B販売サイトを立ち上げた。
40億円
50人
4億5千万円
経営戦略
・写真関連の専門商社
・社内ITC・中小企業診断
  士としての中小卸売業
  改革
・B2B、B2C両方の販売
  サイト構築
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(株)***** 大阪府大阪市 「経営改革と戦略ITの刷新」

ある企業が株式公開を目標に業務の標準化と情報装備の高度化を進めていたが、うまくいかなかった。 途中でバトンタッチされた経験豊かなコンサルタントがどのように進めていったか・・・・・・。
100億円
310名
9000万円
経営改革
・環境用品、
  エコロジー用品製造
・基幹業務&支援業務
・Webベースの
  総合システム
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****工具(株) 大阪府大阪市 「とある工具屋さんのお話」

ITコーディネータの仕事は、ITを有効に活用して会社経営の改善につなげるということに尽きるが、 それを進める過程では経営者と深く意見を交換して信頼関係を築いていかなければできない仕事といえる。 ある会社の再建を題材にITコーディネータの仕事の一端がみえる話を紹介する。
3億円
20名
1800万円
経営改革
・製造業、
  工具メーカー
・経営再建
  経営改革
・URL開設
  インターネット取引
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いずも農業
協同組合
島根県出雲市 「経営のトータルシステム構築に成功したラピタ」

7JAがバラバラのシステムを使っていたものを、合併に伴ってその効果を出すために、 考え方、やり方、約束事、ソフト、 ハードを統合しながら支援するコンサルタント独自の 「ミーコッシュ手法」を用いてIT・経営間のギャップや矛盾をなくすることで、大きな成果を挙げた。
367億円
1187名
59億9900万円
業務改革
・スーパーマーケット
・店舗購買事業
・システム統合、
  小売業総合システム
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医療法人
社団澄笛会
竹下医院
東京都練馬区 「竹下医院のHPと経営改革」

竹下医院は、外科、内科、形成外科の診療所であり、長年、地元のかかりつけ医の役割を果たしてきたが、 最近、他医院に対する差別化としてスキンクリニックに力を入れ、将来を見据えた経営をはじめた。
12名
経営改革
・クリニック
・医療
・ホームページ
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(有)メガテン 長野県飯田市 「POSデータを活用し地域1番店になった酒販店」

福祉関係のサラリーマンがまったくの経験のない小売業を始めるときから地域1番店になるまで、ベテランプロコンがどのようにリードしていったか。
13億円
18人
1000万円
経営戦略
・酒販店
・酒・食品販売
・POSシステム
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美保テクノス(株) 鳥取県米子市 「総合建設業における
     戦略情報化企画コーディネート 事例」

美保テクノス株式会社は、設立後45年間土木建設業を営み、現在では地元の最有力総合建設業社に成長している。 美保テクノス株式会社からは、「現行グループウェアの活用についての相談」という依頼内容であった。 しかし、実際に訪問し、ヒアリングを行って、最終的には「土木事業全領域の今後のIT化戦略の提案」を行うに至り、 本ケースはIT導入段階を経過し経営成果を実感出来ない企業のIT戦略再構築の事例と云えるものである。
84億円
140人
1億円
経営戦略
・総合建設業
・土木工事管理
・グループウェア
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(株)大弥 京都府京都市 「小規模旅館のITを使った団体予約獲得への挑戦」

経営資源の脆弱な中小零細企業が、どのようにIT化推進のアプローチを行うか、短期、中長期の経営戦略を策定しながら進めて行った。
3,000万円
2人
1,000万円
経営戦略
・旅館
・接客
・団体客予約システム
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岸和田IT研究会 大阪府岸和田市 「中小企業によるASP実証・実験と活用」

中小企業にとって経営に役立つ安価で、操作の楽なITソフトASPの導入実証・実験をグループで行った。
(会員)12社
IT化実証実験
・サービス業、製造業、
  商店街
・販売促進業務、
  会計管理支援
・ASP活用による情報
  発信とLAN構築
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リコー教育
システム(株)
東京都 「RKS社における経営戦略策定、
       経営改革企画、戦略情報化企画の事例」

経営者の認識に基づきプロジェクトチームをつくり、ITCプロセスに沿って経営戦略策定フェーズから戦略情報化企画戦略版フェーズまで進めた。 また、戦略を実現させるための実行を重視し、経営改革プロセスもセットにして施策に織り込んだ。各フェーズの進め方の事例を紹介する。
25億円
88人
1,000万円
事業戦略
・販売業
・経営戦略、経営改革
・顧客データベース
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(有)できるネット 兵庫県神崎郡 「ITユニフォーム販売」

パソコンを利用して販売促進につなげたい、と考える企業は多いが、なかなか思い通りにうまくいかないのが現状である。 この事例は、コンサルタントと協力して問題点の抽出と解決に成功した企業の事例である。
1,000万円
2人
550万円
経営戦略
・ユニフォームの
  受注生産
・販売促進業務、
  受注生産業務
・ユニフォームの
  ネット販売

2010.07.08
事例一覧
事例番号 事例企業名 所在地 事例の概要
売上高
従業員数
資本金
事例の主要局面
キーワード
51 トーマツ
コンサルティング(株)
福岡県福岡市 「情報技術の活用と企業経営」

  企業に関する情報システム分野において豊富な実績とノウハウを持つ江藤氏。IT化のもと、今ものすごい勢いで変わりつつあるさまざまな事象を掲げていただき、そこから我々の目指すべき方向、取り組み視点を説いていただいた。
不明
126名
1億1000万円
IT化の観点
監査法人
IT化の提言

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